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電子決裁とは?紙文書の決裁との違いは?やり方や注意点、導入事例も

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電子決裁とは?紙文書の決裁との違いは?やり方や導入事例も

この記事でわかること

  • 紙書類と電子文書の違いやメリット・デメリット
  • 政府や自治体で進む業務電子化の背景
  • 電子決裁におけるオンプレミス型とクラウド型の違い
  • 電子決裁導入時にかかるコストや業務フロー再構築の課題
  • セキュリティ強化の方法
  • 実際の電子決裁導入事例を通じた成果や活用のポイント

パソコンやタブレット・スマホなどのデジタルデバイスの普及、ネットワークシステムやIT技術の進展によって、近年はオンライン上でコミュニケーションやビジネスをする機会が格段に多くなっています。
そんな中注目されているのが、オンライン上で書類の申請や決裁を完結させる「電子決裁」です。
今回は、電子決裁とは何か、紙文書での決裁との違いや方法・メリット・導入事例などをご紹介します。

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電子決裁とは(電子決裁と電子決済の違いも)

電子決裁とは、紙の書類ではなくコンピューター上の電子文書を用いて決裁処理を行う方法です。
通常、誰かが稟議書を紙書類で申請すると、その可否を判断した証として承認者が紙書類に印鑑を押します。しかし、電子決裁では、この一連の作業をすべてコンピューター上で行います。稟議書を紙に印刷することなく作成した電子文書をそのまま使い、捺印も回覧もコンピューター上で行う……というのが電子決裁なのです。

ちなみによく間違われますが、「電子決裁」と「電子決済」とは別物。電子決済とは、商品やサービスの支払いを現金ではなくクレジットカードや電子マネーなどネットワークを利用した手段で行うことを指します。スマートフォンを使った「キャッシュレス決済」「QRコード決済」なども電子決済に含まれます。

稟議申請について詳しく知りたい方はこちら

書面上での決裁と電子決裁の違い

従来の紙書類による決裁と電子決裁では、決裁にかかる手間・時間が大きく変わります。
例えば部下から稟議書の申請があった際、それぞれどのようなフローが必要でどのような手間・どのくらいの時間がかかるのか、以下にまとめています。

書面での決裁の場合

  1. 部下がパソコンで稟議書を作成、紙書類に印刷して印鑑を押し、申請する
  2. 紙書類に課長が承認の印として自分の印鑑を押し、書類を部長に手渡す
  3. 部長が同様に捺印し、紙書類を役員に手渡しする
  4. 役員が同様に捺印し、社長に手渡しする
  5. 社長が捺印し、決裁が完了
  6. 決裁完了後に申請者に通知が届く
  7. 書類保管担当者への受け渡し

紙書類を用いた決裁では、現物の紙を手渡しで回覧していく必要があります。上のモデルケースにおいて例えば課長が出張中であれば、承認印をもらうために帰りを待たなければなりません。また申請をした部下が大阪支社勤務で社長が東京本社にいるなら、書類を郵送するか持参しなければなりません。
決裁はできるだけスムーズかつスピーディーに完了させたいものですが、紙書類での決裁だと物理的な制約によって思うように進まず時間を要してしまうのです。また、印刷代・インク代・印紙代・郵送費などもかかります。

また、近年ではテレワークやリモートワーク・フレックスタイムワークをする人が増え、従来のように皆が同じ時間にオフィスに来て顔を合わせて仕事をするわけではなくなっています。そういった状況では、対面での手渡しや捺印が必要な紙の書類は扱いづらいものです。今後ますます働き方の多様化が進むにつれて、紙を中心とする作業はさまざまな場面で負担になっていくのではないでしょうか。

電子決裁の場合

  1. 部下がパソコンで稟議書を作成し、オンラインで申請する
  2. 課長が承認、オンラインで回覧する
  3. 部長が承認し、オンラインで回覧する
  4. 役員が承認し、オンラインで回覧する
  5. 社長が承認、決裁が完了

電子決裁では、紙の書類ではなくコンピューター上の電子文書を回覧・電子印鑑で捺印し、決裁を進めていきます。ネットワーク環境さえあれば、社内にいなくてもノートパソコンやタブレット・スマホで電子文書の閲覧・捺印・承認が可能。そのため、例えば課長が出張中でも帰りを待つ必要はなく、外出先から承認作業をしてもらえます。また物理的に紙を回覧したり捺印したりするフローは必要なく、すべてオンライン上でのやりとりのため申請者と決裁者の物理的な距離は関係ありません。申請者が大阪支社勤務・社長は東京本社勤務であっても、タイムラグなく決裁を進められます。紙書類での決裁から電子決裁に切り替えれば、時間を大幅に短縮できます。

さらに、印刷代やインク代・印紙代・郵送費などの経費も不要になります。


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電子決裁移行加速化方針とは

行政における業務電子化の動き

近年、日本政府は行政における業務電子化の動きを本格的に推し進めています。

2016年12月には「官民データ活用推進基本法」が成立。この法案により、官民データの活用に関する施策の推進が政府の取り組みとして義務付けられました。具体的には、データ流通環境の整備・行政手続きのオンライン利用の原則化などが含まれています。

さらに2017年5月には、「官民データ活用推進基本法」と「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」に基づく取り組みを具体化するための「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が策定。同時に、「デジタル・ガバメント推進方針」も打ち出され行政のあり方そのものを本格的にデジタル化前提で見直そうという動きが示されました。

このように業務の電子化を促進する動きの中で、従来の紙書類による決裁を電子化する取り組みとして策定されたのが「電子決裁移行加速化方針」です。この中では、公文書の作成から保存・管理・移管までを一貫して電子的に行うことを目指されています。

電子決裁を取り入れる行政・企業は増加している

このような政府の推進政策によって、行政や地方自治体では従来の紙書類を電子化する動きが広まっています。例えば、茨城県庁では2018年7月の時点で決裁業務のほぼすべてを電子化することに成功しました。また、東京都渋谷区も2019年に入って電子決裁・文書管理システムを導入。このほか、民間企業でも電子決裁への移行が急速に進んでいます。

電子決裁のやり方・導入方法

電子決裁導入には、専用のシステムが必要

電子決裁を導入するには、専用のシステムが必要です。
というのも、電子決裁は「紙の書類を電子データとしてオンライン上で回覧・承認作業を行うだけ」ではないからです。複雑な承認ルート・決裁フローをスムーズに進め、効率の良いワークフローを実現できる使いやすいシステムが必要です。また、電子決裁システムはインターネットを介してオンライン上で文書を回覧するため、セキュリティが高い環境を用意することも大切。電子決裁システムを自社で開発・導入する、または既存の電子決裁サービスを利用するのが一般的です。

電子決裁システムには、オンプレミス型とクラウド型がある

電子決裁システムには大きく分けて2種類の型があります。ひとつは自社サーバやパソコンにシステムを組み込む仕様(オンプレミス型)、もうひとつはクラウドサービスを利用する(クラウド型)です。

オンプレミス型とは

オンプレミス型は自社サーバやパソコンに電子決裁のソフトウェアをインストールし、そのシステムを利用する方法。基本的には社内のパソコンのみ使用可能。

クラウド型とは

クラウド型はインターネット上のサーバを使ってシステムを利用する方法。オンプレミス型とちがい、インターネットがつながる環境さえあればどこでも利用可能。社内のパソコンだけでなく、スマホやタブレットからも承認作業ができる。

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電子決裁の費用について

オンプレミス型・クラウド型によって費用に開きが出る

費用相場を見ると、オンプレミス型かクラウド型によって、費用には大きな差が出ます。

オンプレミス型の場合、既存の自社システムと連動させ、使いやすい仕様にカスタマイズできるものも多くあります。その分、初期投資や運用・メンテナンスなどにかかる費用は高額になります。

それに比べて、クラウド型は初期費用がかからず、月額費用も安価なものが多い傾向です。費用だけを見れば、クラウド型のほうが導入しやすいと言えるでしょう。とはいえ、金額の数字だけを見るのではなく、機能と費用を比べて費用対効果で考えるのが賢明です。

電子決裁の導入によるメリット

電子決裁に切り替えると以下のようなメリットが期待できます。

ペーパーレス化によるコスト削減

紙の使用量が減るので、紙代や印紙代・印刷時にかかる電気代やインク代をカットできます。また、紙書類を保管するスペースがいらなくなり、管理にかかる人件費の削減にも繋がります。

ペーパーレスについて詳しく知りたい方はこちら

決裁のスピードアップ

紙書類を回覧し、ひとりひとりに承認をもらうのは時間がかかります。担当者が不在だったり遠方にいたりすると、ひとつの決裁に膨大な時間がかかってしまうことも。その点、電子決裁ならインターネット環境さえあればいつでも承認作業ができるので、決裁をスムーズかつスピーディーに進められます。
また、紙書類の決裁では「今誰のところに書類があって、誰のところで滞っているのか」がわかりにくいという問題も。電子決裁システムならシステム上で承認の進捗状況がひと目でわかり、業務の停滞を防げます。

過去の情報の検索が簡単になる

紙書類の場合、保管場所にある膨大な書類から探さなければなりませんが、電子決裁はシステム上に情報が保存されるため、タイトルや日付などから簡単に検索できます。

記入漏れや記入ミスの防止

紙書類の場合、記入漏れや記入ミスが見つかったら書類を差し戻し、また作成しなおさなければなりません。パソコンでミスを直して作り直し、またそれを印刷して回覧して……という工程を踏まなければならないため、時間も手間もかかります。その点電子文書は、仮にミスがあっても修正もしやすくスピーディーです。

文書の不正使用防止

電子決裁システムでは、操作履歴が残ります。そのため、いつ誰が書類を閲覧したのか・認証したのかといった情報(証跡)がわかるので、不正使用の抑止力につながります。

電子決裁の導入によるデメリット

電子決裁を導入することで、紙の削減や意思決定のスピードアップなど多くの利点が期待できます。しかし同時に、新たなシステムの選定や業務フローの変更といった問題も発生しがちです。ここでは、代表的な3つのデメリットを解説します。

導入にコストが必要

電子決裁を導入する際、最大のデメリットとして挙げられるのが初期導入費用や維持費用です。たとえば、自治体や企業が新しいシステムを構築するときには、ソフトウェアのライセンス費用や機器の購入費用がかかることが多くあります。

クラウド型サービスを利用する場合でも、無料プランでは機能が制限されがちで、最適なプランにアップグレードするには追加料金を支払わなければならないケースがあるでしょう。また、導入後はシステム更新やサーバー保守、ユーザートレーニングの費用など、利用者全体への周知・教育も必要です。

こうしたコスト面をしっかりと試算しないと、想定以上の負担につながる点が課題といえます。

業務フローの見直しが必要

電子決裁を導入する際には、すでに確立されている紙ベースの業務フローを再検討し、システムに合わせた形に変える作業が欠かせません。紙の回覧や押印といった従来の流れが変わることで、利用者の混乱を招く恐れがあります。

周知や研修を行いながら移行を進める必要があるため、当面の業務負荷が増大する点は見逃せない課題です。

すべての契約が電子決裁に対応しているわけではない

電子決裁システムに切り替えたからといって、すべての契約や書面がすぐに電子化できるわけではありません。
法律や規則の関係で書面による署名や押印が求められるケースもあり、完全に紙を廃止できない場合があります。

一部の契約だけが電子化できず、無料で利用できるツールを使っても他の書面は紙ベースのままになるなど、複数のフローを並行して運用せざるを得ないことも考えられます。

電子決裁システムを導入する際の3つの注意点

電子決裁を導入すれば、印刷費用や紙保存の管理コストを削減できるなど、業務効率が向上する可能性があります。しかし、システム導入にあたっては、手順や運用の仕方を誤るとトラブルを招きかねません。
以下の3つの注意点を押さえて、円滑な電子決裁の実現を目指しましょう。

1.運用ルールの策定と周知

電子決裁システムの導入時には、まず組織全体で共通する運用ルールを明確にする必要があります。例えば、どの書類を電子化するか、どこまで承認権限を与えるか、利用者の範囲をどこまで広げるかなど、取り扱う情報の機密性や業務内容に応じて異なる設定が求められるでしょう。

運用ルールが曖昧なままだと、承認者が統一のフローに従わず、意思決定の遅延やトラブルにつながります。
また、自治体や企業など組織の規模や性質を問わず、システム導入初期には必ず利用者を含めた研修やマニュアルの整備が欠かせません。

周知徹底がなされていない状態で運用を開始すると、思わぬ混乱や誤操作が頻発するため、導入段階での説明は特に時間をかけることが大切です。

2.セキュリティ対策の強化

電子決裁はサーバー上やクラウド環境に重要なデータを保管するため、情報漏えい対策が不可欠です。
具体的には、ログインIDやパスワードの適切な管理、定期的なパスワード変更、アクセス権限の細分化などが挙げられます。また、ウイルス対策ソフトやファイアウォールの設定、通信経路の暗号化を行い、外部からの不正アクセスを防止しなければなりません。

特に自治体などで扱う公的情報には高度なセキュリティが要求されることから、専門部署や外部のセキュリティ企業と連携しながらシステムを運用することが重要です。
セキュリティレベルが低いまま運用してしまうと、機密情報が第三者に流出するリスクが高まり、行政業務や企業活動に大きな損害を与える恐れがあります。

3.導入後のサポート体制とコスト検討

電子決裁システムを導入した後も、定期的にアップデートやバージョン管理を行わなければなりません。新しい機能への対応やソフトウェアの不具合修正など、システムは常にメンテナンスが必要だからです。

また、無料プランで始めた場合でも、利用人数の増加や高度な機能が必要になれば、有料プランへの切り替えを余儀なくされるかもしれません。予算計画に余裕を持たせるとともに、サポート体制が充実したベンダーを選ぶことで、トラブル時や追加機能が必要になった場合にスムーズな対応が期待できます。

導入コストだけでなく、長期的な運用コストや人的リソースを総合的に検討しておくことが、電子決裁を安定して活用するための鍵といえるでしょう。

電子決裁の導入事例

ネットワンシステムズ株式会社様 

電子決裁導入のきっかけ

「とにかく紙資料が多い会社だった」というネットワンシステムズ株式会社様。以前はWordやExcelで作成した書類を社内便で処理部門に送っていたとのこと。地方で発生した申請書に関しては、社内便で送ると遅いのでFAXで送り、後から原本を社内便で送っていました。そのコストや手間を改善するために電子決裁システムを導入しました。

電子決裁後の成果

まず着手したのは、交通費申請の電子化でした。ワークフローは格段にスムーズになり、決裁にかかる時間も大幅に短縮されたとのこと。将来的には、電子化したデータをデータベースに取り込み、取り込んだデータと販売管理システムなどの業務システムと連携できるようにする予定です。


ネットワンシステムズ株式会社様の事例について詳しく知りたい方はこちら

芙蓉総合リース株式会社様

電子決裁導入のきっかけ

リース業界におけるパイオニア的存在である、芙蓉総合リース株式会社様。国内では初の航空機ファイナンスへの参加のほか、医療・福祉業界と連携した介護施設の建物リースやリースを活用した不動産ファイナンスなど幅広い事業を展開しています。
そんな芙蓉総合リース株式会社では、長らく人事・総務関連の申請や承認をすべて紙書類で行ってきました。しかし、そこには膨大な手間と時間が。全社横断的なシステムを作りたいという思いの元、社内の紙書類の電子化・電子決裁を進める運びとなったのでした。

電子決裁後の成果

同社では電子印鑑つきの電子決裁システムを導入。それにより、社内での申請・承認業務は簡素化され、担当者の業務を削減することに成功。特に、申請を受けつける部署では紙書類のファイリング作業が不要に。また、申請・承認フローのスピード自体も大きく向上し、業務効率もアップしたとのこと。このほか、紙の消費量・印刷や保管にかかるコストの削減にもつながっています。


芙蓉総合リース株式会社様の事例について詳しく知りたい方はこちら


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WRITER
林 舞
デジタル認証事業部 Shachihata Cloud エバンジェリスト
紙文化のメーカー、広告代理店からフルリモートのSaaS組織まで多様な環境で培った幅広い視点を生かし、2024年からデジタル認証事業部企画マーケティングチームにてShachihata Cloudの価値発信に携わる。
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