Shachihata Cloud DXコラム 電子印鑑のメリット・デメリットとは?無料で作る方法と法的効力
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電子印鑑のメリット・デメリットとは?無料で作る方法と法的効力

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「働き方改革」や「デジタルファースト法」が推進されている今、リモートワークで承認決裁ができる電子印鑑が注目を集めています。本記事では、電子印鑑とはどのようなものなのか、作成方法やセキュリティ・法的な効力・メリット・デメリットなどについてご説明します。

なお、Shachihata Cloudでは、BtoB企業様向けに「電子印鑑から始める業務改善DX」資料を提供しております。 無料でダウンロードできますので、ぜひ電子印鑑の導入にお役立て下さい。

電子印鑑とは

電子印鑑、製品開発の理由

1995年、シヤチハタは初のソフトウェアを製品ラインナップに加えました。それは電子印鑑システム「パソコン決裁」──電子文書に直接印鑑を押すことができるソフトウェアです。
これは
「パソコンを使っているのに、承認印を押すためにわざわざ文書を印刷する」
こんな無駄をなくすために開発された製品でした。

例えば、

パソコンで作った書類に捺印して上司にメールする――
受け取った上司もパソコン上で書類を確認し、「パソコン決裁」で捺印する――

こんな使い方ができます。

さらに承認文書をデジタル文書として作成できれば、書庫が要らなくなる・情報共有や書類の検索が簡単になるなどのメリットが得られると期待され、誕生した製品です。

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電子印鑑が普及するまでの経緯

2000年前後:ペーパーレスの促進運動

パソコンが世の中に広がってきた2000年前後。その頃より、「ペーパーレスの促進」が叫ばれるようになってきました。しかしながら、ペーパーレスの促進運動とは裏腹に、紙の出荷量は増え続けていました。ペーパーレスの実現は、容易ではなかったのです。

なぜならペーパーレスを実現するためには、導入するシステムに合わせた新たな運用プロセスを確立する必要があったからです。しかし当時の日本は、これを実現するのは非常に難しい状況にありました。

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2008年~:タブレット・スマホの普及

2008年、Apple社より、その後の時代の流れを変える新製品がリリースされます。それは 「iPhone」です。iPhoneは瞬く間に市場に浸透し、2010年から2011年にかけてパソコンの出荷台数を超える実績にまで拡大しました。
ちょうどその頃、シヤチハタでも「パソコン決裁の電子印鑑はスマホでは押せないのか」「外出先で承認できる機能を付けてほしい」などのご意見を市場からいただいていました。そして私達は、試行錯誤しながら開発を進めておりました。

▼スマホでの電子印鑑の押印について詳しく知りたい方はこちら

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2013年~:クラウドサービスの台頭

2013年、日本にもクラウドサービスの波が押し寄せてきました。米国のファイルストレージサービス「Box」が本格的に日本市場に参入してきたのです。続いて2016年には、同じく米国発の「DocuSign」もアジア市場開拓開始を宣言しました。
当時日本では、クラウドサービスに関するセキュリティ問題はまだ一般的ではありませんでした。しかし、東日本大震災以降、資産(資料)の安全な保管方法について見直す動きが始まっていたのは事実。そのため、クラウドサービスへの関心は自ずと高まっていきました。

2019~:働き方改革の推進と東京オリンピックの実現に向けて

2019年4月、『働き方改革推進法』が施行されました。「長時間労働の是正」や「労働生産性の向上」が基本概念に組み込まれたこの法案。各々が質の高い仕事を実現するために、それまで見過ごされていた移動中の時間の見直しや子育てや介護支援のための在宅勤務推進が盛り込まれています。

このような動きの中で、クラウドサービスや電子印鑑の必要性が一層高まっているのです。

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捺印・記名・署名……それぞれの違いと信頼度

捺印の意味と効力とは?

パソコンの登場で少なくなった「捺印シーン」ではありますが、思い浮かべてみると、いくつもの使用シーンを思い起こすことができるかと思います。例えば、

・宅配便の受け取りに印鑑を押す
・子どもがもらってきた通知表に印鑑を押す
・携帯電話の申込み時に印鑑を押す
・銀行の窓口で預金を引き出す時に本人の証として印鑑を押す

このように捺印とは「本人が、ある意思を示したことの証拠として残すもの」です。民法では、「本人または代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とされています。

記名・署名の意味と効力とは?

捺印の他にも、書類に「本人の意思を示す証」を残すための方法として、「記名」「署名」があります。

【記名】
本人の名前を自署以外の方法(パソコン、ゴム印等)で記すこと

【署名】
本人の名前を自署すること

捺印・記名・署名の信頼度の違いとは?

捺印・記名・署名は、信用度に段階があります。以下の順で度合いが高くなっていきます。

  1. 記名してある文書(ゴム印等で記す)
  2. 記名および捺印してある文書(ゴム印+印影)
  3. 署名してある文書(自署で記す)
  4. 署名および捺印してある文書(自署+印影)

このうち民法では、「署名」以上の記載がない文書については法的に担保されにくいとされております。

認印・実印……印鑑の種類と効力の違い

認印と実印の違いとは?

印鑑の種類は、一般的には、認印(三文判)と実印(銀行印)とに二分できます。

・認印はどこにも登録されていない印鑑
・実印は役所(または銀行)等に事前に印影が届け出されている印鑑

実は、これらは、法的効力については同等です。
しかし、裁判等での証拠能力については、印鑑登録証明等との照合ができない認印は実印に比べ分が悪いと言わざるを得ません。

認印と実印、効力の差は?

では、使用した印鑑の種類によってその効力に差があるのでしょうか?

文書の真正性については、「捺印の本人性」と「文書の完全性」が問われます。

このうち、「捺印の本人性」については認印と実印とでは差があります。認印の場合、一般常識から「たぶん本人が捺したであろう」と判断されます。一方、実印の場合は役所等に対する信頼性から「本人が捺したことを確定」されます。これは「第三者機関である役所の信頼性が高いから」です。

文書の完全性については、認印も実印についても効果は同等です。いずれも、「文書の偽造や改ざんはない」と見られます。紙の世界なので、捺印後に修正箇所があれば目視で分かるという理由からです。(捺印前の修正箇所は訂正印等の使用で修正が可能)

▼印鑑のルールについて詳しく知りたい方はこちら

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電子印鑑を作成する方法

印鑑には認印、実印といった種類があり、と種類によって法的な効力の差があることがわかりました。では、電子印鑑にも種類の違いや効力の差があるのでしょうか。まずは、いくつかある電子印鑑の作り方をご紹介します。電子印鑑を作る方法は、無料で作成・有料で作成の大きく2つに分けられます。

無料で作成する方法

電子印鑑は自分でも簡単に作ることができます。無料の電子印鑑のメリットは何と言ってもコストがゼロであることでしょう。デメリットとしては、セキュリティ面での不安が多いことが挙げられます。無料タイプの電子印鑑をビジネスで使用する際には、まずは会社のルールとして使用が認められているかを事前に確認しましょう。

印影をスキャンして画像データ化する

印影を自分で画像化する方法です。自分の持っている印鑑を紙に押印し、その印影をスキャナやプリンターを使ってJPGやPNGなどの画像データとして、PCに取り込めば完成です。コストもかからず、短時間で作ることができます。また、自分の印鑑を画像化しているので、個別性の高い印鑑を作ることができるのもメリットです。しかし、印影をスキャンした画像データは、簡単にコピーすることができるので、なりすましのリスクがあります。さらに、そのデータを基に、印鑑そのものを複製される可能性があります。実印を複製されてしまった場合、金銭に関する書類など、重要な契約を本人の気づかないところで締結されてしまうことも考えられます。

無料の電子印鑑ソフトを使って作る

ネットで検索すると、フリーの電子印鑑作成ソフトをいくつも見つけることができます。また、ExcelやWordなどのOfficeソフトでも電子印鑑を作成できます。コストがかからない他にも、フォントやカラーを自分の好みに合わせてカスタマイズできることもメリットです。
しかし、同じフリーソフトを使えば、全く同様の画像データを作成することができてしまいます。印影のスキャンと同じく、なりすましの被害にあう可能性があることはデメリットといえるでしょう。

有料で作成する方法

有料の場合は、専用のサービスを利用して作成します。印鑑や捺印具を取り扱っているシヤチハタなど、いくつかの企業が有料の電子印鑑サービスを提供しています。コストがかかることがデメリットといえますが、無料の電子印鑑では不安の残るセキュリティ面や法的な効力の強化をすることができます。次の章で詳しくご説明します。

電子印鑑の法的効力

「認印・実印……印鑑の種類と効力の違い」でご説明しましたが、印鑑はただ形式的に捺しているわけではなく、本人確認や文書の完全性を証明する意味があります。こういった法的効力の部分に、無料電子印鑑と有料電子印鑑の違いがあります。

無料の電子印鑑と有料の電子印鑑 法的効力の違い

印影のスキャンや、フリーの電子印鑑作成ソフトで作った無料の電子印鑑の効力は認印と同等です。社会的に「たぶんその本人が捺したであろうという判断」は変わりません。ただし、誰にでも複製できてしまうこと、インターネットにアクセスできればどこにいても押印できてしまうことを考えると、実物の認印よりもなりすまして押印できる可能性が高くなります。そういったセキュリティの脆弱性から、法的な効力は見込めないと理解しておきましょう。

一方、専用のサービスを利用して作る有料の電子印鑑の効力は実印に近いといえるでしょう。専用サービスでは、印影の画像データに誰が捺したかの使用者情報や、いつ捺したか分かるタイムスタンプ情報を付与することができます。利用できる識別情報はサービスによって違いますが、識別情報があることで、その本人が捺印したことの証明がしやすくなり、法的な信頼度が高まります。

実物の印鑑でも安価で手軽に入手できる認印と、高価だが法的な効力の強い実印があったように、電子印鑑でも無料と有料でセキュリティや法的効力に差があるので、それぞれのメリットとデメリットを理解して使い分けていくことが重要です。

電子文書のセキュリティ面の課題

ここで、捺印をする対象となる紙書類と電子文書について、セキュリティの違いを比較しながら、電子文書に残るセキュリティ面の課題を明らかにしましょう。

電子文書のセキュリティはどのように守られている?

電子の世界では、文書ファイルのコピーが簡単にできます。また手書きではないので筆跡による違いはなく、ほとんど痕跡を残さずに変更もできてしまいます。ここが紙の場合と大きく違うポイントです。
電子ファイルは簡単・便利な反面、「承認後に文書は変更されていないか」「本当にその人が作ったものなのか」といった完全性と本人性の面で紙と比べ劣ってしまいます。

このセキュリティ問題を解決するのが「電子署名」という技術です。 電子署名が施された電子ファイルはそのハッシュ値と呼ばれる復元不可能なデータを取得することにより、文書改ざんの有無や変更内容自体を目視で確認できます。
(※利用するソフトウェアにより表示内容は異なります)

▼電子署名について詳しく知りたい方はこちら

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▼電子印鑑のセキュリティについて詳しく知りたい方はこちら

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▼電子印鑑のコピー防止について詳しく知りたい方はこちら

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印鑑自体の証明をするには?

電子印鑑のセキュリティをより強化するには、その印鑑自体の正当性を証明する方法があります。その役割を担うのが、印鑑証明書にあたる「電子証明書」です。電子証明書は、有料の電子印鑑サービスに付帯していることが多いです。印鑑とその印鑑を捺印した電子文書、両方のセキュリティを担保するには有料の電子印鑑サービスを利用すると安心でしょう。

企業運営には有料の電子印鑑が必要不可欠

企業を運営していく上で、実印の用意は必須です。電子文書を取り扱う場合も実印に相当するものを用意する必要があります。無料で作れるならコスト削減になるので、それでいいのではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは企業の重要な契約書などに認印を押印しているようなものなのです。コスト削減ももちろん大切ですが、しかるべきところにはお金をかけて、安全な企業運営ができるようにしましょう。

▼電子印鑑の無料版と有料版の違いを詳しく知りたい方はこちら

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▼電子印鑑の効力について詳しく知りたい方はこちら

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シヤチハタが提供する電子印鑑のメリット!ケース別おすすめサービス

1.WordやExcel などのOfficeを多用し、社内決裁をメインで利用したいケース

【おすすめ製品:パソコン決裁7 Business】
この製品は、WordやExcelのアドインツールとして、Microsoft Officeの一機能のように稼働します。捺印後は文書保護(ブック全体、セル単位等)も施行でき、それぞれの印影には捺印情報(誰が、いつ、どの文書に捺したのか)が付与されます。


▶パソコン決裁7 Businessの詳細はこちら

2.場所や時間にとらわれることなく、書類を決裁したいケース

【おすすめ製品:Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)
この製品は、クラウド上の書類を閲覧・決裁することができます。インターネット環境とウェブブラウザさえあれば、場所を問わずにサービスを立ち上げ決裁が実行できます。好きな時に好きな場所から承認を行えるので、迅速に決裁業務を遂行でき、会社の意思決定スピードを加速させることができます。

無料トライアルがあるため、無料版で使用のイメージをつかんでから本導入に進むことができます。

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3.時間を掛けずに取引先との書類交付を実現したいケース

【おすすめ製品: Shachihata Cloud
このサービスでは、操作者本人を認証したうえで書類の登録や捺印・申請等へ進みます。その際すべての操作履歴は記録として保持されます。また、申請者・承認者すべての操作関係者の記録を残すことで書類交付をセキュアに実施可能。両者の距離・時間・コストを大幅に縮められます。


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印鑑の役割を理解して、適切な電子印鑑の使用を

インターネット環境に対するサイバー攻撃は日々進化しており、それに対応するためにセキュリティもバージョンアップしていきます。常に最新のセキュリティ品質を維持するのは、個人ではなかなか容易ではないでしょう。電子印鑑の取り扱いにおいても、それぞれの印鑑の役割をしっかりと理解し、セキュリティを考慮しながら活用することが重要です。
シヤチハタの提供する「Shachihata Cloud」では、社内外問わず利用できる高セキュリティのクラウド型電子印鑑サービスです。1ユーザーあたり月額110円(税込)と手頃な価格で導入を検討できます。スマホやパソコン・タブレットの普及、電子文書の活用促進の流れを受け、今後ますます電子印鑑が使えるシーンは増えていくでしょう。電子印鑑をまだお持ちでない方は、ぜひ用意してみてはいかがでしょうか。ビジネスシーンでもプライベートシーンでも、ひとつ持っておくと非常に便利に使えます。

▼電子印鑑の作成について詳しく知りたい方はこちら

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▼社印を電子印鑑で作成する際の注意点について詳しく知りたい方はこちら

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▼電子印鑑をPDF形式、Word、Excelで作成する方法について詳しく知りたい方はこちら

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WRITER
小倉 隆幸
シヤチハタ株式会社 システム開発部部⻑
入社後30年を経過中。入社当初は営業部門に配属され12年間市場動向を学び、その後現在のシステム部門へ異動。17年目を迎える(ん?)現在も、強い意を持ちながら営業、企画に情熱を注ぎこむ55歳。
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