Shachihata Cloud DXコラム ワークフローシステム導入の効果?承認の効率化やツール選定方法
DX COLUMN

ワークフローシステム導入の効果?承認の効率化やツール選定方法

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

ワークフローシステムを用いることで、これまでワークフローで抱えていた煩わしさや問題を大幅に解消できるとなれば、導入しない手はありません。今や大企業のほとんどが取り入れているワークフローシステムとは、どのようなシーンで効果を発揮するのでしょうか。
本記事では、ワークフローシステムのメリットと注意点についてご説明します。

ワークフローとは

まずは、ワークフローについて簡単にご説明します。ワークフローとは、直訳すると「仕事の流れ」を意味し、ある一定の業務に複数の人員が関わる一連の流れを指します。
例えば、以下1〜3のような一連の流れがワークフローです。

(表1)ワークフローの例

1.申請者が申請書類を作成・印刷・押印し、上司に渡す

2.上司が申請書類を承認・押印し、さらに上層部へ回す

3.上層部が閲覧と承認・押印し、申請が通る

また、この流れを図式化したものをワークフローと呼ぶ場合もあります。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、上段でご説明したワークフローをネットワークを介して電子化し、円滑に実行可能にするシステムのことです。
従来の紙書類を使ったワークフローに比べ、作業の簡易化や手順の少なさ、業務の可視化により業務効率が大幅に向上します。
ワークフローシステムを導入すると、以下のように書類の印刷や手渡しがなくなり、申請から承認までをネットワーク上で完結できるようになります。

(表2)ワークフローシステム導入前後における申請業務の比較

紙書類を使用したワークフロー ワークフローシステム導入後
1.申請者が申請書類を作成・印刷・押印し、上司に渡す

2.上司が申請書類を承認・押印し、さらに上層部へ回す

3.上層部が閲覧と承認・押印をし、申請が通る
1.申請者が申請書類をシステム上で作成・申請し、ネットワークを介して上司に送信する

2.上司がシステム上で申請書類を確認・承認し、上層部に送信する

3.上層部がシステム上で閲覧と承認をし、申請が通る

ワークフローシステムは2010年以前まではあまり一般的ではありませんでしたが、働き方改革推進関連法の施行により、業務効率化を推進する企業が増え、現在では大手企業のほとんどが導入しています。ビジネスパーソンにとっては身近な存在になっているといえます。

ワークフローシステム導入のメリット

それでは、ワークフローシステム導入のメリットを詳しく解説します。

申請・確認作業の⼿間削減

従来の申請処理は、申請書類の記入・捺印や、上司の都合を伺って手渡しをする必要がありました。上司の承認後には、総務やさらに上層部へ、自社便を用いて書類を送付することもあったかと思います。ワークフローシステムでは、それらすべての手間がなくなります。捻出した時間をやりたかった業務や生産性の高い業務に費やすこともできるでしょう。

加えて、申請作業にありがちな、「いつまで経っても申請が承認されず、どこで書類が滞っているのか把握しにくい」という問題も、ワークフローシステムで解決可能です。ワークフローシステムでは、上司の申請は通ったが、部長の申請は通っていないなど、申請の進捗状況も把握できます。書類の現況把握によって、決裁の下りる時期の判断がつけば、業務計画も立てやすくなるでしょう。

ペーパーレス化の実現

ネットワークを介して業務を行うため、これまで紙やインクなどに費やしていたコストを大幅に削減できます。ペーパーレス化はコスト削減のみならず、企業のSDGsへの取り組みを推進し、自社ブランディングにも大いに役立ちます。

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リモートワークや多様な働き⽅の推進など

クラウド型のワークフローシステムは、時間や場所を問わずアクセスが可能です。出張中や在宅勤務中であっても、出社することなく、申請・承認業務を完了することができます。ワークフローシステムは、現代のテレワークや在宅ワークといった、オフィスワーク以外の働き方に合致したシステムであるといえるでしょう。

▼リモートワークについて詳しく知りたい方はこちら

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書類に関する社内のコンプライアンス強化

ワークフローシステムでは、文書へのパスワード設定やアクセス制限が可能です。閲覧者・承認者を可視化することにより、改ざんや悪用など、文書の不正を防止することができます。

データ管理による利便性の向上

ワークフローシステムでは、申請・承認を行なった文書をデータとして保存しておくことが可能です。データとして保存することで、タイトルや日付から文書の検索が可能になります。また、申請者や申請の種類など、様々なデータを分析することにより、業務の状況や偏りを把握し、業務の適正化を図ることもできるでしょう。

(表3)ワークフローシステム導入のメリット まとめ

・上司の都合を伺わずにネットワーク上で申請ができる
・申請の進捗状況が確認できる
・紙代やインク代などのコストを削減できる
・申請・承認をオフィス以外から行え、柔軟な働き方を実現できる
・社内のコンプライアンスを強化できる
・データ管理により検索や分析がしやすくなる

ワークフローシステムの主要機能

次に、ワークフローシステムの主要機能をご紹介します。ワークフローシステムでできることは多く、紙で行っていたほとんどのことが同システムで補えるといっても過言ではありません。

申請機能

ワークフローシステムのメイン機能ともいえるのが、申請機能です。
電子文書化された各種申請書類をシステム上で記入し、承認者へ送信します。申請先はテンプレートとして保存でき、申請のたびに宛先や手順に悩むこともありません。
システムによっては、WordやExcelのファイルをアップロードして、承認者に送信できるものもあります。

承認機能

承認者は送られてきた申請書を、スマホやタブレットといったパソコン以外の画面でも確認・承認ができます。外出先でも承認作業を行えるため、ワークフロー全体の滞りを解消できます。

ルート設定機能

承認の依頼先や承認後の書類の保存先などを、目的別に設定できます。紙媒体で多い「この申請には何の書類を使うべきか」「この書類は誰に渡すべきか」「申請後の書類はどこに保存をすれば良いのか」といった悩みからも解放されます。

状況把握機能

現在、申請状況がどのような状態か、誰がどの書類を閲覧済みかなどのワークフローの進捗状態の確認が可能です。承認を行っていない人に再通知(リマインド)もできるため、社内回覧にありがちな閲覧漏れも防げます。

ファイル自動取り込み機能

システムによっては、WordやExcelなどのファイルを、ワークフローシステムの文書シートに取り込める機能があります。パソコンが苦手という方でも、これまでの申請書の作成手順を変えずに扱えるため、社内全体の作業時間短縮になります。

全文検索機能

承認者の元には多くの申請書が集まるため、該当の文書を探すだけで時間を浪費してしまいます。ワークフローシステムの全文検索機能を使用すれば、文書を簡単に検索することができます。

閲覧・編集の権限機能

承認文書は社内で使用される場合がほとんどですが、悪用されるリスクはゼロではありません。閲覧や編集の権限をコントロールすることで、書類の不正改ざん・流出を防止できます。

(表4)ワークフローシステムの主要機能 まとめ

機能種別 機能説明
申請機能 テンプレートを使用し申請書類を作成・申請できる機能
承認機能 パソコンやスマホ、タブレットで承認ができる機能
ルート設定機能 承認ルートや承認後の書類の保存先を設定できる機能
状況把握機能 承認の進捗状況を確認する機能
ファイル自動取り込み機能 他のシステムで作成したファイルをワークフローシステムに取り込む機能
全文検索機能 申請書を検索する機能
閲覧・編集の権限機能 文書を閲覧・編集できる人を制限する機能

おすすめのワークフローシステム・ツール

ワークフローシステムの主要機能をご紹介しましたが、ワークフローシステムには、様々なタイプがあり、システムごとに特化した機能が異なります。そこで、企業タイプ別におすすめのワークフローシステムをご紹介します。

中小企業向け

従業員が少なく、求める機能が少ない場合や、パソコン操作に慣れていない従業員が多い場合は、操作がシンプルなワークフローシステムを選ぶとよいでしょう。サイボウズ株式会社のワークフローシステム「kintone」は、ドラック&ドロップで、直感的に申請フォーマットの作成が可能です。承認も、スマートフォンやタブレットから、クリックでできるため、多くの人が覚えやすいシステムといえるでしょう。

大企業向け

承認ルートが複雑な大企業には、自動的に承認先を分岐できるシステムなど、詳細な承認ルートを設定できるワークフローシステムが適しているといえます。株式会社エイトレッドの「AgileWorks」は大企業で使用されることを想定したシステムです。「先付けメンテナンス」という機能では、組織改編前に未来の組織図を設定することで、承認ルートの事前メンテナンスが可能です。組織改編前後に申請・承認業務が滞るという大きな課題を解決できる可能性があります。

Excelの使用頻度が高い企業向け

これまでExcelで申請業務を行っていた企業は、Excelとの連携が取れるワークフローシステムを選択するのが良いでしょう。株式会社コラボスタイルの「コラボフロー」は、Excelで作成した申請書を、そのまま申請フォームに変換が可能です。また、決裁が完了した文書をExcelやPDF形式に出力もできます。

印鑑の使用頻度が高い企業向け

書類に印鑑を押すことで、承認の意思を示したいという方も多いことでしょう。シヤチハタの「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、ネットワーク上の申請書に電子的な印影(電子印鑑)を残すことができる電子決裁サービスです。現在使用している印鑑を電子化できるため、電子申請へのスムーズな移行が可能です。

▶︎「Shachihata Cloud」の詳細はこちら

また、シヤチハタのワークフローシステム「Shachihata Cloud」と、クラウド型ファイル共有サービス「box」を組み合わせたサービス「Shachihata Cloud with box」もおすすめです。書類の回覧や捺印などが電子化できるだけでなく、boxにより全文検索などの高度な文書管理が可能になります。

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(表5)おすすめのワークフローシステム まとめ

企業のタイプ おすすめのワークフローシステム
中小企業 操作がシンプルなシステム
大企業 詳細な申請ルートを設定できるシステム
Excelの使用頻度が高い企業 Excelとの連携が取れるシステム
印鑑の使用頻度が高い企業 電子印鑑が使用できるシステム

ワークフローシステムの選定方法

最後に、ワークフローシステムを選定するにあたり、どのようなポイントを押さえた方が良いか解説します。

1. 導入が容易か

ワークフローシステムの導入のために、業務が増えてしまっては元も子もありません。ソフトウェアのインストールが必要なく、Webブラウザで使用できるシステムであるかなど、導入が容易かどうか確認することが重要です。

2. 導入コストが安価か

システムを導入する際に、サーバーを増強したりシステムを自社専用にカスタマイズしたりすると、コストがかさんでしまいます。近年では、IT人材不足などから、クラウド型サービスの利用が主流になっています。クラウド型サービスであれば、サーバーの増強は不要かつ導入コストも安価です。ただし、サービスによって料金体系に違いがあるため、使用したいサービスを明確にした上で、費用を比較すると良いでしょう。

3. 操作がシンプルか

操作が複雑なシステムを導入してしまうと、社内にシステムが定着しない可能性があります。操作がシンプルなシステムであれば、操作を覚える時間が短縮でき、操作に慣れていない社員でも業務に取り組みやすいでしょう。

4. 文書管理に適しているか

ワークフローシステムの中には、簡易的な文書検索しかできなかったり、ワークフローに該当する文書しか保存できなかったりするものがあります。申請・承認業務のみを電子化したい場合は、シンプルな機能でも十分ですが、全文検索などを行いたい場合は、本格的な文書管理機能を備えているワークフローシステムを導入すると良いでしょう。

5. セキュリティシステムが高水準か

社外からの不正アクセスや、社内での改ざん・悪用を防ぐため、高水準のセキュリティを備えていることは必要不可欠です。導入を検討しているシステムが、どのようなセキュリティで守られているか、閲覧・ダウンロードの履歴は残るかを確認しましょう。

ワークフローシステムの導入で業務のスリム化を実現

ワークフローシステムは従来のワークフローをより快適に、そしてスムーズにします。人員コストの削減と時間の削減ができ、これまで複雑だった業務のスリム化が実現します。業務改善を目指すのであれば、まずはワークフローの見直しとシステムの導入がおすすめです。

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