この記事でわかること
業務の効率化やペーパーレス化を進めるうえで、申請・承認などの手続きを整理した「ワークフロー」の作成は欠かせません。適切なワークフローを設計すれば、進捗の可視化や承認時間の短縮、業務の標準化、ミスの防止などにつながるでしょう。本記事では、ワークフローの基本的な意味や業務フローとの違い、作成する目的・メリット、具体的な作り方を解説します。さらに、Excel・Googleスプレッドシートやワークフローシステムなど、作成に使えるツールも紹介します。
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ワークフローとは、業務を効率的に進めるために、申請・承認などの一連の手続きをあらかじめ定められた手順に沿って処理する仕組みのことです。企業の中では、経費精算や稟議、契約書の承認など、複数の担当者が関わる業務が多く存在します。これらを紙やメールで行うと、確認漏れや承認の遅れが発生しやすくなります。ワークフローを作成してシステム上で管理することで、手続きの流れを可視化し、誰がどの段階で対応すべきかが明確になります。結果として、ミスの防止や作業スピードの向上につながり、組織全体の生産性を高めることができます。
「ワークフロー」と「業務フロー」は、どちらも業務の流れを整理する考え方ですが、対象と目的が異なります。ワークフローは、申請・承認・決裁など特定の業務について、誰がどの順番で処理するかを定め、標準化・効率化する仕組みです。
一方、業務フローは、業務全体の工程や部門・担当者間の関係を可視化し、業務の全体像や課題を把握するために用いられます。両者の違いは、以下の通りです。
比較項目 | ワークフロー | 業務フロー |
主な対象 | 申請・承認など特定業務の処理手順 | 業務全体の工程や流れ |
主な目的 | 手続きの標準化・効率化 | 業務全体の可視化・課題把握 |
具体例 | 経費精算、休暇申請、稟議 | 受注から納品までの業務プロセス |
▶ワークフローと業務フローについて詳しく知りたい方はこちら
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ワークフローは、複数の担当者が順を追って処理する業務ほど効果を発揮します。特に、申請から承認・決裁までに複数人が関わり、記録や証跡を残す必要がある業務では、手順を明確にしておくことが重要です。会社の部門別の代表例としては、下記の業務が挙げられます。
これらのような業務にワークフローを導入することで、担当者や承認順序を明確にし、処理漏れや確認の手間を抑えやすくなるでしょう。
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ワークフローを作成すると、承認ルートや入力条件をあらかじめ定め、担当者の経験に頼らず一定の手順で処理できるようになります。業務効率化と内部統制の両面で効果が期待できるでしょう。ここでは、ワークフローを作成する下記5つのメリットについて詳しく解説します。
紙やメールで申請・承認を行っていると、現在どの担当者で処理が止まっているのか分からず、電話やメールで個別に確認する手間が生じます。また、承認者が出張中のまま処理が止まり、納期直前まで放置されるケースも考えられるでしょう。
ワークフローを作成すれば、誰の対応待ちなのかを一覧で把握でき、申請者と承認者の双方が進捗を確認できます。滞留を早期に発見しやすくなり、確認の連絡も減らせる点がメリットです。
承認記録がメールや紙に分散していると、監査の際に「誰が、いつ、どの順序で承認したか」を確認しにくく、内部統制上のリスクになりかねません。一方、ワークフローを作成すれば、承認者・承認日時・承認ルートを履歴として残せます。
たとえば高額発注で所定の承認を経たことを後から確認できるほか、承認順序を固定して飛ばしを防ぐことも可能です。「一定金額以上は部長決裁を追加」といった条件分岐を設定すれば、社内ルールに沿った統制も行いやすくなるでしょう。
担当者ごとに手順や書式が異なる業務は、引き継ぎや新人教育に時間がかかり、処理品質にもばらつきが生じやすくなります。たとえば経費精算の提出方法が担当者によって紙とメールに分かれている状態です。
ワークフローを整備して申請方法、承認手順、使用する書式を統一すれば、誰が対応しても同じ流れで業務を進めやすくなります。特定の担当者しか分からない業務を減らし、属人化の解消につなげられます。
紙の申請書を手渡しで回覧する運用では、承認者が外出や出張で不在になると処理が止まりやすいです。ワークフローシステムを利用すれば、PCやスマートフォンから場所を問わず申請内容を確認・承認できるため、移動中や外出先のすき間時間も活用できます。
さらに、未承認の案件を自動で知らせるリマインド機能があるシステムであれば、申請の放置を防ぎ、承認・決裁までの時間をより短縮しやすくなるでしょう。
手作業による申請では、必須項目の記入漏れや押印漏れに気づかないまま次の工程へ進み、後から差し戻されることがあります。たとえば、空欄のある申請書が承認者まで回り、再提出のために一からやり取りし直すケースです。
ワークフローシステムでは、必須項目のチェックや入力形式の制限を設定し、不備のある申請を先へ進めない仕組みを作れます。申請時点でミスに気づきやすくなり、差し戻しによる手戻りを減らせる点がメリットです。

ワークフローを作成する際は、いきなりフローチャートを描いたりツールを導入したりするのではなく、対象業務を整理したうえで設計することが大切です。現状の業務を順序立てて整理することで、実務に合ったワークフローを作成しやすくなります。 ここでは、実際にワークフローを作る際の基本的な手順を5つのステップに分けて解説します。
最初に、ワークフローを作成する目的と対象業務を明確にします。対象に適しているのは、処理に時間がかかる、ミスや差し戻しが多い、発生頻度が高いなど、効率化の余地が大きい業務です。
たとえば、経費精算や休暇申請、契約書の承認などが挙げられます。対象業務を決めた後は、「承認時間を短縮する」「差し戻しを減らす」など、導入によって期待する成果も具体化します。目的を明確にしておくことで、後の設計や導入効果の評価もしやすくなります。
次に業務に関わる担当者と、それぞれが行うタスクを洗い出します。たとえば、経費精算なら、申請する社員(起案者)、直属の上長(承認者)、必要に応じて役員(決裁・確認者)などを整理します。タスクは「書類を作成する」「領収書を添付する」「申請する」「承認する」「差し戻す」「決裁する」「振込処理をする」のように、動詞で具体的に書き出すことがポイントです。
担当者とタスクを対応させ、実際の処理順に並べることで、「誰が・どの順で・何をするか」が具体的に見えてきます。抜け漏れがないか、現場の担当者にも確認しておくと安心です。
その後、各工程で必要になる書類やデータを洗い出します。申請書や見積書、領収書、契約書など、業務の途中で作成・参照・添付する情報を漏れなく整理しましょう。このとき、単に書類名だけを並べるのではなく、「書類名」「使用用途」「使用者」をセットで整理することがポイントです。
どの工程で誰が何の情報を使うのかを明確にすれば、必要な書式や入力項目を整えやすくなり、運用開始後の確認漏れや手戻りも防ぎやすくなります。
選定した業務プロセスを視覚的に表現するために、フローチャートを作成します。フローチャートは、業務の各ステップや順序、ステップ間のつながりを整理するための図です。この図式化によって、手続きの中で発生している非効率な部分やボトルネックを発見しやすくなります。
また、フローチャートを描くことで、どの工程が自動化できるか、どこに人の判断や承認が必要かが明確になります。これにより、最適なワークフロー作成と改善の方向性を判断するための基礎資料としても活用できます。
関連記事:ワークフロー図とは何か?作成するメリットと書き方を分かりやすく解説!
業務プロセスを図式化し、役割を割り当てたら、ワークフローを実現する手段を選定します。選択肢は、ExcelやGoogleスプレッドシートのような身近なツールから、業務プロセスの自動化や進捗管理まで行えるワークフローシステムまでさまざまです。
システムを選ぶ際は、申請者や承認者が迷わず操作できる画面か、将来の業務追加に対応できるかも確認しましょう。導入前に必要な機能を比較し、自社の運用に合うかを見極めることが大切です。

ワークフローを整備するときには、目的や運用の規模に合わせて適切なツールを選ぶことが大切です。ExcelやGoogleスプレッドシートのように身近で使いやすいものから、高度な自動化が可能なワークフローシステムまで、それぞれ特長が異なります。ここでは、代表的な手段と選び方のポイントを紹介します。
Excelは柔軟にカスタマイズでき、既に多くの人が使い慣れているため、基本的なワークフロー作成に適しています。追加コストがかからない点も大きなメリットです。一方で、複雑なフローには向かず、データの不整合が起きやすいことや、同時編集時の管理が難しいという課題があります。
Googleスプレッドシートも同様の形式で申請書フォーマットを作成できますが、リアルタイムで複数人が編集・コメントできる点が強みです。無料で使えて、Webブラウザさえあれば場所を問わずアクセスでき、PCだけでなくスマホやタブレットでも操作できます。手軽にスタートしたい組織にとって扱いやすい選択肢です。
ワークフローシステムとは、業務プロセスを自動化し、効率化するために設計された専用のソフトウェアです。ワークフローシステムは、業務の進行状況を管理し、各ステップの連携をスムーズにすることを目的としています。専用のワークフローシステムを使用することで、ワークフローの自動化と効率化を実現できます。メリットは、業務プロセスの可視化、自動化、およびフローの統合が容易になることです。これにより、手作業によるエラーを削減し、全体の業務効率を向上させることが可能です。また、リアルタイムでの進捗追跡や報告が容易になるため、意思決定のスピードと精度が向上します。デメリットとしては、初期設定に時間がかかることや、システムの導入に初期コストが必要であることが考えられますが、長期的な運用を見越した場合のROIを踏まえて検討することが重要です。
ワークフローシステムは、申請から承認、決裁までの流れを自動化し、業務全体の効率を高めるための専用ツールです。進捗状況をリアルタイムで把握でき、手作業によるミスや処理漏れを防ぎながら、プロセス全体を一元管理できます。初期設定や導入コストはかかりますが、長期的には高い効果が期待できます。
また、申請・承認管理が簡単に行えること、業務内容に合わせてフローを自由にカスタマイズできることも大きな特長です。さらに、承認が遅れている場合に自動で通知するリマインダー機能があるため、処理の停滞を未然に防ぎ、スムーズな運用を実現できます。

ワークフローを作成するときは、最初の設計だけでなく、運用後の見直しや共有も重要です。ここでは、担当者の洗い出し方や共有・改善の進め方、見直しのタイミングなど、実務担当者がよく抱く疑問に答えます。
タスクや担当者を漏れなく洗い出すには、関係者へのヒアリング、既存の業務マニュアル・申請書、過去の申請データの3つを組み合わせて確認することが大切です。ヒアリングでは、マニュアルにない例外対応や暗黙のルール、担当者が無意識に行っている確認作業まで掘り起こします。
マニュアルや申請書からは正規の手順と必要書類を、過去データからは差し戻しが多い工程や時間がかかる箇所を把握しましょう。集めた情報は「起案する」「承認する」「差し戻す」など動詞単位に分解し、それぞれの担当者を紐づけてリスト化すると、実態に即したワークフローを設計しやすくなります。
作成したワークフローは、一度説明して終わりにせず、必要なときに誰でも参照できる状態にしておきます。フロー図やマニュアルは社内ポータルやクラウド上に保存し、常に最新版を共有できるようにしましょう。
また、ワークフローシステムを利用すれば、承認にかかった時間や差し戻し回数などのデータを蓄積できます。運用実績を定期的に確認することで、担当者の感覚だけに頼らず、数値をもとにボトルネックや改善すべき工程を判断できます。
ワークフローは、おおむね3カ月に一度を目安に見直すとよいでしょう。四半期ごとに確認することで、遅延や差し戻しが増える前に課題へ対応しやすくなります。また、組織変更・人事異動で承認者が変わったとき、業務量の増加によって既存ルートで処理しきれなくなったとき、法改正や社内規程の変更で手続きが変わったときも再検討のタイミングです。
見直さずに放置すると、実際の業務とワークフローがずれ、実在しない承認者に申請が回るなど、フローが形骸化する可能性があります。定期確認と変化が生じた際の見直しを組み合わせ、実務に合った状態を維持しましょう。

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ワークフローを作成する際は、対象業務と目的を明確にし、担当者・タスク、必要な情報や書式を洗い出して業務プロセスを整理することが大切です。作成後も定期的に見直し、組織や業務の変化に合わせて改善すれば、承認の停滞や属人化、差し戻しを防ぎやすくなります。
ExcelやGoogleスプレッドシートでも作成できますが、申請件数が多い場合や複雑な承認ルートを扱う場合は、ワークフローシステムを活用することで、より効率的に運用できます。
