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Shachihata Cloud DXコラム ワークフローとは?意味や役割とシステムの選び方、導入事例を解説!
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ワークフローとは?意味や役割とシステムの選び方、導入事例を解説!

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 現代のビジネス環境において、企業が抱えている業務上の課題は多岐にわたります。特に、非効率な業務プロセスや手作業によるエラー、情報の検索性の悪さなどは、企業の成長と効率を大きく阻害する要因となっています。これらの問題を解決するために、ワークフローの導入が注目されています。この記事では、ワークフローがどのようにこれらの課題を解決できるかを解説し、その効果的な活用方法について掘り下げていきます。

ワークフローとは

 前述した業務プロセスの課題に対する効果的な対策のひとつがワークフローの導入です。ここでは、ワークフローの概要と、ワークフローシステムについて解説します。

そもそもワークフローとは

 ワークフローとは、業務プロセスを効率化し、管理するための一連の作業手順やルールを体系的に定めたものです。ワークフローにより、業務がどのように進行し、各ステージで必要な要求・申請・承認が明確になり、業務の可視化が進みます。ワークフローを設計する主な目的は、業務の効率化と自動化を促進することにあります。これは、不要な作業を省き、必要なタスクを論理的かつ効果的に配置することで、業務全体のスムーズな流れを実現することを意味します。ワークフローの導入により、組織は業務の進捗状況をリアルタイムで把握し、問題が発生した際に迅速に対応する体制を整えることが可能となります。

ワークフローが重要な理由

 ワークフローが重要な理由は、業務プロセスの効率化と透明性の向上にあります。まず、ワークフローを導入することで、業務の各ステップが体系的に整理され、無駄な作業を削減することが可能です。ワークフローにより業務が円滑に進行し、業務の生産性向上が期待できます。また、ワークフローは業務の進行状況を可視化し、各プロセスの責任者や進捗状況を一目で把握できるため、管理が容易になり、内部統制やコンプライアンス遵守の観点からも信頼性が高まります。このように、ワークフローは、ビジネスの生産性を高め、業務を確実に進行させ、企業のガバナンスとコンプライアンスを確保するために不可欠な要素といえます。企業の競争力を維持・強化するために重要な役割を果たします。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムは、定義されたワークフローを実装し、自動化するためのツールです。ワークフローシステムは、業務プロセスをデジタル化し、異なる業務ステップ間で情報をシームレスに連携させることを目的としています。たとえば、文書登録の申請・承認、報告書の作成・承認、データ入力といった作業が自動化され、それぞれの業務ステップが連携して動作するよう設計されています。ワークフローシステムは、業務の繁雑さを軽減し、エラーの可能性を減少させることで、全体的な作業効率を向上させます。

 ワークフローシステムの核となる機能は、業務の自動化と統合です。業務の自動化により、手作業で行っていた時間がかかるタスクが減少し、より高度な分析や戦略的な判断が求められる業務に従業員が集中できるようになります。また、異なるアプリケーションやデータベース間でのデータの統合により、情報の一元化が進み、各部門やチーム間での情報共有がスムーズに行われるようになります。これにより、組織全体の意思決定プロセスが迅速かつ効果的になります。

紙のワークフローが抱える問題点

多くの企業は紙でワークフローを回していますが、紙のワークフローは多くの問題を抱えています。

業務プロセスの遅延

紙のワークフローは業務プロセスの遅延を引き起こしやすいと言えます。書類を手作業で作成し、承認を得るために物理的に回覧する過程で、時間がかかる上に、担当者が不在の場合にはさらなる遅延が発生する可能性があります。

書類の紛失や破損のリスク

紙のワークフローは書類の紛失や破損のリスクも高く、重要な書類が失われた場合、業務が滞るだけでなく、再作成に多大な時間と労力を要します。

エラー発生のリスク

手書きで紙にデータ入力を行うことは、入力ミスや計算ミスが起こりやすく、業務全体の品質に悪影響を与える可能性があります。

監査やコンプライアンスの課題

紙のワークフローは監査やコンプライアンスの観点からも課題があります。業務プロセスの履歴が紙で管理されていると、後から情報を追跡するのが困難になり、法令遵守や内部監査に支障をきたすことがあります。

ワークフローシステム導入のメリット

続いて、ワークフローシステムを導入することによる具体的なメリットについて解説します。

業務効率化

ワークフローシステム導入の最大のメリットは、言うまでもなく業務効率化です。業務プロセスが自動化されることで、人の介入が必要な場面が大幅に減少し、作業にかかる時間が短縮されます。たとえば、報告書の作成やデータ入力などに必要な定型的な入力作業がシステムによって自動で行われるようになるため、従業員はよりクリエイティブで戦略的なタスクに集中できるようになります。この結果、全体的な生産性が向上し、企業はより多くのプロジェクトを短時間で処理できるようになり、市場での競争力を向上させることも可能です。

人的エラーの削減

人間の手による作業が介在すると、避けられないのがエラーの発生です。ワークフローシステムを導入することで、これらのエラーは大きく減少します。自動化により、入力ミスや漏れ、情報の不整合などを防ぎ、業務品質が向上します。これにより、品質の一貫性が保たれるだけでなく、後からのエラー訂正に伴う時間とコストの浪費も削減できます。また、エラーが少なくなることで、顧客満足度の向上にもつながります。

テレワークの実現

最近では、多くの企業にとってテレワークの実現は重要な課題となっています。ワークフローシステムにより、地理的な制約を超えて業務が行えるようになります。クラウドベースのワークフローシステムを利用することで、従業員はインターネットさえあればどこからでもアクセスして業務を行うことができるようになります。企業は優秀な人材を地理的な制約なく採用することができ、また従業員のワークライフバランスの向上にも寄与します。

監査の容易さ

ワークフローシステムは、業務プロセスを透明化し、申請や承認処理のログを残すことができます。そのため、監査やコンプライアンスの確認が容易になります。業務がデジタル化されているため、必要な情報を瞬時に検索し、報告することが可能です。さらに、自動化されたログは操作の正確な追跡を可能にし、誰がいつ何を行ったかが明確になります。これは、法規制遵守だけでなく、内部監査の効率化にも大い役立ちます。

ワークフローシステムの選び方

ワークフローシステムは、業務プロセスの効率化や自動化を実現し、企業の生産性向上や業務品質の安定化を図るための重要なツールです。しかし、市場にはさまざまなワークフローシステムが存在しており、どれを選べばよいのか迷うことも少なくありません。システムの選択は、一度導入すれば長期的に使用することが前提となるため、慎重に行う必要があります。効果的なワークフローシステムの選び方を理解することで、自社の業務ニーズに最も適したシステムを導入し、期待通りの効果を得ることが可能になります。ここでは、ワークフローシステムを選ぶ際に考慮すべきポイントや、それぞれのポイントに基づいた選び方について詳しく解説します。

機能と提供形態がニーズに合っているか

ワークフローシステムを選ぶ際には、そのシステムが提供する機能と提供形態が自社のニーズに合っているかを確認することが重要です。まず、業務プロセスの自動化や承認フローの管理など、必要な機能が十分に備わっているかを確認しましょう。また、オンプレミス型やクラウド型など、システムの提供形態も業務環境に合ったものを選ぶ必要があります。例えば、社外や自宅からの柔軟なアクセスが求められる場合はクラウド型のシステムが適している可能性があります。自社の業務フローに適した機能を持つシステムを選ぶことで、導入後の効果を最大限に引き出すことができます。

使いやすさとユーザーインターフェース

システムの使いやすさは、導入後の運用において非常に重要な要素です。複雑で操作が難しいシステムを導入してしまうと、従業員がその操作を習得するのに多くの時間がかかり、結果的に業務効率が低下してしまう可能性があります。反対に、直感的でわかりやすいユーザーインターフェースを持つシステムは、従業員が短時間で操作方法を習得でき、迅速に日常業務に活用できるという利点があります。また、技術に不慣れな従業員でも、特別なトレーニングを受けずに操作できるようなシステムを選ぶことが重要です。これにより、社内全体でのスムーズな導入が可能になり、初期の混乱を避けることができます。さらに、使いやすいシステムは、従業員が積極的に活用しやすくなるため、ワークフローシステムの導入効果を最大限に引き出すことができます。

他システムとの連携性

既存の業務システムやアプリケーションと連携できるかどうかも、ワークフローシステムを選定する際に非常に重要な要素です。企業ではすでに多くの業務システムが導入されていることが一般的であり、新しいワークフローシステムがこれらのシステムとシームレスに統合されることが求められます。例えば、社内で運用しているCRM(顧客関係管理)やERP(統合基幹業務システム)などの既存システムとの連携が必要な場合、ワークフローシステムがそれらのシステムとスムーズにデータをやり取りできるかどうかを確認することが重要です。システム間の連携がうまくいけば、データの二重入力や手動でのデータ移行が不要となり、業務効率が飛躍的に向上します。

導入とサポート体制

ワークフローシステムを導入する際には、ベンダーが提供するサポート体制も非常に重要な選定基準となります。システム導入の初期段階では、設定やカスタマイズが必要となることが多く、これらをスムーズに進めるためには、ベンダーからの十分なサポートが必要です。また、運用が始まった後も、システムのトラブルが発生することは避けられません。そのため、運用中に迅速かつ的確に対応してくれるサポート体制が整っているかどうかを事前に確認しておくことが重要です。さらに、システムのバージョンアップ時には、新機能の追加や既存機能の改善が行われることがありますが、その際にもサポートが受けられるかどうかを確認することが求められます。これらのサポート体制が充実していれば、システムの長期的な運用が安定し、導入後の安心感を得ることができます。

ワークフローシステムの導入事例

ワークフローシステムの導入は、業務効率の向上やエラー削減、テレワークの促進など、多くの企業にとって重要な変革をもたらしています。ここでは、実際にワークフローシステムを導入した企業の事例を紹介し、それぞれがどのような課題を解決し、どのような成果を上げたのかを具体的に解説します。こうした事例はワークフローシステムの導入を検討している企業にとって、具体的な導入イメージをつかむための参考となるでしょう。

導入事例1:加賀市

加賀市は、デジタル化を推進する一環として、紙の決裁業務を、ワークフローシステムを使ってデジタル化しました。国家戦略特区として「デジタル田園健康特区」に選ばれた加賀市は、職員の負担を最小限に抑えつつ、既存の業務フローをほとんど変更せずに電子決裁システムを導入できる点を重要と捉え、それを実現できるワークフローシステムを選定しました。ワークフローシステム導入により、決裁文書の所在が明確になり、意思決定の迅速化や業務効率の向上が実現されました。また、短期間で全庁的に導入できたことで、市の関連施設全体で効率的な運用が可能となりました。

導入事例2:新渡戸文化学園

新渡戸文化学園は、申請業務のデジタル化を進めるためワークフローシステムを導入しました。学園は2020年に経済産業省の「未来の教室」モデル校に認定されるなど、教育におけるデジタル化を積極的に推進しています。ワークフローシステムの導入決定の背景には、既存の業務フローを変更せずにデジタル化を実現できるという利便性がありました。導入後、決裁申請にかかる時間が従来の半分以下に短縮され、業務効率が大幅に向上しました。学園では現在、事務局職員の起案書に限定してシステムを導入しており、今後は他の申請書類や教職員にもシステムを拡大する計画です。デジタル化を進める学園にとって、このシステムはさらに大きな一歩となるでしょう。

導入事例3: 株式会社日本教育クリエイト

株式会社日本教育クリエイトでは、紙書類による押印や契約業務が大きな負担となっており、業務効率の改善が求められていました。そこで、テレワーク体制を構築する際にワークフローシステムを導入し、押印処理も含めた業務のデジタル化を推進しました。導入の決め手は、既存の印鑑をそのまま使用できることや、シンプルで使い勝手が良い点、コスト削減効果が期待できる点でした。導入後は、承認待ちの時間が短縮され、印刷や郵送などの手続きが不要になり、工数とコストが大幅に削減されました。さらに、事前に操作マニュアルを整備したことで、導入時の混乱も最小限に抑えられました。現在、電子押印は全国の各部門で定着しており、今後のさらなる利用拡大が期待されています。

まとめ

本記事では、業務効率化やテレワーク実現、監査の透明化など、ワークフローシステムには多くのメリットがあることを解説しました。ワークフローの効率化は、現代のビジネスにおいて欠かせない要素です。適切なワークフローシステムを導入することで、業務の透明性が向上し、エラーが減少するだけでなく、業務プロセスのスピードも大幅に向上します。特に、紙ベースの業務からデジタル化への移行は、業務の生産性を飛躍的に高める一方で、テレワークなどの柔軟な働き方も実現可能にします。今こそ、業務のデジタル化に向けた一歩を踏み出してみませんか?

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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