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法人設立に必要な法人印鑑と書類を解説!作成・申請方法や電子署名の活用法

公開日: 更新日:

会社を設立して法人登記するためには、印鑑と書類が必要となります。また、印鑑は法務局に登録する必要があるのをご存知の方も多いことでしょう。しかし、用意する種類が多く、どれが何の役割を果たすのか、分からなくなることもあるのではないでしょうか。本記事では、法人登記をする際に用意する印鑑と書類についてや、代表者印の登録方法について、具体的な内容と役割をご説明します。

会社設立の際に必要な印鑑とは

会社を設立する際には、一般的に「代表者印」「銀行印」「角印」の3種類の印鑑を用意します。では、それぞれの印鑑の役割についてご説明します。

代表者印

法人設立をする際に法務局に登録する印鑑となります。サイズの規定があり、1辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形に収まるものでなくてはいけません。登録によって、この法人の印鑑であるということが証明できるため、慎重に取り扱う必要があります。

銀行印

法人口座を開設する際に用いる印鑑となります。銀行印という名前の通り、銀行で手形や小切手に押印する際に利用します。代表者印と違い、サイズに規定はありません。取り違えのリスクなども考慮すると、代表者印とはサイズを変え、分けて用意しておくとよいでしょう。

角印(会社印・社印)

見積書や注文書などのビジネス文書に用いる印鑑となります。一般的に角形のため、角印と呼ばれます。いわゆる認印として使用される印鑑であり、代表者印や銀行印の紛失や悪用を避けるため、通常は代表者印や銀行印とは別に用意します。

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(表1)会社設立時に必要な印鑑 まとめ

印鑑種別 用途
代表者印 法務局に登録し、会社の意思を表明する場面で使用する印鑑
銀行印 法人口座を開設する際に使用し、銀行で手形や小切手に押印する際に用いる印鑑
角印 日常的な場面で押印する際に用いる印鑑(認印)

法人印鑑を作成する際のポイント

それでは、実際に印鑑を作成する際、どのような点に気を付けるべきでしょうか。法人印鑑を作成する際のポイントをご説明します。

書体

代表者印と銀行印は、会社として重要な決定を下す場面で使用するため、偽造が難しい書体を選ぶのが良いといわれています。偽造が難しい書体には、篆書体(てんしょたい)と印相体(いんそうたい)が挙げられます。印相体は篆書体から作られており、会社印には篆書体、銀行印には印相体を選択するのが一般的です。

素材

木製やチタン製のはんこが一般的に法人印鑑に使用されます。木の素材には柘(つげ)や彩華(さいか)がありますが、決まりはないため、予算や好みで選ぶと良いでしょう。ただし、ゴム印(持ち手部分が木製であっても印影がゴムで彫られたはんこ)は、変形するリスクがあり、代表印や銀行印として登録ができません。ゴム印は、認印として使用するに留めるのが良いでしょう。

価格

安い印鑑でも、印鑑登録を行うことができます。ただし、安価な印鑑は、印影が精巧でない傾向があるため、偽造リスクの観点から、代表者印や銀行印にふさわしいとはいえません。代表印や銀行印には、多少値段は張っても、手彫りの印鑑を選択することが、後に会社を守ることに繋がるといえるでしょう。

法人印鑑は電子化(電子印鑑化)可能か

リモートワーク (テレワーク)が普及し、会社代表としての業務や契約をリモートで行いたい方も多いかと思います。では、法人印鑑は電子化できるのでしょうか。

法人印鑑は電子化可能だが、セキュリティに留意する必要がある

そもそも印鑑は、確認したことや承認したことの証拠として押すものであり、契約締結や書面交付のために、必ずしも必要ではありません。はんこが押してあっても電子印鑑が押してあっても、法的には変わりがないため、法人印鑑は電子化可能といえます。

ただし、印影をスキャンして画像にしただけの電子印鑑など、高度なセキュリティで守られていない電子印鑑は、複製が容易なため、重要文書への使用は相応しくありません。法人印鑑の電子化を検討する際は、偽造リスクに留意することが重要です。

書面での交付が義務付けられている文書がある

「宅地建物の売買・交換・賃借契約前に交付する重要説明文書」など、一部の文書は、書面での交付が義務付けられています。書面での交付が義務付けられている文書を扱う場合、紙書類と実物の印鑑が必要です。代表者印を使用する契約では、電子契約や電子印鑑が有効か各法律を確認することが重要です。

高度なセキュリティで守られた電子印鑑の検討を

法人印鑑を電子化する際は、偽造リスクを低減するため、高度なセキュリティで守られた電子印鑑を検討するとよいでしょう。
シヤチハタの「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、氏名印だけでなく角印の電子化が可能な電子印鑑サービスです。電子印鑑には、現在使用している印鑑を使用できます。また、電子印鑑には、押印者が本人であることを証明する情報を付与できるため、偽造リスクの低減にも繋がります。

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登記に必要な書類とは

それでは、法人印鑑を用意し、実際に法人登記を行う際には、どのような書類が必要になるのでしょうか。法人登記には、登記申請書が必要になります。登記申請書を提出するにあたり、添付が必要な書類がいくつかあります。必要な書類は法人の種類によって異なるので、本記事では代表的な書類についてご説明します。

登記申請書

登記申請書は、会社の設立時や、土地や建物を購入する際などに作成する重要書類の一つです。商号や本店の所在地などの基本的な事項を記載しています。書式が定められており、記載例とともに法務局のホームページで確認することができます。

参考:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki2.html

定款

設立する法人の根本規則を定めた書類で、一般的に会社の憲法と例えられます。会社法27条によって以下の5項目は、絶対的記載事項として定款に必ず記載しなければならない事項と定められています。

一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五  発起人の氏名又は名称及び住所

絶対的記載事項の他に、決定した場合に記載が必要となる相対的記載事項と、記載するかどうかは自由の任意的記載事項があります。

参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086

発起人の決定書

本店の所在地が決定したことを証明するための書類です。本店の所在地は定款の絶対的記載事項ですが、定款には番地まで記載しなくてもよいとされているため、定款に番地が記載されていない場合に必要となります。

取締役・監査役の就任承諾書

設立時の取締役、代表取締役、監査役が就任を承諾したことを証明する書類です。取締役が複数名いる場合、代表取締役になる人は、取締役と代表取締役の両方の就任承諾書が必要となります。

取締役の印鑑証明書

文字通り取締役の印鑑証明書になりますが、取締役会の設置有無によって、必要な枚数が異なります。取締役会を設置する会社の場合は、代表取締役の証明書のみ、取締役会を設置しない会社の場合は、取締役全員の証明書が必要になります。

資本金の払込証明書

資本金を払い込んだことを証明する書類です。払い込みの証明のため、通帳のコピーが必要になります。通帳の表紙・口座番号が記載されている表紙の裏・入金が記帳されたページの3点をコピーして証明書に添付します。

印鑑届出書

代表者印を法務局に登録するための書類です。登記申請書はもちろん、登記申請書に添付をする払込証明書などにも使用するため、他の書類に先んじて用意しておくとよいでしょう。

▼印鑑届出書について詳しく知りたい方はこちら

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(表2)法人登記に必要な書類 まとめ

書類種別 用途
登記申請書 法人名や所在地などの基本的な事項を記載する書類
定款 法人の根本規則を記載する書類
発起人の決定書 定款に所在地の番地が記載されていない場合に提出する書類。所在地が決定したことを証明する
取締役・監査役の就任承諾書 設立時の取締役、代表取締役、監査役が就任を承諾したことを証明する書類
取締役の印鑑証明書 取締役の印鑑証明書
資本金の払込証明書 資本金を払い込んだことを証明する書類
印鑑届出書 代表者印を法務局に登録するための書類

代表者印の登録方法

代表者印は、法務局に登録する必要があります。法務局に代表者印を登録することにより、代表者印の所有者と真贋を証明できるようになり、法人口座の開設や資金の借入れなどが可能になります。代表者印は、法人登記の際に印鑑届出書を提出することによって登録できます。法人登記の前に代表者印を登録したい場合は、本店の所在場所を管轄する法務局に印鑑届出書を提出することでも登録が可能です。
印鑑届出書は、代表者印を変更したときはもちろん、代表者変更や、現在の法務局の管轄外に本店移転を行ったときには再提出が必要です。

印鑑登録証明書の発行方法

印鑑登録証明書は、代表者印の所有者と真贋を証明する書類のことで、法人口座を開設するときや資金を借り入れするときなどに必要な場合があります。印鑑証明書を受け取るためには、「印鑑カード」が必要です。印鑑カードがないと、印鑑証明書の交付を受けることはできないため、印鑑登録の際には、印鑑カードの発行申請も行うと良いでしょう。

(表3)印鑑登録証明書の発行方法

・本店の所在場所を管轄する法務局にて、印鑑カードの交付申請を行う
・印鑑カードを使用し、印鑑証明書の交付を受ける
(商業・法人登記情報交換システムを導入している法務局であれば、どこでも印鑑カードにて印鑑登録証明書の交付を受けることが可能になる)

参考:http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/kaisyahou-qanda.html#03

紙書類の代わりに必要になる電子印鑑や電子署名

2015年施行のe-文書法や2019年成立のデジタルファースト法案など、国として電子化を進めるために様々な法案を施行・改正しています。登記申請書とその添付書類についても、一部はオンラインでも申請ができるようになっています。さらに新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務や外出の自粛が続いた結果、紙書類への押印を減らしていこうとする動きも見られます。紙書類への押印の代わりに必要となってくるのが、電子印鑑や電子署名です。

法人登記もオンライン申請に対応

電子証明書を発行する機関は規定されているものの、法人登記もオンライン申請に対応しています。特に一人株式会社又は一人合同会社の場合は、公的個人認証サービス電子証明書を取得すれば、法務局に足を運ぶことなく、完全オンラインで申請することができます。

参考:
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00117.html

電子署名は電子文書の原本性を証明可能

電子署名は、電子文書に付与するため、電子文書が原本であることや、改ざんされていないことを証明することができます。前章でもご紹介したシヤチハタの「Shachihata Cloud」のオプションでは、電子文書に電子印鑑を押すだけでなく、電子署名(公開鍵暗号方式)を付与し、電子文書の原本性を証明することが可能です。また、オプションでタイムスタンプも付与可能なため、ある時刻に電子文書が存在していたことと、それ以降に電子文書が改ざんされていないことを証明することができます。

▶︎Shachihata Cloudの詳細はこちら

世の中の流れに乗り遅れず、先手を打っていくことが重要

国による電子化推進に加え、新型コロナウイルス感染症の影響でいままでよりも速いスピードで、業務の電子化に関する状況は動いています。この流れに取り残されることなく、常に先手を打って対応していくことで、どのような状況下においても事業を継続させることができるようになるでしょう。また、企業としてはスピード感を持ちつつも、常にセキュリティが担保されているかは確認したいものです。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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