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コラム

会社設立に必要な印鑑届出書とは?法的義務や登録方法

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 システム開発部 開発4課課長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

本記事では、印鑑届出書の基本的な書き方と注意点、届出の根拠となる法律についてご説明します。
現在、印鑑届出書は会社を設立する際に届出が必要であると法律で定められています。しかし、電子化を推進しようとする動きの中で印鑑届出書の必要性は議論されており、デジタルファースト法案では当初、印鑑届出書を不要とするような内容も盛り込まれていました。電子化に向けて、今後も法律やルールが変わる可能性があります。

印鑑届出書とは

印鑑届出書は、会社の設立登記を行う際の重要書類のひとつで、代表者印を法務局に登録するために必要となります。
代表者印とは、言い換えると会社の実印のような役割で、会社の代表者印を印鑑登録すると、この印鑑が会社固有の印鑑であることが証明できるようになります。代表者印は、企業買収や代表取締役の変更など重要なシーンで使用されるため、印鑑証明ができることで、会社の安全な運営に役立ちます。

印鑑届出書の書き方

印鑑届書の申請書は法務局のサイトからダウンロードが可能です。同ページ内に記載例も掲載されているので、参考にするとよいでしょう。


参考:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html

代表取締役が複数人いる場合は、人数分の代表者印の届出をすること、いずれかの代表者だけが代表者印の登録をすること、どちらも可能です。複数人の代表印を登録する場合は、別の印鑑を用意する必要があるので、注意しましょう。

印鑑届出書を用意する際の注意点

代表者印の用意について

代表者印は、企業買収や代表取締役の変更など重要なシーンで利用されるため、セキュリティの観点から、日常使われるような銀行印や角印などとは別のものを用意します。

代表者印のサイズについて

代表者印のサイズは法律で下記のように、1辺が1cmから3cmの正方形に収まるもの、という指定があります。

「印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。」

それ以外は特に細かい規定があるわけではありませんが、商業登記規則第9条4項で「印鑑は、照合に適するものでなければならない。」という記載があるので、印鑑が欠けていたり印影がはっきりしていなかったりすると、照合に適さないと見なされて、受理してもらえないことがあります。


引用:商業登記規則第9条3項、商業登記規則第9条4項
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=339M50000010023_20200319_502M60000010006&openerCode=1

印鑑(実印)の届出に関する法的義務

印鑑を届け出ることで、印鑑証明ができるなどのメリットがあることがわかりました。次に、なぜ印鑑を届け出る必要があるのか、その根拠となる法律についてご説明します。

商業登記法の記載内容

届出手続きの根拠は、商業登記法や商業登記規則に記載があります。

「登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。」

引用:商業登記法第20条第1項
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=338AC0000000125

登記の申請書とは、会社の設立や役員変更など、会社にとって重大な申請を行う書類です。この申請書には押印が必要であり、その押印には印鑑届出書によって法務局に登録された印鑑を使用することが求められます。
この法律によって、会社の設立のために代表者が代表者印を用意し、印鑑届出書を提出することが義務付けられているのです。

法人と個人の場合での印鑑の届出・登録の違い

ここまでは法人の場合についてご説明してきましたが、個人の場合はどうでしょうか。実は、法人と個人では印鑑届出書の届出先も、根拠となる法律も異なります。

法人は、法律にもとづき印鑑の届出が義務付けられています。届出先は、法人の本店所在地にある法務局になります。

一方、個人の印鑑届出は、届出を受ける各自治体が定める「印鑑条例」を根拠としており、法人と違って法律で届出を義務付けられているわけではありません。各自治体の条例を根拠とすることからもわかる通り、届出先も法務局ではなく各自治体になります。

各自治体の条例の内容は、昭和49年2月1日に各都道府県総務部長宛に通知された「印鑑の登録及び証明に関する事務について」に示されている事項に準拠しています。しかし運用は各自治体が行っているため、基本的な条件は統一されているものの、登録できる印鑑などルールに若干の違いがあります。

個人の印鑑届出は義務ではありません。しかし不動産売買や遺産相続など、本人確認が重要な場合は実印を使用する方が安全と考えられます。届け出る際は、各自治体の印鑑条例を確認して、適切な印鑑を用意しましょう。正式な印鑑になるので、少し値の張るものを用意するのもよいかもしれません。

印鑑の電子化に伴い印鑑届出書が不要になる?

2019年5月にデジタルファースト法案が成立しました。法案名の通り、日本のデジタル化を進めるための法案で、さまざまな申請や認証をオンライン上で可能にする内容になっています。この流れを受けて、会社の設立にあたり必須だった印鑑届出書の届出も任意化する方向へ進んでいます。

働き方改革やペーパーレス化、さらに昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により、仕事のデジタル化が加速しています。この機運に乗って、できるところからデジタル化を進めて、業務を効率化していくことが望ましいといえるでしょう。

シヤチハタの「パソコン決裁Cloud」は、クラウドやパソコン上で電子印鑑を捺印する電子決裁のシステムです。手軽に導入できるため、印鑑を押すためだけに出社する、というような無駄はすぐに省くことができます。


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「ドキュサイン」は、電子署名を用いて契約書締結までの一連の作業がすべてオンライン上で完結できるシステムで、署名が主流の海外でも利用されています。海外とのやり取りもスピーディーに行えるだけではなく、郵送などのコストも削減できるメリットもあります。


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今後の変更に注意。電子化に備えて準備を

本記事では、印鑑届出書の現状と、今後予想される動きについて整理しました。
日本では印鑑の文化が根付いているため、印鑑そのものがなくなる、ということは考えにくいです。しかし、仕事という側面だけみると新型コロナウイルス感染症により提言され始めた新しい生活様式や、働き方改革などに合わせて紙書類でのやり取りは少なくなっていくと想定されます。

こうした世間の動きと合わせて、デジタルファースト法案が2019年に成立したことからも、意識的に今後ますます電子化していこうという考えが読み取れます。どのような状況にも対応できるように用意をしておくことが、事業の安定的な継続につながるのではないでしょうか。