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取締役会議事録を電子化する方法は?条件や注意点を紹介

公開日: 更新日:

この記事でわかること

  • 取締役会議事録とは何か
  • 取締役会議事録を電子化できる法律上の条件
  • 電子署名の種類(当事者型・立会人型)の違い
  • 取締役会議事録を電子化するメリットと注意点
  • タイムスタンプの必要性と役割
  • 電子署名サービスを使った効率的な電子化の方法

取締役会議事録に関してはいくつかの細かい規定が定められており、その作成にかかる業務上の負担が非常に大きくなるケースもあります。しかし、コロナ禍でリモートワークが広がるなど、取締役会議事録の電子化を求める声が強くなったことを受け、その要件である電子署名に関する運用規定も緩和されました。本記事では、取締役会議事録の電子化における電子署名の必要性とそのメリット、および注意点に焦点を当てます。

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取締役会議事録とは何か

取締役会は企業の取締役が集まり、登記申請や融資の申請時など経営に関する意思決定を行う会議で、3カ月に一度の開催が会社法で求められています。取締役会議事録は取締役会の議事事項をまとめたもので、取締役会が開かれるたびに作成しなければなりません。

取締役会議事録には、会議に参加した取締役と監査役の記名押印が必要となります。

取締役会議事録の電子化の意義

取締役会議事録作成にあたり、手間がかかっていたのが取締役や監査役の記名押印のために印鑑を集める作業です。コロナ禍でリモートワークが広がり、取締役会もオンライン開催する企業が増えました。ただ、取締役会そのものはオンライン開催可能でも、取締役会議事録には取締役や監査役から押印してもらわなくてはなりませんでした。

そのためにあらかじめ参加者の印鑑を集めておき、本人の承諾を受けた上で代理の人間が押印する、あるいは参加者の元に議事録を持参して押印してもらう、といった対応が多くの企業で取られてきました。取締役の人数が多く、国内外に拠点を持っているような大企業の場合、印鑑を集めるだけでも大変な負荷となります。こうした非効率な状況を改善するために、取締役会議事録の電子化を求める声が強くなっていったのです。

会社法上が取締役会議事録を電子化できる条件

取締役会議事録は、会社法上、一定の要件を満たすことで電子化が認められています。まず、会社法第369条第4項では、取締役会議事録を電磁的記録で作成する場合について、次のように定めています。

(取締役会の決議)

第三百六十九条 4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

つまり、議事録を電子ファイルで作成する際には、取締役や監査役の「署名または記名押印」に代わる適切な措置を講じる必要があるとされています。

この「署名又は記名押印に代わる措置」については、さらに会社法施行規則第225条第1項で、具体的に「電子署名」であることが求められています。

(電子署名)

第二百二十五条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。

六 法第三百六十九条第四項(法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)

これにより、取締役会議事録を電子化するには、対象の電磁的記録に対して有効な「電子署名」が付与されていることが必要であるとわかります。

さらに、電子署名には単なるデータ上の署名ではなく、一定の要件が求められます。会社法施行規則第225条第2項では、電子署名が満たすべき要件を以下のように定めています。

(電子署名)

第二百二十五条 2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

このように、電子署名には「本人が作成したものであることを示す機能」と「改ざん検知機能」が備わっていなければなりません。
 これらの条件を満たした電子署名が付与されていれば、紙での記名押印と同様に、取締役会議事録を正式なものとして電子保存することが可能となります。
参考:e-Gov 法令検索 会社法(平成十七年法律第八十六号)

電子署名の付与の種類

電子署名を付与する方法には、大きく分けて2つのタイプがあります。利用者自身が電子証明書を発行するか、それとも事業者に委託するかによって分類され、それぞれに特徴があります。

1.当事者型

当事者型とは、利用者自身が電子証明書を取得・管理し、その証明書を使って電子署名を付与する方法です。自らの証明書を使うため、署名者の本人性や署名の信頼性を高く保てるのが特長です。ただし、電子証明書の取得や運用には一定の手間やコストがかかるため、導入・管理には慎重な対応が必要です。

2.立会人型

一方、立会人型とは、署名を行う際に第三者の事業者が電子証明書の発行・管理を担い、代理で電子署名を付与する方法です。利用者側は煩雑な証明書管理を行う必要がなく、手軽に電子署名を利用できるメリットがあります。現在、世界・国内ともにシェアが高い多くの電子署名サービスは、この立会人型に該当します。ただし、本人性の証明方法が当事者型とは異なるため、利用にあたっては法的要件を満たしているか、慎重に確認する必要があります。

取締役会議事録の電子化の経緯

事業者が提供する電子署名が取締役会議事録に利用できなかった理由

実は以前から、取締役会議事録を電子文書にする場合、出席した取締役と監査役の署名または記名捺印の代わりに、電子署名の使用が認められていました。しかし、会社法に定められている以下の要件がネックとなっていました。

「当該情報が当該措置をおこなった者の作成に係るものであることを示すためのものであること」

「当該情報について改変がおこなわれていないかどうかを確認することができるものであること」

つまり、「本人性」と「非改ざん性」が十分でなければ、電子署名として認められないという事です。

電子署名サービスには、大きく分けて利用者自身が電子証明書を発行・付与する当事者型と、事業者が代理で発行・付与する立会人型があります。事業者が提供するクラウド型電子署名サービスのような立会人型のサービスは、本人性の要件を満たさないため、使用が認められていなかったのです。

取締役会議事録の電子署名に関する法務省の新見解

こうした状況を変えたのが、2020年に法務省が発表した電子署名に関する新たな見解です。同省は、事業者がクラウドで提供するような立会人型の電子署名であっても、取締役会議事録への有効性を認める方針を示したのです。

新たな見解が示されたことで、多くの企業において事業者が提供しているクラウド型のような電子署名サービスを取締役会議事録の電子化向けに利用しやすくなりました。これまで参加者の署名や印鑑を集めるために割いていた労力と時間を削減し、業務効率化が図れるようになったのです。

取締役会議事録を電子化する際の注意点

当事者型と同じく立会人型の電子署名も認められたことで、多くの企業で取締役会議事録の電子化が進めやすくなりましたが、導入に際しては主に以下の点に注意しておくと良いでしょう。

セキュリティ面や法的要件の確認

取締役会議事録の電子化において、電子署名は利用者にとって使いやすく、アクセスしやすいものであるべきです。しかし、利便性を確保する一方で、セキュリティ面や法的要件にも注意しておく必要があります。

定款の押印規定や社内規程のチェック

取締役会議事録を電子化する際、定款に押印規定を設けている場合は、見直しておく必要があります。取締役会議事録に記名押印が必要といった規定がある場合は、電子署名を認めるよう変更しておくと良いでしょう。印章管理規程がある場合は、その内容も確認しておきましょう。

オンライン登記申請には会社の商業登記電子証明書の取得が必要

取締役会議事録を登記申請に使用する際には、登記時に商業登記電子証明書の取得が必要です。電子証明書は、行政手続きを行う際に申請者の本人確認や手続きの正確性や真正性を担保するために使用されます。たとえば、本店所在地の変更などに際してオンライン登記申請する場合、法務局が発行する商業登記電子証明書と取締役全員の電子署名が必要となります。

取締役会議事録の電子化にタイムスタンプは必要か?

電子文書が作られた日付と時刻を記録するタイムスタンプを使用することにより、電子ファイルが存在した日時や、その日時以降に電子ファイルが改ざんされていないことを証明できます。

取締役会議事録の電子化に際しては、署名又は記名押印に代わる措置として電子署名が以前より認められているため、タイムスタンプは必ずしも必要ではありません。ただ、電子署名とタイムスタンプを組み合わせて使うことで、セキュリティがより強化できるというメリットがあります。電子ファイルの完全性を強固にしたい場合は、電子署名とタイムスタンプを併用することをお勧めします。

まとめ―取締役会議事録の電子化には電子署名サービスが便利

取締役会議事録を電子化する際に必要な電子署名の付与には、電子署名サービスの利用が便利です。業務効率化とコスト削減を考えている企業経営者や経理担当者の方は、ぜひ検討されると良いでしょう。 Shachihata Cloudは電子署名機能にも対応しており、取締役会議事録にももちろん使用可能です。無料トライアル期間も設けておりますので、お気軽にご相談ください。

WRITER
田中 空樹
デジタル認証事業部コンテンツストラテジスト
2022年シヤチハタ株式会社入社。 入社1年目でShachihata Cloudの製品サイトリニューアルに携わる。 現在もコンテンツマーケティングなどShachihata Cloudの良さを広めるために奮闘中。
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