Shachihata Cloud DXコラム 働き方改革におけるテレワーク(リモートワーク)の位置付けと導入によるメリット・デメリット
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働き方改革におけるテレワーク(リモートワーク)の位置付けと導入によるメリット・デメリット

働き方改革の一環で、企業でテレワーク(リモートワーク)を導入する動きが加速しています。また新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、テレワークに踏み切る企業がさらに増加しています。本記事ではテレワークを行うことによるメリット・デメリットと、テレワーク導入時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

政府の推進する働き方改革とは

まずは政府がなぜ働き方改革を推進しているのか、背景と目的についてお伝えします。働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自ら選択できるようにすることを目的としている取り組みです。

日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少という、深刻な社会課題に直面しています。そのため現実の職場では、長時間労働が行われていたり、有給休暇が取得できなかったりと、是正すべき問題が多数存在しています。過労死や心の病を抱える恐れがある一方で、出産・育児後の女性においては、職場環境が原因でなかなか復職できないという状況に直面しています。

生産年齢人口の減少という社会課題を解決するためには、働く人々の生産性を向上させ、働きたい人々の就業機会を拡大し、それぞれが能力を存分に発揮できる環境を作ることが必要不可欠です。そこで働き方改革と称し、政府主導で労働環境の改善が進められています。

働き方改革は大きく3つの柱で構成されています。テレワークの導入が関係してくるのは次の(1)及び(2)です。

(表1)働き方改革の3本柱

(1)年次有給休暇の確実な取得

雇用主は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上のすべての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要がある。

(2)時間外労働の上限規制

時間外労働の上限を、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。

(3)同一労働同一賃金

正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消を目指すもの。

参考:厚生労働省「働き方改革特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/index.html

働き方改革におけるテレワークの必要性

働き方改革の(1)年次有給休暇の確実な取得を実現し、(2)時間外労働の上限規制を厳守するためには、これまでの長時間労働を是正し、職場の生産性を向上させなければなりません。そこで期待されるのがテレワークの活用です。

テレワークとは

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を指します。「tel(離れて)」と「work(働く)」を組み合わせた造語で、本拠地となる事業所から離れた場所で、インターネット等の仕組みを用いて業務に従事することをいいます。

テレワークには自宅で仕事をする「在宅勤務」のパターン、主に営業職の方などが移動中に携帯端末を用いて働く「モバイルワーク」のパターン、在籍する事業所以外の施設で働く「サテライトオフィス勤務」のパターンがあります。よくテレワークと在宅勤務が同様の意味で用いられますが、在宅勤務はテレワークの一種です。

参考:厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト テレワークとは」
https://telework.mhlw.go.jp/telework/about/

テレワーク(リモートワーク)について詳しく知りたい方はこちら
リモートワークの現状について詳しく知りたい方はこちら

テレワークのメリット

次に、テレワークを行うことで企業にもたらされる効果やメリットを5つご紹介します。

1. 生産性の向上が期待できる

まずは従業員及び職場全体のあらゆる面において効率化できることが挙げられます。従業員は必ずしもオフィスに出勤する必要がなくなるため、通勤時間が節約でき、移動時間や待ち時間を別の業務に充てることができます。

2. コスト削減に繋がる

オフィス内に常駐する人数が減ることによって、交通費や光熱費も抑えられます。またフリーアドレス制(固定の席を決めずに、自由に席を選べる制度)を同時に導入すれば、オフィスの備品やスペースそのものを削減できます。家賃や固定資産税もカットでき、営業拠点の廃止や統合が検討できるようになるかもしれません。ペーパーレス化も促進され、コピー用紙代が削減できます。

長い目で見ると、働きやすさが改善されることで人材の流出を防ぐことができるため、新しい人材の採用コストや育成コストも抑えられます。

(表2)テレワーク導入で削減可能なコストの例

・従業員の交通費

・社内の光熱費

・机や椅子などの設備費

・家賃や固定資産税

・コピー用紙代の削減

・人材の採用・育成コスト

3. 従業員が働き方を選択できる

子育て、親の介護などにより自宅にいる必要性がある方が、必要に応じて在宅勤務等を選択できれば、仕事を辞めたり休職したりせずに働けるようになります。また、集中して行わなければならない業務が発生した場合に、静かな環境で働ける選択肢があれば、効率良く業務を遂行できます。個人が望むスタイルに合わせて柔軟な働き方を選べるようになれば、従業員にとってのメリットは大きいといえます。

4. 優秀な人材を採用する機会が広がる

テレワークは人材の採用面においてもメリットがあります。地域を限定しないことで求人の対象が広がり、優秀な人材を確保しやすくなり、勤務地の都合による辞退を回避できます。通勤の都合で退職せざるを得なかった方も、テレワークで働ける可能性が広がり、人材確保に繋がるでしょう。

5. 緊急時・災害時に迅速な対応が取れる

新型コロナウイルス感染拡大の影響で緊急事態宣言が発令され、在宅勤務が強く推奨されるようになりました。このような緊急時や地震等が発生した際には、出社させることで従業員を危険に晒しかねません。しかしテレワークが導入されていれば、従業員の安否確認や業務指示を速やかに行い、在宅で業務を行うことができます。

生産性向上について詳しく知りたい方はこちら

テレワークのデメリット

続いて、テレワーク導入に伴うデメリットを3つご紹介します。

1. 情報漏洩(セキュリティ)リスクが高まる

テレワークを実施する環境においては、セキュリティ対策がしっかりと行われている職場と比較すると、情報漏洩リスクに晒されやすいといえます。会社から貸与する端末等を紛失する可能性もゼロではないため、情報漏洩リスクを技術的に守る仕組み作りと合わせて、セキュリティに対する従業員の高い意識付けが必須といえます。

2. 勤怠管理が煩雑になる

テレワークをする従業員の出退勤の把握はもちろん、離席や休憩時間の把握をどうするかは予め決めておく必要があります。マネジメントが行き届かない場合、実際には働いていない従業員が出てくる可能性もあり、そうなった場合に生産性はむしろ低下します。

3. コミュニケーションが減少する

テレワークでは対面によるコミュニケーションができなくなるため、情報連携不足に陥りやすい環境となります。複数名で進行する業務があれば、進捗管理や役割分担などがしにくくなり、チームワークに支障をきたす可能性があります。

テレワークのマネジメントについて詳しく知りたい方はこちら

テレワーク導入時の注意点

現場の混乱を招かないためにも、テレワークを始めるにあたっては事前準備が必要です。前述のデメリットを補うために、テレワーク導入時には以下のような点に注意しましょう。

1. 徹底したセキュリティ対策を施す

ウイルス対策ソフトをインストールする他、パスワード管理の厳格化、二段階認証の設定、通信の暗号化、端末紛失時にはアカウントロックがかかる設定など、あらゆる技術的なセキュリティ対策を施しましょう。

また技術的な対策のみならず、適切な従業員教育を行い、人為的なセキュリティリスクも回避することが求められます。

2. 労働実態を可視化する仕組みを整備する

テレワークにおいては、従業員が職務を遂行できているかどうか可視化する必要があります。それは怠慢防止の観点だけでなく、生産性の高い業務を行っている従業員の能力を適切に評価する観点からも重要な対策となります。成果物や日報の提出を義務付けるなどの工夫が必要です。

3. コミュニケーションツールを導入する

従業員との対面でのコミュニケーションが取れなくなってしまうため、ビジネスチャットやWeb会議システムなど、コミュニケーションツールの導入は必須の対応といえるでしょう。

テレワークを活用して生産性向上へ

テレワークにはメリット・デメリット両方の側面がありますが、上手く活用することで職場の生産性を向上させ、また優秀な人材確保に繋がります。しかしあらゆる業務を遠隔で行うには本記事で紹介したような注意点を踏まえた上で、必要なツールの導入やルール整備が不可欠です。

テレワークを円滑に行うために有効活用できるツールとして、シヤチハタの提供する電子決裁サービス「 Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」が挙げられます。書類への捺印・回覧をクラウド上で行える便利なサービスで、1ユーザーあたり月額110円(税込)でご利用いただけます。無料トライアルもございますので、ぜひご利用ください。

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WRITER
木山 貴雄
シヤチハタ株式会社 システム開発部
大手PCメーカーのサポート業務や大手自動車メーカーでの社内SEを経験後、2005年シヤチハタに入社。シヤチハタフォントの開発・Web受注システムの開発を経て現在はソフトウェア開発部門に所属する。
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