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発注書の書き方と注意点を分かりやすく解説

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 システム開発部 開発4課課長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

本記事では、発注書の書き方を分かりやすくご説明します。外部の企業に業務を依頼する際に発行する発注書(注文書)ですが、法的な発行義務や記載内容の決まりはあるのでしょうか。また、発注書には押印や印紙は必要なのでしょうか。
発行時の注意点と併せて確認しましょう。

発注書とは

発注書とは、正式に取引の依頼をする際に、依頼をする側である発注者から、依頼を受ける側の受注者に対して発行される書類です。一般的に、受注者から見積書を受領した後に発行します。

発注書の重要性

発注書を取り交わす意義としては、受発注者双方の認識を揃えることにあります。発注書を取り交わさないと、受注者側が想定していた業務の範囲を超える要求が後から発生した際や、業務を終えた後に方針が変わった際などに、支払い拒否といったトラブルに発展するリスクがあります。後々のトラブルを避けるために、発注書は重要な役割を果たします。

また、下請法(下請代金支払遅延等防止法)第3条では、取引を公正に保つために、次のような定めがあります。

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

引用:公正取引委員会 下請代金支払遅延等防止法
https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html

このことからも発注書を作成する重要性は高いといえるでしょう。

発注書を発行する流れ

商品・サービスの購入検討から納品・支払いに至るまでの流れは次の通りで、それぞれに必要とされる書類があります。発注書を発行するのは、数量や単価の記載された見積書の内容に合意した段階で、発注者から受注者へと提示します。

(表1)商取引と書類授受の流れ

取引の工程 発注者(買う人)の行動 受注者(売る人)の行動
(1)検討 見積依頼 見積書の作成・交付
(2)発注 発注書の作成・交付
(3)受注 注文請書の作成・交付
(4)納品 納品対応
納品書の作成・交付
(5)受領 受領書などの作成・交付
(6)検収 検収書の作成・交付
(7)請求 請求書の作成・交付
(8) 支払い 支払い対応 領収書の作成・交付

なお、初めての取引相手となる場合には、事前に秘密保持契約(NDA)や業務委託契約など、取引の基本契約を先に締結します。

発注書と注文書の違い

発注書と同義で、注文書という呼称もよく使われます。注文書については「注文」できるものという意味で、1個、2個と数えられる有形商材に使われることがあります。これに対し、発注書はシステム構築やデザインなど、数の数えられない無形商材で使われることがありますが、両者に明確な使い分けはありません。

国税庁が定める記載必須項目

国税庁では、発注書に必ず記載する項目を定めています。以下の5項目は最低限発注書に盛り込みましょう。

(表2)発注書の記載必須項目

1. 書類作成者の氏名または名称
2. 取引年月日
3. 取引内容
4. 税込の取引金額
5. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

注1:小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が交付する書類については、5の記載を省略することができます。
注2:仕入れ先から交付された請求書等に、「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」の記載がないときは、これらの項目に限って、交付を受けた事業者自らが、その取引の事実に基づき追記することができます。

引用:国税庁 請求書等の記載事項や発行のしかた
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm

発注書の書き方

発注書には、一般的には見積書と同様の内容を記載します。見積書と異なる内容になる場合は、受注者と十分に確認し同意したことを記録に残しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。また、双方の認識にずれがないか、という観点で納期や摘要を記載するようにするとよいでしょう。

ここからは発注書の具体的な書き方をご説明していきます。

記載内容の解説

①文書のタイトル

書面の1番上に、文書のタイトルとして「発注書」(または注文書)と記載します。
何の書類かが分かりやすいように、他の文字より大きめにします。

②受注者名

発注を受ける受注者の企業名、屋号を記載します。
取引先が個人の場合は「様」会社の場合は「御中」と記載します。

③管理番号・発注日

発注書の発行日を年から記載します。
管理番号は管理をしやすくするために記載します。同じ受注者ごとや同一契約の関連書類で通し番号を振る、見積書と同一にするなど、社内で発番の規則を決めておくとよいでしょう。

④発注者名

発注元の企業名、住所、電話番号、担当者名などを記載します。

⑤納期・支払条件・有効期限

納期・支払条件・発注書の有効期限を記載します。
支払条件とは、請求締め日と支払い日のことです。月末締めの翌月末払いなど、企業によって異なるため明記しておきます。

⑥合計金額

実際に受注者に支払われる金額を税込で記載します。
認識齟齬を防ぐためにも、税抜金額なのか税込の金額なのかは、明記するとよいでしょう。

⑦摘要(品名)

摘要欄には、発注の内容を記載します。納品後の請求書の確認などにも使用する場合があるので、品名や数量、単価も端的に記載しましょう。

⑧小計・消費税

小計欄には税抜の合計金額を、消費税欄には小計に対する消費税額を記載します。
軽減税率については8%と10%が区別できる形式で記載しましょう。消費税は変わることもあるので、分けて記載しておくと後から振り返る際にも分かりやすくなります。

⑨備考

振込手数料や支払い方法など、発注内容へ特筆すべき事項がある場合は備考欄に記載します。納品場所や納期などを明記すると良いでしょう。

発注書に印鑑は必要か?

続いて、発注書への押印の必要性についてご説明します。

印鑑は必須ではない

発注書に印鑑を押印する必要があるのか、ということも気になるポイントの1つでしょう。印鑑の押印は必須ではありません。しかし、押印するメリットが多いため、特に企業の場合は押印することをおすすめします。

印鑑があることによるメリット

注文書に印鑑や社判がなくても、注文書の効力は変わりません。しかし、発注書は取引内容や金額・納期など、双方にとって重要な事項が多く含まれています。そのため、押印をして正式な書類として発行したほうが、一般的に立場の弱いとされる受注者が安心して取引をすすめることができます。また、発注する側の企業としても、担当者の一存で発行するよりは、企業としてきちんとした確認体制を整えておく方が安全な取引ができるでしょう。

印鑑を押す位置に明確な決まりがあるわけではありませんが、一般的には発注する側の社名や住所の右横に押印します。 過去に同じ種類の書類が発行されている場合は、それに則って押印するとよいでしょう。

▼捺印・押印について詳しく知りたい方はこちら

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発注書で気になるポイント 印紙の要否や保管期限など

発注書の基本的な書き方に続き、誰が作成すればよいのか、印紙は必要なのか、など発注書の作成時に気になるポイントをご説明します。

印紙は不要

発注書には基本的に印紙の貼り付け不要です。注文請書のほうが最終的な契約書に該当するため、こちらに印紙を貼ります。ただし、発注書のみで契約が成立した場合は、発注書でも印紙が必要になることもあります。

注文請書には印紙が必要な場合も

注文請書は取引の内容・金額によっては課税文書に該当するため、印紙が必要とされます。たとえば請負に関する1万円以上100万円以下の取引には、200円の印紙税が課されます。

参考:国税庁 課税文書と税額一覧表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

なお、紙書類ではなく電子契約の場合には、印紙の貼り付けは不要となり、印紙税を節税できます。

▼電子契約の導入で印紙税を節税可能かについて詳しく知りたい方はこちら

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発注書はどちらが作成してもOK

下請法に該当しない場合は、発注者と受注者のどちらが作成しても問題ありません。書類の名称からも発注する側が用意するのが一般的ではありますが、発注者が個人の場合は、発注書の作成に慣れていない可能性もあります。受注側でひな形を用意しておくとスムーズに取引が進む場合もあるので、企業としては発注書のひな形を準備しておくとよいでしょう。また、あらかじめ記載すべき項目が網羅されたひな形を用意しておいた方が、記載内容の抜け漏れが少なくなるので、ミスを未然に防ぐことにも有効です。

一方、下請法に該当する場合には、発注者が発注書を交付する義務があります。下請法の対象となる取引かどうかは、取引の内容と事業者の資本金規模で定義されます。

(1)物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合

発注者の資本金が3億円超で、受注者の資本金が3億円以下(個人を含む)の場合、もしくは発注者の資本金が1,000万円超3億円以下で受注者の資本金が1,000万円以下(個人を含む)の場合は下請法に該当します。

(2)情報成果物作成・役務提供委託を行う場合

発注者の資本金が5,000万円超で、受注者の資本金が5,000万円以下(個人を含む)の場合、もしくは発注者の資本金が1,000万円超5,000万円以下で受注者の資本金が1,000万円以下(個人を含む)の場合は下請法に該当します。

*(1)の情報成果物・役務提供委託を除く

参考:公正取引委員会 下請法の概要
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html

保管期限は10年間

発注書には保管期限が定められており、法人の場合は税法上7年間とされています。会社法上では10年間の保管義務があるため、少なくとも10年間は書類を保管しておく管理体制を敷きましょう。なお起算日は注文日ではなくその年度の確定申告の提出期限の翌日からとなります。

発注書の発行時の注意点

発注書の基本的な書き方とポイントに続き、発注書を安全に発行するために、確認すべき箇所をご説明します。

見積書と内容が合っているか

発注書を作成したら、受注者から送られてきている見積書の内容と相違がないか確認をしましょう。もし見積書と異なる内容の場合、どちらが正しい内容なのかが分からなくなり、トラブルの原因になる可能性があります。内容を変えたい場合は、発行の前に受注者と内容の確認をしておきましょう。

金額や納期に間違いはないか

金額と納期は、特に慎重に確認すべき項目です。この項目が誤っていた場合、自社の業務進行や売上など、経営に影響する可能性もあります。また、自社内への影響だけではなく、受注者との信頼関係が悪化することも考えられるので、社内で十分に確認しましょう。

押印と合わせて社内決裁も

取引内容の詳細は契約書などで結んでいるものの、発注書は取引内容が端的に分かる重要な書類です。上記でもご説明した通り、ミスによっては経営に影響を及ぼすおそれもあるため、作成者だけではなく、複数人で確認するとよいでしょう。
確認後には社判や責任者の印鑑を押すことで、企業としてしっかりと確認した証拠になるため、書類としての信頼性も上がります。

安全かつスピーディーに決裁を

リモートワークが普及していくと、捺印をしてもらうのに時間がかかってしまう場合があります。
そんなときに役立つのが、電子決裁ツールです。シヤチハタの提供する「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」では、発注書や契約書などの一連のやり取りをすべてオンライン上で、ペーパーレスで完結することができます。

発注書や見積書などは社内で決まったフォーマットをお持ちの場合が多いかと思いますが、Shachihata CloudではExcelまたはWordファイルをテンプレートとしてアップロードして利用することができます。記入すべき項目を予め設定しておけるので、書き方が分からなくても安心です。

Excelのテンプレートの場合は、関数も使うことができるので、例えば見積書の場合は商品名と単価、数量を入力したら、合計金額や税込金額が自動計算されるような設定で活用することも可能です。作成時間の短縮が図れるだけでなく、フォーマットの統一化や計算ミスの防止にも役立つでしょう。

導入のためのシステム開発は不要ですぐにご利用いただけます。リモートワークが増えてきたこの機会にぜひお試しください。

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