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請求書に印鑑は必要?押印の仕方や電子印鑑の法的効力などを解説

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請求書を発行する際、印鑑が必要なのか、どの印鑑を押せばいいのか疑問に感じる方も多いかと思います。また、業務効率化を目的として、紙から電子印鑑への移行を検討している企業も増えてきていますが、そのような場合には電子印鑑の法的効力が気になることでしょう。そこで、本記事では、請求書への印鑑の必要性、請求書における電子印鑑の法的有効性、電子印鑑の作成方法についてご説明します。

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請求書に印鑑は必要なのか

結論から言ってしまうと、法律上、紙書類か電子文書かに関わらず、請求書に印鑑を押す必要はありません。印鑑を押さなくても、請求書は有効と見なされ、請求相手には支払い義務が発生します。しかし、請求書に印鑑を押さないことでいくつかの懸念点が生じます。

請求書の改ざんリスクがある

印鑑の押されていない請求書は、印鑑の押してある請求書と比べ、複製や改ざんがされやすい傾向があります。請求書における印鑑の役割は、不正発行のリスクを減少させ、請求書の信頼性を向上させることです。

また、刑法159条によると、印鑑が押されていない文書の偽造よりも、印鑑が押されている文書の偽造の方が厳しく罰せられます。請求書に社印を押した方が、請求書偽造の抑制に繋がるといえるでしょう。

(表1)刑法159条

有印私文書偽造罪 無印私文書偽造罪
3月以上5年以下の懲役 1年以下の懲役または10万円以下の罰金


参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045#679

受理してもらえないリスクがある

法的な必要性はないものの、請求書への押印は慣習として行っている企業がほとんどであり、押印しないことで心象が悪くなる可能性があります。また、改ざんリスク対策として押印を必須にしている企業もあります。押印がなくて受理されなかったということはあっても、押印があって受理されなかった、ということは起こりません。請求書には押印しておいた方がよいといえます。

請求書に押印する印鑑の種類

何か致し方ない事情がない限り、請求書には印鑑を押すことが望ましいですが、どの印鑑を使えばよいのでしょうか。

法人の場合

法人では主に、丸印・銀行印・角印の3つの印鑑が使用されます。丸印や銀行印を請求書に押印しても問題はありませんが、複製して悪用されるリスクや摩耗して印影が変わるリスクがあります。そのため、一般的に請求書には角印を押印することが多いです。

丸印(代表者印)

丸印は、法務局で印鑑登録をした、いわゆる実印にあたる印鑑です。形に指定はないですが、丸型の場合が多いので丸印と呼ばれることが多いです。会社の登記時に必要な印鑑で、その他にも株券の発行や不動産売買など重要な取引の際に使用されます。最も重要な印鑑になるので、複製のリスクを下げるために請求書など大量に発行する書類に押印するのは避けた方がよいでしょう。

銀行印

銀行印は、口座開設のための印鑑です。丸印と兼用することもできますが、口座開設の他にも手形・小切手の発行などに使用するため、悪用リスクを避けるために分けて用意することが望ましいです。また、銀行印も重要な取引に使用されるため、請求書への押印には使用しない方がよいです。

角印

角印は、いわゆる会社の認印にあたります。形の指定はないですが、角形であることが多いため、角印と呼ばれています。法務局や銀行などに届け出ている印鑑ではないため、幅広いシーンで利用できます。そのため、請求書に押印するのに最も適した印鑑といえるでしょう。

▼社判について詳しく知りたい方はこちら

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個人の場合    

個人事業主やフリーランスの場合は、丸印・銀行印・角印を必ずしも持っている必要はありません。丸印を例に挙げて考えてみると、個人事業主は法人ではないため、法務局に届け出る必要のある印鑑はありません。もちろん個人として実印や銀行印を持っていることはあるかもしれませんが、法人と同様の理由で、請求書への押印は避けた方がよいでしょう。請求書には、シヤチハタや三文判の押印で問題ありません。
しかし、個人事業主やフリーランスの場合も企業と同じく信用が大切です。信頼性を高めるためにプライベートの印鑑とは別に仕事用の印鑑や屋号の印鑑を用意しておくのもよいでしょう。

請求書への印鑑の押し方

請求書は各社によってフォーマットが違うため、どこに押印したらいいのか迷ってしまうことがあると思います。押印のポイントをご説明します。

社名と重ねて押印する    

まず、請求書に押印欄がある場合はそこに押印しましょう。
押印欄がない場合は、社名の右側に押印するのが一般的です。社名と押印がセットになっていることが見た目で分かりやすくなります。
ここで証拠能力を高めるためのポイントがあります。印鑑は、社名と重ねて押すと、請求書が複製しにくくなるので、証拠能力を高めることができます。社名の最後の文字が、社印の中心に来るように押すとバランスが良いといわれています。

印影がきれいに残るように押印する

請求書以外にも押印する際にいつも気をつけなくてはいけない話ですが、印影がきれいに残るように押印しましょう。かすれていたり欠けていたりする印影は見栄えも悪いだけではなく、本来の印影と違うことで証拠能力が低くなってしまう可能性があります。

訂正印は使用しない

請求書でミスがあった場合、訂正印は使用せず再発行することが望ましいでしょう。請求書はお金を請求するための書類なので、間違えがないことは当たり前です。信用の問題にも繋がってくるので、ミスがあった場合は改めて正しい内容で再発行しましょう。再発行する際は、タイトルに再発行とつけたり、備考欄に再発行の理由などを記載したりしておくと、二重請求の発生防止に役立ちます。
やむを得ず訂正印を使用する場合は、一般的な使用法通り、二重線を引いたうえで訂正印を押して修正をしましょう。

電子印鑑の法的有効性とセキュリティ

請求書の信頼性を向上させたい場合には、電子印鑑の導入が有効です。本章では電子印鑑の法的有効性とセキュリティについてご説明します。

電子印鑑とは

はじめに、電子印鑑の概要をご説明します。電子印鑑とは、パソコンやタブレットなどで使用できる印鑑のことです。電子印鑑を使用することで、紙に押印するように、WordやExcel、PDFなどの電子文書に印影を残すことが可能になります。電子印鑑は、印影を画像に変換しただけのものと、印影に使用者などの識別情報を含んでいるものがあります。

* 印影:ハンコを押した跡のこと

電子印鑑の法的有効性

続いて、電子印鑑の法的有効性についてご説明します。2005年に施行されたe-文書法により、請求書の電子化が認められ、電子印鑑は、認印と同等の法的効力を持つようになりました。つまり、電子印鑑で社印を押してある請求書は、社印を押してある紙の請求書と同等の法的有効性があるということです。

ただし、電子印鑑の社印も紙書類の社印も認印であるため、第三者によって「間違いなく本人が押した」と証明されたものではありません。押印したのが本人であることや、電子文書が改ざんされていないことへの証拠能力をさらに高めたい場合は、電子文書に電子署名や電子証明書などを付与する方法があります。
* 認印:市区町村の役所や役場に登録されていない印鑑のこと

電子印鑑のセキュリティ

電子印鑑のセキュリティは、電子印鑑の作成方法によって差があります。印影を画像に変換しただけの電子印鑑は、誰でも作成できるため、複製が容易です。一方、印影に識別情報を含んでいる電子印鑑は、作成した人や押印した人を明示するため、複製が困難です。
形式的に印鑑を押したい場合は印影を画像に変換しただけの電子印鑑でも良いですが、なりすましや不正利用を防止したい場合は、印影に識別情報を含んでいる電子印鑑が適しているといえます。

(表2)電子印鑑の種類 まとめ

種類 印影を画像に変換した電子印鑑 印影に識別情報を含んでいる電子印鑑
特徴 誰でも作成できるが、複製が容易 作成した人や押印した人を明示するため、
複製が困難
使用場面 形式的に印鑑を押したい場合 なりすましや不正利用に考慮して印鑑を押
したい場合

▼電子印鑑のセキュリティについて詳しく知りたい方はこちら

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電子印鑑の作り方

それでは、電子印鑑の作り方をご説明します。

1. 印影をスキャンして画像にする

1つ目は印影をスキャンして画像にする方法です。スキャナーと画像編集ソフトが必要ですが、実際に使用している印影と同じ印影をパソコンやタブレット上で使用することができます。実際に使用している印影とはいえ、ただの画像であるため、複製されるリスクがあります。

(表3)印影をスキャンして画像にする方法

1. 白紙に印鑑を押す
2. 印影の残った紙をスキャナーでスキャンする
3. 画像編集ソフトで印影データを読み込み、色や傾きを整える
4. 印影以外の背景を透過する(背景を透過することにより文字に重ねられるようになる)

2. フリーソフトやオンラインツールを使用する

2つ目はフリーソフトやオンラインツールを使用する方法です。フリーソフトやオンラインツールの中には、文字やデザインなどを選んで印影を作成できるものがあります。ただし、一定のパターンから文字やデザインなどを選ぶため、簡単に同一の印影が作れてしまいます。形式的に印鑑を押したい場合に、限定的に使用するに留めておいた方が良いといえるでしょう。

▼WordやExcelなどで電子印鑑作成方法について詳しくはこちら

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3. 印影に識別情報を含んだ電子印鑑を作れるサービスを利用する

3つ目は印影に識別情報を含んだ電子印鑑を作れるサービスを利用する方法です。誰が押したかなどの情報を含んで可視化するため、安心して使用できます。

シヤチハタの電子印鑑サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、書類の捺印・回覧をすべて電子化したクラウドサービスです。パソコンやタブレットなどのウェブブラウザから利用できるため、ソフトウェアのインストールは不要です。社印などのオリジナル印は、組織単位で共通印として使用でき、かつ社外のユーザーは登録不要のゲストとして利用できるため、請求書のやりとりにも適しています。導入費用は1ユーザーあたり月額110円(税込)です。

(表4)Shachihata Cloudが請求書のやりとりに適している理由

・請求書に電子印鑑を押すことができる
・印影に誰が押印したか履歴が残る
・社印などのオリジナル印は組織単位で共通使用できる
・社外のユーザーは登録不要のゲストとして利用できる


▶︎Shachihata Cloudの詳細はこちら

電子印鑑の導入は、請求書の信頼性を向上させる

請求書へ電子印鑑を押すことは、請求書の信頼性向上に繋がります。なりすましや不正利用を防ぐためには、印影に識別情報を含む電子印鑑のサービス導入が有効です。電子印鑑のサービスには、社外のユーザーは登録不要なものもあるため、請求書のやりとりにも適しているといえるでしょう。

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WRITER
木山 貴雄
シヤチハタ株式会社 システム開発部
大手PCメーカーのサポート業務や大手自動車メーカーでの社内SEを経験後、2005年シヤチハタに入社。シヤチハタフォントの開発・Web受注システムの開発を経て現在はソフトウェア開発部門に所属する。
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