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稟議書は電子化すべき?メリット・デメリットとサービスをご紹介

公開日: 更新日:

稟議書をはじめとする書類の管理には、期間やスペース、保存方法などさまざまな問題がつきまといます。また、紙書類のやり取りでは、ワークフローが見えづらく、業務効率化が進まないという課題もあるでしょう。これらの課題は、紙書類では避けられない問題であり、経営者や管理職の方はどう解決するか苦慮しているのではないでしょうか。稟議書などの書類管理・ワークフローの課題は、電子文書化とクラウドサービス導入によって、簡単に解決可能です。本記事では、企業が抱える紙書類の課題と、おすすめのクラウドサービスをご紹介いたします。

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稟議書とは

稟議書とは稟議を申請する際に使う、書類の名称です。
では、稟議とはどのようなものでしょうか。稟議とは、自身では決定権のない計画に対し上層部や関係者に内容を把握してもらい、計画遂行の承認可否をもらうことを指します。
会議を行わずに計画の概要を掴むことができ、承認可否の判断が下せるため、人員と時間の浪費を省けるのが稟議書の大きなメリットです。

デメリットとしては、企業によっては稟議内容ごとに稟議書のフォーマットが異なったり、そもそもフォーマットが用意されていなかったりと、申請者は書類の選択や作成の時間がかかることです。また、稟議の記入漏れなど不備があれば差戻しをされ、修正した後、再申請する必要があり、承認を得るまでに時間を要することが多いでしょう。

稟議書が必要なシーン

稟議書が必要なシーンは、「自身に決定権がないが会議を開くほどでもない計画」の申請時です。
では、会議を開くほどでもない計画とはどの程度のものでしょうか。
具体的には「一定額以上の備品の購入」「新規クライアントとの契約」「人事採用」「出張の可否」など、多額な予算を必要とするほどではないものの、企業の運営に関わる事柄がほとんどです。
稟議書には「稟議申請内容」をメインに「申請理由」「必要経費」「計画を実行することで得られるメリット」「リスクとリスク解消法」「代替案では得られない効果」などを記します。

▼稟議申請について詳しく知りたい方はこちら

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法律で定められた稟議書の保存期間

稟議が承認された後の稟議書は、オフィスの保存庫などに保存されます。
稟議書の保存期間について、法律で明確に定められているものはありません。しかし、決裁の履歴を確認するために有効な書類なので、永年保存が望ましく、会社によっては社内規定で永年保存と定めているところもあります。
なお、株主総会議事録や請求書など法律で保存期限が設けられている書類もあります。仮に保存期限前に書類を破棄した場合は罰則が科せられるため、会社の文書は安易に書類破棄しないようにしましょう。

稟議書の電子化を後押しする法律

次に稟議書の電子化が後押しされている背景や関連する法律をご説明いたします。

政府が電子化を進めている

少子高齢化に伴い、将来的な労働力の不足が予想されます。これに対応するため、より効率的に仕事を行うべく「働き方改革」を政府は提唱しています。働き方改革を実現するにあたって、方法の一つとされているのが電子化の推進です。このあとの章でもご説明しますが、電子化によって時間の効率化ができるようになるので、より生産性の高い仕事に時間を充てることができるようになります。
政府としても積極的に電子申請できる手続きを増やしており、今後も拡大を予定しています。公的な申請が電子化すると、民間の企業も否応なしに電子化を進めなくてはいけなくなるので、電子化推進の後押しになっています。

2022年に改正電子帳簿保存法が施行

政府は電子化できる書類を増やしたり、電子化の要件を緩和したりして、電子化を推進しています。2022年1月1日に施行された改正電子帳簿保存法もその一つです。
電子帳簿保存法は、国税関連の書類の電子化を認めたもので、今回の改正では電子化の要件緩和を中心に変更が加えられています。大きな特徴としては、電子データで受け取った請求書について、紙に出力して保存することを原則禁止とした、ということです。これまでは紙書類は可能で電子文書は不可、というパターンだけでしたが、今回の改正で初めて逆のパターンが登場しました。政府の電子化推進への強い意思の感じられる改正です。

「新しい生活様式」への対応

新型コロナウイルス感染症の流行は、急速に電子化が進んだ大きな理由の一つでしょう。経済の停滞を防ぐために、多くの企業でリモートワークを行うことになり、インターネットでのやり取りを拡大する必要に迫られました。新型コロナウイルス感染症の終息はまだ見えず、終息したあともコロナ以前と全く同じ生活になるとは考えにくいです。また、また新型コロナウイルス感染症のような予期せぬ出来事で、従来通りの働き方ができなくなる可能性もあります。コロナ終息後まで見据えて、各企業で電子化の準備を進めています。

電子化のための技術やサービスが整ってきた

政府や企業から電子化のニーズがあっても、それを実現する技術がなければ、推進できません。
ビジネスで使用する紙書類は、印鑑や署名によって本人性の確認や文書の非改ざん性を証明しています。パソコンで電子文書を作成すること自体は簡単ですが、この印鑑や署名の役割を果たすものを電子で実現することに技術上の難しさがありました。電子化が進む中で、この電子での証明技術も進化を続け、従来の印鑑と変わらないほどのセキュリティを持つことができるようになりました。また、電子化のニーズに応える形で、電子決裁や電子印鑑のサービスも複数社からリリースされたことも電子化促進に繋がっています。

紙の稟議書の課題

稟議は企業によっては、年間数百件以上行われています。稟議の数だけ稟議書類が増えるため、紙書類で保存する場合、次に挙げるような課題がついてまわります。

各工程で時間がかかる

紙書類で稟議書を作成する場合、企業によっては稟議内容ごとに稟議書のフォーマットが違うため、適切なフォーマットはどれか、最新版がどれかなど、書類の用意自体にまず時間がかかります。用意した後も、紙書類だと書き損じたときに最初から書き直したり、訂正印を押して修正したりと何かと手間取ることが多いでしょう。
さらに、備品の購入など、何度も同じ内容の稟議書が必要な場合にも、複製ができないので、その度に同じ内容を手書きで記入をすることは、大変非効率的です。

進捗が把握しにくい

稟議書は、上司や関係者など多くの方に、計画の内容を把握してもらい、計画遂行の承認可否をもらうためのものです。そのため、稟議書は承認を得るまでに多くの人の手を渡っていきます。紙書類の場合、今誰が稟議書を持っているのかをすぐに把握する術がありません。催促をしたいときには、直接会いに行ったり、電話をかけたりして、一人ずつ確認する他ありません。

保存のためにコストがかかる

稟議は稟議書1枚だけで済むものではありません。説明資料や予算資料などの添付書類が多くあります。保存の際は、これらの添付書類も稟議書と一緒に保存しなくてはなりません。永年保存のため、保存スペースは年々増えていきます。

完成後の検索性やセキュリティが低い

稟議を上げる際に、過去の稟議書が必要となるシーンもあるでしょう。しかし、ダンボールや棚に詰め込まれた多数の稟議書の中から、該当の1枚を探すのは骨が折れる作業です。
保存量が膨大な場合は、オフィスと離れた別の場所に倉庫があることもあり、取り寄せに時間がかかることもあります。
さらに、手間と時間をかけて探したにも関わらず見つからずじまい、という結果も考えられます。

また、保存されている膨大な稟議書類を全て把握するのは、まず不可能です。その一部が盗難・漏えいしていても、誰も気づかない可能性があるでしょう。
管理しきれない書類はどこでどのようにして不正が行われたのか実情を掴むのが難しかったり、そもそも不正を検知できなかったりと、企業コンプライアンスの低下にも繋がります。

稟議書を電子化するメリット

これまでご説明してきた保存やワークフローの課題解決への糸口となるのが、電子文書化です。稟議書を電子文書化することで、これまで抱えていた問題を解決できます。

時間の節約

稟議書の電子化では、コストだけではなく時間も節約できます。
稟議書作成そのものはパソコンで行っていたものの、捺印のためにプリントアウトとスキャニングが必要だった企業も多いのではないでしょうか。
電子文書化と同時に電子印鑑を用いれば電子文書を紙書類に戻す必要がなく、いつでもどこでも捺印と回覧ができ、稟議工程をスムーズに進められます。
過去の書類検索も容易に行えるため、これまでの稟議書作成にかかっていた手間を一掃できます。承認後、所定のフォルダに自動で保存できるようシステムを連携すれば、書類を持って保存庫へ行く手間も省けるでしょう。

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ワークフローの可視化

電子化のシステムでは、事前に誰にどの順番で何を確認してもらうのか、といったワークフローが明確になっています。そのため申請者にとって悩みのタネであった「稟議の返事がいつ返ってくるのか」という問題解決に一役買います。
紙書類では時間がかかっていた承認状況の確認も、電子化のシステムを利用すればスピーディーに行うことができるので、稟議工程を迅速に進められるようになるでしょう。稟議書をExcelやWordで電子化し、メールで回覧することはできますが、進捗状況の確認はできません。この、進捗確認の機能は電子化専用のシステムならではのメリットといえます。

コストの削減

稟議書を電子文書にすると、紙書類を保存する場所は必要なくなります。稟議書をはじめとする文書は電子データとしてクラウド上にまとめられるため、保存費用もスペースも削減可能です。保存場所の賃貸費用や管理費が必要なくなることで、コストを大幅に削減できます。また、紙代・トナーインク代など書類の作成に必要な費用も節約できます。

▼コスト削減について詳しく知りたい方はこちら

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改ざんや漏えいなどの不正防止

電子文書のシステムの中には、承認後に書類の改定を不可能とするタイプもあります。紙書類では可能だった改ざんや盗難のリスクも防げ、稟議書をはじめとする重要書類の取り扱いも安心して行えます。システム上で履歴が残るため、不正検知や不正発覚後の問題箇所の特定もしやすいといえます。

(表1)稟議書の電子化が可能にすること まとめ

・印刷や保存にかかっていたコストの削減
・保存スペースの削減
・稟議に関わる全行程の利便性向上(回覧、捺印、保存、検索など)
・稟議の進行状況の可視化
・改ざんや漏えいの不正防止

稟議書を電子化するデメリット・注意点

稟議書の電子化はコストと時間の削減や効率アップ、ワークフローの可視化など、多くのメリットがあることが分かりました。これらのメリットを最大限活かすため、稟議書を電子化する際の注意点をご説明いたします。

稟議書を電子文書化するだけでは不十分

稟議書を電子化する方法の一つに、新しいシステムを導入せず、WordやExcelで稟議書を作成し、承認者にメールで送信するという方法があります。保存やスペースの問題は解決でき、一見手軽な方法ですが、メールを送受信する手間が発生したり、申請者が進行状況を把握できなかったりと、稟議の非効率を根本から解決できないという問題点があります。また、何度もメールを送受信する内に、メールの誤送信などのミスが発生する可能性もあります。稟議の非効率を根本から解決するには、ワークフローシステムの導入が適しています。

稟議システムを自社専用にカスタマイズするとコストがかかる

稟議書を電子化する際、設備を増強したり、システムを自社専用にカスタマイズしたりすると、莫大なコストがかかる可能性があります。そこで近年では、IT人材の不足や、全社横断的なデータ活用の重要性から、比較的手軽に電子化へ移行できるクラウドサービスの利用が主流になっています。稟議書の申請・承認も、クラウドサービスを利用して電子化されることが多い業務です。クラウドサービスは、設備の増強やソフトのインストールが必要なく、インターネットに接続できる環境さえあればすぐに導入できるため、導入費用を安価に抑えることができます。

社員の意識を変える必要がある

電子データの取り扱いには、一定のITリテラシーが求められます。パソコン操作に慣れない社員が多い場合、稟議書の電子化に反発が起き、一時的に稟議の効率が低下する可能性があります。「電子化によって稟議の非効率を解決する」という強い意思を持って、社員の意識を変えていく必要があるといえるでしょう。
稟議書の電子化は、部分的に始めることも可能です。まずは1部門から導入を始め、徐々に利用部門を増やしていくという方法もあります。クラウドサービスは利用者を増やす場合にも、設備の増強は必要ありません。それでも、パソコン操作に慣れない社員への不安がある場合は、機能がシンプルなクラウドサービスの導入を検討しましょう。覚える操作が少ないサービスであれば、抵抗なく受け入れられるでしょう。
シヤチハタが提供するサービスでは、「BPS」=「ビジネスプロセスそのまんま」という概念を提唱しており、ビジネスのプロセスを変えることなく、電子化へのシフトをサポートしています。紙からパソコンへの変化とワークフローの変化が同時に行われると、混乱が生じる可能性もあるかもしれないので、まずはワークフローを変えずに、紙からパソコンへの変化に慣れてもらう、という方法もあるかもしれません。

稟議書の電子化は無料でできる?

稟議書の電子化は無料でできるのでしょうか。まずは、ビジネスで電子文書をやり取りする時に必要な機能について考えてみます。

稟議書を電子化するクラウドサービスの主な機能

それでは、稟議書を電子化するクラウドサービスにはいくつか種類がありますが、本章では一般的に備わっている機能についてご紹介いたします。

1. 書類のアップロード機能

WordやExcelで作成した稟議書をクラウド上にアップロードする機能です。用意された書式に情報を入力するだけで、稟議書を作成できるものもあります。また、アップロードした電子文書に、テキストや日付、印影を追加できるクラウドサービスもあります。この電子印鑑のクラウドサービスと併用することで、書類の作成だけではなく、承認から保存まで一貫してインターネット上で行うことができるようになります。

2. 回覧機能

作成した稟議書に、名前やメールアドレスを入力し、稟議書の承認を申請する機能です。申請者は、回覧順を指定して、承認者を複数設定することが可能です。つまり、担当→課長→部長…というように承認を申請する人を全員設定することができます。全ての人の承認が完了したら、稟議書は自動的に申請者の元に戻ります。
一度設定した名前やメールアドレスは、クラウドサービス上のアドレス帳に保存できるのが一般的です。よく使う回覧順を保存しておくことで、承認者の入力を省略することができます。
クラウドサービスによっては、稟議書にコメントを入れられたり保護設定を行えたりするものもあります。保護設定を行うと、稟議書の確認にパスワードが必要になります。パスワードを設定することにより、稟議書のセキュリティをより高めることができます。

3. 承認機能

2回の覧機能で送信された稟議書を承認する機能です。多くの場合、受信したメールからクラウドサービス上の稟議書にアクセスすることで、稟議書の承認、否認、差戻し、回覧先変更などを行うことが可能になります。これによって、場所や時間に関係なく承認を行うことができるようになります。
また、稟議書が差戻された場合、申請者は稟議書を引戻し、フローの始めからやり直すことができます。電子文書であれば、書類を作り直す時間も節約でき、郵送する時間も不要となります。
実際の印鑑が捺印されないことで、その人が承認をした、という証明ができずに不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。クラウドサービスの多くは、承認を行った人や時間を記録することで、なりすましによる承認を防止しています。通信データの暗号化も行われているため、なりすましや情報漏えいを気にせず安心して利用することができます。

⒋ 通知機能

稟議書が申請・承認された場合、申請者・承認者にメール通知が届きます。紙書類の場合は、申請者がメールを作成して関係者に完了のメールをする必要がありましたが、電子文書のクラウドサービスであれば通知は自動的に送信されるため、メールをわざわざ送信する必要がありません。承認者が承認を忘れていたり、メールを見ていなかったりする場合は、申請内容を再通知することも可能です。稟議の進行状況はメールやクラウドサービス上でいつでも確認することができます。

⒌ 管理機能

クラウドサービスを利用するにあたって必要な、ワークフローのテンプレートや連絡先の設定を行う機能です。内容はクラウドサービスによって異なりますが、回覧順の保存やアドレス帳の編集、承認期限などを設定することができます。紙書類の場合だと、回覧順もその都度指定をしなければならなかったのですが、クラウドサービスでは回覧順が保存できるため、承認者の選択忘れなどのミスが起きにくくなります。

(表2)稟議書を電子化するシステム まとめ

機能 概要
1.書類のアップロード機能 稟議書をクラウドサービス上で承認できる状態にする機能
2.回覧機能 承認者・回覧順を設定して、稟議書を申請する機能
3.承認機能 稟議書を承認、否認、差戻しする機能
4.通知機能 承認・申請されたことをメールで通知する機能
5.管理機能 サービスを利用するにあたっての設定を行う機能

無料版では機能不足になる可能性も

電子化は、ただ書類を電子文書にするのではなく、承認までのフローと承認後の管理まで一貫して電子化することでメリットが最大化します。また社外とのやり取りの場合は、よりセキュリティを向上するために、タイムスタンプ機能や電子署名機能をオプションでつける必要も出てきます。ビジネスで使用するのであれば、無料機能の範囲内で対応することは難しいといえるでしょう。

クラウドサービスで稟議書を手軽に電子化しよう

稟議書は量も多く保存スペースを取り、管理も大変なため扱いについて企業の悩みのタネとなる存在です。電子決裁システムとクラウド保存を同時に取り入れれば書類の一括管理ができ、リスクやコストの削減が実現可能となります。
稟議書やその他の書類の電子文書化、保存コスト削減できるシステムを導入するのであれば、シヤチハタの「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)with box」がおすすめです。「Shachihata Cloud with box」は稟議書やその他書類の回覧・承認から文書管理までをスムーズに行えます。
文書管理システムとして業界最高水準のセキュリティを誇るboxと、社内の書類回覧・押印・承認機能を保有するShachihata Cloudを連携させたサービスです。boxで保護されているクラウドストレージ内で、安全に決裁を完結させられます。また、クラウド型サービスのため、工数のかかる開発をせず、比較的簡単に導入できます。
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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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