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コラム

自治体における電子決裁システム導入の問題点とは

WRITER
木山 貴雄
シヤチハタ株式会社 システム開発部
大手PCメーカーのサポート業務や大手自動車メーカーでの社内SEを経験後、2005年シヤチハタに入社。シヤチハタフォントの開発・Web受注システムの開発を経て現在はソフトウェア開発部門に所属する。

近年、日本では業務を極力オンライン化する動きが加速しています。これは企業のみならず、自治体も例外ではありません。行政機関においては決裁を要する業務が多く、一連の手続きを手作業で行っていると、どうしても完了までに時間がかかります。そこで2018年7月に閣議決定された「電子決裁移行加速化方針」の策定を受けて、公文書の作成から保存・管理・移管まで一貫して電子的に行うことが目指されています。
しかし、自治体において電子決裁システムを導入していくにあたっては、様々な問題点に直面します。本記事では事例を交えながら、自治体での業務オンライン化にある課題とその解決策についてご説明します。

電子決裁システムを導入している自治体

はじめに、電子決裁システムを導入している自治体の取り組み事例をご紹介します。電子決裁の浸透率を示す統計的なデータはありませんが、自治体での導入はさほど進んでいないとみられています。そのような中でも比較的電子決裁システムの導入が成果を上げている佐賀県、茨城県の事例です。

佐賀県の取り組み事例

佐賀県庁では、2004年頃より徐々に決裁の電子化を進め、2019年には庁内の決裁処理をすべて電子化へ移行させました。タブレット端末を配布し、今では約3,500名の職員が平均週1回の頻度でテレワーク制度を利用しているといいます。

決裁処理が紙で行われている場合、承認・決裁者が庁内にいなければ、文書を回覧することすらできません。電子化によって、承認・決裁者の出張時や在宅勤務時などでも電子決裁システムにアクセスし、対応が行えるようになりました。また、進捗が可視化され、回覧の状況を確認する手間も省けたといいます。

佐賀県で電子決裁システムを定着させるにあたっては、障壁がなかったわけではありません。具体的には、WordやExcel、PDFなどの文書形式にそれぞれ違いがあるため、添付ファイルを一つひとつ開くのに手間がかかるという不満が挙がっていました。このような弊害があるとせっかくシステムを導入しても、元の紙のほうが良いという議論になりがちです。しかし、すべてのファイルをイメージ処理しスムーズに表示できる仕組みに切り替え、その後も改良を重ねた結果、使い勝手が向上し、「紙を使う理由がない」状態に至ったといいます。

今後は庁内の業務だけでなく、県民が利用する申請手続きなどもオンラインへ移行していくことに期待が持たれています。


参考:https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt19r_saga/

茨城県の取り組み事例

茨城県庁では2003年頃より電子決裁システムを導入していましたが、ほとんど利用されていない状態が長く続いていました。しかし、業務の効率化・ペーパーレス化に加えて、行政文書の改ざん防止が重要であるとの判断から、2018年に「電子決裁率100%」を目指した取り組みが進められました。茨城県の資料によると、2018年4月時点で13.3%だった電子決裁率は、取り組み開始からわずか4か月で99.1%と、ほぼ100%に達しています。


参考: https://www.doyukai.or.jp/topics/news_event/uploads/docs/190521b.pdf

このような短期間で電子決裁システムの定着が進んだ背景には、2017年に県知事に就任した大井川和彦氏の方針転換がありました。大井川氏はマイクロソフトやドワンゴなどのIT企業の要職を歴任していた経験があり、ペーパーレス化の推進に注力しています。2018年4月にはRPA(ロボットなどによる業務の自動化)を進めるための専門組織、ICT(情報通信技術)戦略チームが作られ、トップダウンでの改革が進められました。

今までの業務の進め方から新しい方式へ変える場合、初期の段階ではどうしても現場で働いている方の業務に負荷がかかるため、なかなか浸透していかないという事態が起こりやすいものです。トップが明確な目的を打ち出して先導していき、今までのやり方と変わらずに決裁が行える案内、そして対応にあたって困っていることのアンケート調査などを実施しながら、迅速に改革を進めていきました。また、驚くべきことに元々導入されていた仕組みをきちんと活用するようになったというだけで、新たなコストはかかりませんでした。


参考:https://www.fnn.jp/articles/-/5487

電子決裁システム導入におけるメリットや企業への導入事例について知りたい方はこちら

電子決裁システム移行が困難とされやすい業務

佐賀県、茨城県は成功事例になりますが、現実には電子決裁システムへの移行を阻む要因は複数存在しています。次に示すような3つの業務においては、特に電子決裁システムへの移行を困難とする要因が多いため、移行する前に運用の整理が必要となります。

1. 膨大な紙の添付資料がある案件

添付書類の多い事案の場合、そのまま電子決裁システムへ移行することで、かえって業務が非効率的になってしまう場合があります。住民から紙で申請されている案件の中には、大量の紙の添付資料が必要なものもあります。これらを電子決裁だけのために電子化するとなると、そのための仕事が増えてしまい、時間もかかることになります。

したがって、住民からの申請に基づく行政手続きについては、手続きをオンラインへ移行することだけでなく、添付書類の撤廃の見直しも必要といえるでしょう。

2. 独自の決裁機能を持たない業務

総務省が提供している文書管理システムがありますが、このシステムを使用するためには政府の共通ネットワークへ接続する必要があります。しかし、自治体によってはセキュリティ確保の観点から、共通ネットワークには接続できず、また独自の決裁機能も持たない場合もあります。
このような場合には独自の電子決裁システムを構築して導入するか、セキュリティ対策を講じて共通の文書管理システムへ接続できるよう環境整備することが求められます。


参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000627821.pdf

3. 会計関係業務

さらに、会計関係の業務においては、紙の契約書や請求書などを元に業務が行われており、会計検査院でも一定の証拠書類については紙での提出が求められていました。今後の方針としては財務省の新しい官庁会計システム(ADAMSⅡ)の運用により、これらの管理業務を電子化する方針となっています。
そのため、各行政機関においては新たに導入されるこのシステムを用いて、証拠書類を電子的に提出できるよう環境を整備し、会計関係業務の電子決裁を推進していく必要があります。


参考:https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2018/20180928/shiryou2-2-3.pdf

電子決裁システムの「定着」にはクラウド型がおすすめ

電子化への対応が遅れがちといわれている自治体においても、独自の方針を打ち出しながら、電子決裁システムの導入が徐々に進みつつあります。しかし、システムが「定着」するに至るまでには、様々な課題をクリアしなければなりません。これまでの業務をこれまで通り行えるのかどうかには丁寧な検証が必要であり、システムを初期から構築するにはコストもかかります。


電子決裁システムの中でも、比較的導入ハードルが低いとされているのが、クラウド型のサービスです。オンプレス型のシステムの場合には初期投資の他にもメンテナンスなど運用費用が高額な傾向がありますが、クラウド型であれば初期費用は基本的には必要にならず、安価な月額費用で済みます。
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