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コラム

電子印鑑の効力ってどれくらい?普通の印鑑との違いを説明します

WRITER
木山 貴雄
シヤチハタ株式会社 システム開発部
大手PCメーカーのサポート業務や大手自動車メーカーでの社内SEを経験後、2005年シヤチハタに入社。シヤチハタフォントの開発・Web受注システムの開発を経て現在はソフトウェア開発部門に所属する。

電子印鑑とは、パソコン上の文書に印鑑を押印できるようにしたシステムです。
紙に印鑑を押印するのと同じように、電子印鑑はPDFやExcelなどで作成したデータに直接押印できます。書類の作成がパソコン上で完結するため、わざわざ印鑑を準備して押印する必要がなく、また印鑑の紛失や破損の心配も要りません。

このように、実際の印鑑に比べ手軽そうな電子印鑑ですが、実際のところ
「そもそも電子印鑑を目にしたことがない」
「電子印鑑は普通の印鑑とどう違うの?効力はあるの?」
といった疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

ここでは「印鑑」の役割に触れながら、電子印鑑の効力や普通の印鑑との違いについて説明していきます。

印鑑の持つ役割|会社で使用する印鑑の種類と用途について

日々の業務をこなす中で、毎日多くの書類に触れる機会があるかと思います。
その中で印鑑を使用することも多いと思いますが、使用する場面や種類によって印鑑の役割は異なってきます。

電子印鑑を使用する前に、まずは従来使用されている印鑑についてここで改めて確認しておきましょう。
会社で使用する印鑑の種類やそれぞれの持つ役割や効力はどんなものなのか、以下にピックアップしてみました。

代表者印

会社の実印としての役割があり、会社で使用する印鑑の中で最も大きな効力を持ちます。
会社設立の際は法人登記を行いますが、その時に代表者印の届出義務があるため、必ず作成しなければなりません。
代表者が会社を代表して重要な契約を締結する時に使用されます。

用途の例)
・株券を発行する時
・代表取締役の変更があった時
・法人が不動産を売る時
・不動産を担保に入れる時
・連帯保証をする契約を結ぶ時
・企業買収する時

会社印・角印

会社における認印としての役割を持ちます。
代表者印ほどの効力はないものの、会社が発行した正式な書類であることを明確にし、信頼性を高めるという効力を持っているといえます。
会社の印鑑証明書の添付が必要でない程度の契約書を作成する時に使用されます。

用途の例)
・見積書、請求書、領収書、発注書を発行する時
・通達などの社内文書を発行する時

銀行印

銀行や金融機関に届出を行った印鑑のことで、会社においての資金管理の役割を担っています。
「会社の意思で資金移動することを認める」という効力があるため、資金流用など悪用されないように厳重な管理が必要となります。
お金を引き出したり、借りたりといった銀行取引全般で使用されます。

用途の例)
・銀行で口座を開設する時
・資金を引き出す時
・小切手や手形などを振り出す時

役職印

部長・課長など、役職ごとの認印として用いられる印鑑です。
会社名+役職名が刻印されており、役職者の意思表示としての効力を持ちます。
役職者は各部署の責任者としての権限を持つため、押印の効力は会社全体へと及ぶといえます。

用途の例)
・社外で契約をする時
・社内文書を作成する時
・社内決済を承認する時
・稟議書の内容を承認する時

個人印

社員個人が社内で使用する印鑑のことです。
認印としての役割が主となり、朱肉を使う印鑑の他にシャチハタなどが使用されます。
個人印はほとんどの場合大量生産の印鑑であることと、同姓であれば印面も同じになってしまうため、実印のような効力は期待できません。

電子印鑑の効力|普通の印鑑との違い

印鑑の役割は、書類の内容に対し「確認済み・承認済み」という意思表示になることが分かりました。
では、電子印鑑と普通の印鑑では効力に違いがあるのでしょうか?

実際のところ、いずれの印鑑であっても契約書自体の法的効力に違いはないのです。
それは印鑑の押印が日本独自の文化であり、契約の効力と直接繋がるものではないためです。
(海外での契約では自筆によるサインが基本になっています。)
それでも、押印がない書類よりもある書類の方が信頼度は高いといえます。

電子印鑑は、果たしてどの程度の効力を持つのか。
結論から言うと、電子印鑑は認印程度の効力しか持たないというのが現状です。
その理由は、大きく2つあるといえます。

理由1:誰が押印したのか分かりにくい
重要な契約を結ぶ際は、ほとんどの場合取引先と対面し、実際の紙に押印することになります。
電子印鑑の場合、誰が押印したものなのか分からないため、実印としての使用は避けられてしまいます。

理由2:取引先が対応してくれるかどうか確認する必要がある
ペーパーレス化・電子化が推進されている日本社会ですが、電子印鑑の普及はまだまだこれからというのが現状です。そのため、電子印鑑を導入しても取引先が対応してくれなければ使用できません。

このような理由から、法的効力は同等であっても普通の印鑑の方が汎用性が高くなってしまうため、電子印鑑はどうしても認印程度の効力という認識になってしまうのです。

とはいえ、今後は電子印鑑がビジネスの主流になっていく可能性も大いにあります。
2005年4月1日から政府より「e-文書法」が施行され、契約書を含む一部文書の電子化が法律で認められました。その結果、紙を使わずにパソコン上で作成した文書のみでの契約も法的には有効になります。
電子印鑑活躍の舞台は既に整っているといえるでしょう。

また、2020年度分から法人税の電子申告の義務化が決定しました。
これにより、資本金の額等が1億円超といった一定規模以上の企業は、オンラインで税申告しなければならなくなりました。申告書類には法人番号の記載が必要とされていますが、今後は各企業の会社実印が必要になる可能性もあります。

このように、国をあげて行政手続きのコスト削減・電子化が進められているため、電子印鑑を扱えないと不便な局面が増えていく可能性があるのです。

電子印鑑を使用する際の注意点

電子印鑑を使用する際、特に気を配らなければならないのは「セキュリティ面」ではないでしょうか。

電子印鑑はパソコンさえあれば、フリーソフトなどで簡単に作成することができます。
しかし、フリーソフトで作成できる印鑑のデザインは限られており、独自性に欠け複製が容易であるという問題点があります。また、本物の印鑑の印影をスキャンして画像化するという方法もありますが、こちらも複製され悪用されてしまう危険性があります。

このように、セキュリティ面での脆弱性が心配される電子印鑑ですが、実はセキュリティ面をカバーしたタイプも存在します。
それは「印影にデータが保存された電子印鑑」というものです。
複製や改ざんを防ぐため、電子印鑑の印影からシリアル番号や使用者情報を確認できるものもあります。

自分で簡単に作成できる電子印鑑は一見手軽かもしれませんが、今後様々な文書へ電子印鑑を使用したい場合は、やはり後者のタイプがセキュリティ面で安心です。

まとめ

ここまで、普段使用している印鑑の役割や電子印鑑の効力・注意点について書いてまいりました。
電子印鑑の文化はまだ深く根付いておらず、またセキュリティ面にも心配な点があるため、今まで通り普通の印鑑を使用する場面も多いのが実情でしょう。
しかし、環境保全のためのペーパーレス化や業務時間の短縮化が求められる現代、電子印鑑のニーズは今後ますます高まっていくはずです。恐らく、知らなかったでは済まされなくなるシーンも増えてくるでしょう。
時代の波に乗り遅れてしまう前に、電子印鑑の特性を十分把握した上で、可能なところから取り入れていくのが良いかもしれませんね。