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法定文書の保存期間一覧 永久保存〜5年以下まで

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企業で取り扱う文書の中でも、法律により一定期間保存することを義務付けられている文書を「法定保存文書」と呼びます。企業にとって重要文書である法定保存文書は、保存期間を正しく把握し、セキュリティに配慮して管理することが重要です。本記事では、法定保存文書として扱われる主な文書、法定保存文書を保存するのに適した方法をご説明します。

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Index

法定保存文書とは

まずは法定保存文書の概要をご説明いたします。
法定保存文書とは、商法や会社法、労働基準法など、各法律により保存することと保存期間が定められている文書のことです。保存期間は、最低限の保存年数であり、文書ごとに異なります。そのため、企業にとって重要な文書は、最低限の保存年数を超えた期間が設定されている場合もあります。法定保存文書を保存期間内に破棄してしまうと、罰則を課せられる場合や、税務調査で不利になる場合があります。

永久保存が望ましい文書一覧

法定保存文書として扱われる文書は数多くありますが、ここでは保存年数に分けて、主な文書をご説明いたします。また、文書の保存期間を誤らないためには、起算日に留意し保存期間を正確に把握することが重要です。 まずは、永久保存が望ましいと考えられる文書をご紹介いたします。

定款

定款とは、会社の名称や所在地、事業内容などの基本情報や規則などがまとめられた、会社版憲法のような重要な書類です。定款に記載する内容は法律で定められており、会社設立時に発起人全員の合意により成立します。
定款の原本は保存期間が定められた書類ではありませんが、特に重要な書類のため、会社が存続する限りはずっとなくさず保存し続けましょう。助成金の申請や、銀行の法人口座開設などの場面で用いることになります。

株主名簿

株主名簿とは、株式会社設立時に必ず作成する書類で、各株主に関する基本情報をまとめています。株式の相続や譲渡などがあった場合には、株主名簿の内容も更新する必要があります。
株主名簿も実は法令等で保存期間が定められているわけではありませんが、こちらも性質上、永久保存が望ましいと考えられます。

登記・訴訟関係書類

登記とは、会社のオフィスを建てた土地や建物ごとの所在地、面積、所有者等の権利関係を明らかにするための書類で、不動産の権利を法的に証明する役割があります。

登記に限らず、土地の所有や訴訟に関連する書類についても、内容的に鑑みて永久保存が望ましいでしょう。

官公庁への提出文書

また、官公庁への提出文書や官公庁からの通達や許可書なども、永久保存が適切と考えられます。

製品の開発・設計に関わる重要書類(特許書類など)

さらに、特許関連書類など、自社の商品・サービスに大きな影響を与える、製品の開発・設計に関する書類は重要な役割を持つため、永久保存が望ましいと考えられます。

従業員の労務・人事・給与・社会保険関係の書類

この他、労務・人事関連書類は会社の重要な決定に関わります。従業員の労務・人事・給与・社会保険関係の書類は永久保存しましょう。

保存期間が10年の文書一覧

次に、保存期間が10年の文書をご紹介いたします。

株主総会議事録

株主総会議事録とは、株主総会を開催した際に決議した内容を記録する書類です。登記や税務調査で必要とされるため、毎年作成し、10年間保存します。

取締役会議事録

取締役会議事録とは、取締役会の日時や場所、決議の内容を記録する書類です。取締役会を開催した場合には必ず作成し、本店に10年間備えておくことが義務付けられています。

監査役会議事録

監査役会議事録も取締役会議事録と同様、10年間の保存期間が設定されています。

会計帳簿(総勘定元帳など)

会計帳簿とは、会社の資産の動きを詳細に記載した書類で、会社法で作成を義務付けられています。日付や取引の相手、取引内容、目的、金額が記載されています。すべての取引を勘定科目ごとに分類して記帳した総勘定元帳などが該当します。帳簿閉鎖の時を起算日として、10年間保存することが義務付けられています。

月次・年次決算書類

決算書は会社の経営状況を示す書類で、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書を10年間保存することが義務付けられています。

(表1)保存期間が10年間の文書

文書名 起算日 根拠条文
株主総会議事録 株主総会の日 会社法第318条
取締役会議事録 取締役会の日 会社法第371条
監査役会議事録 監査役会の日 会社法第394条
会計帳簿
(総勘定元帳など)
帳簿閉鎖日 会社法第432条

保存期間が7年の文書一覧

続いて、保存期間が7年の文書をご紹介いたします。帳簿書類が含まれますが、決算に関する書類の中でも、総勘定元帳や貸借対照表、損益計算書については、10年間の保存義務のほうが優先されるため注意してください。

取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳など)

取引に関する帳簿としては仕訳帳や現金出納帳、固定資産台帳などが挙げられますが、これらは7年間の保存が義務付けられています。

現金収受や預貯金の取引で作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用書など)

現金収受や預貯金の取引で作成された取引証憑書類としては、領収書、預金通帳、借用書などが挙げられます。7年間の保存が必要です。

有価証券の取引で作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、売買報告書、社債申込書など)

有価証券の取引で作成された証憑書類としては、有価証券受渡計算書、売買報告書、社債申込書などが挙げられます。7年間の保存が必要です。

取引証憑書類(請求書、契約書、見積書など)

取引に関する証憑書類としては注文書、請求書、見積書などが該当しますが、これらも7年間保存が義務付けられています。

源泉徴収に関する書類(扶養控除等申告書など)

源泉徴収に関する書類では、給与所得者の扶養控除等申告書などが挙げられ、源泉徴収・年末調整の事務処理を行う際に必要となります。これらも7年間の保存が義務付けられます。

(表2)保存期間が7年間の文書

文書名 起算日 根拠条文
取引に関する帳簿
(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳など)
帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過した日
(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日)
法人税法施行規則第59、67条
現金収受や預貯金の取引で作成された取引証憑書類
(領収書、預金通帳、借用書など)
有価証券の取引で作成された証憑書類
(有価証券受渡計算書、売買報告書、社債申込書など)
取引証憑書類
(請求書、契約書、見積書など)
源泉徴収に関する書類
(扶養控除等申告書など)
提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日 所得税法施行規則第76条など

保存期間が5年以下の文書一覧

最後に、保存期間が5年以下の文書一覧をご紹介いたします。

監査報告・会計監査報告(5年)

監査報告・会計監査報告に関する書類は、5年間の保存期間が義務付けられています。

従業員の身元保証書、誓約書など(5年)

従業員の身元保証期間は「身元保証ニ関スル法律」によって最長5年間と設定されているため、従業員の身元保証書や誓約書といった書類は、5年間保存しておくことが望ましいと言えます。

健康診断個人票(5年)

個人の健康診断票についても、労働安全衛生法によって、5年間の保存期間が義務付けられています。

雇用保険の被保険者に関する書類(4年)

雇用保険の被保険者に関する書類としては、具体的には資格取得等確認通知書や資格喪失確認通知書、離職証明書、休業開始時賃金月額証明書などが該当し、4年間の保存期間が義務付けられています。

労働者名簿、雇入または退職に関する書類(3年)

労働者名簿は、従業員を雇用する際に必ず作成する書類で、従業員の氏名や生年月日などが記載された名簿を指します。労働条件通知書や退職届など、3年間の保存期間が義務付けられています。

災害補償に関する書類(3年)

災害補償に関する書類とは、従業員がケガをして療養補償給付などを受けることになった場合に提出する書類を指しています。3年間の保存期間が義務付けられています。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する書類(2年)

社会保険に関する書類とは、資格取得等確認通知書や資格喪失確認通知書などを示しており、これらは2年間の保存期間が義務付けられています。

(表3)保存期間が5年以下の文書

文書名 保存期間 起算日 根拠条文
監査報告・会計監査報告 5年間 株主総会の1週間前の日(取締役会が存在する場合は2週間前の日) 会社法第442条
従業員の身元保証書、誓約書など 5年間 作成日 身元保証ニ関スル法律
健康診断個人票 5年間 作成日 労働安全衛生規則第51条
雇用保険の被保険者に関する書類 4年間 完結日(退職日など) 雇用保険法施行規則第143条
労働者名簿、雇入または退職に関する書類 3年間 労働者の退職日・解雇日・死亡日 労働基準法第109条、労働基準法施行規則第56条
災害補償に関する書類 3年間 補償の終了日
社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する書類 2年間 完結日(退職日など) 健康保険法施行規則第34条、厚生年金保険法施行規則第28条

法定保存文書を保存するのに適した方法

このように、日常的に触れる多くの文書が法定保存文書に指定されています。企業の発展とともに管理すべき書類は増加していくものの、参照する機会の少ない法定保存文書は、どのように保存するのが適しているのでしょうか。本記事では3つの方法をご紹介いたします。

1. 立ち入りが制限された社内書庫に保存

1つめは立ち入りが制限された社内書庫に保存する方法です。社内倉庫で保存する場合は、文書の紛失や不正持ち出しに備え、セキュリティを高めておくことが重要です。紙で記録する場合は、入退室する人に入退室時刻や氏名の記入を課し、ICカードで記録する場合は、社内倉庫に入室制限をかけたり入退室ログを蓄積したりすると良いでしょう。

2. セキュリティに配慮した社外倉庫に保存

2つめは社外倉庫サービスを契約し、社外倉庫で法定保存文書を保存する方法です。社外倉庫のメリットには、倉庫のセキュリティ構築を外部に委託できることや、オフィススペースを有効活用できることなどが挙げられます。インターネット上で文書の出入庫や廃棄を管理できるサービスが多いため、文書を探したり廃棄したりする時間や手間を短縮できる可能性があります。

3.電子化しクラウドなどに保存

3つめは法定保存文書を電子化し、クラウドなどにデータ保存する方法です。2005年に施行されたe-文書法に基づき、一定要件を満たせば、法定保存文書を含む多くの文書を電子上で作成し保存することが可能になりました。対象の文書は、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」より調べることができます。

法定保存文書を電子化し保存するメリットには、紙書類を保存するためのスペースを省けることや、紙書類の印刷・廃棄に関わるコストを削減できることなどが挙げられます。運用コストを抑えつつ高いセキュリティレベルを保ちたい場合は、クラウドサービスの導入が有効です。クラウドサービスであれば、自社システムを増強することなく、アクセス制限や閲覧・ダウンロードログの管理など、様々なサービスを利用することができます。

また、電子帳簿保存法が2022年1月に改正され、この改正によってさらに企業で取り扱う書類の電子化が進むことが予測されます。企業が電子データで受け取った領収書や請求書などの国税関係書類は、電子データとして保存する義務が生じるのです。完全移行までに2年間の猶予期間は設けられましたが、電子化の流れはますます加速していくことでしょう。

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※参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/syourei.pdf

セキュリティに考慮した文書管理をShachihata Cloudで

企業で扱う文書には、保存期間が定められている法定保存文書があることが分かりました。企業にとって重要な法定保存文書の管理は、セキュリティや管理のしやすさを考慮することが重要です。
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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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