近年、政府・民間問わず社会全体で脱ハンコの動きが活発化しています。現代日本が抱える諸問題の解決に、脱ハンコの効用が大きな役割を担っているためです。
本記事では、脱ハンコの流れがいつから始まったのか、メリット・デメリットを解説いたします。手順や注意点、導入事例も紹介していますので、脱ハンコを進めたい企業の方はぜひ参考にしてください。
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脱ハンコとは、ビジネスや行政の手続きなどにおけるさまざまな押印作業をなくす取り組みのことであり、ハンコレスとも呼ばれています。近年の働き方改革や災害・コロナ禍による就業スタイルの多様化も、脱ハンコを加速させる要因です。
日本では、文書のデジタル化に関する法律の整備が進められてきました。政府・民間問わずペーパーレス化が推奨され、電子文書に関する義務化も徐々に拡大しています。
デジタル化の波の後押しを受けて注目されたのが脱ハンコの動きです。9割以上にもおよぶ行政手続きにおいても、ハンコレスが実現しています。2020年から2021年にかけての法改正やデジタル庁の設置などからもわかるとおり、社会全体にICT(情報通信技術)が波及しているのです。
脱ハンコの必要性を、次の5つの視点から考えてみましょう。
近年増加しているテレワークのさらなる普及・定着には、脱ハンコが不可欠です。あらゆる場所で決裁ができなくては、業務上の完全な非対面化は実現しません。
改正電子帳簿保存法では、要件が緩和する代わりに、電子取引における電子データ保存の義務化が定められました。また、資本金1億円以上の大企業等における電子申告の義務化も、脱ハンコを必要とする理由の一つです。
進む少子高齢化の中で、いかに少ない労力で効率的に業務を遂行するかが重要な課題となっています。脱ハンコが進めば、時短勤務や出社を要しないワークスタイルが選択しやすくなります。よって、育児・介護と仕事の両立が以前より容易になり、潜在的な労働力を活用できるでしょう。
企業リソースの有効活用にも脱ハンコが欠かせません。脱ハンコが定着できれば、紙の書類への押印作業にかかる用紙代やインク代、プリンターの保守・管理費などが削減できます。
脱ハンコで紙の使用量を大幅に減らすことができれば、地球環境の保全にもつながります。エコロジーの観点からも、脱ハンコの有効性は計り知れません。
脱ハンコを進めると、次のようなメリットが得られます。
業務フローの中で負担となりがちな押印作業を省くことで、業務が効率化します。スムーズな業務遂行により、生産性の向上が期待できるでしょう。また、不要な業務フローの削減は、コスト削減にも効果的です。
業務フローの見直しおよびセキュリティ対策の徹底により、コンプライアンスが向上します。手作業によるヒューマンエラー防止や、文書改ざんなどの不正の抑止力にもなる点も大きなメリットです。
脱ハンコは、在宅勤務・テレワークなどさまざまな働き方に対応できるワークフローの構築に欠かせません。押印のためだけの出社がなくなれば、時間や場所に制限されない新しい就業スタイルを確立できます。
脱ハンコは自社や取引先にさまざまなメリットをもたらす手段ですが、以下のような問題がある点を考慮した上で導入を検討してください。
文書のデジタル化や脱ハンコには、バックオフィスシステムの見直しと電子契約サービスの導入が不可欠です。新システム・サービスの導入および運用・保守管理には、少なからず費用がかかります。とはいえ、DXのコストパフォーマンスを考えれば、メリットのほうが上回る可能性が高いでしょう。
現時点でデジタル化が認められていない下記の書類を取り扱うビジネスおよび手続きにおいては、引き続きハンコによる押印が求められます。
とはいえ、当初はデジタル化できなかった不動産関連の書類のデジタル化も進んでいることからもわかるとおり、脱ハンコの流れは今後もさらに進展していくでしょう。
脱ハンコの新体制に慣れるまでは、実務を担う従業員の負担が増えるかもしれません。しかし負担増加は一時的であり、慣れてしまえばむしろ負担を減らせるため、長い目で見て業務フローの効率化が図れます。
脱ハンコを進めるうえで必要が無いのは「ハンコ」なのか「印影」なのか区別する必要があります。印影とはハンコを捺して紙に写ったもののことを指し、ものとしてのハンコとは全く別物となります。
印影には何かを合意・承認したことを目に見えるしるしとして残すという意味合いがあります。脱ハンコを実施するからといって、印影までなくしてしまうと一目で誰が合意・承認を行ったか分からなくなってしまうので、逆に業務の効率が落ちてしまう可能性があります。
脱ハンコだからといって、無理やり印影をなくす必要はありません。脱ハンコのそもそもの問題は決裁や承認の仕組みがデジタル化やリモートワークに対応していなかったことが挙げられます。印影が見える電子印鑑を使って、あまりビジネスプロセスが変わらないようにする方が現場のストレスが少ないのではないでしょうか。
脱ハンコの進め方は、下記5つのステップを踏んで進めましょう。
まず、自社の課題と脱ハンコ導入の目的を明らかにし、適用範囲を決めます。一気に広範囲へ導入しようとすると失敗しやすいため、各フェーズにおける脱ハンコの必要性を見極め、整理しながら進めてください。
次に、自社に適したバックオフィスのDXツールを選びます。ツール・システムの具体例は以下のとおりです。
上記すべてをカバーできるプランがあるサービスなら、バックオフィスをまとめて見直せます。
続いて、従来の押印を前提とするワークフローから、ハンコレスのプロセスを再構築します。社内規定を改革し、業務マニュアル内容を見直しましょう。
運用前に、構築した新プロセスを社内へ通知します。あわせて、社外の取引先にも脱ハンコの導入と経緯を知らせ、リモートワークへの理解を得なければなりません。
社内外の体制が整ったら、実際に電子契約システムをスタートします。運用しながら効果の検証を行い、新たに浮上した脱ハンコの問題点があれば解決し、より良いシステム構築を目指しましょう。
脱ハンコを進める際は、以下3つのポイントに注意してください。
脱ハンコを導入する場合、法令を正しく理解する必要があります。電子化できない文書があってはハンコレスが実現しません。法律上、電子化して良い文書なのかを正確に把握しておきましょう。
新システムを突然導入しても、対応しきれず思わぬトラブルを招く原因になるかもしれません。実際に業務で使用する従業員が新システムに無理なく移行できるよう、テスト期間や研修会を実施し、理解度を深めつつ徐々に脱ハンコを導入することをおすすめします。
バックオフィスツールをデジタル化して脱ハンコのシステムにすると、サイバー攻撃や不正アクセス等のおそれがないとは言い切れません。セキュリティ対策を徹底し、被害に遭う危険性を最小限に抑えましょう。
「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」における脱ハンコ導入の成功事例を4つご紹介いたします。
クラウドシステム導入によるデジタルとアナログの両立で脱ハンコと組織DXを実現
数日かかっていた紙の書類への押印作業を、DXで最短120分に短縮
根強い「紙文化」をDXし、決裁にかかる時間感覚が10分の1に減少
DXでハンコ出社をなくし、ワークフローを買えないまま一部門だけで数千万単位のコストを削減
現代のビジネススタイルにおいて、脱ハンコは欠かせないプロセスです。業務の効率化だけではなく、セキュリティ対策の見直しや多様な働き方などのメリットを得られます。ただ、DXの費用負担を考慮すると、コストパフォーマンスが高いシステム・サービスを選定することが大切です。また、法律の正しい理解や煩雑な導入手順、大幅な業務手順の見直し等がネックになり、脱ハンコが進まない企業もいらっしゃるのではないでしょうか。
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