この記事でわかること
電子印鑑を使えば、紙書類への押印に必要だったすべての手順がパソコン上で完結します。改正電子帳簿保存法などによりビジネス上の書類のデジタル化が順次進められる中、契約や決裁の効率化には電子印鑑が不可欠です。
電子印鑑はExcelでも無料で手軽に作成できますが、ビジネスでの使用に問題がないか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、 Excelを使って電子印鑑を作成する手順やメリット・デメリットをふまえ、ビジネス上での適切な使い方について考えていきましょう。
なお、Shachihata Cloudでは、BtoB企業様向けに「電子印鑑から始める働き方改革のためのDX成功ガイド」資料を提供しております。
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ここでは、スキャンした印影をエクセルに反映させる手順をわかりやすくご紹介します。
エクセルで作成する電子印鑑のクオリティを高くするため、紙に押印する際には、以下の二点に注意しましょう。
鮮やかな印影にするためには、背景となる紙の色が重要です。純白の紙を使用することで、スキャン後の画像がくっきりと映し出されます。光沢のないマットな紙を選ぶと、インクの滲みが抑えられ、より鮮明な印影が得られます。
また、印鑑を紙に押す際、印影が薄いと画像として取り込んだときに不鮮明になる可能性があります。均一な力で丁寧に押すことが、仕上がりを左右する重要なポイントです。インクの量が均等になるよう、押印する前に試し押しをするのもおすすめです。
印鑑を押した紙をスキャンする際には、印影を鮮やかにするため、スキャナーの解像度を高解像度(例:300dpi以上)に設定しましょう。解像度が低いと画像が粗くなり、トリミングや背景透過時に仕上がりが劣化する原因になります。また、色補正機能がある場合は「自動補正」をオンにしておくと便利です。
スキャナーがない場合、スマートフォンで撮影する方法も選べます。撮影時はなるべく明るい自然光の下で影を避けて行い、平らな場所に紙を置いて撮影すると良いでしょう。また、画像編集アプリを使えば、撮影後に明るさやコントラストを調整し、スキャナーに近い品質に仕上げることが可能です。
PDFとしてスキャンした場合は、Adobe Acrobatのスナップショットツールで印影部分を切り出します。範囲を丁寧に指定することで、不要な余白を取り除きましょう。PDFツールがない場合でも、無料のオンラインツールを活用すれば代用可能です。
Excel画面の「挿入」タブから「画像」を選択し、スキャンした印鑑の画像を貼り付けます。スマートフォンで撮影した場合も同様の手順で取り込むことが可能です。画像が複数枚ある場合、必要な画像だけを選び、不要なファイルをExcel上に表示させないよう注意しましょう。
挿入した画像のサイズが小さすぎる場合、画質が粗くなりやすいため、スナップショットツールで切り出す前に拡大しておくことをおすすめします。Excel内で画像の拡大縮小を行う際は、元画像の縦横比を保ったまま調整することで、歪みのない仕上がりになります。
トリミング後、画像の背景を透過する準備として、余計な余白を取り除きましょう。トリミング機能を使って余白をカットすると、画像の見栄えが整います。Excelの「図ツール」内にある「書式」タブを活用すれば、トリミングや色調補正が簡単に行えます。
印影が文書内で自然に見えるよう、周囲の文字や図形とのバランスを考えながら位置を微調整してください。ガイドラインを表示させると、中央揃えや均等配置が容易に行えます。
文書に使用しやすいサイズに調整します。大きすぎる印影は不自然に見えるため、実物の印鑑に近いサイズ感が理想です。
電子印鑑の画像は、背景を透過できるPNG形式で保存するのが最適です。この形式はExcelやPDFファイルにそのまま貼り付けることができるため、利便性が高まります。一方でJPEG形式では透過ができず、データ圧縮による画質劣化のリスクがあるため注意してください。
続いて、エクセルの図形挿入機能を活用する方法をみていきましょう。具体的には以下の手順となります。
Excelを開き、「挿入」タブから「図形」を選択しましょう。表示される図形一覧から「円/楕円」を選び、シート上でドラッグして円形を描きます。このとき、Shiftキーを押しながらドラッグすると、きれいな正円が描けます。
枠の大きさは、最終的に使用する文書のフォーマットに合わせて調整しましょう。また、電子印鑑に独特の個性を出したい場合は、楕円形や角丸四角形など他の形を選ぶこともできます。これにより、デザインの幅が広がります。
作成した枠の外観を調整することで、印鑑らしいデザインに仕上げることができます。
外観を調整する際のポイントは以下の3点です。
枠線の色を変更する際には、枠を選択した状態で、「図形の書式」タブから「図形の枠線」をクリックし、カラーを朱色に設定します。一般的な印鑑の色に合わせる場合は朱色になりますが、好みや用途に応じて、濃淡を調整しても問題ありません。
また、枠線のスタイルを「二重線」に設定することで、より本物らしい印影を表現できます。「線の太さ」を調整すれば、印鑑の存在感を高めることが可能です。また、「線の種類」から点線や破線を選択することで、ユニークなデザインも作れます。
枠内を透明にするには、「図形の塗りつぶし」を「塗りつぶしなし」に設定します。これにより、印鑑の内部に文字を入力するスペースを確保できます。
枠の完成後は、一度全体を確認して印鑑らしさが出ているかをチェックしましょう。
「挿入」タブから「テキストボックス」を選択し、枠内に配置します。「縦書きテキストボックス」を選べば、文字列を縦にすることが可能です。
入力する文字は氏名や役職名など、利用者にあわせて設定してください。フォントの選択はデザインの仕上がりに大きく影響します。一般的な書体ではなく、印鑑向けの特殊なフォントをダウンロードして使用すると、より本格的な印影を再現できます。
文字の色は枠線と同じ朱色に設定し、文字サイズやスタイルを調整します。場合によっては、ワードアート機能を利用して文字に影や斜体を加えることで、独特の風合いを出せます。
日付を入れる場合は、手動でテキストボックスに書き込みます。また、印鑑枠内にあるセルに「TODAY関数」を使用すると自動で現在の日付が表示されるので、これを活用する手もあります。関数は毎回手動で日付を入力する手間を省くことができ効率的です。
仕上げの工程として、作成した電子印鑑を1つのまとまりとして扱えるようにします。
まず、テキストと枠線の位置関係を整えます。Excelでは「配置」機能を使うと、中央揃えや上下のバランス調整がスムーズに行えます。整列ができたら、枠と文字を両方選択し、右クリックから「グループ化」を実行しましょう。これで印鑑全体を一体のオブジェクトとして移動や拡大縮小できるようになります。
完成した電子印鑑は、PNG形式で保存しておくのがおすすめです。背景を透過できるため、契約書や申請書などさまざまな文書に違和感なく貼り付けられます。「図として保存」を選び、管理しやすいフォルダに保管すると便利です。
1.アドインを選択する
無料で利用できるExcel用アドインは、Web上で多く公開されています。「Excel 電子印鑑 アドイン」と検索し、自分の用途に合ったアドインを選びましょう。評判やレビューを確認して信頼性の高いものを選ぶのがポイントです。
アドインの提供元からファイルをダウンロードし、Excelの「ファイル」メニューから「オプション」→「アドイン」を選択し、ダウンロードしたアドインを追加します。ダウンロードしたアドインにインストール手順が添付されている場合はそれに従ってください。
インストール後、アドインの設定画面で印影のデザインやフォント、カラーを選択します。あらかじめ設定した内容をテンプレートとして保存できるアドインもあり、繰り返しの作業が効率化できます。
Excelで作成した電子印鑑を使う際、その押し方は作成方法によって異なります。ここでは、スキャンや図形で作成した電子印鑑と、アドインを利用して作成した電子印鑑の押し方をそれぞれ解説します。
Excelに押印するには、まず作成した電子印鑑をPNGやJPEG形式で保存し、「挿入」タブから画像として読み込みます。取り込んだ後は、サイズや位置を調整してシート上に自然に配置しましょう。
PDFへの押印は、Adobe Acrobat Readerを使うとスムーズです。PDFを開き、「ツール」から「スタンプ」→「カスタムスタンプ」を選び、保存してある電子印鑑を登録します。以後は「スタンプパレット」から呼び出してクリックするだけで、指定の場所に印影を押せます。
電子印鑑用のアドインを導入すると、Excelのリボンや右クリックメニューに電子印鑑の項目が追加されます。そこから登録済みの印影を選び、挿入したいセルや位置をクリックするだけで押印が完了します。必要に応じて大きさや配置を変更でき、よく使う印鑑はリボンに登録しておくとさらに効率的です。
なお、アドインによっては1つの名称に対して1種類の印鑑しか登録できないものもあります。その場合は異なる名前で複数の印鑑を登録し、用途に応じて使い分けると便利です。
電子印鑑をエクセルで作成する主なメリットは、以下の3点です。
いずれも業務の効率化につながる利点であり、経理や総務の担当者にとって便利な方法といえるでしょう。
元々パソコンにインストールされているExcelで電子印鑑を作成すれば、費用が一切かかりません。「電子印鑑を使用したいけれどコストはかけたくない」と考える方にとって、無料で作成できるのは大きなメリットです。
Excelの電子印鑑は、特殊な操作スキルがなくても簡単に作成できます。仕上がりにこだわらなければ、作成に長時間を要することはありません。急きょ電子印鑑が必要になったとき、Excelならすぐさま作成することが可能です。
また、Excelで作る電子印鑑は、形やフォント・色など、機能の範囲内なら自由自在です。電子印鑑に記載する情報も任意で設定できるうえ、保存してある内容の変更も瞬時に行えます。
電子印鑑はデジタル書類にそのまま押印できるため、紙に出力する必要がなくなり、ペーパーレス化が実現します。脱ハンコの手始めとして、電子印鑑から徐々に移行するのもおすすめです。ペーパーレスになれば、別途保管場所を確保する必要がありません。書類の検索も手軽にでき、書類自体の劣化を防げます。
電子印鑑をエクセルで作成する主なデメリットは、以下の3点です。
エクセルで電子印鑑を作成する方法は手軽で便利な一方、注意すべき点もあります。これらのリスクを理解した上で利用範囲を検討することが大切です。
Excelで作成した電子印鑑は単なる画像データであり、押印者が本人であることを証明する「真正性」を担保できません。法律で求められる「本人性」や「非改ざん性」の条件を満たすことができず、外部との契約や重要な文書への使用には適しません。特に電子署名法などの法的基準を考慮すると、Excelの電子印鑑では法的効力を十分に発揮できない点が大きなリスクです。
Excelで作成した電子印鑑は、誰でも簡単に編集やコピーが可能な点がメリットでもありデメリットでもあります。シンプルな画像データであるため、他人による不正利用や偽造が容易です。また、実物の印影を取り込んだ場合でも、スキャナーや画像編集ソフトを使用した複製が行いやすく、セキュリティ面での課題が残ります。このようなリスクから、信頼性が求められるビジネス文書には適していません。
Excelでは基本的な図形やフォントを利用して電子印鑑を作成できますが、複雑なデザインや独自性を追求するには限界があります。特に、特殊な書体や細部にこだわった印影を作る場合、専門的なデザインスキルや有料の追加ツールが必要になる場合もあります。手軽さが失われ、コストや時間がかかるケースもあります。
エクセルで作成した電子印鑑は、主に社内の稟議書や回覧資料、確認用のチェックシートといった、法的効力が求められない文書に活用できます。簡易的な承認や確認作業であれば十分に役立ち、日々の業務をスムーズに進めることが可能です。
ただし、前述のとおり真正性には乏しく、契約書や請求書など法的拘束力を持つ重要な書類に使用するのは避けるべきです。利用する際は、使用範囲を明確に区別して活用することが大切です。
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