働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。この動きはものづくりを行う製造業においても例外ではありません。
本記事では、製造業DXとは何か、事例のご紹介を交えながら、推進の方法と成功させるためのポイントをご説明いたします。
はじめに、製造業DXの概要をご説明いたします。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略であり、企業などがデジタル技術やデータを活用することで商品・サービスやビジネスモデルを変革し、競争優位性を確立することをいいます。中でも製造業DXとは、製品・サービスを製造するプロセスから販売後まで、データとデジタル技術を用いて一元管理し、生産性・安全性を高めながら品質向上を目指す、製造業における改革をいいます。
製造業の現場においては、経験やノウハウが属人化しやすく、組織として知見を貯めていくことが難しいとされています。また、人手不足は深刻な課題です。先々の未来を見据え、事前に変化を予測し、事業成長を続けていくためには、製造業DX推進は欠かせないものだといえます。
▼DXの意味や国内の現状について詳しく知りたい方はこちら
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味と国内の現状を分かりやすく解説
本記事では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の意味を分かりやすく解説しています。国内のDX推進における現状と課題について、背景にある「2025年の崖」問題や、先進事例を交えてお伝えします。今から着手できるDX推進の取り組みも参考にしてください。
では、国内における製造業DXはどのような段階まで推進できているのでしょうか。経済産業省・厚生労働省・文部科学省が発表している「2021年版 ものづくり白書」をもとに、状況をお伝えいたします。
製造業はコロナ禍の影響を大きく受けており、全体的に売上高・営業利益とも減少傾向にあり、今後3年間の見通しも減少が見込まれ、先行き不透明な状況が続きます。このため設備投資額も控える傾向にあり、コストを削減しながらも、限られたリソースで事業継続を図らなければならない厳しい状況です。
国内の製造業就業者数については、2002年の1,202万人から2020年には1,045万人と、約20年間で157万人減少し、全産業に占める製造業就業者の割合も減少傾向にあります。人材確保が難しい中で技術継承も困難となっており、社内のあらゆるシステムの運用状況は属人化しています。
このように業績低迷、人材不足を背景に、製造業DXに早く取り組まなければならない状況ではあるものの、多くの製造業の企業では未着手の状態といわれています。政府の支援も受けながら、自社の役割を理解した上で、戦略的にDX投資を進めていくことが日本の製造業には求められています。
参考:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2021/pdf/gaiyo.pdf
推進が急務となっている製造業DXですが、現状を踏まえると、失敗しないよう次のポイントを押さえる必要があるといえるでしょう。
一つ目は、取り組みやすい課題からスモールスタートすることです。抜本的な改革には大きな投資が必要であり、失敗したときのリスクが大きくなります。少額の投資で始められ、かつ成果が上がりやすい検討事項から着手するように心掛けましょう。
二つ目のポイントは現場を巻き込むことです。製造業DXは他の企業以上に、ものづくりを実際に行う現場から変わらなければ、企業として変わることができません。そのため取り組みもトップダウンで押し付けるのではなく、現場の実態を踏まえ、現場の教育を行うと同時に、施策に丁寧に落としていく工程が必要となります。
三つ目のポイントは、取り組みの成果を可視化・数値化することが挙げられます。新しいデジタルツールなどを導入する際には、はじめのうちは拒否反応を示されることもあります。取り組みによってどの程度の時間短縮やコスト削減に繋がったのかが数値化されれば、取り組む意義がわかり、現場にも受け入れられやすくなります。
ここで、必要に迫られDX推進を開始した製造業2社の取り組み事例をご紹介いたします。製造業においては紙を取り扱う文化が根強く残っている企業が多い特徴がありますが、両者はツールを上手く使いながらペーパーレスを実現し、生産性を向上させています。
株式会社ヤシマナダは、大径角形鋼管「コラム」を“切断して販売する”という事業を、昭和55年に全国で初めてスタートさせた会社です。新型コロナウイルスの感染拡大を機に在宅勤務対応が必要となり、電子決裁・電子印鑑サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」の導入を決めました。
同社では正式な書類については、証跡として印鑑が欠かせませんでした。そこで「押印する」という業務プロセスはそのままに、電子印鑑を簡単に押せる仕組みが注目されました。導入によって決裁にかかる時間は10分の1程度まで短縮させることができ、紙文化からスムーズに転換できたといいます。
▶株式会社ヤマシナダ様の事例について詳しく知りたい方はこちら
釣り用品、ゴルフ用品、テニス用品、サイクルスポーツ用品などを製造・販売するグローブライド株式会社では、Excelで帳票を作成していましたが、帳票フォーマットを電子化するためのリードタイムやコストが課題となっていました。バトンリレー形式で単純に承認申請だけ行えて、帳票フォーマットは現場が自分で開発できるワークフロー製品を探し、セキュリティや使い勝手を考慮し「Shachihata Cloud」を導入しました。
帳票フォーマットの作成が簡略化されたことに加え、外出時や在宅勤務時でも、承認が行えるようになり、意思決定のスピードが向上したといいます。
▶グローブライド株式会社様の事例について詳しく知りたい方はこちら
この他にも、総務省の「製造業DX取組事例集」には、様々な製造業の先進事例が紹介されているので、参考にしてみると良いでしょう。
参考:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000312.pdf
最後に、製造業DXを推進することによるメリットを整理してお伝えいたします。
製造業が深刻な人手不足に陥っていることは先にご説明した通りです。製造業DXが進めば、これまで人が行わざるを得なかった業務を、ロボットやAI技術を活用して代行できるようになります。人件費、採用・育成コストを削減でき、人材不足の解消に繋がることが期待されます。
また、製造業DX推進によって、設備投資のコストも削減できるメリットがあります。IT技術を活用すれば、設備の点検や異常状態の管理もデジタルで行えるようになります。メンテナンスにかかる対応を押さえながらも、事故防止にも繋げられます。
そして、製造業DX推進によって、業務の生産性向上を実現できるようになります。製造現場の業務が自動化されれば、人が本来集中すべき業務に邁進できます。さらには現場で収集したデータを活用すれば、生産量の見立てを正確にできるようになったり、製造工程の無駄を省けるようになったりと、多くのメリットがあります。
今回は製造業DXの実態や取り組み事例、推進によるメリットをご紹介いたしました。まずはできることからスモールスタートさせ、小さくても成果を上げることから始めていきましょう。そこでおすすめなのが、電子決裁・電子印鑑サービス「Shachihata Cloud」の導入・活用です。導入事例でもご紹介したように、なかなかなくすことができない押印のプロセスはそのままに、手段だけオンラインで実施できるようになり、現場の混乱を最小限に留めながらも生産性向上を図ることができます。
無料トライアルも実施中ですので、これから製造業DXの取り組みを強化していきたい企業の方はぜひお問い合わせください。
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