普段利用する印鑑には、実印・認印・銀行印など様々な種類がありますが、それぞれの役割をご存知でしょうか。本記事では実印とはどのような印鑑なのか、その役割や利用シーン、規定について、認印・銀行印との違いに触れながらご説明します。管理上の注意点についても合わせてご紹介します。
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印鑑の中で、実印はとても重要な意味を持つ役割として用いられています。実印が他の種類の印鑑と大きく異なるのは、法的効力を持つという点です。
実印とは、住民登録をしている市区町村の役所に届け出を行い、印鑑登録をした印鑑のことをいいます。法的効力を持ち、不動産取引や住宅ローンなどの契約書で使用します。
法人の場合には「会社実印」や「登記印」、「代表者印」、「丸印」などとも呼ばれ、商業登記法20条の定めにより、法人設立時に法務局への登録が求められます。
印鑑登録時には、印鑑登録証明書が発行されます。実印と印鑑登録証明書は、いずれも自分(自社)の財産や権利を守るために重要であり、厳重に管理しなければなりません。
▼実印作成のポイントについて知りたい方はこちら
実印作成のポイント 作成時の規定から登録の方法まで解説
日本人にとってなじみ深い印鑑。いくつか種類があり、その中でも実印は本人証明にもなる重要な印鑑です。実印として使用するためには、役所に登録する必要があります。サイズや刻印の規定をはじめ、セキュリティ上の注意点など、知っておくべきポイントをご説明します。
法人の実印の印面サイズは、商業登記規則第9条により、直径1cm以上3cm未満と規定されています。18.0mmまたは21.0mm、形状は二重の丸形が一般的です。
また、「照合に適するものでなければならない」と定められているため、ゴム印やいわゆるシヤチハタは会社の実印として使えません。耐久性に優れた素材で作成しましょう。
実印の内容としては、外側の円には会社名が入り、内側の円には代表者の役職(「代表取締役印」、「代表者印」など)が刻印されます。個人名は不要です。
書体は可読性よりも偽造防止を重視して作成されるため、吉相体(きっそうたい)や篆書体(てんしょたい)など、崩れた文字が用いられます。規定はありませんが、セキュリティを考慮した書体を選びましょう。
実印は法人設立時以外だと、代表取締役を変更する際や、株券を発行する際、企業買収を行う際など、体外的な重要な局面で押印します。
会社の実印・印鑑登録証明書は、なくさないように厳重に管理しますが、万が一紛失した場合には、すぐに管轄の法務局に届け出て、失効させることが必要です。
また、第三者による盗難が疑われる場合には、警察にも紛失届を提出しましょう。
次に、認印の定義や利用シーンについてご紹介します。
認印とは、印鑑登録を行っていない印鑑のことをいいます。法人でいう認印とは、「角印」、「社印」などと呼ばれる印鑑を示します。
▼角印・社判・社印の違いについて詳しく知りたい方はこちら
角印とは?社判とは?社印とは?それぞれの違いを説明
企業では、代表者印や角印などいくつかの印鑑が使い分けられていますが、社判とは何を指すのでしょうか?企業で使われる印鑑の種類や、いま検討すべき印鑑電子化にあたっての注意点にもふれています。
会社の認印である角印の印面は、その名の通り四角い形状をしています。
印鑑登録を行うわけでもないためサイズに規定はありませんが、一般的には18.0mm〜24.0mmで作成されます。実印と銀行印よりも大きいサイズで作成することをおすすめします。
会社の認印(角印)には、会社の正式名称か、会社の正式名称+「印」または「之印」を縦書きで刻印します。会社名がアルファベット表記の場合は横書きにしても問題ありません。
書体は実印よりも可読性に重きを置くため、やや読みやすい篆書体や古印体(こいんたい)などが用いられます。
認印は日常的に使用される印鑑で、社内書類をはじめ、取引先へ頻繁に提出する書類などに押印されます。具体的には発注書や見積書、請求書、領収書、その他対外的な契約書や、社内の稟議書などにも用いられることがあります。
ただし、認印は届け出ている法的効力のある印鑑ではないので、あくまで商習慣として押印されています。
インクが内蔵されたスタンプタイプのゴム印、いわゆるシヤチハタと呼ばれる印鑑は、認印として使えるのでしょうか。シヤチハタは荷物の受取確認や回覧物の確認などの用途としては、便利に活用できます。
しかし、ゴム印であるため時間の経過とともに摩耗・変形することも考えると、法人で使う印鑑としてはあまり適切ではないでしょう。また、公的な書類には利用できません。
銀行印とは、金融機関に印影を届け出ている印鑑のことをいいます。個人・法人を問わず、金融機関での口座開設の際に登録することになります。お金を預けている人が本人であるかどうかを証明する役割を担っており、お金の管理には欠かせない印鑑といえます。
銀行印は重要度の高い印鑑のため、ゴム印などを利用することはできません。しかし、実はそれ以外に明確な規定はありません。
規定が明確にないとはいえ、偽造されるリスクの低い印鑑を作ることが大切であり、オリジナルの印鑑を作成して登録します。
銀行印のサイズは、他の印鑑と区別するため、一般的には認印よりも大きめ、実印よりも小さめに作成します。具体的には12.0mm〜15.0mmの範囲に収まるサイズ良いでしょう。
形は実印と同じく二重の円形です。
法人の銀行印には、外側の円に会社名、内側の円には「銀行之印」と刻印します。
印鑑に用いられる主な書体としては、可読性の高い方から順に、古印体・隷書体・篆書体・吉相体などが挙げられます。
銀行印は重要性が高く、偽造による損害の大きい印鑑であるため、読みにくくはなりますが篆書体や吉相体が向いているとされます。
法人の場合の銀行印は、口座開設のほか会社の預金の支払い、手形・小切手を発行する際の押印などに用いられます。
実印と認印(角印)、銀行印それぞれの違いを表にまとめると、次の通りです。
(表)実印・認印・銀行印の違い
印鑑種別 | 実印 | 認印 | 銀行印 |
別名 | 会社実印登記印代表者印丸印 | 角印社印 | – |
届け出の要否 | 必要※法務局へ登録※個人の場合は市区町村へ登録 | 不要 | 必要※金融機関へ登録 |
印面の形状 | 円形(二重) | 四角 | 円形(二重) |
サイズ | 中18.0mm〜21.0mm | 大18.0mm〜24.0mm | 小12.0mm〜15.0mm |
刻印内容 | 会社名+代表者の役職名 | 会社名(+之印) | 会社名+銀行之印 |
主な役割 | 法的手続きで効力がある証明となる | 会社で取り扱う様々な書類に日常的に使用 | 金融機関で効力がある証明となる |
主な用途 | ・不動産取引 ・ローン契約 ・自動車購入など |
・宅配便や郵便物の受け取り確認 ・使用頻度の高い社内文書の確認など |
・口座開設時・預金の支払い・手形や小切手の発行など |
実印・認印・銀行印いずれも本人であることを証明する役割を持ちますが、届出の有無と、盗難や偽造された場合のリスクに違いがあります。
実印は役所へ印鑑登録をする必要のある印鑑で、住宅購入といった不動産取引など重要な局面で使用される印鑑です。認印は届出の必要はなく、広く日常的に使用される印鑑です。銀行印は金融機関に届け出る必要のある、財産に関する重要な印鑑です。
最後に、実印を取り扱う際の注意点をお伝えします。
実印や銀行印、認印にはそれぞれ異なる役割があり、利用頻度や重要度が異なります。印鑑を兼用することで悪用されるリスクが高まるため、同じ印鑑を使い回すことは避け、それぞれ別々の印鑑を用いましょう。
特に実印や銀行印は会社の重要な局面において用いられる印鑑のため、紛失や盗難防止には細心の注意を払う必要があります。適切な管理者を立てて厳重に取り扱いましょう。
認印(角印)であっても、比較的幅広い方が利用する印鑑ではありますが、会社の意思を示す印鑑であり、紛失リスクを考慮すると、誰もが簡単に利用できるような状態は避けたほうが良いでしょう。管理職までなど管理者を決めることが大切です。
本記事でご紹介したように、物理的な印鑑は紛失や盗難のリスク防止策を十分に講じる必要がありますが、電子印鑑を用いる場合には、その心配はありません。セキュリティに注意しなければならない点は同じではありますが、シヤチハタの提供する「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」の電子印鑑サービスをご利用いただくと、高セキュリティな仕組みで業務効率化を図ることができます。社内文書や契約書の承認や回覧業務もスムーズに行えます。昨今のリモートワークの普及により、電子印鑑を利用する企業が増えてきました。これを機にまずは無料トライアルで導入を検討してみてはいかがでしょうか。