電子印鑑とは、パソコン上の文書に印鑑を押印できるようにしたシステムです。
紙に印鑑を押印するのと同じように、電子印鑑はPDFやExcelなどで作成したデータに直接押印できます。書類の作成がパソコン上で完結するため、わざわざ印鑑を準備して押印する必要がなく、また印鑑の紛失や破損の心配も要りません。
このように、実際の印鑑に比べ手軽そうな電子印鑑ですが、実際のところ
「そもそも電子印鑑を目にしたことがない」
「電子印鑑は普通の印鑑とどう違うの?効力はあるの?」
といった疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
ここでは「印鑑」の役割に触れながら、電子印鑑の効力や普通の印鑑との違いについてご説明していきます。
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日々の業務をこなす中で、毎日多くの書類に触れ、印鑑を使用する機会があるでしょう。
その中で、印鑑も様々な種類を使用していると思いますが、共通している役割は、本人が押印したことを証明することと、押印した書類が改ざんされていないことを証明すること、の2つです。押印する書類の重要度や種類によって、押印する印鑑も変わってくるので、まずは従来使用されている印鑑の種類についてここで改めて確認しておきましょう。
会社で使用する印鑑の種類やそれぞれの持つ役割や効力はどんなものなのか、以下にピックアップしてみました。
会社の実印としての役割があり、会社で使用する印鑑の中で最も大きな効力を持ちます。
会社設立の際は法人登記を行いますが、その時に代表者印の届出義務があるため、必ず作成しなければなりません。
代表者が会社を代表して重要な契約を締結する時に使用されます。
用途の例)
・株券を発行する時
・代表取締役の変更があった時
・法人が不動産を売る時
・不動産を担保に入れる時
・連帯保証をする契約を結ぶ時
・企業買収する時
会社における認印としての役割を持ちます。
代表者印ほどの効力はないものの、会社が発行した正式な書類であることを明確にし、信頼性を高めるという効力を持っているといえます。
会社の印鑑証明書の添付が必要でない程度の契約書を作成する時に使用されます。
用途の例)
・見積書、請求書、領収書、発注書を発行する時
・通達などの社内文書を発行する時
銀行や金融機関に届出を行った印鑑のことで、会社においての資金管理の役割を担っています。
「会社の意思で資金移動することを認める」という効力があるため、資金流用など悪用されないように厳重な保管が必要となります。
お金を引き出したり、借りたりといった銀行取引全般で使用されます。
用途の例)
・銀行で口座を開設する時
・資金を引き出す時
・小切手や手形などを振り出す時
部長・課長など、役職ごとの認印として用いられる印鑑です。
会社名+役職名が刻印されており、役職者の意思表示としての効力を持ちます。
役職者は各部署の責任者としての権限を持つため、押印の効力は会社全体へと及ぶといえます。
用途の例)
・社外で契約をする時
・社内文書を作成する時
・社内決裁を承認する時
・稟議書の内容を承認する時
社員個人が社内で使用する印鑑のことです。
認印としての役割が主となり、朱肉を使う印鑑の他にシヤチハタなどが使用されます。
個人印はほとんどの場合大量生産の印鑑であることと、同姓であれば印面も同じになってしまうため、実印のような効力は期待できません。
▼印鑑のルールについて詳しく知りたい方はこちら
実印・銀行印・認印を使うシーンは?おさえておきたい印鑑のルール
印鑑には、実印や銀行印、認印など、プライベートで気軽に使用できるものから重要な契約の際に必要となる印鑑までさまざまな種類が存在します。例えば朱肉を必要としないシヤチハタ印は、書類によって使用できる場合とできない場合があります。今回はいざというときに適切な印鑑を選択できるように、印鑑の種類の違いや印鑑を使用する際に知っておきたいルールについて詳しくご説明します。
電子印鑑とは、電子文書に押印できるデータ化された印鑑のことを指します。作り方によって、大きく2つに分類することができます。
従来の印鑑の印影をスキャンして画像化したり、無料のアプリなどを利用したりして作る電子印鑑です。無料で簡単に作ることができるというメリットがありますが、複製が容易で無断使用されてしまう可能性が高いのがデメリットです。
複製が容易であるため、印鑑のもつ「本人性の証明」の役割を果たせているとは言い難いため、重要な書類への押印に使用することはおすすめできません。
電子印鑑の専用サービスを使って、印影データにいつどこで誰が押印したのか、などの識別情報を付与した電子印鑑です。専用サービスは有料であることが多く、コストがかかってしまうのはデメリットですが、印影を画像化した電子印鑑では担保しれなかったセキュリティが担保できることは大きなメリットです。従来の印鑑でいう実印的な使い方もできるので、ビジネス上の重要書類への押印にも使用することができます。
電子印鑑のほかにも「デジタル署名」「デジタルサイン」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これらの用語は公式に用語の定義が定められているものはありません。そのため、取引先との契約の中でこれらの言葉が出てきた場合は、何を指しているのかを確認するようにすると、話の食い違いを無くすことができるでしょう。
デジタル署名は電子署名と同じ意味合いで使われることが多いですが、その中でも特に公開鍵暗号方式を使用している署名のことを指してデジタル署名と呼ぶことがあります。
デジタルサインについても電子署名やデジタル署名と同じ意味合いで使われることがほとんどです。クレジットカードの支払いや書類への同意のために、電子端末にサインを記入することがありますが、これをデジタルサインと呼ぶこともあるため、電子署名より広範な使われ方をしていることもあります。
印鑑の役割は、「本人性の証明」と「書類の非改ざん性の証明」であることが分かりました。
では、押す印鑑によって法的効力に差があるかというと、いずれの印鑑であっても契約自体の法的効力に違いはないのです。しかし、印鑑が持つ役割を考えると、押印がない書類よりもある書類の方が信頼度は高いといえます。
普通の印鑑は、民事訴訟法第228条4項によって、その書類を本人が作成したと推定する要素として押印が有効であると認めています。
「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」
引用:https://www.meti.go.jp/covid-19/ouin_qa.html
普通の印鑑と同様のことが、2001年に施行された電子署名法の第3条に記載されており、これによって電子署名にも普通の印鑑と同じく法的効力があると考えることができます。
「本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」
引用:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji32-1.html
ここで注意したいのが、この電子署名というのが単に印影データのみの電子印鑑の押印ではない、という点です。ここでいう電子署名は、国の認定を受けた第三者機関である認証事業者が発行する電子証明書によって本人性が証明されているものを指します。
電子印鑑の使用シーンは増えていくとは考えられますが、まだまだ浸透途中ということもあるので、導入にあたっては気を付けなくてはならない点があります。
電子印鑑を社外との取引で使用したい場合は、その取引先が電子印鑑の使用を認めているかを事前に確認する必要があります。e-文書法の施行や法人税の電子申告の義務化などで、電子化を進めている企業は増加していますが、未だに電子印鑑の使用自体を認めていない企業もあります。まずは電子文書でのやり取りそのものは認められているのかを確認し、認められている場合は取引先の求めるセキュリティレベルなどを確認しましょう。電子印鑑とは、の章でご説明しましたが、電子印鑑も作り方によってセキュリティに差があります。取引先の希望を確認し、それに合った電子印鑑を作成するようにしましょう。
電子印鑑を使用する際、特に気を配らなければならないのは「セキュリティ面」ではないでしょうか。印鑑の見た目だけを再現するのであれば、フリーソフトや本物の印鑑の印影をスキャンして画像化するなどしてで簡単に作成することができます。
しかし、こういった印影データのみの印鑑は複製され悪用されてしまう危険性があります。これではビジネスでのやり取りに使用するには不安が残ります。
こういったセキュリティ面をカバーしているのが「印影に識別情報を付与した電子印鑑」です。
電子印鑑の専用サービスで作成することにはなりますが、複製や改ざんを防ぐため、電子印鑑の印影からシリアル番号や使用者情報を確認することができます。
自分で簡単に作成できる電子印鑑は一見手軽かもしれませんが、今後様々な文書へ電子印鑑を使用したい場合は、やはり識別情報が付与された印鑑の方がセキュリティ面で安心です。識別情報の内容やセキュリティ担保の方法は、各サービスによって異なるため、自社の求めるセキュリティレベルを考えて、それを満たしているサービスを選定しましょう。
▼電子印鑑のセキュリティについて詳しく知りたい方はこちら
電子印鑑のセキュリティは安全?種類や作成方法による安全性の違い
電子印鑑のセキュリティが心配だという方へ。実は電子印鑑には種類があり、種類によりセキュリティの安全性に差があります。ここでは電子印鑑の種類とそれぞれの安全性の違いについて説明し、セキュリティ対策が施された電子印鑑の作成方法も紹介しています。
ここまで、普段使用している印鑑の役割や電子印鑑の効力・注意点について書いてまいりました。
電子印鑑の文化はまだ深く根付いておらず、またセキュリティ面にも心配な点があるため、今まで通り普通の印鑑を使用する場面も多いのが実情でしょう。
しかし、環境保全のためのペーパーレス化や業務時間の短縮化が求められる現代、電子印鑑のニーズは今後ますます高まっていくはずです。恐らく、知らなかったでは済まされなくなるシーンも増えてくるでしょう。
シヤチハタの提供する電子印鑑サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」なら法的効力のある電子印鑑を作成することが可能です。さらに二要素認証やIPアドレス制限機能もあるので、ビジネスに使用できるセキュリティも担保されています。
無料トライアルもあるので、時代の波に乗り遅れてしまう前に、電子印鑑の特性を十分把握した上で、可能なところから取り入れていくのが良いかもしれませんね。
▼電子印鑑について詳しく知りたい方はこちら
電子印鑑のメリット・デメリットとは?無料で作れる方法と法的な効力
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