会社で取り扱う書類には、契約書や稟議書、注文書、見積書、納品書、請求書など、様々な種類が存在します。このような書類の管理はどのように行われているでしょうか。適切に書類を管理することは企業の信用を守る意味でも重要であり、また業務効率化にも繋がります。
そこで本記事では、会社の書類管理を効率的に行う方法や改善策、そして管理をルール化する際のポイントをご説明いたします。
はじめに、なぜ書類管理を適切に行うべきなのかを考えてみましょう。書類管理がルール化されていないと、書類が必要となる場面で探すのに時間がかかります。このような状況では仮に書類が紛失・盗難されたとしても気付けないおそれもあり、最悪の場合は悪用や改ざん被害に遭うことも考えられます。個人情報や機密情報が流出したとなれば、損害賠償責任なども発生する可能性があります。書類管理は、会社の損害や社会的信用の失墜に繋がりかねないのです。
前述のようなリスクを抑えるためにも、書類管理の役割は重要です。次に、会社の書類管理を効率的に行うポイントを2つご紹介いたします。
書類を効率的に管理するポイントの1つ目は、書類の「01作成→02承認(回覧)→03運用→04保存→05破棄」という一連のライフサイクルを理解することです。会社で取り扱う重要書類の多くには法令で保存期間が定められており、一定期間保存し続ける必要があります。処分できるようになるのはその後。なお、中には破棄せず永年保存が推奨される書類もあります。
(図)保存期間のある書類のライフサイクル
しかし、書類の期限がいつ切れるかを常に把握しておくのは、現実的に難しいといえます。かといって破棄せずにずっと保紙として書類を取り扱う場合には、保存しておけば、年々書類の保存スペースを拡張せざるを得なくなります。そのため、基本的には電子データとして管理し、ライフサイクルも電子的に管理するほうが望ましいでしょう。
2つ目のポイントは、書類を管理するためのルールを社内に浸透させ、徹底して守ることです。例えば、社内にある書類全体を管理するための台帳を作成し、書類を作成したら台帳も更新する、などがルールの一つとして考えられます。確実に台帳も一緒に更新することが重要です。
前章でご説明した通り、書類管理ルールを守らないことで紛失・盗難・改ざん・悪用などが起これば、企業は重い責任を負うことになります。書類管理は個人の問題ではなく、会社全体の問題です。従業員へ管理ルールを守る意義を丁寧に説明しましょう。また従業員教育と併せ、重要書類へアクセスできる人数を制限する・セキュリティ対策を施すなど、事故や事件が起こらない仕組みを設けると良いでしょう。
ここで、重要書類に設定されている保存期間のルールをご紹介いたします。
以下のような重要書類は性質上、永年保存が望ましいとされています。
・定款
・株主名簿
・登記・訴訟関連書類
・宮内庁への提出文書、官公署からの許可書
・許可書通達などに関する重要書類
・知的所有権の関連書類(特許証や登録証など)
・製品の開発・設計に関する重要な書類
決算に関連する書類は7年間、株主総会議事録や取締役会議事録などは10年間保存するよう定められています。
監査報告書、会計監査報告書、従業員の身元保証書などは5年間の保存が必要とされています。
雇用保険の被保険者に関する書類は4年間、労働者名簿や雇入れ・解雇・退職に関する書類などは3年間、社会保険や厚生年金保険、雇用保険に関する書類は2年間の保存期間が定められています。
その他、詳しくは次の記事をご参照ください。
▼書類の保存期間について詳しく知りたい方はこちら
【書類の保存期間ガイド】帳簿や契約書などの管理を楽にする方法
会社で扱われる書類の中には、法令で保存期間が定められているものがあります。ここでは、会社でよく取り扱われる各書類の保存期間と、書類の保存を楽にする方法についてご説明します。
▼法定保存文書とは何かについて詳しく知りたい方はこちら
法定文書の保存期間一覧 永久保存〜5年以下まで
本記事では法定保存文書として扱われる主な文書、保存期間、保存方法についてご説明いたします。法定保存文書とは、企業で取り扱う文書のうち、法律により一定期間保存することを義務付けられている文書をいいます。保存期間を正しく知り、セキュリティに配慮して管理することが重要です。
続いて、書類を管理する方法をご紹介いたします。
紙書類を取り扱う場合、管理方法としてはファイリングが挙げられます。デスクの上に書類が山積みになっている状態では、セキュリティ観点でも効率性観点でも問題です。種類別にファイルにまとめ、鍵付きのキャビネットなどで管理しましょう。
もしくは、書類を電子化して管理できればベストです。電子化する方法としては、書類をスキャナーで電子化したり、最初から電子データとして書類を作成したりする方法があります。
近年は電子帳簿保存法の改正の影響もあり、書類管理の電子化移行が加速しています。
書類を電子的に管理する方法には、次のようなメリットがあります。
書類を電子化することにより、検索性が格段に向上します。紙の場合はどうしても、ファイリングした背表紙などを手作業で探さなければなりません。しかし電子文書の場合、その書類に関連するキーワードを検索窓に入力したり、書類作成日や作成者をフィルタリングしたりして、検索をかけられるようになります。
書類が電子化されていれば素早く目的の書類を見つけられ、利便性も向上します。回覧により承認が必要となる書類も、電子データなら送受信が簡単に行えます。書類に不備があって差戻しになった場合でも、すぐにやり直しができるため効率的に業務を進められます。
また、電子データのほうが厳格な管理を行えるため、セキュリティ対策にもなります。紙で書類を取り扱う場合、書類にアクセスした人の情報を残せません。しかし、何らかのシステムを活用して電子的に管理するのであれば、書類へアクセスできる人を制限したり、一度提出した後に編集できなくさせたり、操作ログを残せたりします。
最後に、書類管理を効率的に行うためのアイデアをご紹介いたします。
極力、簡易的な方法で書類管理を行えるようにするためには、電子契約・電子決裁サービスを利用すると良いでしょう。電子決裁サービスを導入すれば、書類を電子化した上で、承認者へ回覧して押印(電子印鑑)をもらい、承認を得るまでのフローを、ネットワーク上で一元管理できるようになります。
書類を閲覧・承認・保存する場所を問わないのも大きな特徴です。例えば出張中の上司から急ぎで押印をしてもらいたい場合、上司がどこにいても、インターネット環境さえあれば、書類の内容を確認し押印することができます。出張先から戻るまで待つ必要がありません。昨今は新型コロナウイルス感染症の流行で在宅勤務をする方も増えていますが、電子決裁サービスがあれば在宅から押印手続きを行えます。
紙書類として書類を管理する場合、すぐに見つけて取り出せることが重要です。おすすめの管理法は、個別フォルダーに書類を挟み、それをファイルボックスへ収納し、さらに大きめの保存用ボックスへ収納する3段構えの形です。
個別フォルダーとは、1枚の厚紙を2つ折りにした、閉じ具のないファイルです。書類をただ挟むだけで、パンチで穴を開ける必要もありません。厚紙には見出しを付けられる山があり、ここに文書名などを記載します。
参考:コクヨ 個別フォルダー体系表
https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/product_list/folder/index.html
複数書類を個別フォルダにまとめたら、文書作成年月などでグループ単位にまとめ、それらをファイルボックスへ立てて収納します。ファイルボックスにも様々な種類がありますが、利用頻度が比較的高い書類をしまう場合は、取り出しやすいよう斜めカットタイプが適しています。背表紙には中に入っている書類のカテゴリや作成年月日などの情報を分かりやすく記載しましょう。
参考:コクヨ ファイルボックス体系表
https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/product_list/filebox/
ファイルを使ってグループ分けをすること、書類の種類と作成年月を明確にすることにより、書類のライフサイクルも分かりやすくなり、検索性が向上し効率的に管理できます。
利用頻度の低い紙書類については、ファイルボックスをさらに大きめの保存用ボックス(段ボールなど)へ収納し、社内の書庫や倉庫など、長期保存に適した場所で管理すると良いでしょう。
本記事では書類管理の方法をご紹介しましたが、契約書や見積書、納品書、稟議書といった書類は年々増えて管理は煩雑化するため、やはりこうした書類は電子決裁サービスを導入して管理する方法が望ましいといえます。
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