仕事をしていると交通費や物品購入等の立て替えなどで発生する「経費精算」。経費の精算は、時間がかかる上に書類上のミスが起きやすい業務です。インボイス制度がスタートすると経理業務が煩雑化することが予想され、さらに精算処理作業が重い負担になるかもしれません。そこで経費精算システムを導入し、業務の効率化を検討する企業が増えています。本記事では、経費精算業務の現状や課題、さらには効率化した場合のメリットや注意点なども解説いたします。
経費の対象となる主な費用は、外勤者の交通費や出張時の旅費、文具などの消耗品の費用、取引先との会食などといった接待交際費などが挙げられます。
経費精算とは、従業員が業務上一時的に立て替えた経費について精算を行い、金銭を払い戻すことを指します。精算方法としては、主に「実費精算」と「仮払精算」という2つの方法があります。
精算方法の種類 | 実費精算 | 仮払精算 |
精算方法 | 先に経費を立て替えてから精算 | 代金をいったん仮払いとして預かり 後日精算 |
社内決済 おもな流れ | ・一時的に経費を立て替え ・領収書を受領 ・経費精算書を作成 ・領収書を添付してて申請 ・所属長らによる確認、押印 、管理部門に提出 ・経理部門の確認・会計処理 ・立て替えた代金を従業員に支給 | ・経費の概算費用を計算し 仮払申請書を作成・申請 ・所属長および経理部門が承認 ・承認された費用を従業員に事前支給 ・仮払金を使って支払い、領収書を受領 ・仮払精算書を作成、提出 (領収書も添付) ・所属長らによる確認、押印 、管理部門に提出 ・経理部門の確認・会計処理 ・実際の費用と仮払金の差額を 支給または返金して精算完了 |
メリット | 精算に関する書類の作成が1度で済むので負担が少ない | 立て替えする必要がなく、従業員の金銭的負担を抑えることができる |
デメリット | 従業員の立て替えが必要 | 仮払に関する申請と精算にかかわる2種類の書類を作成する必要があり、手間がかかる |
経費精算は、発生頻度が高いにもかかわらず、完了までの作業が多く手間がかかり、ミスも起こりやすいのが現状です。そして、多くの企業が次のような課題を抱えています。
経費の精算には経費を使ったことを証明する領収書が必要です。しかし、紛失やもらい忘れ、自動で発行する機械の不具合で領収書が発行されないなど、手元に領収書が用意できないと言ったケースが出てきます。この場合、領収書は再発行ができないため、経費精算ができません。
また、Excelを使った請求書や領収書は第三者の書き換えなど、不正が懸念されることもあります。
経費処理作業では、領収書の取得や申請書作成、さらに作成した申請書類に対し所属長の承認に時間がかかることがよくあります。また、経理担当部門に申請書類を提出しても、管理ファイルへの保管や入力の負担が大きく、精算されるまでに相当な時間を要するケースも多くみられます。
これらの課題は、どの部署でも発生しており、結果的に経理担当部署の生産性低下に繋がりかねません。そのため、今ある課題を検証した上で、職場に合った経費精算業務を効率化するための施策を取り入れていくことが大切です。
経費精算の書類申請は人が行っている限り、入力ミスや計算間違いなどが発生する可能性があるでしょう。また、なるべくミスを減らそうとチェックを厳重にしていると、それだけ人件費がかかってしまいます。
また、申請書類にミスがあった場合は、差し戻して再提出となるため、ここでもまた時間がかかります。今後、インボイス制度が導入されると精算業務がさらに煩雑になることが懸念されます。
経費処理申請の承認には所属長の押印と経理部門の対応が不可欠です。しかし、所属長が会議で不在していたり、経理部門の担当者が他の業務に追われていて対応できなかったりするとすぐ承認というわけにはいきません。
新型コロナ感染拡大防止のため、多くの企業がリモートワークを取り入れました。しかし、リモートワークで経費処理の対応まではできず、経費精算の必要があるときは出社して申請書類を作成し、領収書とともに提出しなくてはいけない現状がありました。
これまでの経費の精算方法に課題が残る中、経費精算業務の効率化を進める流れが加速してきています。効率化を進めるとどんなメリットがあるのでしょうか。
経費精算業務の効率を上げるには、パソコン上で申請できるシステムによるオンライン申請が最適です。申請から承認まですべてシステム上ででき、外出先やテレワークでも速やかに申請できて素早い対応が可能です。
これまで、人の手で入力して作成してきた申請書類をシステム化する際、できるだけ自動化で対応するのが好ましいでしょう。自動化を進めると業務工数やミスが減ると考えられます。また、システムを導入することで経費精算におけるタスク管理も可能になります。
紙の領収書を読み取ったデータを使ってオンライン上で申請すると、すべてデータで完結でき、書類のファイルや保管するスペース確保などが不要になります。また、交通系ICカードとの連携により交通費の精算も簡単になります。
これらのメリットから、経費精算をシステム化することで、経費精算業務にかかっていた作業時間が大きく削減でき、他の業務に充てる時間も増えてくるでしょう。
物品購入時に立て替えが発生するとその経費の精算業務が発生します。しかし、法人クレジットカードなどのキャッシュレスサービスを使うことで、精算作業は不要になります。また、社員に一時的に立て替えてもらう必要もなくなるので金銭的負担を感じなくなるでしょう。こういった社員の不満や不安も、法人カード等の利用によって解消できます。
経費精算は、単に経費の立て替えをした従業員への払い戻しだけでなく、決算などにもつながる重要な業務です。しかし、経費の精算業務ばかりに労力はかけられないため、できるだけ作業負担の軽減に繋げる必要があります。
経費の精算を効率化するためには具体的にはどんな方法が考えられるでしょうか。
社内で行われている申請業務を電子化することで、データでのやり取りで対応できるため、所属長の承認、関係部署への引継ぎなどがスムーズに行われます。またペーパーレス化の促進にも繋がります。
申請から承認、精算までをオンライン上にて行うことで、申請書類の作成や印刷の必要がなくなり、承認者は外出先でも申請内容の確認と承認ができるようになります。また、領収書の情報を入力せずデータでの保管が可能です。これらの対応が経費精算の業務の簡略化や、利便性の向上に繋がり、業務のスピードアップが図れるようになるでしょう。
経費精算をシステム化する場合、会計システムや給与計算システム、人事管理システムなどすでに使っているシステムと連携できるかどうかも重要です。今あるシステムとの連携が可能な場合、経理のみならず業務全般の効率化に繋がっていきます。
経費精算システムの中には、領収書などのデータから自動で文字を認識し、文字データとしてシステムに反映するOCR機能を搭載しているものがあります。文字の認識制度は年々上がっているもののシステムによってばらつきがあるのは否めません。業務の効率化を重要視するなら認識制度の高いものを導入することが望ましいでしょう。
経費を従業員が立て替えることで精算業務や返金業務が発生します。しかし法人クレジットカードやプリペイドカードを活用すると支払いは口座引き落としとなるため、従業員は経費の建て替えが不要となります。
また、クレジットカードの利用明細は、税法上、領収書の代用にもできるため、毎月大量の領収書を個別に確認する手間が減るのは大きなメリットとなります。
社内帳票を電子化することで、帳簿類のファイリングという事務作業が省略できます。また、電子化することでペーパーレス化が進む上、ファイル代や保管倉庫も不要となります。帳簿を電子化することで、倉庫に探しに行っていた書類がパソコン上ですぐに見つけられるため、業務効率にも繋がるでしょう。
交通系ICカードやクレジットカード、プリペイドカードなどで経費を支払えば利用履歴が確認できます。利用明細データと連携可能なシステムを使うことで、領収書がなくても経費精算としての対応が可能です。特に領収書が発行されない交通費をカード類で精算するとかえって明細が残り無駄な経費を使われにくくなると考えます。
外部ツールとの連携も、業務の効率化において重要なポイントです。経費精算業務が発生した際、この情報を会計システムへ手動で反映させると二度手間になってしまいます。会計ソフトと連携している経費精算システムを導入すると、入力した内容を自動的に会計ソフトに反映でき、経理担当者の業務負荷はかなり軽減されます。
経費精算業務の効率化が企業にもたらす効果は大きいと期待されますが、導入にあたって注意する点があります。ここでは、経費精算システムの導入に伴う注意点について見ていきましょう。
経費精算に新しいシステムを導入する場合、経理部門だけでの研修にとどまらず、社内で経費の精算をする可能性のある社員すべてにあらかじめルールの説明を徹底させておく必要があります。その際は、専門的な説明ではなく、どの部署の人にも分かりやすい方法で伝えることを心がけましょう。
新しいシステムを導入すると、どうしても導入直後は作業が順調に進まず一時的に業務効率が低下しがちです。業務効率が低下する時間を少しでも短くするために、新しいシステムの導入が決まれば、できるだけ早めに研修や説明会を実施することが大切です。また、同じシステムを使う企業の導入時の成功事例があればそういった情報も参考にするとよいでしょう。
効率化は、新しいシステムに対してだけでなく、業務全般を見渡してできる努力を積み重ねることで業務効率の向上に繋がっていきます。また、業務効率が上がれば他の業務に費やす時間に活用でき、残業が少なくなることから働き方改革にも繋がっていくでしょう。
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