この記事でわかること
領収書は、電子帳簿保存法の要件を満たすことで電子化・ペーパーレス化できます。紙で受け取った領収書をスキャンして保存する方法のほか、PDFやメール添付、Webサイトからダウンロードした領収書を電子データのまま保存する方法があります。
ただし、紙で受け取った領収書と、電子データで受け取った領収書では、保存方法や注意点が異なります。本記事では、領収書を電子化するメリットや具体的な方法、導入時の注意点について解説します。

領収書は、電子帳簿保存法の要件を満たすことで電子化・ペーパーレス化することが可能です。
紙で受け取った領収書は、スキャナやスマートフォンで読み取り、電子データとして保存できます。一方、PDFやメール添付、Webサイトからダウンロードした領収書など、電子データで受け取ったものは、電子取引データとして原則データのまま保存する必要があります。
紙の領収書と電子の領収書では保存方法が異なるため、受領方法ごとに必要な対応を整理し、社内ルールとして運用できる状態にしておくことが重要です。経費精算に合わせて保存手順を明確にしましょう。
参照:国税庁|電子帳簿保存法 はじめませんか、書類のスキャナ保存

領収書を電子化・ペーパーレス化する方法は、以下2つの受領方法によって異なります。
それぞれについて解説していきます。
紙で受け取った領収書は、スキャナやスマートフォンで読み取り、電子データとして保存できます。保存する際は、領収書の内容が判読できる解像度や階調を確保し、取引年月日、金額、取引先などを検索できる状態にしておく必要があります。
また、対象となるのは紙で受け取った領収書であり、最初から電子データで受け取った領収書はスキャナ保存の対象ではありません。スマートフォン撮影も認められていますが、保存時のルールを事前に確認しておくことが重要です。保存後の原本の扱いも、社内ルールに沿って整理しましょう。
参照:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和2年6月)
メールに添付されたPDFの領収書や、Webサイトからダウンロードした領収書など、電子データで受け取ったものは、電子取引データとして保存します。この場合、印刷して紙で保管するのではなく、受け取ったデータをそのまま保存することが原則です。
保存時は、真実性と可視性を確保できるように、改ざん防止措置や検索機能を備えた管理体制を整える必要があります。ファイル名の付け方や保存先、検索項目を社内で統一しておくと、経費精算や税務調査時の確認もスムーズです。紙の領収書とは扱いが異なる点に注意し、受領から保存までの流れを決めておきましょう。
参照:国税庁|Ⅱ 適用要件 【基本的事項】

領収書のペーパーレス化は、単なる紙の削減にとどまらず、企業のコストや業務効率に大きなメリットをもたらします。電子帳簿保存法の条件を満たせば、領収書は紙で保存せずとも法的に認められ、以下のようなメリットが得られます。
領収書のペーパーレス化は、目に見える形でコスト削減につながります。まず、紙に印刷するための用紙代やインク代、プリンタの保守費用が不要になります。次に、郵送による発行や回収を行っていた場合には、切手代や封筒代、人件費などの郵送関連コストも大幅に削減可能です。
また、印紙税の対象となる紙の領収書を発行しないことにより、200円から大きいものだと数十万円の印紙代も不要となります。たとえば、年間5,000枚の領収書を電子化することで、年間100万円から数百万円以上のコスト削減が実現できるでしょう。
領収書のペーパーレス化は、発行・受領・保管・検索といった事務作業の効率化に大きく貢献します。従来の紙ベースでは、印刷・郵送・ファイリング・検索といった手作業が多く、1件あたり15分程度の時間を要する場合もあるでしょう。
ペーパーレス化が実現すると、発行・送付がメール等で即時に行え、保存や検索もシステム上で完結することで、1件あたり3分程度まで短縮できる可能性があります。
月に200件の領収書を処理する場合、月40時間、年間480時間の作業時間削減が見込まれ、残業時間の抑制にもつながるでしょう。
領収書を電子化する最大の利点の一つが、瞬時に検索できる利便性です。紙の領収書では、ファイルやバインダーから日付や取引先を手作業で探し出す必要があり、確認に時間がかかっていました。
一方、電子保存された領収書であれば、日付・金額・取引先名といった検索条件を指定するだけで瞬時に該当データを抽出できます。たとえば、税務調査や監査対応の場面で「◯月◯日の取引」「◯◯商事との全取引履歴」などをスムーズに提示できる点は大きなメリットです。
さらに、システムによってはCSV出力や一覧表示機能を備えており、証跡確認・会計連携も容易になります。
紙の領収書は、保管中の紛失・破損・経年劣化といったリスクがあります。保管場所の移動やファイルの整理中に紛れてしまったり、長期間の保存で印字が薄れたり、紙そのものが破れたりすることもあります。こうした状況は、監査や税務調査の際にトラブルを招きかねません。
電子化すれば、これらのリスクを大幅に低減できる可能性が高いです。領収書データはサーバーやクラウドに保管され、タイムスタンプ付きの保存や履歴管理により真実性も担保されます。また、自動バックアップや信頼性の高いストレージを利用することで、災害やシステム障害への備えも可能です。

領収書の電子化は多くのメリットがある一方で、導入にあたって注意すべき課題も存在します。特に次の2点は、多くの企業が抱えている大きな悩みです。
領収書のペーパーレス化を進めるには、一定の導入コストがかかる点がデメリットです。まず、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入費用が発生します。クラウド型やオンプレミス型の選択によって費用感は異なりますが、初期費用だけでなく月額利用料や保守費用も加味する必要があるでしょう。
システム操作に不慣れな従業員に対する研修費用やマニュアル作成コストも発生し、財務や経理部門だけでなく、営業や管理部門など社内の関係者にも浸透させる必要があります。
一方で、近年は中小企業向けの低コストなクラウドサービスも存在しており、月数千円から利用できるものもあります。自社の取引量に応じて、適切なツールを選定することが重要です。
電子帳簿保存法は、社会のデジタル化に合わせて要件が見直されています。領収書の電子化では、検索要件、改ざん防止措置、保存方法などを正しく理解し、最新のルールに沿って運用することが重要です。
たとえば、電子取引で受け取った領収書は、紙に印刷して保管するだけではなく、電子データのまま保存しなければなりません。また、スキャナ保存では、入力期限や解像度、検索性などの要件の確認も必要です。
制度改正に追従できない場合、保存要件を満たさない運用になるおそれがあるため、国税庁など信頼できる情報源を確認し、必要に応じてシステムや社内ルール、従業員への周知内容を定期的に見直しましょう。
参照:大阪国税局・税務署|ご存じですか?電子取引データの保存方法

領収書の電子化・ペーパーレス化を適切に運用するには、保存方法だけでなく、データ管理や社内体制の整備も重要です。特に以下の2点を確認しておきましょう。
領収書をペーパーレス化することで、物理的な紛失や盗難のリスクは軽減されますが、同時にサイバーリスクへの備えも必要となります。特に、取引情報や社外機密が含まれる領収書データの管理には、厳格なセキュリティ対策が必要です。
まず、アクセス権限管理を徹底し、必要なユーザーのみに閲覧・編集を許可するようにします。また、保存データの暗号化や通信経路の暗号化も基本的な対策として必須です。さらに、誤削除やシステム障害に備えて定期的なバックアップの運用を行うことも重要です。
クラウドサービスを利用する場合は、提供元のセキュリティ基準やSLA(サービス品質保証)を事前に確認し、情報漏洩や不正アクセスに対する保証体制が整っているかをチェックしましょう。
領収書の電子化を効果的に定着させるには、システム導入だけでなく、社内ルールの明文化と周知徹底も重要です。法令上の保存要件を満たすためにも、業務フローや運用手順を明確に定めた社内ルールの整備が必要です。
たとえば、「領収書は受領日から◯日以内にスキャン・保存する」「ファイル名には日付・金額・取引先名を含める」といった具体的な運用ルールを定め、業務マニュアルとして文書化します。さらに、定期的に従業員への研修やEラーニングなどを実施し、ルールの浸透と理解度の維持を図ることが重要です。
部門間でルールにばらつきがあると、保存不備や法令違反につながるリスクもあるため、経理部門を中心とした統一的なルール運用が必要です。
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領収書を電子化・ペーパーレス化する際は、紙の原本の扱いや電子データの保存方法について疑問が生じやすいです。ここでは、実務で特に確認しておきたいポイントをQ&A形式で解説します。
いいえ、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、領収書は紙でなくても電子データのまま保存できます。スキャナ保存や電子取引としての保存方法を採用すれば、法的にも有効です。
紙の領収書をスキャンした後、電子帳簿保存法の要件を満たして保存できていれば、紙の原本を必ず保管し続ける必要はありません。ただし、すぐに廃棄するのではなく、入力内容や画像の鮮明さ、保存先などを確認したうえで判断することが重要です。
参照:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和2年6月)
メールに添付されたPDF領収書は、印刷して紙で保管するのではなく、電子取引データとして電子のまま保存します。保存時は、取引年月日、金額、取引先などで検索できる状態にし、改ざん防止措置を講じる必要があります。保存先やファイル名の付け方を統一しておくと、確認作業もスムーズです。
参照:国税庁|Ⅱ 適用要件【基本的事項】
電子化の対象となる領収書には、紙で受け取った領収書と、電子データで受け取った領収書があります。紙の領収書はスキャンやスマートフォン撮影によって保存可能です。
一方、PDF、メール添付、Webサイトからダウンロードした領収書、アプリ上で発行された領収書などは、電子取引データとして保存します。受領形態ごとに保存方法が異なるため、どの領収書がどの保存区分に該当するかを整理しておきましょう。
参照:国税庁|Ⅱ適用要件【基本的事項】

領収書は、電子帳簿保存法の要件を満たすことで電子化・ペーパーレス化できます。紙の領収書はスキャナ保存、PDFやメール添付などの領収書は電子取引データとして保存する必要があり、受領方法に応じた管理が重要です。電子化により、保管スペースの削減や検索性の向上、紛失防止などの効果が期待できます。保存ルールや社内フローを整備し、領収書管理の負担を減らしましょう。
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