昨今、耳にする機会が増えた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。働き方改革やデジタル庁の設立などに表されている通り、国を挙げてデジタル技術の活用による企業の生産性向上を目指す取り組みが、現在進められています。きっとDX推進が喫緊の課題となっている企業も多いはずです。
DXを推進するための第一歩として、まずは業務のペーパーレス化が必要となります。しかし、長らく紙書類の取り扱いを主としてきた企業にとっては、ペーパーレス化のために越えなければならないハードルも多い状況です。
そこで本記事では、ペーパーレス化を阻む要因となり得る課題と、その解決策についてご紹介いたします。
はじめに、DXという言葉の意味と、ペーパーレス化との関係性をご説明いたします。
DXをデジタル化と同義に捉えている方も多いかもしれません。DXとは、Digital transformationの略で、企業がデジタル技術やデータを活用することで商品・サービスやビジネスモデルを変革し、競合優位性を確立することをいいます。
DXを推進する過程でデジタル化が必要とされるという位置付けであり、DXは単なるデジタル化ではなく、企業が発展し続けるための「変革」であることがポイントです。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味と国内の現状を分かりやすく解説
本記事では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の意味を分かりやすく解説しています。国内のDX推進における現状と課題について、背景にある「2025年の崖」問題や、先進事例を交えてお伝えします。今から着手できるDX推進の取り組みも参考にしてください。
ペーパーレス化とは、企業で取り扱うあらゆる書類を電子化し、紙での取り扱いをなくすことを意味します。DXを推進するためには、企業にある膨大な情報を、デジタル技術を用いて活用することが不可欠です。仮に情報が紙書類としてまとめられていた場合、その文書を読み解くための人手が必要となり、一向に業務効率・生産性は上がりません。必要なときに、必要な人が、簡単にアクセスしデータ活用できる状態にしておくことが求められるため、ペーパーレス化はDX実現において必須対応と言えるでしょう。
DX推進を目指しペーパーレス化に乗り出す企業は増加傾向にあるとみられます。総務省令和3年版「情報通信白書」によると、書類の保存やデータ共有をはじめとするクラウドサービスを利用している企業は、2020年時点で68.7%(N=2,217)に上り、その効果があったと回答した企業の割合は87.1%(N=1,523)に及んでいます。2016年時点のクラウドサービス利用率は46.9%であり、年々上昇し続けています。
ペーパーレス化が急がれている背景には、「2025年の崖」と呼ばれる問題と、働き方改革の推進があります。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n4200000.pdf
日本企業の多くが利用している基幹システムは老朽化・複雑化・コストの肥大化が深刻な問題となっており、そのシステムを今支えているIT人材は、2025年までに定年退職を迎えることになります。それまでにレガシーシステムを刷新しなければ事業存続が危ぶまれることになり、この問題を「2025年の崖」と呼んでいます。
参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
また、2019年より順次施行されている「働き方改革関連法案」も、ペーパーレス化を促進する助けとなっています。生産年齢人口の減少が深刻な課題となっている日本においては、長時間労働の廃止やテレワーク導入などで働き方の選択肢を広げ、労働者の生産性を向上させることが求められています。会社に出社して紙書類を印刷したり、紙書類に捺印したりといった手間がかかるようでは、業務効率は上がりません。
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デジタル技術の活用によって企業に「変革」を起こすDX推進においては、ペーパーレス化ははじめの一歩と捉えられます。
DX推進に向けてペーパーレス化に着手することには、大きく2つのメリットがあります。
ペーパーレス化に移行できれば、業務効率が格段に向上します。紙の取り扱いには人手が必要であり、その処理には時間を要します。例えば社内で稟議を上げるフローを考えてみましょう。
紙書類の場合、稟議書を作成したら印刷し、自分の印鑑を押し、上司など承認に必要な関係者へ物理的に回覧します。承認者が不在の場合には待たなければなりませんし、デスクの上に膨大な紙書類に埋もれてしまえばそのまま忘れられてしまうかもしれません。人が目で見て確認するためミスは起こりやすく、不備が見つかれば差戻しで最初からやり直しです。
一方これら一連のフローが電子化されれば、作成者も承認者も、いつでもどこでも書類を簡単に見つけて確認することができます。回覧も承認もすぐに対応でき、さらにはその後の書類管理までスムーズです。在宅勤務中でも業務が滞ることがありません。
また、ペーパーレス化はコスト削減の観点でも大きなメリットがあります。紙書類の印刷代、コピー用紙代、トナー代が削減できます。印刷機を使わなければ機材の保守費や場所代もかからないことになり、膨大な紙書類を保存するスペースや棚のコストも削減できます。何より、回覧や押印、書類管理にかかっていた時間を節約でき、人件費の削減にも繋がります。
しかし、ペーパーレス化に簡単に移行できる企業ばかりではありません。その要因は次の通りです。
日本企業の多くは、長きにわたって紙・印鑑を取り扱ってきました。そこへ急にペーパーレス化するとなった場合、「なんとなく紙として目に見える形で存在しているほうが安心」という心理が働き、結局「紙でも印刷しておこう」という状況になりがちです。
ペーパーレス化を推進する際には、目的・重要性を従業員へ周知し、メリットを伝えて理解してもらう必要があります。
契約書のデジタル化が進んでいますが、電子化できない書類の存在も認識しておかなければなりません。事前にペーパーレス化すべき書類の洗い出しを行い、電子化が可能で、特に取り扱い頻度の高い書類はペーパーレスへ移行しましょう。
紙の取り扱いをなくし新しい電子化ツールを導入するとなると、現場の不満が出ることも想定されます。ペーパーレス化の定着を図るには段階的に実施する検討も必要です。操作が難しかったり、処理が煩雑だったりするツールや、オーバースペックなツールを選ばないように注意しましょう。
最後に、ペーパーレス化へと舵を切るためのポイントをご紹介いたします。
ペーパーレス化をすると決めたら、電子契約・電子決裁システムを導入し、これまでの対応フローを変更しましょう。ツールの操作性も重要なため、本格導入をする前に、お試し利用ができると安心です。
現場の不満を極力押さえ、定着を図るためにも、システム導入による目標を従業員へ共有し、数値として成果が目に見える形にしましょう。システム導入によって、決裁承認や契約締結に至るまでにかかる時間は大きく短縮されるはずです。長時間労働の是正にも繋がります。導入前後で効果があったことが目に見えて分かるように、効果計測を行いましょう。
DX推進をするとはいっても、現在ある仕組みを抜本的に改革するには、痛みやリスクを伴います。そこで、現在の業務プロセスを変更することなく、比較的容易に導入可能な電子契約システム「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。稟議書や申請書といった社内文書から、見積書や請求書、注文書などの取引先との決裁文書に至るまで、簡単にペーパーレスへ移行できます。
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