デジタルによるビジネスの変革が進んでいる今、電子印鑑の役割も新たな段階に入っています。特に、昔から使われてきた「日付印」と電子印鑑の組み合わせは、文書管理や法的要件への対応において重要な要素となっています。しかし、電子印鑑で日付印を適切に使うにはどうすればよいのでしょうか?本記事では、日付印の役割と種類について振り返り、電子印鑑で日付印を作る方法とその注意点、そして日付印と電子帳簿保存法との関係性について分かりやすく解説していきます。
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日付印は、伝統的な紙の文書から電子文書へと移行する過程で、その形を変えながらも重要な役割を維持しています。まず、日付印とはどのようなものか、そして、日付印の役割と種類、電子印鑑で日付印を作るメリットについて解説します。
日付印は、文書に押印者の氏名だけでなく、押印した「日付」を記録するために使用される印鑑です。日付印は通常、日付を示すための数字が刻まれており、文書の作成日、承認日、またはその他の重要な日付を明確に記録するために使用されます。紙の文書において、いつ、誰が承認したのかが一目で把握できるため、文書の有効性や時系列を追跡することができます。
日付印の主な役割は、文書に正確な日付情報を付加することです。これにより、文書の処理状況の追跡や、記録の管理が容易になります。また、法的文書や契約書においては、契約開始・終了日、期限など、日付が法的な効力を持つため、その記録は非常に重要です。日付印には、固定された日付を持つものから、日付を変更できる回転式のものまで、さまざまな種類が存在します。日付印を電子化した電子印鑑も存在します。
日付印を電子化した電子印鑑として使用するメリットは下記の通りです。
電子印鑑を用いた日付印は、いつでも、どこからでも押印が可能なため、非常に利便性が高いことが挙げられます。また、文書に自動的に日付を挿入することができるため、手作業での日付入力の誤りを防ぎ、作業の効率化を図ることが可能です。
電子印鑑での日付印は、文書の追跡と監査が容易になります。デジタルな記録を行うことで、いつどの文書が作成されたかを正確に把握し、検索することができます。合法性やコンプライアンスのチェックが容易になります。
電子印鑑で日付印を作成する方法はさまざまですが、特に法的文書や重要なビジネス文書を取り扱う際には、いくつか注意点があります。ここでは、電子印鑑で日付印を作る方法とその注意点について解説します。
電子印鑑で日付印を作成する方法はいくつかありますが、主だった方法は下記の通りです。
MS OfficeのWordやExcelでは、独自の日付印を簡単に作成できます。まずは、印鑑のデザインを作成します。Officeの「図形描画」ツールを使用し、円形や四角形の図形を描いて、その中に氏名と日付を入力します。例えばWordでは、「挿入」 タブから 「テキスト」グループを選択し、「日付と時刻」を選ぶことで、文書に現在の日付を挿入できます。図形を使用することで色や形、フォントなど自由にカスタマイズできます。
Acrobat Readerでは、PDF文書に電子印鑑として日付印を追加できます。「スタンプを追加」機能を使って、日付情報を含む電子署名を文書に直接挿入することが可能です。これにより、PDFフォーマットの文書にも簡単に日付印を適用できます。
さまざまなフリーソフトウェアがオンラインで提供されており、これらを利用して日付印を作成することもできます。こうしたフリーソフトは基本的な画像編集機能を備えており、日付印のデザインやサイズのカスタマイズが可能です。ただし、フリーソフトのセキュリティや機能に関しては、ツールごとに異なるため、信頼できるツールを探してダウンロードすることが重要です。
電子印鑑で日付印を作成する際には、いくつかの注意点があります。
電子印鑑で日付印を作成する場合、日付の正確性を保証することが非常に重要です。特に、法的な文書や契約書においては、日付の誤りが重大な問題を引き起こす可能性があります。そのため、日付印を作成する際は、システムの日付設定が正確であることを確認し、必要に応じて修正を行います。
電子文書の中でも、請求書などの国税関係書類については、電子帳簿保存法の要件に対応する必要があります。電子帳簿保存法に適切に対応するためには、見た目の日付情報だけでは不十分です。2022年施行の改正電子帳簿保存法では、電子文書の保存において、タイムスタンプの付与が定められており、適切なタイムスタンプを付与する必要があります。タイムスタンプとは、電子文書に付与される日付・時刻の情報です。タイムスタンプについては次の章で詳しく解説します。
電子帳簿保存法に対応するためには、日付情報のみの日付印だけでは不足する場合があります。最後に、日付印と電子帳簿保存法との関係性やタイムスタンプの要件について解説します。
電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類の保存の負担を軽減するために制定された法律で、企業が取引記録や会計資料を電子的に保存することを認めたものです。2021年の改正により、2022年1月以降に電子取引される書類は全て、電子データのまま保存することが義務付けられました。
電子帳簿保存法では、電子保存を認める要件として、その電子データが改ざんされていないことを証明する必要があります。タイムスタンプは、このデータの信頼性を証明するための仕組みであり、利用者ではなく第三者機関(時刻認証業務認定事業者)が発行します。時刻認証業務認定事業者により、ハッシュ値と時刻情報を合わせた適切なタイムスタンプが発行され、作成されたデータの真正性が担保されます。
電子帳簿保存法は、直近では2022年1月1日から大幅に改正されました。その際、タイムスタンプの要件も緩和されています。これまで、電子データの真正性を担保するために、タイムスタンプは欠かせない要件とされ、付与が義務付けられていました。しかし、複数回の電子帳簿保存法の改正に伴い、タイムスタンプの付与要件は徐々に緩和されています。改正に伴うタイムスタンプの要件緩和については下記の通りです。
タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2か月と概ね7営業日以内となりました。これまでは文書の受領後3日以内にタイムスタンプを付与する必要があったため、大幅な緩和と言えます。
スキャナ読み取り時の国税関係書類への自署が不要とされました。これまでは、電子書類のスキャナ保存において受領者が請求書や領収書などをスキャンして読み取る際は自署が必要でしたが、今回の改正で不要となりました。
電磁的記録について訂正や削除を行った際に、削除や変更の事実及び内容を確認できるクラウド等のシステムであり、入力期間内にその電磁的記録を保存したことを確認できれば、タイムスタンプに代替することができることとされました。
従来の日付印は、文書の信頼性や時系列を追跡するために必要でしたが、電子署名法や電子帳簿保存法など法的要件に合わない場合があります。法的要件に適合させるためには、デジタル署名やタイムスタンプの付加など、押印者の真正性を証明する機能が必要です。そのため、デジタル署名を備えた有料の電子印鑑作成ツール等の導入は、非常に有効な対策のひとつと言えます。
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