企業間で取引を行うにあたり、見積書は欠かせない存在です。普段の業務で見積書の取り扱いに慣れていない場合、見積書の役割や見積書における印鑑の必要性などについて明確に把握できていないこともあるでしょう。
本記事では見積書とは何か、また見積書への印鑑の必要性についてご説明します。近年増加傾向にある「電子データによる見積書」についても詳しくご紹介しますので、参考にしてみてください。
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見積書とは
見積書とは、受注側が作成し契約の前段階で提示する証憑(しょうひょう)です。金額、数量、流れ、期間、工程など契約前の確認を行うことができます。発注側は見積書の内容を見て各事項に間違いがないか、期間や金額が見合っているかなどを検討することができます。
ここでは、見積書の詳細な役割についてご紹介します。
契約内容を明らかにすることでお互いの認識に齟齬がないかを確認できることに加えて、認識のズレによるトラブルを防ぐことができます。
曖昧な内容の記載や項目の漏れはトラブルの原因となり得るため、特に流れや工程については具体的に書き、金額や数量においては間違いがないよう慎重に記載するようにしましょう。宛先、発行日、有効期限をはじめとして必要事項が網羅されているかどうか都度チェックを行うことも重要です。
見積書を受け取る側は、商品やサービスの購入を検討する際の価格や内容の比較に利用することができます。複数社に同じ条件の見積もりを依頼し、その価格や内容を比較することを「相見積もり」といいます。相見積もりを効果的に使うことで、より自社に有益でメリットの多い取引先を選ぶことができます。
見積書は信憑書類に分類されるため、一定期間の保管、保存が義務付けられています。保存期間は、法人と個人でそれぞれ異なります。法人の場合は見積書の発行した年度の法人税申告期限日から7年後までです。個人の場合は発行した年度の確定申告期限日から5年です。詳しくは、国税庁のホームページでご確認いただけます。
参考:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm
見積書は、実は法的には発行の義務はありません。しかし、前述したように、双方の認識を合わせたり、他サービスとの比較をしたりするために、見積書があった方が安心できるでしょう。口頭のみで確認をしてしまうと、認識に相違があって、あとからトラブルになる可能性があります。その際にも口頭だと記録が残っておらず、言った・言わないの水掛け論に発展しかねません。
一方で、サイトに商品の金額が明記されているなど、見積書がなくても認識齟齬が生まれないような場合は、必ずしも見積書を作成する必要はありません。
ビジネスでの書類においてしばしば必要になる印鑑ですが、見積書においてその必要性は定義されているのでしょうか。ここでは、見積書に印鑑が必要なのか、捺印をすることでどのような効力が生じるかについてご紹介します。
結論からいえば、見積書に印鑑は必要ありません。「見積書に印鑑を押す必要があるか」については法律で定められていないため、見積書に印鑑がない場合でも法的効力は変わりません。
前述の通り、見積書には必ずしも印鑑を押さなければならないという決まりはありません。
しかし、企業によっては捺印がない書類を「正式な書類」として捉えない場合があります。加えて、発注側が見積書を受け取ってはじめて発注内容を明確化し、稟議にかけ、決定に至るというケースもあります。稟議においては、受注側の企業の信頼度が重要な論点となることもあります。その際に見積書に印鑑があることで「しっかりと社内で承認をしたうえで見積書を発行している」という印象を与え、安心感や信頼感を与えることができます。このことから、特別な事情などがない限りは見積書においても印鑑を押すことをおすすめします。
日本では従来書類に印鑑を押す文化が根付いています。特に歴史の長い企業や昔ながらの社風を大事にする企業においては、捺印があるかどうかで自社の印象を左右しかねません。このことからも、見積書において印鑑は重要だといえるでしょう。
見積書における印鑑の重要性をお伝えしましたが、見積書にはどの印鑑が適しているのでしょうか。一口に印鑑と言っても、種類は様々です。ここでは代表的な印鑑4種類をご紹介するとともに、見積書に適した印鑑についてご説明します。
法人における実印は、最も重要な印鑑といっても過言ではありません。
例えば会社の設立で法人登記を行う際、代表取締役の印鑑の登録が必要になります。これは法務局で登録し、この際に使用した印鑑が会社の「実印」となります。「会社実印」「法人実印」「代表者実印」とも呼び、捺印することで法律的に「企業の代表者の同意がある」ということの証明となります。
銀行印とは、銀行などの金融機関で登録した印鑑のことです。口座開設や預金取引など、金融機関で手続きをする際に必要です。
一般的に銀行印は、実印と区別をするために実印より一回り小さいものを使用することが推奨されています。
認印は、実印や銀行印と違い公的な証明がされていない印鑑です。
実印以外の印鑑は全て認印にあたり、書留や宅配便を受け取る際など日常的に使用するシーンの多い印鑑です。契約書などに捺印する際、実印や銀行印を使用することで生じる印影の悪用などのリスクを避けるためにも、認印を用意しておくことをお勧めします。
認印は汎用性が高いため、部署ごとや役職ごとにも用意しておくと良いでしょう。
角印とは、法人やサークルなどの団体、商店の一般事務において使用する四角形の印鑑です。その法人や団体が「正式に認めた書類」だということを証明する目的で使用します。注文書をはじめとした社外文書、稟議書などを含む社内文書に捺印するもので、「社印」とも呼びます。
一般的に見積書で使用する印鑑は、会社の角印もしくは角印+担当者の印鑑になります。角印によって「会社から承認が得られた案件」だということを証明でき、担当者の印鑑によって「誰が作成した書類なのか」を明らかにすることが可能です。ただし、官公庁などの一部の取引先では実印を求められる場合があります。そのため、初めて取引をする相手には事前に「どの種類の印鑑が有効か」を確認しておくと良いでしょう。
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捺印をした紙書類での見積書もまだまだ使用されていますが、以前と比べて、PDF形式など電子文書でやり取りする機会も増えたのではないでしょうか。中には紙書類での発行を廃止し、電子文書の見積書のみとしている企業もあります。「データでの見積書は信頼度が低いのではないか」と考える方も多いかもしれませんが、PDFの見積書も紙の見積書と同等に法的に有効です。自社と取引先の双方が、見積書の内容を確認し、内容に問題ないことの認識が共有できていれば、紙でもPDFでもどちらでも問題ありません。
紙書類でも電子文書でも、どちらでも効果が同じであると分かったところで、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
紙書類の見積書は、インターネットに接続できなくても確認できることがメリットです。電波の入りにくい土地での確認や、パソコンの電源が切れてしまったときにも、紙文書であれば確認をすることができます。また、手書きであったり実物の印鑑が捺印してあったりすると、本人性の確認や文書の非改ざん性の担保は十分にできているといえるでしょう。
一方デメリットとしては、書類の印刷や郵送に時間がかかってしまうことや、量が増えていくにつれて保存の場所と場所代がかさんでいくことなどが挙げられます。
では、見積書をPDFで送付する際のメリットを3つご紹介します。
見積書をPDFなどの電子文書で送付する場合、紙での発行・郵送の際に生じる書類の印刷、配達、宛名ラベルや切手貼りなどのさまざまな手順を割愛することができます。このことから、人件費、郵送費の削減や業務の効率化につながります。
紙で見積書を郵送する場合には、送付した側が配達証明を行わない限り送付した証拠が残りません。一方、PDFなどの電子文書をメールなどで送付する場合は、基本的に「送信履歴」「受信履歴」などの履歴が残ります。そのため、取引先との認識の齟齬などのトラブルを避けることができます。
紙で見積書を保存すると非常にかさばるため、取引が増えれば増えるほど保存場所に困ります。一方、電子文書の見積書であれば保存場所に困ることはありません。
これまで紙で見積書を保存していた場合、電子文書での送付に移行することで空いたスペースを他の用途に有効活用することもできます。
加えて、紙の見積書の保存場所の間違えや、誤って処分するなどのリスクを低減できます。さらに電子文書の検索機能を使えば、膨大にある見積書の中から必要な電子文書をすぐに探し出すことができます。
PDFで見積書を送付する際には、気をつけなければならない注意点もあります。
電子文書で見積書を送付する場合は、紙での送付に比べて複製や編集のリスクが高まります。紙の書類上の情報を書き換えることはそう簡単にはできませんが、電子文書の場合、形式によっては比較的容易に編集することができてしまいます。そのため、電子文書を開く際のパスワードを設けることはもちろん、PDFなど編集されない形で電子文書を作成して送付するなど工夫が必要です。
電子文書で見積書を送付する場合は、紙での送付に比べ送り間違いなどのリスクが高まります。見積書とパスワードを別々のメールで配信するなど、誤送信をしてしまっても中身が見られないような工夫をして、情報の流出を防ぐようにしましょう。
見積書を電子化するにあたっては、それ専用のサービスを導入することをおすすめします。ただ見積書をPDFにするだけであれば、自社の複合機やスキャナーで対応できますが、電子化にあたっては、書類を電子化すれば終わりではありません。電子化することで業務フローが変わったり、保存の場所代が不要になったりと、これまでと変わることが多くあります。
これを機に業務フローを見直して業務改善を行うなどをしないと、書類だけが電子化されても大きな効率改善は見込めません。電子化とともに、保存の体制変更や他サービスとの連携などで大きな改善がしやすくなるのが、専用のサービスです。では、どのような機能があると、よいサービスといえるのでしょうか。
新型コロナウイルスによって、リモートワークが急速に普及し、オフィス外で仕事をする人も増えています。そうした時に重要なのが、どこからでも書類を確認できる環境が整っているか、ということです。オフィスに行かないと確認できないと、過去の書類を見るためだけに出社するなど、時間の無駄が発生します。どこからでもアクセスできること、検索がしやすいことは、リモートワークが多いこの時世では、重要なポイントです。
どこからでもアクセスできることは重要ですが、セキュリティが脆弱だと情報流出など大きなリスクがあります。電子文書が保存されているクラウドなどの環境自体のセキュリティが高いことはもちろん、複数段階での認証を行ってその本人しかアクセスできないようにしたり、ログイン履歴が確認できたりするなどの工夫が必要でしょう。
文書の電子化だけではなく、その文書の承認フローや保存体制など、周辺の課題も解決しやすいのが専用システムの強みです。例えば、電子文書の作成から承認までが一つのシステム内でできるシステムと、承認された文書を保存するためのシステムが連携できれば、その文書に関係するすべての業務がシームレスにオンライン上で対応できます。別の企業のシステムと連携できる場合もありますが、同じ企業のサービスであれば連携の難易度が低かったり手厚いサポートが望めたりするでしょう。
これまでご説明してきたポイントを押さえているサービスが、シヤチハタの提供している「Shachihata Cloud with box」です。社内の書類回覧・押印・承認機能を保有するShachihata Cloudと、文書管理システムとして業界最高水準のセキュリティを誇るboxがあらかじめ連携されているサービスです。boxで保護されているクラウドストレージ内で、安全に決裁を完結させられます。また、クラウド型サービスのため、工数のかかる開発をせず、比較的簡単に導入できるメリットもあります。
電子化の浸透に伴い、PDFでの見積書が当たり前の世の中になっていくでしょう。早いうちから徐々に準備を進めていくことで、スムーズに電子文書に移行できるように、検討を始めてみてはいかがでしょうか。
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ワークフローにおける文書管理の課題と解決法とは?
これまで、ワークフローにおける課題は承認に必要な該当書類の選択、提出先やその後の書類の現況把握など、時間と手間がかかることでした。ところが、 パソコンによるワークフローシステム導入により、これまでワークフローで抱えていた問題は全て解決できることとなりました 。 今回は、ワークフローとワークフローシステムの違い、大きな解決法を生み出す理由などについてご紹介します。
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シヤチハタ株式会社の「Shachihata Cloud Business」は、「パソコン決裁Cloud」の進化版です。セキュリティ面・機能面を強化し、社内はもちろん、取引先との書類のやり取りも安心して行える電子決裁サービスへと発展しました。Shachihata Cloud Businessを含む「Shachihata Cloud」のサービス名に込めた想いと拡張された機能について解説しているので、ぜひ一読ください。