2019年4月より、「働き方改革関連法」の一部が施行されました。社内の業務効率化を行い、長時間労働を削減するため、ITサービスの導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。
限られた条件の中でITを活用して業務改善を行うには、クラウドサービスの導入が適しています。クラウドサービスなら、導入の初期費用が抑えられ、運用・管理の手間も軽減できます。
この記事では、業務改善の現状と課題、活用できるクラウドサービスやITサービス、導入における業務時間の短縮事例を解説します。
「働き方改革関連法案」の中には残業時間の上限規制が含まれています。企業経営の要である売上を維持しつつ長時間労働を削減するためには、既存業務の生産性を向上させなければなりません。そこで社内のあらゆる情報を管理するシステムを見直すことで、業務効率化を図る動きが多くの企業で出てきています。
企業で働き方改革を推進するにあたり、IT導入は避けて通れません。しかし、新しいシステムを開発して導入するには莫大な初期費用と専門性の高いIT人材が必要であり、多くの企業が課題に直面している状況です。実際に令和元年の総務省の統計では、IT人材が不足していると感じている企業は53.0%にのぼります。
引用:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05b2.html
現在ある人的リソースを維持したままで、コストを抑えて生産性を上げるためには、どうしたらよいのでしょうか。
予算や人材が限られた中で業務改善を行うのに適しているのが、クラウドサービスの導入です。クラウドサービスはネットワーク経由で利用できるため、現在ある社内のシステムを大きく変更せずとも導入を検討できます。パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末があれば、時間や場所を問わず利用可能で、外出先からアクセスするという使い方もできます。
クラウドサービスは安価な初期費用で導入でき、システムの運用・管理の手間が軽減できます。既存の仕組みを利用しながら、手作業で行われている業務の一部をクラウドサービスに置き換えることで、生産性向上に期待が持てるのではないでしょうか。
クラウドサービスを導入するメリットまとめ
1. 導入そのものが容易である
システムを自社で開発して作り込む必要がなく、インターネット環境さえあればソフトウェアのダウンロードも不要。導入障壁が低い特徴がある。
2. コストが抑えられる
既に構築された仕組みをウェブブラウザで利用でき、従来のような開発の初期構築コストがかからない。
3. システムの保守・管理を社内で抱える必要がなくなる
クラウドサービスのメンテナンスはクラウド事業者で行うため、社内におけるシステム保守・管理の負荷が軽減される。
クラウドサービスの種類は、大きく「業務系クラウドサービス」と「コミュニケーション系クラウドサービス」に分けられます。
業務系クラウドサービスとは基幹系クラウドサービスとも呼ばれ、企業経営に欠かせない以下のような業務を電子化し、クラウド上で管理するサービスです。
・勤怠管理
・給与計算
・人事管理
・会計管理 など
紙書類を電子文書化することにより、時間や場所を問わず閲覧したり、入力や計算に費やしていた時間を短縮したりすることが可能です。インターネットに接続すれば、どこからでも同じデータにアクセスできるので、書類の印刷や送付、紙での社内回覧の手間も省けます。
基幹業務はセキュリティ面への不安から、紙を使用した管理を選んでいる企業も多いでしょう。しかし、クラウドサービスは最新かつ強固なセキュリティシステムによって守られています。データはネットワーク上に保存されており操作のログも残るため、紙の紛失やパソコンの破損によるデータの損失、持ち出しも防げます。社内にITセキュリティに精通した人材が不足していたとしても、クラウドサービスを利用することで安全性が高まります。
コミュニケーション系クラウドサービスとは、 ビジネスチャットやウェブ会議ツールに代表されるような、社内外のコミュニケーションをクラウド上で行うサービスです。メールなどと比較して、速さと手軽さが特徴です。
今までやりとりしたメッセージがクラウド上で参照できるため、メッセージを送信する際の「宛名」「冒頭の挨拶」「署名」は不要です。会話のようにメッセージを送り合えるため、社内外のコミュニケーションが円滑になるというメリットがあります。複数名でのメッセージの送受信やファイルの共有も可能です。
クラウドサービス導入による業務時間短縮の事例として、書類の回覧・捺印を電子化したことによる事例を2つご紹介します。
書類の回覧・捺印を電子化するクラウドサービスは、今まで社内でしかできなかった承認作業を、時間や場所を問わず可能にします。承認者は外出先から書類を確認して捺印でき、わざわざ帰社して承認作業をする必要がなくなります。
株式会社富士通エフサス様は、書類の回覧・捺印を電子化するサービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」を導入した企業の一つです。顧客への書類提出が遅れるという課題を解決するため、営業部門などで導入したところ、承認作業のための待ち時間や移動時間の短縮に成功し、顧客からも高評価をいただくようになりました。また、社員の精神的・身体的な負担も大幅に解消されたことから、働き方改革にも繋がる可能性があげられます。
芙蓉総合リース株式会社様も「Shachihata Cloud」を導入して業務時間短縮に成功した企業です。導入のきっかけは、2017年に業務プロセスの改革を行うBPR推進室を立ち上げたことです。様々な制度を導入する中で、人事・総務関連の申請や承認など、紙書類を使用した業務時間に時間がかかっていることがわかりました。ペーパーレス化を推進するため、全国拠点で「Shachihata Cloud」を導入したところ、申請や承認に関わる業務フローが簡素化されました。申請者・承認者の業務が削減され、紙書類のファイリングも不要になりました。
働き方改革を進めるためには、紙書類を使用した業務の見直しと、クラウドサービスの活用が不可欠です。一斉にすべての業務をペーパーレス化することは難しいかもしれませんが、手始めに業務の一部をクラウド化し、紙書類とクラウドの両立を検討してみてはいかがでしょうか。業務時間短縮の実績が上がれば、社内のバックアップも得られ、業務改善がますます進むでしょう。
シヤチハタの電子印鑑サービス「Shachihata Cloud」は、稟議申請書や届出書などの書類の回覧・捺印をすべて電子化できるサービスです。大切な印鑑の出し入れが不要になるのみならず、承認担当者に外出先から捺印してもらうことも可能です。紙代やインク代などの経費だけでなく、輸送費の削減にも繋がります。また、シヤチハタが提供しているファイル共有型クラウドサービス「box」との連携も可能です。「Shachihata Cloud」の文章ファイルの保存先を「box」に指定することで、高水準のセキュリティで文章を回覧することが可能になります。