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契約書の正しい訂正方法?訂正印の押し方や電子契約の場合を解説

公開日: 更新日:

一度締結した契約の内容が、その後変更になることもありますが、契約書の訂正の方法はご存じでしょうか。契約書は一般的な書類と異なり法的効力を持っているため、訂正も正しいフローに則り、適切に行わなければなりません。
本記事では訂正印の押し方や電子契約の場合の訂正手順など、契約書の正しい訂正方法をご説明いたします。

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紙の契約書を訂正する方法

まずは、紙で締結した契約書を直接訂正する場合の手順をご紹介いたします。訂正印の押し方と併せて確認しましょう。

1. 契約書で修正したい部分を二重線で消す

訂正すべき内容を契約主体者同士で認識を合わせたら、まずは契約書の中で修正したい部分に二重線を引き、該当箇所を削除します。

2. 二重線の上部に正しい内容を追記する

次に、二重線の上の方に、正しい内容を追記します。

3. 欄外に加筆・削除した位置と文字数を追記する

そして、契約書の欄外に、加筆・削除した位置(行数)と文字数を追記します。

文字を加える場合

文字を追加する場合には、欄外に「○○行目、○○字追加」と記載します。算用数字表記で問題ありませんが、漢数字の場合は一〜三が改ざんしやすく通常は使用しないため、注意が必要です。

文字を削除する場合

文字を削除する場合には、欄外に「○○行目、○○字削除」と記載します。

数字を訂正する場合

訂正対象が数字の場合も、基本的に方法は同じです。金額は契約書において特に重要であるため、「¥100,000-」といった具合に、「¥」と「-」で金額を囲う書き方をします。訂正においては、¥や-といった記号も1文字として扱いましょう。

4. 3の付近に契約と同じ印鑑で訂正印を押す

「○○行目、○○字加入」などと記載したところに、契約に使った印鑑と同じ印鑑を押します。これが訂正印と呼ばれる種類の印鑑です。契約主体者全員の訂正印を押しましょう。

契約書の訂正に関する様々な疑問と注意点

契約書の基本的な訂正方法をご紹介しましたが、ここでよくある質問をまとめてご紹介いたします。重要な注意点もありますので、ご一読ください。

Q. 訂正印は小さい印鑑にしても良い?

訂正印に小さなサイズの印鑑を用いるイメージをお持ちの方もいるかと思いますが、訂正印は原則として契約に使った印鑑を使用します。

Q. 訂正ではなく条項の追加や契約内容の変更が生じた場合は?

訂正印を用いた契約書の訂正は、軽微な変更に限ります。もし契約書の内容を一部変更するなどであれば、契約書を直接訂正することはおすすめできません。契約主体者同士で協議の上、別途覚書や合意書を作成しましょう。

Q. 契約の当事者が複数名にわたる場合は?

契約主体が複数名にわたる場合は、誰か1人が勝手な判断で訂正したのではないことを証明するために、全員分の訂正印を押す必要があります。

Q. 契約が締結する前までなら訂正印は不要?

契約が締結する前までであれば、基本的には普通に修正を行い、両者の合意があれば訂正印を押す必要はありません。ただし、契約締結の直前で訂正が必要となった場合は、訂正印を押す訂正方法のほうが望ましいといえます。そのような場合でも全体的に改ざんされていないかのチェックが重要であることはいうまでもありません。

Q. 捨印(すていん)のある契約書の場合の対応は?

捨印(すていん)とは、契約書の締結後に何か誤りが見つかった場合に備え、予め空きスペースに訂正印として押しておくための印をいいます。契約主体者同士がそれぞれ修正内容を確認するとやり取りに時間がかかるため、誤りがあった際に相手に簡単に訂正してもらうために押します。
捨印を活用する場合の訂正方法も基本的には同じで、該当箇所を訂正したら、捨印が押されている部分にどこを訂正したかを記載します。

ただし、そもそも捨印の利用は推奨できません。契約相手に自由に修正権限を与えることになるためです。手続きを簡略化させるために捨印を利用したい場合には注意が必要です。

Q. 訂正印を押したり訂正内容を書くスペースが近くにない場合の対応は?

訂正したい場所の近くにスペースがない場合は、書類の他の空いているスペースに記載します。

契約書の訂正で重要なポイントは「非改ざん性」

契約書の訂正において重要なポイントは、その契約書が両者合意のもとに訂正された内容であることを証明する「非改ざん性」です。修正を加える前の情報、修正を加えた後の情報をそれぞれ分かりやすく明記します。そして両者がその内容に合意したことを訂正印で示します。
修正液や修正テープで修正してしまうと、修正前の内容が分からなくなるため、使用しないよう注意してください。

電子契約の場合の訂正方法

紙の契約書の訂正方法をご紹介いたしましたが、 次に、電子契約の場合にはどのように訂正するかをご説明いたします。

締結済みの契約書は訂正不可

電子契約の場合、締結済みの契約書の訂正は行うことができません。電子契約書を契約相手に送信する際には電子署名やタイムスタンプが付与され、その内容が改ざんされていないものであることを証明済みであるためです。
そのため電子契約の場合の訂正方法としては、別途覚書や合意書を作成して、その内容に契約主体者同士で改めて合意する必要があります。

契約内容を訂正する覚書の作成

電子契約の内容を追記・削除等する場合は、訂正の覚書を作成します。訂正前後の違いを分かりやすく明記しましょう。

記載例)
第1条 契約期間の変更  原契約書第○○条の契約期間を「○○年○○月○○日」から「△△年△△月△△日」へ変更する

電子契約を活用するメリット

電子契約の訂正には柔軟性がないと感じられるかもしれませんが、電子契約を活用するメリットのほうが大きいといって良いでしょう。
電子契約を訂正する際には覚書を作成することになるとお伝えしましたが、この覚書の作成も、電子契約サービスを活用していれば簡単に作成することができます。訂正内容の社内承認はもちろん、契約相手への送付まで、インターネットを介して行うため締結までが迅速でスムーズです。
まだ電子契約を導入していない企業の方は、導入を検討することをおすすめします。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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