Shachihata Cloud DXコラム 電子契約の問題点と注意点は?メリット・デメリットを分かりやすく解説
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電子契約の問題点と注意点は?メリット・デメリットを分かりやすく解説

シヤチハタ
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電子署名
WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

経費削減や業務効率化を目的として、電子契約を導入する企業が近年増えています。紙に印刷して押印する手間が省けるため、特にテレワークを推進する企業においてはメリットが大きいイメージがあるかと思います。しかし、電子契約を導入するにあたってはメリットばかりではないため、デメリットも考慮した上で、導入を決めることが大切です。
本記事では電子契約を利用するメリット・デメリット、導入時の注意点やその対処法についてご説明します。

電子契約とは

はじめに、電子契約の仕組みについて簡単にご紹介します。電子契約とは、従来は紙書類と印鑑の押印で成立させていた契約書のやり取りについて、電子書類で行う契約のことをいいます。押印の代わりに電子署名または電子サインが書類に付与されます。
しかし、それだけではなりすましや改ざんのリスクがあるため、契約を締結したのが本人であることを保証する電子証明書を付けて担保したり、いつ押印されたのかを記録するタイムスタンプを付けたりします。

民事訴訟法第228条によると、本人の署名または押印のあるものについては、本人の意思によるものと推定されます。電子契約においても電子署名法第3条により、電子証明書が付与されていれば本人の証明となると認められています。

電子契約のメリット

次に、電子契約を導入するメリットを4つご紹介します。

1. 業務効率化ができる

電子契約を導入するにあたっての最大のメリットは業務効率化です。紙書類の場合には、書類を作成した後に印刷をし、製本し、押印し、郵送するという一連のアナログな手続きが必要となります。また書類を受け取った相手方が手に取るまでに時間がかかるため、スムーズな契約締結が望めませんでした。
しかし、電子契約となればこのような一連の手続きを省略することができます。

2. コスト削減ができる

紙書類の準備には印刷代、インク代、封筒代、郵送費などがかかることになり、その一連の業務にかかる時間や、また紙書類を探す時間に紐付き、人的コストもかかっています。しかし電子契約へ移行すれば、メールなどで簡単に相手方へ送付することができるようになります。

さらに特筆すべきこととしては、電子契約を利用すれば、契約書にかかる印紙代もかからなくなる点が挙げられます。紙の契約書には印紙税がかかり、また契約の金額に比例してその費用も上がるため、コスト削減に大きく寄与します。

(表)電子契約導入により削減可能なコストの例

・印刷代、コピー用紙代
・インク代
・封筒代
・郵送費用
・印紙代
・その他の人的コスト

3. 書類保存スペースが不要になる

紙の契約書は場所を取るものの捨てられない重要書類のため、これまでは専用のキャビネットなどを利用して書類を保管していたかもしれません。電子契約書の保存は自社サーバなど電子的な方法で行われ、これまで契約書の保管場所として利用していたスペースが不要となります。

4. コンプライアンス(法令遵守)を強化できる

紙の契約書のほうが信頼性が高いと思われがちですが、むしろ紙書類のほうが改ざんを防止することが難しく、改ざんが疑われる場合の調査には労力を要します。
しかし電子契約については、誰が・どこで書類に関わったのかをログとして残しており、署名の本人証明の仕組みも備わっているため、コンプライアンス強化に役立ちます。

電子契約のデメリット

良いこと尽くしのようにも思える電子契約ですが、以下のような点には注意が必要です。

1. 取引先への説明や依頼が必要となる

電子契約は取引相手の同意が得られて初めて成立するものです。電子契約を導入するにあたっては、取引先の理解を求める必要があります。利用するサービスの種類にもよりますが、取引先へ電子契約サービスを使用するよう依頼する必要が出てくることもあります。

2. 社内の既存業務フローの変更を伴う

新しい仕組みを導入する際には、既存の業務フローへの影響を見直し、変更する必要があります。これまでのやり方で対応してきた方々にとっては、新しいフローの受け入れに抵抗を示す場合が多いものです。そうしたときは相手の実務状況を理解した上で、導入に向けての社内調整を進める必要があります。

3. サイバー攻撃を受けるリスクがある

電子契約の場合、サイバー攻撃を受けるリスクがゼロではありません。しかし各種電子契約システムのセキュリティレベルも近年向上しているため、導入にあたっては高度なセキュリティ基準が設けられているかどうかは気にするべきポイントとなります。

電子契約の法的効力と関係する法律

ここで、電子契約の法的効力について、関係する法律の概要とともにご説明します。

電子契約の法的効力

あまり知られていないことですが、紙書類への押印は取引の際の商習慣の一つであり、実は押印という行為自体に法的効力はありません。そのため、電子契約でも紙書類でも、それだけでは効力を証明できないことになります。大事なのは「本人の署名または押印である」ことで、これが証明できれば本人の意思による契約であるという効力を持ちます。
このあたりの基準は電子署名法をはじめとする以下のような法律で解釈が可能となっています。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿などの重要書類を電子データとして保存する際のルールを取り決めた法律です。企業で取り扱う電子契約の書類は、電子帳簿保存法に基づき、保存場所や保存期間などの条件を満たす必要があります。

e-文書法

e-文書法とは、2005年に施行された「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律の通称で、電子文書法とも呼ばれます。法人税法や会社法などで保存が義務付けられている文書や帳簿などについて、一定条件を満たせば電子書類での保存を認める法律です。具体的には会計帳簿や契約書、領収書、請求書などの会社関係書類、貸借対照表や損益計算書のような企業決算に関する書類が対象となります。

電子帳簿法と類似していますが、電子帳簿法は国税庁が管轄する法律であり、国税関連書類の電子化にあたっては税務署長などからの承認が必要となります。

電子署名法

電子署名法とは、電子署名が紙書類の署名や押印と同等の法的効力を持つと定めた法律です。電子商取引を促進する目的で施行されました。第3条では「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と明記されています。
施行されたのは2001年と20年近く前になりますが、近年電子契約の普及が急速に進む中で、電子署名法の解釈が重要視されています。

IT書面一括法

IT書面一括法とは、企業が顧客に対し、紙による交付を義務付けている書類について、顧客の同意を前提として電子書類に代替することを認める法律です。電子署名法と同様、電子商取引を促進するための規制緩和策として施行されました。「一括法」という呼び方をなされるのは、証券取引法や訪問販売法など、関連する50の法律をまとめて一度に改正したためです。

電子契約導入へ向けての注意点

最後に、電子契約のシステムを導入するにあたっての注意事項についてお伝えします。
前述の通り、仕組みを変更する際にハレーションは起こりやすいものです。コストをかけて仕組みを開発したとしても、状況によっては運用がうまく回らないといった事態も想定されます。現場の運用面で懸念が残る場合には、まずは比較的安価に入手できるクラウド型のサービスで試験的に導入してみるなど、段階を踏むことが望ましいといえます。

▼電子契約システムの導入方法について詳しく知りたい方はこちら

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