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電子署名法とは?実務担当者がおさえておくべきポイントをわかりやすく解説!

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この記事でわかること

  • 電子署名とは何か、その基本的な役割(本人性の証明・非改ざん性の証明)
  • 当事者型と立会人型という電子署名の種類とそれぞれの特徴
  • 電子署名法の概要と、特に重要となる第1条~第3条のポイント
  • 電子署名法制定の背景と、セキュリティやペーパーレス化推進との関係
  • 最新の法的解釈により、電子証明書がなくても有効とされるケースがあること
  • 電子署名に関連するその他の法律(電子帳簿保存法、e-文書法、IT書面一括法、印紙税法)との関係
  • 電子署名が利用できない契約の種類と、その法的根拠
  • セキュリティ対策として秘密鍵管理やウイルス対策などを徹底する必要性
  • 契約相手や国際取引の法制度によって電子署名が利用できない場合がある点
  • Shachihata Cloudを活用した安全な電子署名運用と無料トライアルの案内

電子署名は電子署名法に基づき、安全性と真正性が保たれています。普段あまり耳にすることのない電子署名法とはどんなものか、ご存知の方は少ないかもしれません。本記事では、電子署名法の概要と抑えておきたいポイントを解説いたします。重要な書類を扱うことも多いビジネスパーソンや企業は、電子署名法について把握することで、より安全な環境での書類のやりとりが実現できるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

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電子署名とは

電子署名とは、電子的に作成された文書について「誰が作成したのか」「途中で内容が変えられていないか」を確認する仕組みです。紙の契約でいう署名や押印と同じ役割を持ち、法的にも効力が認められています。2000年に施行された電子署名法によって、一定の条件を満たす電子署名は本人の意思を示すものとして扱われています。電子契約を導入している企業にとっては、業務効率化と法的リスク回避の両面で欠かせない仕組みです。

▼電子署名について詳しく知りたい方はこちら

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電子署名の役割

電子署名には大きく二つの役割があります。ひとつは「本人性の証明」です。署名者や署名した日時が記録されるため、その文書が確かに本人の意思によるものだと示せます。もうひとつは「書類の非改ざん性の証明」です。署名済みの文書は第三者が勝手に変更できず、改ざんがあれば検知される仕組みになっています。これらによって契約文書の信頼性を確保できます。

電子署名の種類

電子署名には「当事者型」と「立会人型」があります。

当事者型は、契約当事者が電子認証局から発行される電子証明書を使って直接署名する方式です。紙の契約における印鑑証明書に近い役割を持ち、セキュリティが高いのが特徴です。

立会人型は、当事者ではなく電子契約サービス提供者が署名を行う仕組みです。本人確認はメール認証などで行われ、証明書を持たなくても契約可能です。当事者型ほど厳格ではありませんが、導入や利用が容易という利点があります。

▼電子署名の仕組みについて詳しく知りたい方はこちら

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電子署名法のポイントをわかりやすく解説

電子署名法は、電子署名に法的な効力を与えるために制定された法律です。電子契約が普及する前から存在し、契約の有効性を判断する根拠として使われています。条文は全47条ありますが、実務上重要なのは第1条から第3条です。ここを理解しておけば、電子署名の基本的な法的仕組みを押さえることができます。

電子署名法制定の背景

これまで、電子署名は不正改ざんや悪用のリスクがあるとされてきました。セキュリティ面に不安がある以上、一般への浸透は難しく、企業でも悪用を懸念して導入が見送られる場合が多くありました。しかし、ペーパーレス化の推進と並行して考えると、電子文書や電子署名は今後普及していく事柄です。よって、電子署名は国全体で拡大していくツールであるべきと政府は判断しました。使用拡大を目指すのであれば法整備は必須事項であり、電子署名法は電子署名を活用する全ての人へ安全性を担保する内容を主軸としています。
電子署名法は、「電磁的記録が公正に行われ電子商取引やネットワーク利用を円滑化することにより、国民のQOLも向上させるのが目的の法律」として立法されたといえます。

電子署名法の目的(第1条)

電子署名法の目的は、電子署名付きの文書を法的に正しく扱うための仕組みを整えることです。第1条には次のように規定されています。

この法律は、電子署名に関し、電磁的記録の真正な成立の推定、特定認証業務に関する認定の制度その他必要な事項を定める

引用元:e-gov法令検索, 電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号) 第一条

つまり、電子署名が本人によるものと推定できる仕組みや、信頼できる認証制度を整備することがこの法律の目的です。

電子署名の定義(第2条)

第2条では電子署名の定義が示されています。

この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること

引用元:e-gov法令検索, 電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号) 第二条

要するに、電子署名には「本人性」と「非改ざん性」の二つの要件が不可欠です。条文は抽象的な表現にとどまっているため、実務では認証局や電子契約サービスの仕組みによってこれを担保する必要があります。

電子署名の推定効発生の要件(第3条)

第3条では、電子署名が付与された文書が「本人によって作成された真正な文書」と推定される条件が規定されています。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する

引用元:e-gov法令検索, 電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号) 第三条

つまり、適切に管理された電子署名を使えば、裁判などの場でも「本人の意思に基づいて作成された文書」と推定される効力を持つことになります。

電子署名の最新の法的解釈について

契約締結のあり方については、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を機に、改めて見直しが図られる運びとなりました。不要な出社や他者との接触回数を減らすことが求められるなか、紙書類のやり取りや押印のために出社を余儀なくされることもあったため、政府は民間事業者間での手続きが可能な限り電磁的手法で行われるように、電子署名に関する見解を発表しました。

2020年7月17日に総務省・法務省・経済産業省より公表された「電子署名法2条1項に関するQ&A」によると、電子署名の真正性について、「必ずしも物理的に措置を自ら行う必要はなく、利用者の意思に基づいていることが明らかであるならば、契約の真正性が保たれる」という内容が記載されています。つまり、電子証明書のない電子署名であっても有効とみなす見解が示されているのです。

参考:https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei_qa.html

電子証明書はこれまでご説明してきた通り、本人確認の手段としては有効とされてきました。しかし、電子証明書は発行に数週間かかるなどのデメリットもあり、迅速な手続きには不向きです。電子証明書に代わり、たとえば企業間の契約締結の真正性を証明するサービスを提供する第三者の事業者が、契約当事者の指示を受けて電子署名を行う「立会人型」方式のクラウドサービスを活用すれば、迅速に手続きを進めることができるようになるのです。 

これまでの解釈では電子署名の法的有効性が曖昧であり、紙書類の押印や、電子証明書を伴う電子署名でなければ、たとえば訴訟が起きた際の証明として弱いのではないかという懸念がありました。しかし、今回の発表でそうした懸念を払拭し、民間企業における利用拡大を推進する狙いがあります。契約のオンライン化は今後さらに加速していくとみられます。

電子署名にかかわるその他の法律

電子署名は電子署名法だけでなく、民法、会社法、電子帳簿保存法などさまざまな法律とも関連しています。契約や書類管理を行う際には、以下の規定にも注意が必要です。

  • 電子帳簿保存法
  • e-文書法
  • IT書面一括法
  • 印紙税法

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、各税法で保存が義務付けられている帳簿や書類を電子データで保存するための決まりを定めている法律です。1998年に施行されてから何度か改正されており、直近では2022年12月に改正されました。

電子帳簿保存法の主な保存区分は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3種類に分けられ、それぞれで定められている要件を満たした保存が必要となります。

電子帳簿保存法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

▼電子帳簿保存法について詳しく知りたい方はこちら

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e-文書法

e-文書法とは、各法律で保管が義務付けられている文書や帳簿等の保存方法について、紙だけでなく電子化したものも認める法律です。
要件は各省令によって異なりますが、前提として次の4つが定められています。

●見読性(可視性)…電子データがパソコンやモニターなどで明瞭に見られる状態になっていること。また、必要なときに表示したり書面で出力したりできるようになっていること。
●完全性…内容の改変や削除を防止する策が取られていること。電子署名とタイムスタンプを使用して、原本の正しさを証明することが必要。
●機密性…アクセス権限を付与するなどして、不正なアクセスがないよう措置が取られていること
●検索性…必要なデータをすぐに見つけられるよう、体系的にデータ管理サれていること。

電子帳簿保存法と関連する部分も多いことから、電子署名を利用する上で理解が欠かせない法律です。

IT書面一括法

IT書面一括法は、書面による手続きや交付を義務としていた法律50法を対象に、電子的手段を認めるとした法律です。該当する法律には証券取引法、薬事法、保険業法などがあり、IT書面一括法によって電子署名を用いることができるようになりました。

印紙税法

印紙税法は、不動産売買契約や請負契約などの文書に課税する法律です。紙で契約書を作成した場合は印紙税がかかりますが、電子契約は課税対象外です。印紙税法第3条と基本通達44条に「紙に作成されたものに限る」と定められているため、電子契約では印紙代が不要になります。これにより、コスト削減の効果も期待できます。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023

電子署名導入にあたって留意すべきこと

電子署名を導入する際には、法的要件だけでなく、運用面やセキュリティ、取引先の対応状況も考慮する必要があります。事前に確認しておけば、導入後のトラブルを避けられます。ここでは、以下の3点について詳しく解説します

  • 電子署名が利用できない契約
  • セキュリティ対策を強化する必要がある
  • 契約相手によっては電子署名が利用できない場合がある

電子署名が利用できない契約

書類の中には電子契約が認められておらず、電子署名が利用できないものもあります。


電子契約できない契約

関連法律

事業用定期借地契約

借地借家法23条

任意後見契約書

任意後見契約に関する法律3条

企業担保権の設定又は変更を目的とする契約

企業担保法3条

上記3つの契約は法律によって、公正証書を作成する義務があるとされています。よって、私文書である電子契約書は認められていません。とはいっても、ほとんどの契約で電子署名を利用した電子契約ができますので、導入することをおすすめします。

セキュリティ対策を強化する必要がある

電子署名はデジタルデータであるため、不正利用や漏洩を防ぐセキュリティ対策が欠かせません。特に秘密鍵の厳重な管理が最重要です。加えて、ウイルス対策ソフトの導入、OSのアップデート、強固なパスワード設定などの基本的な施策も併せて行う必要があります。

契約相手によっては電子署名が利用できない場合がある

契約相手が電子化に対応していなければ、電子署名は利用できません。また、海外取引では相手国の法律により電子署名の効力が異なるケースもあります。事前に確認し、適切に対応することが大切です。

電子署名を活用して安全な電子化を

電子署名は適切な環境下で執り行うことで公的効力が発生します。セキュリティ面では特に気をつけたい措置なため、必要な手順を踏んで正しく活用してください。Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)では、立会人型の電子署名付与を行うことができます。ID/パスワードに加え、「パスコード認証」か「QRコード認証」のどちらかを使用する二段階認証も取り入れており、高いセキュリティを担保しています。無料トライアルも実施しているので、ぜひお試しください。

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WRITER
宮沢 明香里
デジタル認証事業部カスタマーサクセスマネージャー
住設メーカーの営業・企画業務を経験後、2021年シヤチハタ株式会社へ入社。 デジタル商材の営業を経て、現在はShachihata Cloudをさらに活用してもらうため、 クライアント向けセミナーや新機能リリースの企画業務を行う。
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