法律の規定上、企業間での取引においては契約書の原本性が重要視されています。ところが、電子契約書は、データコピーにより原本とまったく同じファイルを作成することが可能です。原本性確保のため、電子契約の内容を書面に出力して保存すべきか迷っている企業の方も多いのではないでしょうか。また、電子契約は、データのまま保存できる場合と、書面化が必要になるケースがあるため、要件を確実にチェックしておかなければなりません。
本記事では、紙・デジタルの契約書における原本の違いと、電子契約の原本性について解説いたします。データ書面化の必要性と電子帳簿保存法の要件もお伝えいたしますので、電子契約を利用中もしくは導入予定の企業の方はぜひご一読ください。
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契約方法を書面から電子へ変えた場合、契約書の原本に必要な以下のプロセスがすべて不要になる点が大きな違いだといえます。
電子契約はペーパーレスになるため、原本データの保存が容易なだけではなく、業務効率化とコストカットを同時に実現できます。保存・検索も容易で、機械的な方法での権限付与などによりコンプライアンスも向上し、紛失・消失の心配もありません。なお、法的な有効性は、電子署名法の要件に定められる「本人性」と「非改ざん性」を満たせば、電子・紙ともに同一です。ただし、電子契約の導入は、電子化できない書類やセキュリティの問題、取引先の意向などをふまえて進めてください。
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電子契約の有効性の根拠とは?政府見解と法的効力を担保するしくみを徹底解説!
電子契約の有効性が気になり、導入をためらっている企業の方も多いのではないでしょうか。本記事では、電子契約の有効性が法的に担保される理由としくみについて解説いたします。電子契約のメリットや導入時の注意点もお伝えいたしますので、ご利用の決め手に欠けると感じている場合はぜひ参考にしてください。
電子契約では、コピーしてもすべて同一内容となるため、どのデータが原本にあたるのかあいまいです。電子契約書の原本性について、次の3つの視点から考えていきましょう。
結論からいうと、書面を複製した場合には謄本・正本などに分けられますが、電子契約書では区別する必要性はありません。電子契約においては、電子署名とタイムスタンプを施すことで契約者双方の合意の証拠となり、データの原本性が担保されるためです。仮に区分するのであれば、サーバーやクラウドに保存したオリジナルデータが原本、それをダウンロードもしくはコピーしたものが謄本・正本にあたります。
なお、電子署名は、認証局が発行する電子証明書や、クラウドを経由する電子契約サービスを利用した場合のみ有効です。さらに、タイムスタンプで書類作成時の時刻情報を付与することで、もし契約書が書き換えられてもハッシュ値から原本の非改ざん性が確認できます。
本来、契約書は下記のように区別されています。
原本 | 契約の締結者が最初に作成したオリジナル |
謄本 | 原本を完全にコピーしたもの |
正本 | 裁判所等の公証機関が作成した原本の謄本 |
副本 | 正本の写し |
抄本 | 原本の一部をコピーしたもの |
本書 | 契約書における本書=原本もしくは正本 |
原本と正本は同一として扱われるケースも多いのですが、正確には違います。なお、原本は最初に作成する枚数によって複数存在しますが、正本は原則として1枚しか作成できません。
そもそも原本が重要視される理由は、以下2つのシーンで提出が求められる可能性があるためです。
取引上でトラブルが生じて裁判に発展した場合、民事訴訟規則143条により、契約書の原本性が重視されます。また、税務調査においても、電子保存した国税関係書類はオリジナルデータと同一でなければなりません。
民法では、原本性が確保された契約書のデータの書面出力は不要です。2024年1月1日からは、電子取引データが原本となる場合、紙に出力せず電子帳簿保存法の要件を満たして最低7年、繰越欠損金がある場合は10年間デジタル保存しなければなりません。ただし、税法上では契約書の書面化が求められるケースがあるため、すみやかに出力できる環境を整えておきましょう。
電子帳簿保存法により、電子契約書は以下3つのケースごとに保存要件が異なります。
電子取引データは、下記の要件を満たして保存してください。
具体的な改ざん防止措置としては、削除・訂正の履歴保存やタイムスタンプ付与などが挙げられます。
国税関係の帳簿や決算書類、見積書・請求書など資金・物の流れに関連するデータは、次の要件を満たして保存すれば、紙に出力する必要はありません。
また、上記に加え、優良な電子帳簿の要件となる以下の項目を満たして保存すれば、過少申告が発覚した際の加算税が5%軽減されます。
書面で作成した決算関係以外の国税書類は、下記要件を満たすことで電子保存しても構いません。
契約書・納品書などをはじめとする多くの書類が電子化できるため、経理業務の効率化と保存コスト・スペースの削減が実現するでしょう。しかし、要件が不十分な電子データは、原本として認められません。スキャナ保存する際には、原本となる紙書類をすぐに廃棄するのは避けましょう。
▶️スキャナ保存の要件について詳しく知りたい方はこちら
スキャナ保存は電子帳簿保存法の改正で要件が緩和!
スキャナ保存とは、紙書類のまま保存していた国税関係書類を電子文書として保存する方法です。2021年1月の電子帳簿保存法の改正により保存要件が緩和されたことで、ペーパーレスを始めとするデジタル化を推進しやすくなりました。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面で心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
Shachihata Cloudは、サービス時ログイン時の二要素認証、ログインできるIPアドレスの制限などセキュアな環境で利用できるツールです。立会人型電子署名の付与やタイムスタンプで文書の非改ざん性を担保します。フリーチョイスプランで1ユーザー110円からと低コストで運用でき、お得なセット料金もあるため、電子契約の導入に適しています。
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また、捺印した契約書はお互い1年間ダウンロードができます。会社印の捺印が必要な文書のやり取りが双方の費用負担ゼロで行えるので、ぜひご活用ください。
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電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。
Shachihata Cloudでは電子署名の法的有効期限を最低1年保証しています。別途タイムスタンプを利用すると、電子署名の有効期限を1年から10年まで延長可能です。
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フォルダの移動や並び替えはドラッグアンドドロップで完結するため、操作も簡単。フォルダへのアクセス権限はユーザー単位で付与できるため、部外秘の情報もセキュアな環境で管理できます。
データでやり取りする電子契約では、基本的に原本とその他を区別する概念がありません。原本性の確保のためには、電子署名とタイムスタンプを措置し、電子帳簿保存法に対応した方法で管理しましょう。
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