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電子請求書の取り扱いはどう変わる?電子帳簿保存法改正による具体的な対応策を解説

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電子帳簿保存法

2022年1月の電子帳簿保存法改正で、書類の電子保存が義務化されました。電子請求書の保存要件が変更したことに伴い、対応が求められています。ただ、2024年1月の完全移行までに実質2年間の猶予が与えられており、この記事を読んでいる方の中には、まだ対応しなくても大丈夫だろうと思っている方もいるかもしれません。しかし、電子帳簿保存法の対応には時間がかかるため、猶予がある今こそ対策を講じるべきです。

そこで本記事では、電子帳簿保存法改正の概要や電子請求書の取り扱いに対する具体的な対策を解説いたします。業務効率化のためには電子帳簿保存法への対応は避けられませんので、担当者の方はぜひ最後までご覧ください。

そもそも電子請求書とは

電子請求書は、その名の通り請求書を電子化したものです。紙で作成したものをPDF化する方法や、電子データで作成する方法があります。電子請求書はメールに添付する、アクセス権を付与して送るなどの方法で送付や受取ができます。

電子請求書を導入する4つのメリット

ここでは、紙の請求書と比較して、電子請求書を導入するメリットを4つご紹介いたします。

  • コストカットが期待できる
  • テレワークに対応できる
  • 請求書を管理しやすくなる
  • 請求書の再発行や修正が容易にできる

コストカットが期待できる

電子請求書を導入することで、コストカットが期待できます。電子データのまま送付できるため、紙の請求書の発行に必要だった用紙代や印刷代(プリンターの維持費やインク代)の削減が可能です。また、郵送する必要がなくなることから、郵送料もかからなくなります。

テレワークに対応できる

電子請求書の導入により、テレワークに対応できるようになります。これまで経理担当は請求書関連の業務を行う際、オフィスに書類が保管されていたため出社が必要でした。

しかし、電子データでのやり取りであれば社外でも確認できるようになり、経理担当もテレワークが可能となります。セキュリティ対策は必要ですが、多様な働き方に対応できるメリットがあるといえるでしょう。

請求書を管理しやすくなる

電子請求書は紙の請求書と比べて、管理しやすいメリットがあります。紙の請求書は会社ごと、年度ごとなどでまとめて保管されていることが多く、問い合わせがあると書類の束から探さなければなりません。請求書に関する問い合わせへの対応に時間がかかってしまい、保管がずさんだと最悪の場合は紛失する恐れもあります。

請求書を電子化すると、問い合わせがあった場合でも検索機能で該当書類をすぐに見つけることが可能です。また、データ化した請求書は、権限を設定し容易に削除できないようにすることで紛失を避けられます。

請求書の再発行や修正が容易にできる

再発行や修正が簡単にできる点も、電子請求書のメリットです。紙の請求書は再発行や修正の依頼が来たら、請求書を探すところから始めなければなりません。

しかし、電子請求書なら検索ですぐに見つけられ、パソコン上で簡単に再発行や修正ができます。迅速に対応できるようになると他の業務に割ける時間が増えるため、業務効率化にもつながります。

電子帳簿保存法(電帳法)2022年1月改正のポイント

はじめに、2022年1月に改正された電子帳簿保存法について、改正のポイントをご紹介いたします。

電子帳簿保存法の制度分類

電子帳簿保存法には、大きく分けて「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3種類の制度があり、それぞれ認められているデータの保存方法が異なります。

「電子帳簿保存」は電子データとして作成した書類を電子データのまま保存する方法、「スキャナ保存」は紙書類をスキャナーで読み取るなど電子データで保存する方法、そして「電子取引」は電子データをメールやクラウドサービスなどで受領した際の保存方法に関する取り決めです。

今回の改正で最も大きな変更点となるのは、「電子取引」に関するものです。

参考:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf

電子取引における電子保存の「義務化」

電子取引においては、書類を電子データとして保存することが義務化され、紙での取引が禁止されました。請求書に関しては、紙で受け取ったものは紙のまま保存するかスキャナで電子データ化して保存できますが、電子請求書は電子データのまま保存する必要があります。また、電子データの保存要件を満たす必要があり、影響範囲は大きいといえるでしょう。

完全義務化には実質2年の猶予期間

しかし、周知が進まず対応が間に合わない企業が多かったため、電子取引における電子保存の完全義務化には、実質2年間の猶予期間が設けられました。2024年1月からは、保存要件に従って電子データを保存する必要があるため、それまでに必ず対応が完了していなければなりません。

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電子取引制度の保存要件

では、電子取引において電子データを保存するための要件としては、どのようなルールが定められているのでしょうか。詳しく確認していきましょう。

電子取引に該当する取引の例

実務上の電子取引に該当するのは、メールやクラウドサービスなどで請求書や領収書のPDFデータを受領する場合や、クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払いデータ、スマートフォンアプリなどによる電子決済データを利用する場合などが挙げられます。

電子取引に該当する取引の例

・電子メール等で受領した請求書や領収書
・クラウドサービスで授受した請求書や領収書
・USBやDVD等の記録媒体を介して受領した請求書や領収書
・交通系ICカードやクレジットカード等を通じたキャッシュレス決済
・ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機の利用  等

真実性の担保(タイムスタンプや修正ログの記録)

電子取引が行われた日時や取引内容が真実であることを証明するため、以下いずれかの措置を講じることが要件として定められています。電子請求書を保存する際にも、タイムスタンプの付与が必要です。

  1. タイムスタンプが付与された後に、電子情報の授受を行う
  2. 電子情報の授受をした後に、速やかにタイムスタンプを付与し、保存者または監督者に関する情報を確認できるようにしておく
  3. 記録事項の訂正・削除を行った場合にその履歴が残るシステムか、訂正・削除を行えないシステムで取引情報の授受・保存を行う
  4. 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う

可視性の担保(検索機能の確保やマニュアルの整備)

また、保存にあたっては可視性も担保しなければなりません。具体的には次の3要件をすべて満たす必要があると定められています。

  1. 明瞭な状態で速やかにディスプレイなどに表示でき、かつプリンタにも出力できる形式で保存し、そのためのマニュアルも保存場所へ備え付けること
  2. 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
  3. (原則として)検索機能を確保すること(日付・取引先・取引金額で検索できること)

これらの要件を満たすためには、タイムスタンプ機能や、修正・削除履歴が残る機能などが備わり、改正電子帳簿保存法に対応している電子決裁システムを利用することが望ましいと考えられます。

今から電子帳簿保存法に対応しておくべき理由

猶予期間はあるものの、いつ頃から何を準備しておくべきか迷われている方は少なくありません。結論からお伝えすると、「今から」備えておくことが必要と考えられます。理由は次にお示しする通りです。

税務調査へ備えるための2年間に

電子保存の義務化の制度自体は2022年1月から開始されているため、税務調査を求められた場合、対応が間に合っていなかったとしても、2024年1月までに対応できるよう準備を進めている説明は求められるでしょう。具体的ではなくても、今後見直す部分や導入を考えているシステムなどは説明できるようにしておく必要があるでしょう。

システム導入コストと期間の確保が必要

前述の通り、電子帳簿保存法に対応した電子決裁システムを導入すれば、ゼロから考えずに対応が可能です。一方で、新しいシステムを利用する場合はその利用料が発生しますし、システム導入に関わらず社内ルールを整備するのに人的コストも必要となるでしょう。規模の大きい企業となれば尚更その傾向は強まります。

コストと人的リソースを確保する意味でも、ある程度の準備期間は確保しておく必要があります。

インボイス制度への対応も続く

また、経理に関する大きな制度上の動きとして、2023年10月施行のインボイス制度もこの後に控えています。電子帳簿保存法への対応と、インボイス制度への対応が重なると業務負担が増大するため、やはり電子帳簿保存法対応は今から行うべきといえるでしょう。

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電子帳簿保存法には今から備えを!対応のステップ

最後に、電子帳簿保存法に対応するためのステップと、大まかなスケジュール案をご紹介いたします。自社の状況に合わせてご参考ください。

1. データの保存方法や場所の検討(約1ヵ月〜)

まずは、電子データを保存しておく方法や場所を検討します。自社内のサーバか、クラウドサービスなどのシステムを活用するのか。日付・取引先・取引金額で検索できなければならないため、社内サーバのフォルダを使用する場合は、規則性のあるファイル名の命名ルールを決め、索引簿をExcelで準備しておくなども必要となるでしょう。

電子帳簿保存法対応のシステムを活用する場合は、このあたりのルールをゼロから整備せずとも制度に対応できるため、比較的容易に移行可能となります。

2. 承認フロー・業務フローの見直し・改善(約1.5ヵ月〜)

次に、保存方法だけでなく、承認フロー・業務フローを見直す必要があります。今回の改正で電子データを紙で保存することが禁止されたため、見積書や請求書を紙に印刷して押印・回覧することも今後できなくなります。電子的に書類を回覧し、パソコンやスマートフォン上で確認して承認できる仕組みであれば、業務効率も上がります。

請求書などを受領した後の業務フローが具体的にどのようになっているのか、5W1Hで整理し、完全電子化によって効率アップを目指しましょう。

3. 電子帳簿保存法対応ツールの導入(約1ヵ月〜)

最後に、電子帳簿保存法に対応したツールの導入を検討しましょう。今回ご説明したような保存要件を抜け漏れなく満たすには、はじめから電子帳簿保存法に対応した仕組みを導入しそれを活用するのが簡単な方法です。

JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)では、市販されているソフトウェアサービスが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証しています。JIIMA認証を取得したソフトウェアを活用することを検討しましょう。

Shachihata Cloudなら電子帳簿保存法に対応

シヤチハタの提供する電子決裁・電子印鑑サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、JIIMA認証を取得している、電子帳簿保存法対応の仕組みです。今お使いの印鑑をそのまま電子印鑑に移行することができ、既存の業務フローを大きく変えることなく導入を検討できる「BPS(ビジネスプロセスそのまんま)」をコンセプトとしているところが大きな特徴です。

本格導入に向けてはまず無料トライアルで使い勝手を試してみることをおすすめします。トライアルのお申し込み当日からすぐに利用可能なサービスとなっているので、ぜひこの機会にお試しください。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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