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電子化できない書類はある?電子帳簿保存法の改正も解説

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本記事では、契約書などの電子化を検討している方に向けて、電子化できる書類とできない書類についてご説明いたします。新型コロナウイルス感染症などで急速な電子化が進んでいますが、法律によって紙書類での管理が求められている書類も残っています。現在の状況をしっかりと把握したうえで電子化を進めましょう。

電子化できない書類はある?

結論から言うと、電子化できない書類はいまだに存在しており、「任意後見契約書」や「事業用定期借地権設定のための契約書」などがその代表例です。
電子化できない理由としては、書面での作成が法律上求められていること、電子化が適切でないものであるという2つが挙げられます。前者については、電子化という時代の流れに合わせて、IT書面一括法など電子化を認める法律の制定や、書面での作成を求めている法律の改定などを行っています。

これらの書類については、すぐに電子化されることはないかもしれませんが、他の書類のように今後電子化される可能性もあるので、対象の書類を扱っている方はこまめに情報収集をしておくと良いでしょう。

e-文書法とは?

e-文書法はひとつの法律名ではなく「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律の総称です。保存の義務があるすべての文書が対象となっており、各文書の管轄の省庁も異なるため、各書類の詳細な要件は各省庁で制定します。

e-文書法に対応するための要件

文書の電子化にあたっては、4つの技術要件が定められています。各文書によって満たさなくてはいけない要件は異なり、先ほどご紹介した「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」から確認することができます。

「見読性」

見読性とは、電子化された文書をパソコンやスマホで表示した際に、はっきりと読むことができることを指します。紙書類をスキャンして保存する場合、明瞭に確認できる状態の目安として、スキャンの際に256階調かつ150dpi以上で読み取りを行うと良いとされています。

「検索性」

必要なときにすぐ電子データが取り出せるようにしておくことが検索性。紙書類では、目録から目当てのものを見つけたうえで、書庫からその書類を探す必要があります。電子データでは、関連するワードを入力すればすぐに該当の書類を見つけられるうえ、その場で書類の中身も確認することが可能です。このメリットを生かすために、検索性の担保が要件の一つとされています。

「機密性」

機密性は、許可を得ていない人物がアクセスできないように、不正アクセスを抑止する対策が講じられていることを指します。パスワードの設定や閲覧履歴の記録を行い、不正アクセスが起こらないように対処しなければいけません。

「完全性」

完全性は、保存が義務づけられた期間中にデータが改ざんされたり消去されたりしないように抑止する措置が取られていることを指します。また、内容に変更が生じる場合は、その変更内容が分かるようになっていなければなりません。

e-文書法で電子化できる書類

e-文書法では、これまで法律で紙書類での保存が義務づけられていた書類について、各法律を改正すると莫大な時間がかかるため、それらをまとめて電子化可能と認めた法律です。そのため、ほとんどすべての書類がe-文書法の対象になります。具体的な文書名については、内閣官房IT担当室が作成した「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」から確認することができます。

参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/syourei.pdf

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、パソコンの普及に伴い1998年に制定された国税庁の管轄の法律です。会計帳簿や国税関係書類の電子化の容認と電子化にあたっての規定が定められています。1998年の制定時は、初めから電子データとして作成した文書のみが対象で、紙書類をスキャンして保存することは対象外とされていました。しかし、2005年のe-文書法施行に伴い、契約書・注文書・請求書・納品書などについては、スキャンして電子書類化することも認められるようになりました。

さらに2022年1月に改正が行われたので、その改正ポイントについて次の章でご説明いたします。

電子帳簿保存法 2022年度改正のポイント

本改正では、これまで以上に電子化を推進するために、事前承認の廃止や要件の緩和を行っています。要件の緩和を行う場合は、十分に技術要件が満たされていることが必要になるので、改正に対応して電子化専用のサービスなどを活用すると良いでしょう。

税務署長の事前承認の廃止

これまでは、国税関係の帳簿や国税関係の書類を電子データとして保存する場合は、事前に税務署長の承認が必要でした。事前の申請は企業の負担になっていたため、この事前承認が不要になったのです。
対象は2022年1月1日以降に備付けを開始する書類になります。

過少申告加算税の軽減措置の整備

国税関連帳簿について、定められた技術要件を大幅に満たしており、優良な電子帳簿と認められているときに、その帳簿に記載されている内容に申告漏れがあった場合には、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減される措置が整備されました。
変更の履歴が確認できるなど、優良な電子帳簿にしておくことで、ミスがあった際の金銭的な損失も少なく済むうえ、ミスが起きる可能性自体も下げることができます。

タイムスタンプ要件と検索要件の緩和

タイムスタンプの付与期間が、最長約2か月と概ね7営業日以内とされました。また、電子データの内容変更を行った際に、これらの履歴を確認できるクラウドサービスなどを使用している場合、その記録をタイムスタンプの付与に代えることができるようになります。
検索要件については、電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができる場合は、取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先のみの項目で許容されることになりました。

参考:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf

Shachihata Cloudを活用して電子化を実現

これまでは紙書類での保存は認められているが、電子データの保存は認められていない、というパターンばかりでしたが、改正電子帳簿保存法によって、いよいよ電子データでないと保存できないものが現れました。電子決裁サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」で授受した文書は、改正電子帳簿保存法にも完全に対応しています。さらに電子文書の保存だけではなく、文書の作成から締結までのフローもまとめて電子化できるので、わざわざ押印のために出社するなどの手間がなくなります。ペーパーレス化や働き方改革など、様々な要因が後押しをして電子化は今後ますます進んでいくと考えられるので、国税関連の書類以外の電子化も検討してみてはいかがでしょう。

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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