Shachihata Cloud DXコラム 亡くなった人の印鑑の捨て方は?注意点と正しい処分方法
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亡くなった人の印鑑の捨て方は?注意点と正しい処分方法

亡くなった人の印鑑を処分することになった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。また、結婚などで苗字が変わった場合や、印鑑が破損した場合などでも、古い印鑑の処分を検討する場面があるかと思います。
認印であれば100円ショップなどでも安く購入でき、それほど重要な役割もないため、捨て方についてはあまり考えたことがないという方が多いかもしれません。しかし、印鑑の中には銀行印として登録していたり、実印として登録していたり、重要な印鑑もあります。そこで本記事では、意外と知らない印鑑の正しい処分方法をご紹介します。捨てる前に届け出を提出するなど、事前準備が必要なこともあります。

亡くなった人の実印の取り扱い

亡くなった人の印鑑は、処分すべきなのか、それとも保管しておくべきなのでしょうか。まずは印鑑の中でもとても重要な意味を持つ「実印」の法的効力が、持ち主が亡くなった場合どうなるかについてご説明します。

故人の実印の法的効力とは

実印とは、住民登録をしている市区町村に届け出て、印鑑登録を行った印鑑のこと。住宅や土地購入のような不動産取引や、住宅ローンの契約書、遺産相続など、人生の重要な局面で使用します。そのため実印は厳重に管理し、紛失・盗難に十分注意をしなければなりません。

しかし、印鑑の持ち主が亡くなった場合、役所に死亡届を提出すると、印鑑登録が抹消され、実印としての法的効力も消滅します。そのため、亡くなった人の実印は処分しても問題ありません。

印鑑登録証については念のため、断裁した上で破棄しましょう。

遺産相続における印鑑の必要性

亡くなった人の実印は処分できるとはいえ、遺産相続には必要だろうと思われるかもしれません。しかし、その心配は要りません。遺産相続は、相続をする側の契約の問題となるため、亡くなった本人の実印は不要です。

彫り直しをして再利用する選択肢も

故人の形見でもあるので、処分しないでとっておきたい場合もあるでしょう。その場合には、大事に保管しておいても差し支えありません。もしくは、自分の印鑑として作り直して再利用するのも良いでしょう。印鑑の素材やサイズにもよりますが、印章店へ持っていくと彫り直しをしてくれるところもあります。

印鑑を捨てる際には悪用されないよう注意が必要

では、いざ印鑑を処分しようとなった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。亡くなった人の印鑑だけでなく、結婚などで苗字が変わったり、長期間使用して割れてしまったり、使用していた印鑑を処分することもあるでしょう。
しかし、印鑑を他のゴミと同じように、そのままゴミ箱へ入れて処分するのは大変危険です。印鑑を悪用され、大きなトラブルを招いてしまう恐れがあります。
実印として登録されている印鑑などを処分する際には、特に注意が必要です。

それでは、印鑑を処分するための正しい手続き方法を確認しておきましょう。実印の場合も銀行印の場合も、まずは処分する前段階でいくつかの手続きが必要です。

実印の捨て方と注意点

(個人の場合)処分前に印鑑登録の廃止手続きを行う

印鑑登録されている印鑑を捨てる場合には、先に印鑑登録の廃止申請手続きを行うことが必要です。印鑑登録を実施した市区町村の役所へ行き、以下4つの資料を提示して廃止申請を行うことで、廃止手続きが完了します。

1. 印鑑登録廃止申請書

申請書は市区町村の窓口や、ウェブサイトから入手することができます。申請書に記入する一般的な項目は次の通りです。

(表)印鑑登録廃止申請書に記入する一般的な内容

・印鑑の登録番号

・居住地の住所

・氏名、フリガナ、性別

・生年月日

・電話番号

・窓口に来たのが本人か、または代理人か

※代理人が申請する場合には、代理人の氏名と電話番号、居住地の住所を明記し、別途委任状の提示が必要です。

・申請の理由(紛失・焼失・盗難・不要になったからなど)

2. 印鑑登録をした印鑑

手続き上、印鑑登録をしている印鑑が必要となるため、処分対象となる印鑑を先に捨ててはいけません。

3. 印鑑登録証

印鑑登録をすると交付されるカードのことで、廃止申請時に返却が必要となります。印鑑証明書(書類)とは異なります。

4. 身分証明書類

印鑑登録の廃止申請には、本人のなりすまし防止を目的として、本人確認ができる資料が必要となります。免許証のように、公の機関が発行した顔写真付きの資格証明書であればその1点で確認が取れますが、顔写真なしの社員証や預金通帳などは2点提示して確認する必要があります。詳しくはお近くの市区町村へ問い合わせましょう。

なお、自分で役所に行けず代理人を立てる場合には、上記に加えて代理人選任届と代理人の認印も必要となります。代理人選任届けも市区町村の窓口やウェブサイトに用意されています。

(法人の場合)処分前に法務局で廃止手続きを行う

もしも法人の実印を処分する必要が生じた場合は、まずは印鑑及び印鑑カード廃止届書を法務局へ提出し、効力をなくしましょう。会社実印は企業買収や株券の発行、代表取締役の変更など、対外的にも重大な局面で利用するため、より厳重な注意が必要です。

買い替えに伴う処分であれば、先に新しい印鑑を準備してから破棄するように注意してください。廃止手続きが済み次第、新しい印鑑を再登録します。なお、新しい会社実印ができたとしても、古い実印で締結したそれまでの契約が無効になることはありません。

参考:法務局 印鑑証明書等の交付請求書の様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html

銀行印の捨て方と注意点

次に、銀行印を捨てる場合の事前準備と注意事項をお伝えします。銀行印は処分する順序を間違うと、お金のやり取りに大きな影響を及ぼしてしまいます。

処分前に新しい印鑑への変更手続きを行う

銀行印を処分する前には、必ず新しい印鑑を準備した上で、変更手続きを行いましょう。古い印鑑を処分してしまうと、手続きに2週間程度時間がかかる可能性があります。処分する予定の印鑑と、新しく登録する印鑑、そして変更したい銀行口座の通帳を持って、銀行の窓口で手続きを行いましょう。

(法人の場合)未交換の小切手や手形がないか確認する

法人の銀行印を処分する前にする大切なことは、未交換の小切手や手形がないかの確認です。処分してしまった場合は、小切手や手形の交換をする術がなくなってしまいます。支払い義務だけが残ることになるため、十分注意しましょう。

認印など印鑑全般の捨て方と注意点

印鑑登録の廃止手続きをはじめ、これまでに述べた事前準備を、印鑑の種類ごとに行いましょう。これらをクリアして初めて、処分できる状態になります。ここまでの対応では悪用されるリスクがなくなるわけではないため、最後まで適切に処分しましょう。印鑑の処分には次のような方法が挙げられます。

印面を削り取る

彫刻刀やカッターなどで、苗字などが刻まれている印面を削り取ります。印面が判別できない状態になれば、あとは通常のゴミと同様に処分して差し支えありません。
印鑑は硬い素材でできているため、手を切らないように注意しましょう。心配な方は目の荒い紙やすりを使うと安全に削り取れます。

印章店や神社で供養する

また、印章店へ依頼して、印鑑を供養する方法もあります。処分を「供養」と表現したのは、日本では古くから印鑑を大事に扱う文化があり、これまで生活を支えてきてくれた印鑑への感謝の気持ちを込めて、神社で供養する習わしがあるためです。
全日本印章業組合連合会では、10月1日を「印章の日」と制定しています。印章の日に合わせて、不要になった印鑑を供養するお祭が各地で行われます。規模の大きい有名なお祭りでは、京都の下鴨神社で開催される「印章祈願祭」があります。各地の印章店から集められた印章は、本殿で神事が行われて供養されます。組合に加盟している印章店に依頼すると、印鑑の供養を取り次いでもらうことができます。

参考:公益社団法人 全日本印章業協会 印章祈願祭
http://www.inshou.or.jp/inshou/area/festival.html

下鴨神社以外にも、印鑑の供養を受け付けている神社があります。実印として使用していた印鑑は、大きな意思決定をするような重要な場面で活躍してくれていました。思い入れのある大事な印鑑は感謝の気持ちを込め、神社に持って行って供養してもらうと良いでしょう。前述のような印章祈願祭で、行事当日の持ち込みを受け付けている場合もあります。

彫り直し(リサイクル)

実印に登録するような印鑑には高級な素材が使われている場合もあり、捨ててしまうのがもったいないと感じる方もいるかもしれません。印鑑自体に破損がなければ、彫り直して新しい印面にすることも可能です。これから先も大事に長く使用することができるので、このような場合には彫り直しをしてくれる印章店を探しましょう。

ただし、素材によっては彫り直せないものもあります。チタンのような金属系の印鑑は難しいですが、拓・彩華と呼ばれる植物系素材や、黒水牛・象牙など動物系素材であれば、対応してもらえる可能性があります。

電子印鑑サービス「Shachihata Cloud」のご紹介

本記事では印鑑の正しい捨て方をご紹介しました。個人の印鑑も企業で用いられる印鑑についても、不要になったら適切に処分をしなければなりません。しかし、名字が変わったり、印鑑が破損したり、その都度印鑑を処分するのには手間がかかることになります。

シヤチハタの提供する「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」をお使いいただくと、印鑑を簡単に電子化することができます。苗字が変わることになった場合もスムーズに新しい印鑑を登録することができ、電子データのため破損の心配も要りません。稟議書や請求書など、会社のあらゆる書類を、オンラインで回覧して捺印することができるようになり、利便性が大きく向上します。また、捺印の履歴もきちんとデータとして残るため、なりすまし防止の観点でも安心できるサービスです。

1ユーザーあたり110円(税込)と導入しやすい価格設定になっているため、まずはぜひ無料トライアルをお試しください。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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