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電子契約における締結日の問題と注意点とは?締結日の決め方も解説

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近年、紙の契約書に代わり電子契約を利用する企業が急増しています。しかし、契約締結日をいつに設定すれば良いのか、またバックデートやタイムスタンプなど特有の問題が生じやすい点に注意が必要です。
特に当事者がオンライン上で合意する場合、物理的な押印が不要であっても日付の扱いを間違えるとリスクが発生しかねません。本記事では、電子契約における締結日の問題と注意点をわかりやすく解説し、適正な締結日を決める方法や不正にならないバックデートの考え方を紹介します。

契約締結日とは何か

契約締結日とは、当事者が契約内容に合意し、法的に有効な契約書が完成した日を指します。紙ベースの契約であれば、通常は押印や署名をしたタイミングが締結日とみなされます。
一方、電子契約では電子署名やシステム上の同意ボタンのクリックで合意が成立するため、どの時点が締結日になるのか曖昧に感じる場合があります。しかし、実際は両者が内容に合意し、その意思表示が一致した時点を契約締結日として認識することが基本です。

電子契約のタイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子契約で作成・署名された書類が、いつ作成され、いつ改ざんされていないかを証明するための技術です。契約書データに対して第三者機関が時刻情報を付与する仕組みで、これにより契約がバックデートされていないことや、その後改ざんが行われていないことを裏付けられます。
たとえば、契約に関するPDFファイルにタイムスタンプが付与されていると、その日付以降はデータが変更されていないと証明でき、契約書の真正性が高まるのです。

電子契約では、不要と思われることの多い“判子文化”の代わりに、このようなデジタル証明の仕組みが役立ちます。もちろん、タイムスタンプだけではなく、電子署名やアクセス履歴の管理など、複数の対策を合わせて運用することで、信頼性をより高めることができます。

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締結日における電子契約の問題とは

電子契約の場合、実際に当事者が合意した日とシステム上の日付にズレが生じることがあります。たとえば、相手方が署名ボタンを押すタイミングが翌日になったり、タイムスタンプの時刻が国際時間で表示されたりして、書類上の締結日が曖昧になりがちです。こうした混乱を防ぐには、あらかじめ書類に締結日を明記したり、システムの表示形式を統一したりするなどの対策が必要です。

正常なバックデートとは

「バックデート」とは、本来の締結日より過去の日付を契約書に記載する行為を指します。一見、すべてのバックデートが不正に思われがちですが、実務上、一定の理由で問題とならない場合もあります。たとえば、当事者間で交渉が合意に至った日が実質の合意日であり、その後書面作成に時間がかかったため、書面には交渉が成立した日付を示すようにバックデートするケースです。

このように、合意が既に完了していたにもかかわらず、書類化が遅れてしまった事実を後から書き加える形で日付を合わせることは、当事者間で誤解がない限り“正常”とみなされるケースがあります。
ただし、後からタイムスタンプなどで改ざんの有無が確認できる電子契約では、正当な理由なく日付を操作することは避けるべきです。真に“合意していた日”を記録するために、電子契約のシステム設定やワークフローの段階で締結日の扱いを明確化しておくと良いでしょう。

いずれにしても、正常なバックデートを行う場合は、どの時点で合意が成立したのかを証明できるよう証跡を残し、当事者間の理解を得ておくことが重要です。

問題となるバックデートとは

一方で、不正とみなされるバックデートは、実際の合意時点よりも大幅に前の日付を契約書に記載し、利得や逃れたい責任などを生じさせるケースです。
たとえば、契約時点では既に起きていた事象(損害や利益など)を「なかったこと」にするために契約締結日を操作し、結果として第三者を欺くような行為は明らかに問題となります。

また、税務上や法的手続き上で日付操作を行う場合も重大なリスクがあります。たとえば、消費税や印紙税の計算で不正をはたらく、もしくは賠償責任の所在を曖昧にするためにバックデートすることは法令違反や契約無効につながる恐れがあるでしょう。

電子契約では、タイムスタンプやアクセスログなどのデジタル証跡によって、いつファイルが生成・変更されたかが追跡されやすくなっています。不正なバックデートが発覚すれば信頼性を失うだけでなく、法的トラブルにも発展しかねません。したがって、正当な理由のないバックデートは厳に避け、契約書の締結日は正しく記録・管理することが不可欠です。

電子契約の締結日を決める際のポイント

電子契約の締結日は、実質的な合意が成立したタイミングに合わせて正確に設定することが大切です。以下で紹介するポイントを押さえれば、誤解やトラブルを防ぎ、スムーズな契約手続きを実現できます。

合意日(実質的な契約成立日)を明確にする

電子契約では、ボタンをクリックした日付が合意日と認識されることが多いですが、当事者間の交渉が完了したタイミングや口頭での意思表示が事実上の合意日となる場合もあります。
システム上の署名や押印(電子署名)より先に合意しているなら、その合意日がいつなのかを明確にし、必要があれば契約書の文面に補足しておくと後々の紛争防止に役立ちます。

全員の署名が完了したタイミングを基準にする

電子契約システムでは、複数の関係者が順番に承認・署名するフローが一般的です。この場合、最後の当事者のサイン(電子署名)が完了した瞬間が締結日として扱われます。誰か一人が押し忘れていたなどのミスが起きないよう、システム上で署名のステータスを確認できる環境を用意し、全員が合意したタイミングを正しく記録することが重要です。

タイムスタンプを活用し確実性を高める

タイムスタンプは契約書がいつ作成・署名されたかを証明し、改ざんを防止するための仕組みです。各当事者が署名を終えた段階でタイムスタンプを付与することで、正確な締結日時を証明しやすくなります。特にバックデートなどの日付操作を疑われないためにも、タイムスタンプを導入しておくことが望ましいでしょう。

日時表記を統一する

相手先が海外にいる場合や、システムのサーバーが海外にある場合など、タイムゾーンの違いから日付がずれることがあります。締結日を特定する際には、日本時間で一律に表記するなど、当事者同士で表記ルールを統一すると混乱が減ります。また、時刻まで含めてログを残すことで、より厳密な管理が可能です。

契約書に締結日の記載方法を定めておく

最初から契約書の条項に「本契約書の締結日は、当事者の最終承認が完了した日とする」などと定めておくのも有効です。これにより、曖昧な運用や認識の違いを防げます。電子契約を導入する際は、社内のルールやマニュアルで締結日の取り扱いを明文化しておくことで、実務における混乱を最小限に抑えられるでしょう。

電子契約特有の締結時に注意すべきポイント

電子契約には、紙の契約にはない特有の注意点があります。システム上で「当事者」が合意するため、署名やタイムスタンプの有無、データの改ざん防止などに留意が必要です。詳細を以下で確認してみましょう。

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システム障害への備え

電子契約はクラウドシステムや専用ソフトを通じて行うため、万が一システム障害が発生すると契約手続きが止まってしまう可能性があります。
そのため、契約の締結日が迫っている場合には、障害時の代替手段(紙ベースへの切り替えなど)や、障害情報の通知体制を整えておくことが重要です。システムの可用性を高める措置や、運用サポートのしっかりしたサービスを選ぶと安心です。

電子署名の有効性確認

電子契約で不要と思われがちな物理的押印に代わるものが電子署名です。電子署名が正しい当事者のものであり、法的要件を満たしているかを確かめることが必要になります。
たとえば、電子署名の方式が国内外の法律に対応しているか、改ざん対策が十分か、電子証明書の期限切れがないかなどを事前にチェックしておくことが大切です。

まとめ

電子契約では従来の押印に頼らない分、締結日や日付の扱いで戸惑うケースが増えています。特にバックデートの正当性やタイムスタンプによる証拠保全は、契約リスクを避けるために欠かせない要素です。契約時の混乱やトラブルを防ぐには、当事者間の合意のタイミングを明確にし、システム上での署名フローを慎重に設計することが鍵となります。適切な運用ルールや技術的対策を整え、安全かつ効率的な電子契約を実現しましょう。

WRITER
林 舞
デジタル認証事業部 Shachihata Cloud エバンジェリスト
紙文化のメーカー、広告代理店からフルリモートのSaaS組織まで多様な環境で培った幅広い視点を生かし、2024年からデジタル認証事業部企画マーケティングチームにてShachihata Cloudの価値発信に携わる。
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