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業務改善助成金の受給要件と申請〜入金までの流れをわかりやすく解説

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国が進める働き方改革の一環で、最低労働賃金を引き上げる目標が掲げられました。この目標を達成するための施策として、「業務改善助成金」の助成率の引き上げが行われています。業務改善助成金とは、従業員の賃金を引き上げる努力をする中小企業・小規模事業者を支援するための助成金です。しかし、受給を受けるにあたっては要件を満たし、正しく申請手続きを進めなければならないため、注意が必要です。

本記事では注意点も踏まえながら、業務改善助成金の受給要件と、申請手続きの実施方法、実際に入金されるまでの流れをわかりやすく解説します。なお、当記事は以下の令和2年の厚生労働省の発表を元に作成しています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

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業務改善助成金とは

まずは業務改善助成金がどのような制度なのかを正しく理解しましょう。
業務改善助成金とは前述の通り、従業員の賃金を引き上げる努力をする中小企業・小規模事業者を支援するために用意されている助成金です。事業者が設備投資をすることなどで生産性を向上させ、浮かせることのできたコストを使って職場(事業場)内の最低賃金を決められた額以上引き上げた場合、そのときの投資にかかった費用の一部を国に助成してもらえる仕組みとなっています。2020年1月には助成金が拡充され、これまで以上に使いやすくなりました。

(図1)業務改善助成金の概念図

上の図は業務改善助成金を理解するための概念図となります。事業者はまず設備投資などを行い、従業員の業務効率化などによって職場の生産性を向上させます。すると、これまでかかっていたコストが浮くことになります。浮いたコストを従業員へ還元させ、事業場内の最低賃金を引き上げます(引き上げの基準は後述します)。成果が上がったところで、事業者から業務改善助成金を受給するための報告書を、都道府県労働局へ提出します。受理されれば助成金を受け取れるという流れになっています。

なお「設備投資など」には、機械設備の他にも、コンサルティングの導入や人材育成・教育訓練などへの投資も含まれます。

業務改善助成金の受給要件

業務改善助成金の受給要件としては、以下の4項目が定められています。1の賃金引上計画は、交付申請をする際に提出をする必要があります。

(表1)業務改善助成金の支給の要件

1. 賃金引上計画を策定すること

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則などに規定する必要があります)

2. 引上げ後の賃金額を支払うこと

3. 生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと

※単なる経費削減のための経費や、職場環境を改善するための経費、通常の事業活動に伴う経費は対象外となります。

4. 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

助成額と申請区分

ではこの制度を活用した場合、いくら助成してもらえることになるのでしょうか。助成額を表2、表3にまとめました。

助成対象となる事業場の条件

業務改善助成金を活用できる事業場にも条件があります。具体的には表2の通りです。

(表2)助成対象となる事業場

以下の2つの要件を満たす事業場

①事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内

②事業場規模100人以下

申請コースと助成額の条件

申請するコースは最低賃金の引き上げ額に応じて、25円コース・30円コース・60円コース・90円コースの4つに分かれています。

(表3)業務改善助成金の申請区分と助成額


*1 ここでいう「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を指します。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給されます。
生産性要件についての詳細は厚労省ウェブサイトをご参照ください。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html

*2 850円未満コースの対象は、地域別最低賃金850円未満の、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の32県のうち、事業場内最低賃金850円未満の事業場に限ります。(令和2年4月現在)

申請から入金までの流れ

最後に、業務改善助成金の申請から入金までの手続きの流れを解説します。なお交付申請書などの各種フォーマットは、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。

1. 助成金交付申請書の提出

まずは事業改善計画と賃金引上計画を記載した交付申請書を、都道府県労働局に提出します。

2. 助成金交付通知

交付申請書の内容が適正と認められれば受理され、助成金交付通知が届きます。

3. 業務改善計画・賃金引上計画の実施

設備機器やサービスの導入によって、実際に業務を効率化し、生産性を向上させます。

4. 事業実績報告書の提出

業務改善計画の実施結果と賃金引上の状況を明記した、事業実績報告書を都道府県労働局へ提出します。

5. 助成金額の確定通知

事業実績報告書の内容が受理され次第、助成金額の確定通知が届きます。

6. 支払い請求書の提出

支払い請求書を都道府県労働局へ提出します。

7. 助成金の受け取り

支払いが実行され、一連のやり取りが完了となります。

業務改善助成金の注意点

業務改善助成金の手続きには、適切な順序を踏まなければなりません。事業場内最低賃金の引き上げや設備投資などを、交付申請書を提出するよりも先に実施してしまうと、交付の対象外となります。交付申請書や交付決定通知書の提出前・通知前に行った取り組みに関しては対象外となることを認識しておきましょう。

(表4)申請手続き上の注意点

1. 交付申請書を都道府県労働局に提出する前に設備投資等や事業場内最低賃金の引上げを実施した場合は、対象となりません。

2. 事業場内最低賃金の引上げは、交付申請書の提出後から事業完了期日までであれば、いつ実施しても構いません。

3. 設備投資等は、交付決定通知後に行う必要があります。

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