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取引基本契約書とは何?どちらが作成する?記載事項や必要性を徹底解説

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企業間取引の開始にあたり、取引基本契約書や個別契約書の締結をしたことはありますか?業務で扱ったことはあるものの、中身を深く読み込んだことはないという方は少なくないかもしれません。取引基本契約書には重要事項がまとまって記載されており、内容を理解することが大切です。

本記事では、取引基本契約書の役割や、個別契約書との違い、両者のうちどちらが優先されるのかなどをわかりやすく解説いたします。民法改正を踏まえ、正しい体裁で作成する方法を確認しましょう。

なお、Shachihata Cloudでは、BtoB企業様向けに「電子契約導入のメリット」を提供しています。 無料でダウンロードできますので、ぜひ電子契約の導入にお役立てください。

取引基本契約書とは何?

はじめに、取引基本契約書の目的と役割をご紹介いたします。

取引基本契約書の概要

基本契約書は企業間で継続的な取引を行う場面で、一連の取引に共通して適用となる約束事を取りまとめた契約書です。「基本契約書」または「取引基本契約書」と呼ばれ、売買契約や業務委託契約などでよく交わされます。

仮に、取引一つひとつに対して契約を締結していくとした場合、双方の合意を確定させるまでに手間と時間がかかってしまいます。取引基本契約書を一度締結すれば、その内容に即した取引については、改めて契約を締結せずスムーズに推進することができます。

取引基本契約書への割印・収入印紙

取引基本契約書の内容について両社で合意を得られたら、契約書を製本し、両方の契約書にまたがる形で割印を押す商習慣があります。割印の役割や押し方については以下のコラムをご参照ください。

取引基本契約書を作成するメリット

取引基本契約書を作成することで、契約業務の効率化、取引の透明性向上、リスク管理の強化が可能です。本章では、取引コストの削減や契約の安定性向上など、取引基本契約書を締結する具体的なメリットを解説します。

メリット1:契約手続きの簡略化とコスト削減

取引基本契約書を締結することで、個別の契約締結時に毎回細かな条件を交渉・確認する手間が省け、契約手続きの効率化が可能となります。たとえば、支払条件や納品基準を取引基本契約書にあらかじめ明記しておけば、個別契約ごとに条件を取り決める必要がなくなります。

また、契約業務の簡素化により、契約書作成や法務部門の負担軽減にもつながります。電子契約を併用すれば、契約締結のスピード向上や印紙税の削減も可能です。これにより、事務コストや契約処理時間を削減し、企業の業務効率化を図ることができます。

メリット2:取引の安定性とリスク管理の強化

取引基本契約書を締結することで、取引条件が明確になり、取引の安定性が向上します。特に長期的な取引では、契約条件の統一により、予期せぬトラブルや条件変更のリスクを回避できます。

さらに、契約書に「発注予測の提出」や「債権保全に関する条項」など盛り込むことで、相手方の財務状況が悪化した際のリスク管理が可能となります。契約不適合時の対応や納品トラブル時の対処法を事前に定めておくことで、緊急対応をスムーズに行えます。取引を円滑に進めるだけでなく、企業のリスク管理強化にも寄与します。

取引基本契約書と個別契約書の違い

次に、取引基本契約書と個別契約書の違いについてご説明いたします。

個別契約書とは

個別契約書は、個々の取引の具体的な内容に関する約束事を定めた契約書です。取引基本契約書とは補完し合う関係にあります。

個別契約書の例としては、発注書・注文書が挙げられます。取引基本契約書は初めに一度だけ締結し、発注書は案件ごとに作成・締結されるかと思います。取引基本契約書のほうで今後継続する取引に対して共通のルールを敷き、実際の案件に対する依頼内容や納期などは発注書へ記載するという形です。

取引基本契約書と個別契約書の違い

取引基本契約書 個別契約書
役割 一連の取引に共通して適用となる約束事を定めた契約書 個々の取引の具体的な内容に関する約束事を定めた契約書
対象 一連の取引に共通 個々の取引

取引基本契約書と個別契約書ではどちらが優先されるか

取引基本契約書と個別契約書で契約を取り交わすと、内容に矛盾が生じた際に、どちらが優先されるのかがしばしば議論になります。これについては、取引基本契約書または個別契約書に優先条項(どちらを優先するか)が記載されていれば、その内容に従います。

個別契約書を優先すると、個別に柔軟な対応ができるようになります。しかし、慎重な議論がされないまま担当者レベルで契約締結に至ることもあります。

一方、取引基本契約書を優先させると、一連の取引に統一ルールを敷くことになります。この場合は、その都度改定が必要になり、業務推進に手間がかかる可能性があります。

このように取引基本契約書を優先させるにしても、個別契約書を優先させるにしても、メリットとデメリットがあります。会社としてどのような判断をすべきか協議のうえ取り決めていきましょう。

取引基本契約書・売買契約書・業務委託契約書の違い

契約にはさまざまな種類があり、取引基本契約書・売買契約書・業務委託契約書は、それぞれ異なる目的を持ちます。以下の表に、それぞれの契約書の特徴をまとめました。


契約書の種類

主な目的

範囲

期間

取引基本契約書

継続的な取引における基本ルールの設定

企業間の長期的な取引に適用

一定期間(長期)

売買契約書

商品・サービスの売買契約を明確化

物品やサービスの売買

単発または継続

業務委託契約書

業務の外部委託に関する合意

フリーランス・外部企業への業務委託

案件ごと(短期・長期あり)

取引基本契約書は長期的な取引の枠組みを決めるものであり、売買契約書や業務委託契約書は、個別の取引や業務委託を対象とする点が異なります。それぞれの契約の役割を正しく理解し、適切な契約書を締結することが重要です。

取引基本契約書はどちらが作成すべき?

取引基本契約書は、売り手と買い手のどちらが作成するのかが問題になることがあります。明確なルールはなく、一般的には、取引の主導権を持つ側が契約書を作成することが多いですが、具体的な状況によって異なります。

  • 売り手が作成する場合
    売り手が自社の商品・サービスの取引条件を統一し、販売ルールを明確にしたい場合に作成します。例えば、メーカーが販売代理店と長期的な取引を行う際や、未払いリスクを回避するために支払い条件を設定するケースが該当します。
  • 買い手が作成する場合
    買い手が複数の取引先と統一した条件で契約を管理したい場合に作成します。例えば、大手企業がサプライヤーに対して共通の購買条件を設定する場合や、納品基準・品質保証のルールを定めて取引をコントロールしたいケースが該当します。

基本的には、契約条件の主導権を持ちたい側が作成することが望ましいと言えます。ただ、場合によっては、相手方が作成した契約書を修正・交渉することも可能です。どちらが作成するか迷った場合は、契約書のひな形を準備し、交渉の場で調整するのが望ましいでしょう。

取引基本契約書の作成方法

続いて、取引基本契約書の作成方法をご説明いたします。

取引基本契約書に必要な記載項目

取引基本契約書の当事者は「甲」と「乙」で示し、それぞれの法人名や氏名、住所等も明確にしましょう。

内容としては、一般的には以下のような項目を記載します。

取引基本契約書への記載項目の例

・契約の目的
・契約期間
・基本契約と個別契約の関係、優先条項
・個別契約の成立時期
・個別契約で定めるべき事項
・引渡しの方法
・検査・検品
・所有権の移転時期
・危険負担
・代金の支払方法や支払い時期
・秘密保持
・契約解除事由
・期限の利益の喪失
・損害賠償に関する取り決め
・契約の有効期間
・専属的合意管轄

作成にあたっての注意点

取引基本契約書を作成する際の注意点としては、会社として雛形が用意されている場合は、原則として会社の雛形を活用することです。

インターネットで検索すれば取引基本契約書の雛形をダウンロードできるサイトもあると思いますが、自社の取引の実態に則していない可能性が高く、そのまま使うことでトラブルを招くことにもなりかねません。

収入印紙

また、取引基本契約書は課税文書の扱いとなり、紙の契約書として締結する場合には印紙税の納付が必要です。1通あたり4,000円の収入印紙を貼付します。

なお、電子契約の場合には印紙は不要となり、印紙代を節税できます。少しでもコスト削減したい場合は電子契約が推奨されます。

民法改正に伴う取引基本契約書への影響

最後に、民法改正に伴う取引基本契約書への影響について解説いたします。

瑕疵担保責任(契約不適合責任)

従来の民法では瑕疵(かし)担保責任が規定されていました。「瑕疵」とは、わかりやすくいえば欠点や傷のことで、「瑕疵担保責任」とは、欠陥品の製造・販売を行なった場合に、売主側へ生じる責任です。

2020年4月1日に施行された改正民法では、この瑕疵担保責任に代わり、「契約不適合責任」が定められました。実質的な内容としては同じですが、表現が変更となっています。

参考:https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202004_11.pdf

危険負担

民法改正により、危険負担に関する内容も変更となっています。危険負担とは、契約締結後から納品までに、例えば自然災害など、当事者の責任ではどうにもならない事情があって、契約履行できなくなった場合に、そのリスクを当事者間のどちらが負担するか、に関する取り決め事項です。

例えば、電化製品の注文を受けて納品する予定だったのが、大地震で商品が破損し、引渡しできなくなったとします。この場合、発注者(買手)は納品物を受け取れなくなりますが、代金を支払う必要があるのでしょうか?電化製品の販売者(売手)は、納品できなくなった責任を負うべきでしょうか?

従来は債務者がリスクを負う考え方と、債権者がリスクを負う考え方の両方がありました。前述の例では発注者が債務者、販売者が債権者となります。

しかし、これが改正民法では、全て債務者が負担することになり、危険負担の移転時期が「引渡しがあった時」と明文化されました。

つまり、前述の例では、電化製品を発注した側である債権者は支払いをする必要がありません。また、商品が納品された後に、大地震で納品済の商品が破損した場合には、販売者は責任を取らなくて良いということになります。

社外取引における契約書の電子化ならShachihata Cloud

このように取引基本契約書の内容の書き方次第では、自社が大きな不利益を被る可能性もあるため、あらゆるリスクを想定したうえで、内容を丁寧に確認しなければならず、それには労力と時間がかかります。

取引基本契約書や個別契約書を企業間で締結する際には、印紙代も節税でき、極力やり取りを簡略化させられる、電子契約が便利です。シヤチハタの提供する「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」であれば、コストを削減しながら電子契約が締結可能です。

無料トライアルも実施中ですので、ぜひ一度お試しください。

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WRITER
田中 空樹
デジタル認証事業部コンテンツストラテジスト
2022年シヤチハタ株式会社入社。 入社1年目でShachihata Cloudの製品サイトリニューアルに携わる。 現在もコンテンツマーケティングなどShachihata Cloudの良さを広めるために奮闘中。
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