電子契約を導入する場合は、従来の紙の契約書の後文に記載する文言や項目の変更が必要です。しかし、具体的にどのように見直すべきかお悩み方も多いのではないでしょうか。
本記事では、書面・電子それぞれの後文の違いを解説いたします。電子契約書における後文作成のポイントと具体例もお伝えいたしますので、契約方法を紙から電子へとスムーズに移行したい企業の方はぜひご覧ください。
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まず、そもそも後文とはどのような位置付けなのかを以下3つの視点からおさらいし、契約書作成に関する理解を深めていきましょう。
後文(こうぶん)とは、契約書の締めとして末尾に記載する文章のことです。主に契約締結の日時・手段と保存方法について書かれているほか、契約者同士の氏名と住所を署名し、押印する欄が設けられています。
後文は、以下の意義を持ちます。
ひな形に記載された決まり文句として認識されがちな後文ですが、円滑な契約履行とトラブル防止として重要な役割を担っています。
契約書には、以下6種類が存在します。
原本 | 契約の締結者が最初に作成したオリジナル |
謄本 | 原本を完全にコピーしたもの |
正本 | 裁判所等の公証機関が作成した原本の謄本 |
副本 | 正本の写し |
抄本 | 原本の一部をコピーしたもの |
本書 | 契約書における本書=原本もしくは正本 |
なお、原本と正本は正確には異なる意味を持ちますが、同一として扱われるケースもめずらしくありません。
後文は、一般的な紙文書と電子契約とでは、記載方法を変える必要があります。電子契約書の後文を変更すべきポイントは、以下のとおりです。
紙の契約書では「本書」や「書面」などの文言が用いられます。しかし、電子契約ではデータファイルをメールでやり取りするため「電磁的記録」や「本電子ファイル」などと記載するほうが好ましいでしょう。
紙の契約書を作成する際には、契約者の人数に応じた枚数を作成し、原本の存在証明として後文に明記するのが一般的です。対して電子契約では、同一データを契約者双方でやり取りするため、作成枚数を後文に明記する必要はありません。
紙の契約書では、契約日の記載が必須です。一方、電子契約では、タイムスタンプを利用して契約の締結・成立の日時が秒単位で記録されるため、日付欄は必ずしも記載すべき項目ではないと考えられます。
紙書類では、記名・押印によりその契約が真正であることを証明します。電子契約は、電子証明書機能が付いた電子署名を施すことで契約の効力を担保することから、押印ではなく「電磁的措置」という文言に変更しましょう。
電子契約書の後文を作成する際は、下記4つのポイントを押さえることで電子データに適した内容になるでしょう。
どこにいてもシームレスな手続きが実現する電子契約は、国内外の企業との契約への活用が予想されます。電子契約の後文に日付を記載する場合、法的には和暦でも構いませんが、西暦にしておくとひな形を変える手間が省けて便利です。
電子契約のタイムスタンプは、契約の合意日と書面の作成日のどちらを指すのかが曖昧になりやすい点が問題です。タイムスタンプを付与する前に、契約の当事者同士で認識を統一しておきましょう。
押印を省略した電子契約書に「記名押印」や「署名捺印」といった文言があると、トラブルの元になりかねません。後文から押印に関する記載を削除するか、電子印鑑機能が搭載された電子契約サービスの利用を検討する必要があります。
電子契約では、システムの名称もしくはサービスの提供元を明記することで、契約が真正であることを証明する手立てになります。両者が異なる電子契約サービスを利用している場合は、それぞれの名称を記載してください。
本章では、具体的な例文を踏まえ、紙・電子契約それぞれの後文の違いを紹介いたします。
本契約の成立を証するため、甲および乙は、本書◯通を作成し、各自記名押印の上、それぞれが1通を保有する。 西暦◯年◯月◯日 甲:住所・会社名・氏名 乙:住所・会社名・氏名 |
上記に加え、契約書を1通しか作成しない場合の後文には「甲(または乙)が原本を保有し、乙(または甲)が写しを保有する」等の記載が必要です。
本契約の成立を証するため、甲および乙は、本契約の電磁的記録を作成し、甲乙合意の後『電子契約サービス名』上において電子署名を措置し、双方その電磁的記録を保管する。 この場合、本契約においては、本電磁的記録を原本とし、本電磁的記録を印刷したものは写しとする。 甲:住所・会社名・氏名・メールアドレス 乙:住所・会社名・氏名・メールアドレス |
なお、電子署名の付与に関する記載は「措置」ではなく「施す」でも問題ありません。また、電子契約では基本的にメールでやり取りする流れのため、メールアドレスも記載しておいた方が良いでしょう。
電子契約を導入する際は、事前に次の5点を確認するよう注意してください。
電子契約の利用を開始する場合、従来の契約書のひな形をそのまま使い続けるのは不適切です。契約書テンプレートの後文の文言を見直し、契約書の記載を電子データに準ずる用語に変更してください。
電子契約は、従来の契約とは異なる点が多々あるため、相手方への説明が不十分だとトラブルに発展する可能性があります。電子契約を導入する際は、事前に取引先へ知らせ、承諾を得ておきましょう。
電子帳簿保存法により、2024年1月1日以降の電子契約書は、そのままデータとして保存することが義務付けられます。出力の手間や保管スペースが省けるものの、法的要件を満たして保存しなければなりません。
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電子契約では、紙への出力や決裁時の押印などのプロセスが不要です。業務内容やワークフローを電子契約に適した形に見直したうえ、担当者・従業員への周知を徹底しましょう。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。
本記事で解説した通り、紙の契約書と電子契約書では、後文の記載内容が異なります。電子契約を導入する際は、契約書のひな形に記載されている後文の文言を見直し、電子化に適した記載に変更してください。相手方の抵抗感や不安感を和らげられるよう、署名・押印の継続も一つの手です。
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