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電子契約の契約締結日はいつ?タイムスタンプによるバックデートも解説

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この記事でわかること

  • 電子契約の契約日は署名日時が基本
  • 契約締結日を決める5つのパターン
  • バックデート問題の原因と対策方法
  • バックデートが問題にならない場合
  • バックデートが問題になる3つのケース
  • 効力発生日を変更する遡及適用の方法
  • タイムスタンプと署名日のずれに注意
  • タイムスタンプの機能と改ざん防止効果
  • 複数当事者の署名順序管理のポイント

電子契約は、契約書のやり取りをオンラインで完結できる便利な方法です。しかし、従来の書面契約と違って電子契約の契約日や締結日をいつにするか悩んだり、バックデート問題への対策など、注意点も多く存在します。特に、日付を空欄にしておくのか、署名日や未来の日付にすべきかは、法律の観点や運用上のリスクを踏まえた対応が必要です。
本記事では、契約締結日の決め方のパターンや、タイムスタンプと署名がずれる場合の対応策、さらに効力発生日を変更する遡及適用などについて、わかりやすく解説します。

Index

電子契約の契約締結日とは?いつ?

電子契約の契約締結日は、双方(または多者)の署名日が一致したタイミングと見るのが一般的です。つまり、当事者同士が日付を入力して同意を示し、電子署名を完了した瞬間が契約日となります。紙の契約と同じように、法律上は合意のタイミングがポイントです。

ただし、実際にはメール認証やタイムスタンプなどのシステム的な自動記録も絡むため、書類上の日付と署名の完了時刻がずれるケースがあります。最終的には、誰が、どのように、いつ記載したかを明確にすることで、電子契約の真正性を確保するのが大切です。

電子契約において契約締結日はどう決める?

電子契約では、オンラインでの書類への署名により契約が成立しますが、どの時点を契約日とするかは複数のパターンがあります。

パターン1:当事者全員が署名した日時を契約日とする

電子契約システムで、当事者全員が電子署名を完了した日時をそのまま契約日にする方式。サービスによっては、一人ひとりの署名日が異なる場合もあり、最後に合意した者の署名日を締結日とみなすことが多くなっています。シンプルな設定で、多者間契約などにも適用しやすい方法と言えます。

パターン2:特定の代表者が署名後、メールなどで承諾してもらう

一方の代表が先に署名し、もう一方がメールや別の電子契約機能で合意すると承諾した時点を契約日とする方法。事業や役職に応じて誰が最終承認を行うかによって契約日が決まりやすいですが、各段階の時刻を正確に記録するため法律改正や社内規定との整合をとる必要があります。

パターン3:書面上に日付を空欄のまま合意後に入力

紙契約でありがちな空欄の日付を、電子契約でも後から埋めるパターンです。ただし、オンラインで電子化した書面にあとで日付を追記する際は、どの時点で変更が行われたかログに残らないとトラブルの原因にもなります。タイムスタンプやシステムの編集履歴がサポートされているか確認してから採用すべきパターンです。

パターン4:契約締結日を自動入力する

電子契約システムによっては、最後の署名が完了した時刻を自動で契約書に反映する機能があります。作業者が都度確認しなくても正しい日時が書面に記載されるため、ミスや意図的な変更リスクを抑えられる利点があります。複数者の承認フローが設定されている場合でも、最終承認完了後に自動反映が行われる設計が一般的です。

パターン5:書類上の日付を未来の日付に設定

〉パターン5:書類上の日付を未来の日付に設定 稀に、将来のある日に契約効力を発生させるため未来の日付を書面に記載することがあります。これは確かに契約の効力開始日と締結日を分ける手段ですが、あまりに遠い将来を指定すると、法律上問題を引き起こす可能性もあります。基本的には、実際の合意時刻との差を大きくしすぎないよう気をつける必要があります。i

電子契約において発生する契約締結日と電子署名とタイムスタンプがずれる「バックデート」

電子契約では、当事者が電子署名を完了した署名日と、タイムスタンプが記録する日時がずれてしまい、契約締結日をあとから変更した形になるいわゆるバックデートが問題となる場合があります。これは、システム上の時刻設定や最終的に書類へ記載される日時が合わないケースなどで生じるリスクです。

特に法律上、日付の整合性が求められる改正部分がある契約などでは、意図的な日付の操作が詐欺・偽装とみなされかねず、慎重な運用が必要となります。

電子契約におけるバックデートが問題になる場合

電子契約の仕組みをうまく運用せず契約書を変更したり、システムの時刻と矛盾がある場合、バックデートが法律トラブルに発展する恐れがあります。

問題1:法的効力の日付が不明確になる

書類に記載された日付が電子署名やタイムスタンプの日時と食い違っていると、契約がいつ成立したか判断できず個人や法人双方でトラブルになる可能性があります。特に税務関連の規定や書類保存の要件に照らして日付が合わない場合、改ざん防止の観点からも問題視されるでしょう。結果として、契約の成立要件を満たしていない、または故意に署名日を操作したとみなされるリスクが高くなります。

問題2:将来の紛争時に不利な証拠として扱われる

万が一、バックデートされた書類を相手方に示された場合、契約締結日の正当性が疑われる可能性があります。未来の日付を記入していたり、署名日をわざわざ変えていた形跡があれば、後から改ざん防止のセキュリティやコンプライアンスを問題視されても仕方ありません。裁判などで証拠能力が否定されるおそれもあるため、バックデートはわざとでなくても大きなリスクとなり得ます。

問題3:相手方や監査機関からの指摘

契約書に記載された日付とタイムスタンプの記録が不一致の場合、取引先の監査機関や行政が書類の整合性を疑い、調査の対象とされる可能性があります。特に会社法や会計上の要件、各種業法の規制に触れるおそれがある場合、企業イメージの低下や信頼失墜につながりかねません。電子契約を導入する際は、あらかじめシステムの仕組みを確認し、誰がどの時点で署名・日付入力を行うかを明確に設定しましょう。

電子契約におけるバックデートが問題にならない場合

一方で、電子契約で日付が合わなくても、法律や相手方の同意によって問題とならないケースもあります。

パターン1:軽微な入力ミスや書類の自動反映の誤差

システムの設定ミスで1日程度ずれたり、日付を自動生成する段階で誤差が生じたような軽微な場合は、当事者の合意が明確であれば大きな問題とならないことがあります。たとえば、改ざんの意図がなく、会話ログやメール履歴に当日中の合意記録が残っていれば、法的にも不正がないと判断されやすいです。

パターン2:双方合意の上で効力発生日を調整している

契約の有効期間や効力発生日を契約締結日とずらす場合、あらかじめ当事者が合意していればバックデートとはみなされません。たとえば書類上は翌月1日から効力が始まると定めている場合、その日付が当日署名より先行していても合法的に処理できるわけです。ただし契約書にその旨が明確に記載されている必要があります。

パターン3:法律上、日付が厳密に求められていない

取引内容によっては、法的に契約日の厳密な証明が不要なケースもあります。単発の業務委託や小口取引など、後から変更が効かないほど大きな影響がない場合、わずかな日付の相違を問題視されないことがあります。とはいえ、今後トラブルにならないよう、相手方と十分にコミュニケーションを取り、日付に関する意思疎通を図るのがベストです。

電子契約の効力発生日を変更する「遡及適用」とは

契約が成立してから後日、効力発生日をさかのぼる遡及適用も認められる場合があります。以下でその方法を紹介します。

方法1:契約書に明確な遡及条項を追加

書面や電子契約書の文面に「本契約の効力は〇〇年〇〇月〇〇日までさかのぼって適用される」など明示し、当事者双方が同意するやり方。この一文を入れるだけで、日付を過去に設定しても、後から偽装の意図がないと示しやすくなります。

方法2:追加覚書で効力開始日を再合意

最初の契約締結後に、後から補足文書(覚書)などを交わして効力開始日を改めて設定するケースです。署名日が未来の日付でも、覚書の内容で過去の日付から効力があると規定すれば、実質的な遡及適用が成立します。

方法3:電子署名システムの改修・再設定

契約書のフォームや入力欄に、効力発生日を指定できるフィールドを用意し、システム上で自動確認を行う方法です。タイムスタンプや署名日が別々にログされても、当事者が明示的に効力日を記載していれば問題になりにくいというアプローチです。

方法4:行政や業界ルールの適用許可を得る

一部の業界や公共サービスでは、法律や通達で日付の改正が許される場合があります。たとえば納付期限の変更など、正式に許可を得た形でさかのぼりを認めるパターンです。ここでは必ず根拠となる条文や通知を確認し、勝手に実施しないよう注意します。

電子契約の契約締結日における注意点

電子契約で契約締結日を扱うときは、システムのログや法的整合性を考慮しなければなりません。

注意点1:書類上の日付とシステム時刻の不一致

書類に日付を入力したタイミングがシステムの署名ログと一致しないと、あとでトラブルになりがちです。サーバーの時刻設定や時差などで、署名日が微妙にずれるケースがあるため、合同でサインするときは同じ時刻設定のシステムを使うか、署名プロセスを統一する必要があります。もし不一致が生じても、意図的な改ざんではないことを客観的に証明できる仕組みを整えておきましょう。

注意点2:複数者の締結順序を明確にする

多者間契約の場合、誰が最初に署名し、最終的に合意したのがいつなのかを把握しておくと、日付を空欄のまま調整しようとしてバックデート問題が起きるリスクを下げられます。電子契約システムのワークフロー機能を使い、署名の順番や担当者の役割を事前に設定しておくと安心です。これにより、各署名の完成日時が順次自動記録され、将来的な紛争予防にもつながります。

電子契約におけるタイムスタンプの機能と役割

電子契約でタイムスタンプを使うと、署名日時や改ざん防止に大きな効果があります。以下でその機能と役割を紹介します。

機能1:署名日時の証明

タイムスタンプは、電子署名が行われた日時を第三者機関が証明してくれる仕組みです。これにより、書類が後から変更されていないかを確認しつつ、いつ合意が成立したかをはっきり示せます。時間情報を改ざんするのは難しく、署名日を正確に特定できるのがメリットです。

機能2:改ざん防止

タイムスタンプが付いたデータは、再び保存し直すと検証結果に矛盾が生じるため改ざん防止機能として活躍します。電子契約の仕組みの中で、書類が一度でも書き換えられた場合、その痕跡が明らかに残るのが特徴です。これが不正対策につながります。

機能3:エビデンスとしての有効性

万が一、契約の有効性や署名日に関して法律トラブルが起きた場合、タイムスタンプが付与された書類は法的証拠として強い効力を持ちます。第三者認証機関が時刻を保証しているため、バックデートなどの疑いをかけられた際に信頼性を示す根拠となるのです。

まとめ

電子契約の契約日や締結日を正しく決めるには、システムのログやタイムスタンプを活用し、法律上のリスクや相手先との合意を丁寧に確認することが大切です。特に、バックデートが問題になる場面では、意図的な改ざんと見なされないよう、日付の入力タイミングや署名順序を明確化しておきましょう。さらに、遡及適用など効力発生日を変更したい場合も、契約書に明確に記載し、当事者の理解を得るのがポイントです。安全な電子契約運用を目指し、日付管理を徹底しましょう。

WRITER
宮沢 明香里
デジタル認証事業部カスタマーサクセスマネージャー
住設メーカーの営業・企画業務を経験後、2021年シヤチハタ株式会社へ入社。 デジタル商材の営業を経て、現在はShachihata Cloudをさらに活用してもらうため、 クライアント向けセミナーや新機能リリースの企画業務を行う。
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