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電子契約書(電子サイン)は印刷・保存が必要?電子帳簿保存法における契約書の保存要件も解説

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この記事でわかること

  • 電子契約書において印刷や保存が必要となるケースとその理由
  • 電子契約書を印刷した場合に印紙税が発生する可能性とその条件
  • 電子契約と紙の契約を併用する場合の注意点と保管ルールの考え方
  • 電子帳簿保存法の概要と、契約書に適用される保存期間の基準
  • 電子契約書を法令に沿って保存するために必要な4つの要件
  • 紙で締結した契約書を電子化する際に確認すべきルールと制限事項
  • 契約業務を効率化するためのフロー整備と従業員へのルール周知の重要性
  • 電子帳簿保存法への対応を支援するクラウド型サービスの選び方と活用法
  • 電子帳簿保存法の改正による要件緩和の内容と今後の実務への影響

電子サインを用いた契約が普及する中で、「電子契約書は印刷や保存が必要なのか?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、電子契約書の印刷や保存に関する基本ルールと、電子帳簿保存法における契約書の保存要件について、わかりやすく解説します。紙での保存が必要になるケースや、印紙税の扱い、業務への影響などもあわせて紹介します。

電子帳簿保存法とは?電子契約書の印刷・保存の必要性について

はじめに、電子契約書の印刷・保存の必要性の判断に関わる、電子帳簿保存法の概要をご説明します。

電子契約なら原則として印刷・保存不要

結論からお伝えすると、電子契約の場合なら、原則として契約書を印刷して保存しておく必要はありません。民法上、電子契約書は電子データをそのまま原本として扱えます。

ただし、税法上は電子帳簿保存法の要件を満たすことが前提となります。また、契約書の保存義務の期間は守る必要があります。

電子契約の印刷が必要になる場合

電子サインを利用した契約書は、原則として印刷せずに電子データのままで保存できます。しかし、電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たせない場合には、紙に印刷して保存する必要があります。

たとえば、改ざん防止の仕組みがない、検索機能が不十分といったケースでは、電子のまま保管することが認められません。そうした場合、業務上の対応として、文書を紙に印刷し、従来の方法でファイリングしておくことが求められます。電子文書の保存にはシステム導入などの対応も必要になるため、保存体制の整備が難しい場合には、印刷保存を選択するのも一つの方法です。

電子契約を印刷した場合の印紙税の扱いは?

電子契約書は電子データで締結・保存されている間は印紙税の課税対象にはなりません。しかし、電子契約書を紙に印刷して保管した場合、その文書が「課税文書」とみなされる可能性があります。印刷した契約書が業務で使用され、証拠性を持つ文書として扱われる場合には、印紙税が必要になることもありますので注意が必要です。

電子契約と紙の契約を併用する場合

業務によっては、電子サインによる契約と、従来の紙の契約を併用するケースがあります。このような場合、どちらの契約書にも法的な効力があるため、印刷や保存の扱いには注意が必要です。

たとえば、電子契約によって締結した内容を確認のために印刷し、それを紙媒体としても保存したいという場合、印刷した文書が契約書として扱われるかどうかを明確にしておくことが重要です。

また、紙と電子の両方で契約書を保管する場合には、文書の整合性や証明性を確保するため、どちらが正式な契約書であるかを社内規定で定めておくと安心です。

電子帳簿保存法に準拠して保存するには、電子文書の検索性や可視性、改ざん防止の体制を整える必要があるため、保存方法を誤ると対応に不備が出る可能性もあります。導入時には社内の文書管理ルールを見直し、紙と電子文書それぞれの特性に応じた運用を行うことが望まれます。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関連の帳簿書類等の電子化を認める法律です。1998年に成立し、その後数回にわたる改正を経て条件緩和が進み、2022年1月にも法改正が予定されています。この流れを受け、近年では多くの企業であらゆる書類の電子化が進んでいます。

参考:国税庁 電子帳簿保存法の概要

契約書の保存義務は最低7年間

契約書や請求書、注文請書、見積書といった取引証憑書類は、紙の場合も電子契約の場合も、最低7年間は保存しておく義務があります。かつ、電子データとして保存しておくには、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

電子帳簿保存法におけるデータ保存の4つの要件

電子帳簿保存法で規定されている主な要件は次の通りで、これらを満たせない場合は印刷保存する必要があります。

①訂正・削除の履歴が残る

帳簿関係書類を電子データとして保存しておくには、訂正・削除の履歴を残す必要があります。どの部分が、いつ、どのように訂正・削除されたのか、後から確認できるように管理します。

②タイムスタンプを付与する

書類をスキャンした場合、受領者は署名をした上で3営業日以内にタイムスタンプを押下する必要があります。電子データが作成された日時を印すタイムスタンプが付与されていれば、タイムスタンプの日時以降に改ざんがされていない証明となります。

3営業日以内となると、たとえば月末にまとめて処理するといったことはできないため、なかなか厳しい要件といえるでしょう。ただし、この要件は来年1月施行予定の改正電子帳簿保存法により緩和される予定です。詳細は後述します。

③見読可能性を確保する

電子データとして書類を保存するなら、内容が明瞭に読める状態でなくてはなりません。仮に印刷をした場合もきれいに読み取れる状態で保存します。

④検索機能を有する

さらに、電子データは検索機能が確保されていることが要件とされています。具体的な機能は次の通りです。

・(帳簿書類の場合)取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること

・日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること

・2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

やや厳しい条件ですが、こちらも法改正により要件が緩和されます。

参考:国税庁 電子帳簿保存法上の電子データの保存要件

契約書を電子帳簿保存法に沿って管理する場合の注意点

契約書を電子帳簿保存法に沿って管理する場合の注意点

電子契約書や電子取引に該当する契約データを適切に管理するためには、電子帳簿保存法の要件を正確に理解し、運用する必要があります。また、紙で締結された契約書を電子化する場合にも、一定の基準を満たす必要があります。以下では、電子帳簿保存法に準拠した管理を行う際の具体的な注意点をご紹介します。

電子取引のデータ保存要件を遵守する

電子取引に該当する契約書は、電子帳簿保存法の「真実性」および「可視性」の要件を満たした形で保存する必要があります。真実性を確保する方法としては、以下のような措置が推奨されています。

  • タイムスタンプが付与された後に取引情報の授受を行う
  • 取引情報の授受後速やかにタイムスタンプを付与する
  • 修正・削除履歴が残るシステムの利用
  • 訂正・削除の防止を盛り込んだ運用規程の整備と監査の実施

参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】Ⅱ 適用要件【基本的事項】

スキャナ保存要件の理解

紙の契約書をスキャナで電子化して保存する場合、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たす必要があります。スキャナ保存要件は多岐に渡りますが、以下のような条件があります。

  • スキャン後に速やかにタイムスタンプを付与すること
  • 解像度やカラー設定など、法令で定められた品質を保持すること
  • スキャンデータ訂正・削除の履歴を確認できる、または訂正・削除できないシステムの使用

参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】Ⅱ 適用要件【基本的事項】

契約業務のフロー整備と従業員への周知徹底

契約書の管理方法を変更する際は、契約業務のフローを整備し、新しい運用を従業員に周知徹底することが必要です。電子化に伴う作業の変更点や、法的要件を守るための手順について、関係者全員が理解していることが重要です。不正や誤操作を防ぐためにも、教育や訓練を計画的に実施しましょう。

電子帳簿保存法対応ソフト・サービスを選ぶ

電子契約書を管理するためのソフトやサービスを導入する際は、電子帳簿保存法に準拠しているだけでなく、自社の業務フローに合った使いやすいものを選定することが大切です。導入前には以下の点を検討してください。

  • 操作性や機能が現場の実務に合致しているか
  • サポート体制やアップデートの有無
  • 将来的な拡張性や他システムとの連携性

特に、システム導入後の変更はコストや労力がかかるため、十分な比較検討を行い、可能であればトライアル期間を設けることをおすすめします。

紙で締結した契約書を電子化する場合 

では、これまでに紙で締結していた契約書を電子化したい場合は、どのようなルールになるのでしょうか。やはり紙のままで持っておくべきか、それともスキャンしておけばそれで良いのか、悩ましいところです。

締結済みの紙の契約書は保存が必要

紙の契約書として既に締結されている契約書については、原本は破棄せずそのまま保存しておく必要があります。これは税法ではなく民法の規定によるものです。電子化された契約書はあくまで複製物でしかないため注意が必要です。

ただし、電子帳簿保存法でスキャナー保存に関する要件を満たせば破棄しても問題ありません。

スキャナー保存ができない書類もある点に注意

現行の電子帳簿保存法では、スキャナー保存をするために、適正事務処理要件と呼ばれる、2名以上の担当による原本の紙とのデータの付け合せ検査が必須となっています。定期検査日までは原本を確保しなければなりません。

電子帳簿保存法の要件緩和が進む背景

電子帳簿保存法の要件緩和が進む背景には、職場の生産性を向上させようとする政府方針に対し、これまでのやり方では電子契約をはじめとする書類の電子化を進める企業が増えなかった実態があります。

2022年1月施行(予定)の改正電子帳簿保存法

ペーパーレス化の足枷となっている現行の電子帳簿保存法について、改正のポイントは大きく3つあります。

1. 事前承認制度の廃止

現行の要件では、帳簿書類の電子化にあたり、原則として3ヶ月前までに税務署へ申告し、承認を受ける必要がありました。申告にあたり申請書の作成やシステムの概要書、事務手続き書類など様々な準備が必要で、煩雑なため運用開始までに時間がかかっていました。

しかし、法改正によって事前承認制度は廃止され、書類作成・保存のための基準を満たすツール等を使用すれば、すぐにでも利用開始できるようになります。

2. タイムスタンプ要件の緩和

2022年1月の改正電子帳簿保存法では、タイムスタンプを押下する期間の制限が、3営業日以内から最長2ヶ月以内へと大幅に延長されました。また、前述の修正・削除履歴が残るシステムの場合は、タイムスタンプの付与は不要となります。

3. 検索要件の緩和

検索要件は年月日、金額、取引先のみで良く、国税庁が要求した場合に電子データのダウンロードに応じられるのであれば、組み合わせによる検索設定機能の確保も不要となります。

参考:国税庁 電子帳簿保存法が改正されました

参考:電子帳簿保存法とは

規制緩和により電子契約はさらに普及していくものとみられます。電子化へ移行する場合、何かしらの管理システムを利用することになるかと思いますが、電子帳簿保存法の要件を満たすツールかを確認し選定・活用しましょう。

印刷した電子契約書に印紙税は必要か

では、電子契約を行った書類を、その後印刷した場合、印紙税は必要となるのでしょうか。

印紙税法第2条では、課税文書は書面の文書とされます。電子契約書の場合、電子契約書を印刷しても印紙税は原則かかりません。考え方としては、要件を満たした電子契約書のほうが原本であり、印刷した書類のほうが写しとして取り扱われるためです。

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WRITER
田中 空樹
デジタル認証事業部コンテンツストラテジスト
2022年シヤチハタ株式会社入社。 入社1年目でShachihata Cloudの製品サイトリニューアルに携わる。 現在もコンテンツマーケティングなどShachihata Cloudの良さを広めるために奮闘中。
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