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【2023年最新】電子契約の法改正|義務化の開始時期や制度の内容をわかりやすく解説

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近年の法改正を機に、電子契約に関する制度の義務化・緩和が進められています。電子契約は業務効率化・コスト削減に大きく貢献するシステムですが、繰り返される法改正により、いつ・どのような対応が必要なのかわからず混乱している方も多いのではないでしょうか。

本記事では、最近改正された電子契約関連の法律と、義務化されるルールをわかりやすく解説いたします。緩和される内容と法改正にスムーズに対応するコツも紹介いたしますので、電子契約の適切な運用にお役立てください。

電子契約のしくみ

電子契約とは、インターネット上で契約を締結する手続きのことです。適切に運用することで、情報処理が迅速化し、業務負担の軽減や経済活動の活性化を実現できます。紙に出力する必要がなくなるため、業務の簡略化とコストの削減、印紙税の節税にもつながるでしょう。

電子契約は、契約書等の電子交付を認めるIT書面一括法や、電子データに関する保存方法を定めたe-文書法などをきっかけに普及し始めました。関連法の改正は現在に至るまで何度も繰り返されており、最新ルールに適合する形で運用しなければなりません。

近年施行改正・改正された電子契約に関する法律や制度

近年改正された電子契約の関連法として、以下の法律が挙げられます。

  • 電子帳簿保存法
  • デジタル社会形成整備法
  • インボイス制度

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、税務関連帳簿の電子化と、その保存方法について規定した法律です。初めて施行された1998年以降、5度に及ぶ改正を繰り返し、対応の負担軽減のため事前承認などの要件が徐々に緩和されています。

デジタル社会形成整備法

デジタル社会形成整備法は、2022年9月1日に施行されたデジタル改革関連法の一つです。全48の法律の押印・書面交付義務が、廃止・緩和されました。

インボイス制度

インボイス制度とは、仕入税額控除に関する新しいルールであり、正式名称を「適格請求書等保存方式」といいます。2023年10月1日に本格始動し、売り手が発行したインボイス(適格請求書)を保存している買い手にのみ売上・仕入の経費控除が適用されるようになりました。

法改正で義務化される電子契約のルール

上記の法改正により、以下の項目が義務化されるようになります。

  • 帳簿や書類の電子化
  • スキャナ保存の要件
  • 電子取引データ保存
  • インボイスの発行・保存

帳簿や書類の電子化

改正電子帳簿保存法により、電子で作成した国税関係の帳簿等はデータのまま保存できます。ただし、電子化した内容は、電子署名やタイムスタンプを付与し、真実性と可視性の2要件を備えておかなければなりません。また、下記の「優良な電子帳簿」の要件を備えたシステムの運用が推奨されます。

  • モニター・説明書の備え付け
  • 訂正・削除履歴の保存
  • 帳簿間の関連付け
  • 条件検索機能

優良な電子帳簿の要件を満たし、事前に届け出ておくことで、青色申告の控除額が最大65万円になるほか、過少申告加算税が5%になる軽減措置を受けられます。

スキャナ保存の要件

電子帳簿保存法の改正によって、決算書類以外の紙の国税関係書類は、スキャナーを用いて電子保存できるようになりました。スキャナ保存自体は義務ではありませんが、実行する際には、定められる要件をすべて満たす必要があります。

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電子取引のデータ保存

電子書類が原本となる場合や、相手方から電子化して送られてきた書類は、次の要件を満たしてデータのまま保存しなければなりません。

  • 改ざん防止措置もしくは事務処理規程の制定
  • 日付・金額・取引先で検索できる機能の確保
  • ディスプレイ・プリンター等の備付け

インボイスの発行・保存

適格証明書発行事業者は、買い手の請求に応じ、登録番号と適用税率・消費税額等を記載したインボイスを発行しなければなりません。インボイスを発行するためには、課税事業者となって適格請求書発行の登録申請を済ませる必要があります。

法改正で緩和される電子契約のルール

近年の法改正では、より多くの事業者が電子化を導入しやすいよう、次の要件が緩和・削除されました。

  • 押印・書面化
  • 事前承認
  • 電子保存の一部要件
  • 検索機能の備え付け対象
  • 宅地建物取引に関する契約書の電子化
  • 優良な電子帳簿の適用範囲

押印・書面化

デジタル社会形成整備法の施行により、記名・押印された書面に代わり、双方の合意があれば署名された電子データによる交付が可能です。ハンコレスになる代わりに、電子署名や認定タイムスタンプを付与する機能が搭載された電子契約システムを利用しなければなりません。

事前承認

2022年4月1日に施行された電子帳簿保存法の改正で、国税帳簿・書類の電子保存を開始する際、税務署長の承認が不要になりました。運用開始3カ月前までに電子化の詳細事項を税務署へ申請するという従前のルールの廃止により、事務処理の負担が大幅に軽減されています。

電子保存の一部要件

2024年1月1日施行予定の改正電子帳簿保存法では、書類のスキャナ保存に関する下記要件が撤廃されます。

  • 電子取引データやスキャナーで読み取った書類の入力者情報の保存
  • スキャナーの解像度や色の階調およびサイズなど読み取り情報の保存

また、契約書や領収書など資金の流れに直接関係する重要書類以外は、帳簿との相互関連性を備えておく必要もありません。

検索機能の備え付け対象

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日以降、2課税年度分の売上高が5,000万円以下の事業者は電子保存の際のタイムスタンプおよび検索機能備え付けの義務が免除されます。ただし、電子データをプリントアウトして保存している場合の検索機能の備え付け義務が追加されている点に注意してください。

宅地建物取引に関する契約書の電子化

デジタル社会形成整備法の制定により、一部の不動産関連契約の書面化および押印の義務が免除され、不動産の売買契約における書類の電子化が可能になりました。ただ、事業用定期借地契約は電子化できませんので、従来どおりの運用が求められます。

優良な電子帳簿の適用範囲

電子帳簿保存法の改正により「優良な電子帳簿」として作成・保存しなければならない書類は以下の青色申告関係帳簿に限定されています。

  • 売上・収入・仕入・経費に関するもの
  • 売掛金・買掛金に関するもの
  • 債権・債務に関するもの
  • 有価証券に関するもの
  • 資産に関するもの

電子契約の法改正へスムーズに対応する方法

電子契約の法改正への対応は手間がかかる作業ですが、以下5つのポイントを把握しておくことでスムーズに対応しやすくなるでしょう。

  • 社内に周知徹底する
  • 取引先の意向を伺う
  • 長期署名を付与する
  • 新たな宥恕措置を活用する
  • 電子契約サービスを導入する

社内に周知徹底する

最新の法律に則った適切な電子契約の運用には、ルールや操作方法に対する正しい理解が不可欠です。社内の担当部署・担当者を決めるとともに、研修会やマニュアル配布など、社内教育を徹底してください。

取引先の意向を伺う

原則として、電子契約を導入しても、相手方の了承が得られなければ利用できません。あらかじめ取引先の意向を伺い、電子契約利用の可否を確認しておきましょう。

長期署名を付与する

電子署名の有効期限は原則として5年ですが、電子文書は7〜10年間保存しなければなりません。法律に対応するためには、電子署名・タイムスタンプを再度付与する長期署名を措置する必要があります。

新たな宥恕措置を活用する

現在の電子帳簿保存法における電子取引データ保存の宥恕(ゆうじょ)期間は、2023年12月末で終了です。とはいえ、以下に該当する事業者には、改ざん防止および検索機能の備え付け義務が免除される新たな措置が適用されます。

  • 電子化できないやむを得ない理由があること
  • 税務調査におけるデータ提示・提出・ダウンロード要求に対して応じられること

なお、新たな宥恕措置の事前申請は必要ありません。

電子契約サービスを導入する

クラウド型の電子契約サービスを導入すれば、法改正時には自動的に適した形にアップデートされるため、システムの更新作業の負担が一挙に解消します。セキュリティも安心なうえ、バックオフィス業務が一元化できるため効率的です。

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電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。

Shachihata Cloudでは電子署名の法的有効期限を最低1年保証しています。別途タイムスタンプを利用すると、電子署名の有効期限を1年から10年まで延長可能です。

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クラウド型の電子契約サービス導入で法改正にもスピード対応!

近年、書面の電子化に関する義務が増える一方で、緩和される規定も多く、電子契約がさらに導入・運用しやすくなってきています。社内外へ周知を徹底するとともに、長期署名・新たな宥恕措置などを活用しつつ、新ルールに対応していきましょう。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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