近年の法改正を機に、電子契約に関する制度の義務化・緩和が進められています。電子契約は業務効率化・コスト削減に大きく貢献するシステムですが、繰り返される法改正により、いつ・どのような対応が必要なのかわからず混乱している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最近改正された電子契約関連の法律と、義務化されるルールをわかりやすく解説いたします。緩和される内容と法改正にスムーズに対応するコツも紹介いたしますので、電子契約の適切な運用にお役立てください。
電子契約とは、インターネット上で契約を締結する手続きのことです。適切に運用することで、情報処理が迅速化し、業務負担の軽減や経済活動の活性化を実現できます。紙に出力する必要がなくなるため、業務の簡略化とコストの削減、印紙税の節税にもつながるでしょう。
電子契約は、契約書等の電子交付を認めるIT書面一括法や、電子データに関する保存方法を定めたe-文書法などをきっかけに普及し始めました。関連法の改正は現在に至るまで何度も繰り返されており、最新ルールに適合する形で運用しなければなりません。
近年改正された電子契約の関連法として、以下の法律が挙げられます。
電子帳簿保存法とは、税務関連帳簿の電子化と、その保存方法について規定した法律です。初めて施行された1998年以降、5度に及ぶ改正を繰り返し、対応の負担軽減のため事前承認などの要件が徐々に緩和されています。
デジタル社会形成整備法は、2022年9月1日に施行されたデジタル改革関連法の一つです。全48の法律の押印・書面交付義務が、廃止・緩和されました。
インボイス制度とは、仕入税額控除に関する新しいルールであり、正式名称を「適格請求書等保存方式」といいます。2023年10月1日に本格始動し、売り手が発行したインボイス(適格請求書)を保存している買い手にのみ売上・仕入の経費控除が適用されるようになりました。
上記の法改正により、以下の項目が義務化されるようになります。
改正電子帳簿保存法により、電子で作成した国税関係の帳簿等はデータのまま保存できます。ただし、電子化した内容は、電子署名やタイムスタンプを付与し、真実性と可視性の2要件を備えておかなければなりません。また、下記の「優良な電子帳簿」の要件を備えたシステムの運用が推奨されます。
優良な電子帳簿の要件を満たし、事前に届け出ておくことで、青色申告の控除額が最大65万円になるほか、過少申告加算税が5%になる軽減措置を受けられます。
電子帳簿保存法の改正によって、決算書類以外の紙の国税関係書類は、スキャナーを用いて電子保存できるようになりました。スキャナ保存自体は義務ではありませんが、実行する際には、定められる要件をすべて満たす必要があります。
電子契約書をPDFファイルにするメリットとは?有効性を高める方法と注意点も解説
電子契約において契約書をなぜPDF化するのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。本記事では、電子契約書をPDFファイルにするメリットをわかりやすく解説いたします。法的な有効性を高める方法と、変換する際の注意点もお伝えいたしますので、電子契約を安全に運用したい企業の方はぜひ参考にしてください。
電子書類が原本となる場合や、相手方から電子化して送られてきた書類は、次の要件を満たしてデータのまま保存しなければなりません。
適格証明書発行事業者は、買い手の請求に応じ、登録番号と適用税率・消費税額等を記載したインボイスを発行しなければなりません。インボイスを発行するためには、課税事業者となって適格請求書発行の登録申請を済ませる必要があります。
近年の法改正では、より多くの事業者が電子化を導入しやすいよう、次の要件が緩和・削除されました。
デジタル社会形成整備法の施行により、記名・押印された書面に代わり、双方の合意があれば署名された電子データによる交付が可能です。ハンコレスになる代わりに、電子署名や認定タイムスタンプを付与する機能が搭載された電子契約システムを利用しなければなりません。
2022年4月1日に施行された電子帳簿保存法の改正で、国税帳簿・書類の電子保存を開始する際、税務署長の承認が不要になりました。運用開始3カ月前までに電子化の詳細事項を税務署へ申請するという従前のルールの廃止により、事務処理の負担が大幅に軽減されています。
2024年1月1日施行予定の改正電子帳簿保存法では、書類のスキャナ保存に関する下記要件が撤廃されます。
また、契約書や領収書など資金の流れに直接関係する重要書類以外は、帳簿との相互関連性を備えておく必要もありません。
電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日以降、2課税年度分の売上高が5,000万円以下の事業者は電子保存の際のタイムスタンプおよび検索機能備え付けの義務が免除されます。ただし、電子データをプリントアウトして保存している場合の検索機能の備え付け義務が追加されている点に注意してください。
デジタル社会形成整備法の制定により、一部の不動産関連契約の書面化および押印の義務が免除され、不動産の売買契約における書類の電子化が可能になりました。ただ、事業用定期借地契約は電子化できませんので、従来どおりの運用が求められます。
電子帳簿保存法の改正により「優良な電子帳簿」として作成・保存しなければならない書類は以下の青色申告関係帳簿に限定されています。
電子契約の法改正への対応は手間がかかる作業ですが、以下5つのポイントを把握しておくことでスムーズに対応しやすくなるでしょう。
最新の法律に則った適切な電子契約の運用には、ルールや操作方法に対する正しい理解が不可欠です。社内の担当部署・担当者を決めるとともに、研修会やマニュアル配布など、社内教育を徹底してください。
原則として、電子契約を導入しても、相手方の了承が得られなければ利用できません。あらかじめ取引先の意向を伺い、電子契約利用の可否を確認しておきましょう。
電子署名の有効期限は原則として5年ですが、電子文書は7〜10年間保存しなければなりません。法律に対応するためには、電子署名・タイムスタンプを再度付与する長期署名を措置する必要があります。
現在の電子帳簿保存法における電子取引データ保存の宥恕(ゆうじょ)期間は、2023年12月末で終了です。とはいえ、以下に該当する事業者には、改ざん防止および検索機能の備え付け義務が免除される新たな措置が適用されます。
なお、新たな宥恕措置の事前申請は必要ありません。
クラウド型の電子契約サービスを導入すれば、法改正時には自動的に適した形にアップデートされるため、システムの更新作業の負担が一挙に解消します。セキュリティも安心なうえ、バックオフィス業務が一元化できるため効率的です。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面で心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
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近年、書面の電子化に関する義務が増える一方で、緩和される規定も多く、電子契約がさらに導入・運用しやすくなってきています。社内外へ周知を徹底するとともに、長期署名・新たな宥恕措置などを活用しつつ、新ルールに対応していきましょう。
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