電子請求書とは、紙書類ではなく、メールやインターネット上でやり取りができるように電子文書として発行された請求書のことをいいます。最近では、電子帳簿保存法の改正やテレワークなど働き方の多様化を受け、電子請求書を利用する企業が増加してきました。
そこで本記事では、請求書を電子化するメリットや注意点を解説いたします。併せて、電子請求書の管理システムを選ぶ際のポイントもご紹介いたしますので、電子請求書を導入する前に理解しておきましょう。
それではまず、電子請求書の概要と電子帳簿保存法の対応方法を解説いたします。
電子請求書とは、メールやインターネットなどでやり取りできるように電子文書にした請求書のことをいいます。紙書類でのやり取りが一般的だった請求書は、DX化の推進やテレワークといった働き方に対応するため、電子化が進められています。
2022年1月に改正された電子帳簿保存法により、請求書などの国税関係書類を電子的にやり取りした場合、紙書類ではなく電子文書で保存することが義務付けられました。
電子文書保存への対応が間に合わない企業に限り、2023年12月31日までは紙書類での保存が認められています。ただし、税務署からの提出の要請があれば対応できるようにしておく必要があります。
請求書を電子化するメリットについて、請求書の発行側、受領側それぞれの視点で見ていきましょう。
請求書を電子化することに対する、請求書発行側のメリットは下記の通りです。
電子請求書はオンライン上でやり取りするため、印刷代や郵送代といったコストを削減できます。さらに、請求書の郵送作業に割く時間の削減にも繋がります。
また、既存の管理システムや請求書発行システムを利用し、電子請求書の発行から送付を自動的に行えるようになれば、さらにリソース削減が可能です。
電子請求書を発行することで、請求書作成から送付までのプロセスを自動化でき、手動の入力ミスや時間のロスを防ぐことが可能です。また、複数の請求書を一括で送付できるため、大量の請求業務も効率的に進められます。
オンライン上で送付できるため、すぐに取引先に届き、受け取り手は請求内容を確認できます。メールやストレージサービスなどを利用して電子請求書を送付すれば、履歴が残るため安心でしょう。もし、修正や再発行などが必要になっても、すぐに対応し新しい電子請求書を取引先に送付することが可能です。
ペーパーレス化は、紙の使用を減らすことで環境への負担を軽減する、SDG’sに関連する重要な取り組みです。紙の製造には多くのエネルギーや資源が必要な上、廃棄後のリサイクルにも手間がかかります。電子請求書を導入することで、紙の消費量を削減し、保管スペースの削減や廃棄物の減少も期待できるため、企業の環境配慮型経営の実現にも貢献できます。持続可能な社会の一環として有効な手段といえます。
請求書を電子化することに対する、請求書受領側のメリットは下記の通りです。
電子請求書はインターネットを通じて瞬時に受け取ることができるため、紙の請求書と比べて受領から承認までの時間を大幅に短縮できます。これにより、請求内容の確認や承認作業が効率的に進み、決裁プロセス全体のスピードが向上します。結果として、取引先とのやり取りが円滑になり、ビジネスの進行が迅速化されるため、業務効率が向上し、ビジネスチャンスを逃さずに活用できるようになります。
電子請求書はデジタル形式で保存されるため、紙の請求書と違って物理的なファイリングが不要で、簡単に検索・参照が可能です。管理作業の効率化を図ることができ、業務の迅速化につながります。また、改正電子帳簿保存法に対応することで、法的要件を満たしつつ、適切な形で電子請求書を保存することができます。コンプライアンス遵守を確保しながら、書類の紛失リスクを軽減し、安全な管理体制が実現できます。
電子請求書はオンラインで作成・送付が可能で、印刷や郵送の手間が不要です。上司の承認や取引先への送付もすべてオンラインで完結するため、出社する必要がなくなり、場所に縛られない柔軟な働き方が実現します。これにより、テレワークなどの多様な勤務形態にも対応でき、効率的な業務進行が可能になります。時間や場所を問わず請求書業務を進められるため、フレキシブルな業務環境が実現できます。
請求書の電子化はメリットばかりではありません。ここでは電子化によるデメリットについても見ていきましょう。
電子請求書システムの導入には、初期費用が発生することがあります。特に、システムを新たに構築したり、既存システムと連携させる場合は、開発や設定にかかるコストが高くなることがあります。また、システムを社内に浸透させるための業務フロー構築や教育、サポート体制の整備も必要です。
電子請求書を利用するには、取引先が電子化に対応している必要があります。すべての取引先が電子化に対応しているとは限らず、紙の請求書を希望する取引先も存在するかもしれません。そのため、電子化が完全にスムーズに進まないケースも考えられ、取引先ごとの対応が必要になることがあります。
電子請求書システムは、インターネットやサービス提供ベンダーのサーバーに依存しているため、システム障害や通信トラブルが発生するリスクがあります。こうした障害が発生すると、請求書の発行や受領が遅れる可能性があり、業務に支障をきたすことがあります。そうしたトラブルに備えて、代替手段やバックアップを用意しておくことが重要です。
電子請求書を発行・管理するシステムを導入する際には、自社の業務内容や規定にあったシステムを選ぶことが重要です。ここでは、導入する前に確認すべき2つのポイントをご紹介いたします。
電子請求書を管理するシステムは、自社のセキュリティ規定に沿ったものを利用しましょう。
電子文書はデータの複製や改ざんなど、不正が発生するリスクもあります。システムの導入前に、セキュリティ対策を確認しておきましょう。例えば、システムを利用できる社員の設定や、電子請求書にタイムスタンプを付与する機能があれば情報漏洩や改ざんといったリスクを軽減することができます。
電子請求書の管理システムを利用する場合、コストが自社に合っているかも重要なポイントです。
システムを導入すると、初期費用やランニングコストが新たに発生します。また、不要な機能やオプション設定などによりコストが上がっている可能性もあるため、事前に洗い出しを行う必要があります。データのストレージサイズやアカウント数に制限があれば、導入後に費用が発生する可能性もあるため、追加でかかる費用も確認しておきましょう。
最終的には、導入後に削減されるコストと今後の運用コストを比較して、自社に適切なシステムなのかを検討していきます。
電子請求書を導入する際には、システム導入以外にも準備が必要になります。ここでは、注意点を2つご紹介いたします。
請求書は、発行側と受取側の双方が関係する書類です。そのため、電子請求書を導入する際には、事前に取引先へ説明し理解を得る必要があります。
電子帳簿保存法により、電子請求書を受け取った場合は紙書類に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存することが義務付けられています。そのため、電子帳簿保存法の対応が難しい取引先は、電子請求書を拒否するかもしれません。
また、取引先によっては請求書の様式が定められている可能性があります。事前に取引先にメリットや利用方法を説明し、電子請求書の対応が可能かを確認しておきましょう。
電子請求書を導入するにあたり、発行や承認の流れといった業務フローの構築、取り扱いに関する社内教育を実施しましょう。
たとえば押印の必要性や、取引先へ請求書を送付するタイミング、電子請求書を保存する方法といった紙書類の請求書と異なる点の対応方法を決めなければいけません。
また、構築した業務フローを社内に周知するとともに、システムを導入する場合は利用方法などの社内教育が必要になります。
電子請求書の導入前に業務フローや管理システムの利用方法などを決定し、社内教育をすることで担当者や取引先の混乱を防ぎ、スムーズに電子請求書を導入できます。
実は、法的には請求書に必ずしも押印する必要はありません。しかし、日本の商習慣では紙の請求書に押印することで文書の信頼性を高め、承認を受けた文書である証明とされてきました。
電子請求書においても、社内での承認プロセスや取引先とのやり取りなどにおいて、紙の請求書と同様に、文書の信頼性を高めるために押印が求められることが多くあります。電子請求書に押印するためには電子印鑑が必要となります。また、電子印鑑は文書の信頼性を高めるだけでなく、電子印鑑を付与することで、業務フローのデジタル化が進み、ペーパーレス化による効率化も図ることができます。
電子請求書を送付する際には、メールやファイル共有サービスなどの方法を選択できます。それぞれの方法にはメリットと注意点があるため、業務に適した送付方法を選ぶことが重要です。
最も一般的な電子請求書の送付方法は、メールにPDF形式などで添付して送る方法です。これは手軽で迅速に送付でき、受取側もメールを確認するだけで請求書を受け取ることができるため、非常に便利です。さらに、送信記録がメールサーバーに残るため、送付した証拠を確保することができ、トラブル防止にもなります。ただし、メール自体がセキュリティリスクにさらされやすいため、暗号化やパスワード保護を施すなどの対策が必要です。特に、請求書に含まれる企業情報や金額などの機密情報を保護するために、セキュリティには細心の注意を払う必要があります。昨今では脱PPAP(データ共有時に暗号化したパスワード付きzipファイルをメール添付し、パスワードを別メールで送信するセキュリティ対策)の流れが加速しているため、パスワード保護には注意が必要です。
もう一つの方法として、ファイル共有を活用する方法があります。Google DriveやDropboxなどのクラウドストレージや、ファイル共有サービスを利用して請求書を共有することで、メールの容量制限を気にすることなく、大量のファイルを安全に送付できます。ファイル共有リンクを利用することで、相手側が必要なときに請求書をダウンロードできるため、メールのやり取りに伴う時間的な制約も緩和されます。また、アクセス制限を設定することで、セキュリティも強化されます。受取側がリンクを開くたびに最新の請求書にアクセスできるため、訂正や修正が発生した際にも、迅速に対応が可能です。
ただし、クラウドサービスを利用する場合は、ファイル共有サービスの信頼性やセキュリティ対策がしっかりしているかを確認する必要があります。例えば、ファイルの不正アクセスを防ぐために、共有リンクにはパスワードを設定するなどの対策が取られているサービスを選ぶことが重要です。
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また、ファイルを安全に送信できる「ファイルメール便」というファイル共有サービスを提供しており、電子請求書のやり取りをセキュアかつスムーズに行うことができます。
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