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工事請負契約書とは?記載項目と概要をテンプレート付きで解説!

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工事請負契約書は、住宅などの工事を受発注する際に使用する契約書です。普段から目にしていない方にとって、何を書けばよいのかわからない、ということも多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、工事請負契約書とはなにか、締結する目的や記載しなければいけない事項、作り方や注意点を解説していきます。

テンプレートもダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

工事請負契約書とは

工事請負契約書とは、建設工事などの請負業務を行う際に、発注者(工事を依頼する側)と請負者(工事を実施する側)との間で取り交わされる契約書です。これにより、工事の内容や範囲、工期、費用、支払い方法、そして万が一のトラブルに備えるための責任範囲などが明確に定められます。

この契約書は、契約の履行を確実にするために重要な役割を果たします。具体的には、工事が契約通りに進められることを保証し、双方の権利と義務を明確にすることで、後々のトラブルや誤解を未然に防ぐことができます。また、万が一、契約不履行や工事の欠陥や不備が発生した場合の責任の所在を明確にするためにも、契約書の内容が重要となります。

さらに、工事請負契約書は、法的な拘束力を持つため、万が一裁判に発展した場合にも、契約書に記載された内容が基準となります。したがって、契約書の作成においては、細部に至るまで慎重に確認を行い、双方が納得の上で署名・捺印することが必要です。

次に、工事請負契約書を締結する主な目的について解説していきます。

工事請負契約書を締結する主な目的

工事請負契約書を締結する主な目的は、以下の3つです。

・工事内容と範囲の明確化

・支払い条件の確定

・責任の所在の明確化

工事内容と範囲の明確化

工事請負契約書を締結する第一の目的は、工事内容とその範囲を明確にすることです。建設工事は、設計図や仕様書に基づいて実施されますが、それだけでは十分ではありません。契約書において、工事の具体的な内容やその範囲、使用する材料や工法、工期などを詳細に記載することで、発注者と請負者の間で認識の違いが生じることを防ぎます。

この明確化により、契約当事者間での合意が形成され、工事の進行中に生じる可能性のあるトラブルや不一致を未然に防ぐことができます。例えば、追加工事が必要になった場合や、仕様の変更が発生した場合でも、契約書に基づいて対応が可能となります。

支払い条件の確定

工事請負契約書を締結するもう一つの重要な目的は、支払い条件を確定することです。建設工事は多くの場合長期にわたるものであり、支払いが複数回に分けて行われることが一般的です。契約書には、工事代金の総額、支払いのタイミング(例えば、着工時、中間検査時、引渡し時など)、支払い方法(振込、手形など)が明確に記載されます。

これにより、請負者は資金計画を立てやすくなり、発注者も適切なタイミングで支払いを行うことができます。また、支払いが遅延した場合や、工事が進捗しない場合の対処法についても契約書で取り決めることで、双方のリスクを軽減することができます。

責任の所在の明確化

工事請負契約書を締結する第三の目的は、責任の所在を明確にすることです。建設工事には、さまざまなリスクが伴います。例えば、工事が遅延した場合や、完成した建物に欠陥が見つかった場合など、どちらの責任であるかを明確にする必要があります。

契約書において、これらのリスクに対する責任の所在を明記することで、後々の紛争を防ぐことができます。また、保険の適用範囲や、不可抗力(自然災害など)による工事の遅延や中止に関する取り決めも含めておくことが望ましいです。

これらの目的に基づいて工事請負契約書を作成することで、契約当事者双方の権利と義務が保護され、工事の円滑な進行が保証されます。次に、工事請負契約書に記載すべき具体的な項目について解説します。

工事請負契約書のひな型(テンプレート)

この章では、工事請負契約書のひな型(テンプレート)の概要と具体的な内容について解説し、実際に使用できるひな型を提供します。

工事請負契約書の内容

工事請負契約書には、契約当事者の情報や工事の詳細、支払い条件、責任の所在などが記載されます。具体的には、以下の項目が含まれます。

契約当事者の情報:発注者と請負者の氏名、住所、連絡先など。
工事の内容と範囲:工事の具体的な内容、工期、工事場所、使用する材料や工法の詳細。
工事代金と支払い条件:総工事代金、支払いスケジュール、支払い方法。
保証および責任:工事の瑕疵に関する保証期間、責任の所在、万が一のトラブル時の対応方法。
その他の特約事項:追加工事の扱いや、不可抗力による工事の遅延や中止に関する取り決め。
これらの項目を明確にすることで、契約当事者双方の権利と義務が明確になり、工事の進行がスムーズに行われるようになります。

工事請負契約書の作成方法

工事請負契約書の作成は、上記の内容を基にして行います。まずは、契約当事者の情報や工事の詳細を正確に記入し、その後、支払い条件や責任の所在について具体的に記載します。最後に、その他の特約事項を追加し、双方が納得した上で署名・捺印を行います。

工事請負契約書のひな型(テンプレート)

以下に、工事請負契約書のひな型(テンプレート)を掲載します。必要に応じて、内容をカスタマイズしてご利用ください。

ダウンロードはこちらから

このひな型を元にして、詳細を追加することで、実際の契約書として利用可能です。

工事請負契約書に記載する事項

工事請負契約書には、法律で定められた記載項目があり、これらを正確に記載することが求められます。以下に、記載すべき法定事項を箇条書きで示し、その中でも特に重要なポイントを2点紹介します。

記載必須の法定記載事項

工事請負契約書に記載するべき法定事項は、以下の通りです。

  • 契約当事者の氏名及び住所:発注者と請負者の正確な氏名と住所。
  • 工事内容:工事の具体的な内容と範囲を詳細に記載。
  • 工事の場所:工事が行われる場所の正確な所在地。
  • 工期:工事の開始日と終了日を明確に記載。
  • 工事代金:総工事代金と支払いのタイミング。
  • 支払い方法:支払いの方法(銀行振込、手形など)。
  • 保証内容:工事の瑕疵に対する保証期間と内容。
  • 契約解除条件:契約解除に関する具体的な条件。
  • 損害賠償の規定:万が一のトラブルに備えた損害賠償の取り決め。

特に重要なポイント①―工期の明確な記載

工事請負契約書における工期の記載は非常に重要です。工期が明確に定められていないと、工事が遅延した場合の責任追及が困難になることがあります。また、工期の延長や短縮に関する取り決めも合わせて記載することで、双方のリスクを減らすことができます。

特に重要なポイント②―損害賠償の規定

工事の進行中に何らかのトラブルが発生した場合の損害賠償規定も、契約書に必ず含めておくべき重要なポイントです。これにより、予期しない損害が発生した場合にも、契約に基づいて適切に対応することが可能となります。

これらの法定記載事項と重要ポイントをしっかりと盛り込んだ工事請負契約書を作成することで、契約当事者双方の権利を守り、工事の円滑な進行を支えることができます。

工事請負契約書を締結する際の注意点

工事請負契約書を締結する際の重要な注意点を以下に紹介します。

契約内容の詳細確認

工事請負契約書を締結する際には、契約内容の詳細をしっかりと確認することが最も重要です。特に、工事内容や範囲、使用する材料、工期、工事場所などの記載が正確であるかを確認する必要があります。不明確な記載やあいまいな表現が含まれている場合、それが後のトラブルの原因となる可能性があるため、双方が合意した内容を具体的に記載することが求められます。

変更事項の取り扱い

工事の進行中に、設計変更や追加工事が発生することは少なくありません。このため、工事請負契約書には、変更事項が発生した際の取り扱いを事前に明記しておくことが重要です。例えば、変更に伴う追加費用や工期の延長について、どのように対応するかを契約書に盛り込むことで、後から発生するかもしれない紛争を未然に防ぐことができます。

支払い条件の明確化

工事請負契約書には、工事代金の支払い条件を明確に記載する必要があります。支払いのタイミングや方法、分割払いの場合の各支払いの期日などを具体的に設定することで、資金計画が立てやすくなります。また、支払い遅延時のペナルティや対応策についても事前に取り決めておくことで、後のトラブルを回避できます。

保証内容と保証期間の確認

工事が完了した後の保証内容や保証期間も、工事請負契約書に明記しておくことが必要です。例えば、工事完了後に瑕疵が発見された場合に、どの程度の範囲で保証が適用されるのか、またその保証期間がいつまでなのかを明確にすることで、発注者と請負者双方の安心感が高まります。

契約解除条件の設定

契約解除に関する条件設定も、工事請負契約書では重要なポイントです。例えば、請負者が工事を期日までに完了できない場合や、発注者が支払いを滞納した場合の対応方法を契約書に明記しておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。契約解除の条件を明確にしておくことで、双方が安心して契約を進めることが可能です。

トラブル対応の取り決め

工事が進行する中で、予期せぬトラブルが発生することも考えられます。例えば、自然災害による工事の遅延や中止、第三者との争いなどに対する取り決めを契約書に記載しておくことが重要です。これにより、万が一トラブルが発生した場合でも、契約に基づいて冷静かつ迅速に対応することが可能となります。

以上の注意点を踏まえた上で工事請負契約書を締結することで、契約当事者双方が納得のいく契約を結び、工事の円滑な進行を確保することができます。

工事請負契約書に貼付すべき収入印紙の金額

工事請負契約書には、契約金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙の金額は、契約金額の大きさによって異なります。以下に、工事請負契約書に貼付すべき収入印紙の金額を示します。

まとめ

工事請負契約書は、建設工事の円滑な進行と、契約当事者双方の権利保護に欠かせない重要な書類です。契約書には、工事内容や支払い条件、責任の所在などを詳細に記載し、契約時には収入印紙を適切に貼付する必要があります。また、契約書を作成する際には、変更事項やトラブル対応についても事前に取り決めておくことが、後のトラブルを未然に防ぐポイントです。適切な契約書の作成により、安心して工事を進めることができるでしょう。

WRITER
田中 空樹
デジタル認証事業部コンテンツストラテジスト
2022年シヤチハタ株式会社入社。 入社1年目でShachihata Cloudの製品サイトリニューアルに携わる。 現在もコンテンツマーケティングなどShachihata Cloudの良さを広めるために奮闘中。
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