この記事でわかること
電子契約の書類は、システムの自社構築もしくはサービスの導入で作成できます。テンプレートを用いれば無料で作れますが、デメリットも少なくありません。手軽に電子契約書を作成したいなら、電子契約サービスの利用がおすすめです。本記事では、電子契約書の作り方を解説いたします。導入・選定のポイントも紹介いたしますので、契約プロセスをDXしたい企業の方はぜひご一読ください。
なお、Shachihata Cloudでは、BtoB企業様向けに「電子契約導入のメリット」を提供しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ電子契約の導入にお役立てください。
電子契約書とは、電子契約におけるデジタルでやり取りする契約データです。電子契約書の作り方を理解するにあたり、押さえておくべき以下2つの項目をみていきましょう。
「e-文書法」により、電子契約における契約書は、以下4つの条件を満たして作成・保管することが定められています。
なお「電子帳簿保存法」では「真実性」と「可視性」という要件が規定されていますが、上記4つの要件とほぼ同義です。つまり、電子契約書は、見やすく探しやすい状態を常に保ちつつ、セキュリティ対策を徹底しなければなりません。あわせて、電子署名やタイムスタンプなどで、不正が行われていないかどうかを確認できる手立てを講じる必要があります。
電子契約書の構成要素には、契約の成立や利用者の正当性を証明する複数の仕組みが含まれます。代表的なものに「タイムスタンプ」「電子証明書」があり、これらを正しく理解することが導入の第一歩です。
タイムスタンプとは、電子契約書などの電子データが特定の日時に存在していたことを証明する仕組みです。契約締結の瞬間を客観的に示すことで、後から改ざんや変更が行われていないかを確認しやすくします。具体的には、電子データに時刻認証局が発行する証明を付与し、書面契約でいう日付印の役割を担います。
これにより、万が一トラブルが発生した際にも契約成立日時を客観的に証明でき、紛争を未然に防ぐ効果が期待できます。
電子証明書とは、インターネット上でやり取りされる情報が正当な差出人から送られたものであることを証明する、デジタルな身分証明書です。電子契約書においては、契約の相手が本当に本人(または正当な企業)であるかを確認する役割を果たします。書面契約での実印や代表者印と同様に、法的な証拠力を高めるうえで欠かせない要素です。たとえば信頼のおける認証局によって発行された電子証明書を利用することで、署名者のなりすましや不正行為を防ぎ、契約の安全性を確保します。
なお、電子証明書には有効期限があるため、更新や管理を適切に行うことも導入時の大切なポイントです。
電子契約書と書面契約書では、取り交わしの形態や署名方法、そして保管方法などが異なります。たとえば電子の場合はインターネットを介した署名やクラウド保管が一般的ですが、書面の場合は印紙の貼付や紙のファイリングが必要です。以下の表で両者を比較します。
比較項目 | 電子契約書 | 書面契約 |
形態 | デジタルデータで契約を締結 | 紙ベースで契約を作成 |
署名方法 | 電子署名・電子サインを利用 | 押印や手書きサインを行う |
保管方法 | クラウドやデータベースで保管 | ファイルやキャビネットで保管 |
印紙 | 不要(印紙税がかからない) | 契約金額によっては印紙が必要 |
締結スピード | インターネット経由で迅速 | 郵送や対面などで時間を要する |
電子契約書には、大きく分けて「電子署名タイプ」と「電子サインタイプ」の2種類があります。どちらもインターネット上で契約を締結する方法ですが、仕組みや認証の方法が異なります。企業の利用目的やセキュリティ要件に合わせて、どちらを選ぶかを検討することが重要です。
電子署名タイプは、契約当事者それぞれが電子証明書などを用いて署名を行う方式です。
署名者自身が保有する電子証明書を利用するため、本人確認の信頼性が高いとされます。
たとえば公開鍵基盤(PKI)技術を使った電子認証システムを用い、署名が改ざんされていないことを証明します。
この方式は電子契約書のなかでもより厳格な認証手段として位置づけられており、契約当事者が多い場合でも、各々が自己の証明書を使ってスムーズに署名が可能です。ただし電子証明書の発行や管理に手間や費用がかかることもあり、無料で始められる電子サインタイプと比較して、導入のハードルが高いと感じる企業もあります。自社の作り方や利用状況を踏まえ、どちらの方式が適切か検討することが大切です。
電子サインタイプは、第三者機関(立会人)を介して契約を成立させる方法です。署名者自身が電子証明書を用意しなくても、運営事業者が提供する認証システムを利用して本人確認を行うため、比較的手軽に導入しやすい特徴があります。
具体的には、電子サインサービスのプラットフォーム上で契約文書をアップロードし、相手に署名依頼を送信します。相手がメールやSMSで届いたリンクから契約内容を確認してサインを行えば、それで契約が成立する仕組みです。
印紙を貼る必要がないためコスト削減にもつながり、無料トライアルを利用して作り方を試せるサービスも多いので、初めて電子契約書を導入する企業にも取り入れやすいでしょう。このように手軽さとスピード感が大きなメリットといえます。
電子契約書は、電子契約を締結するタイミングで作成されます。作成方法は、主に以下の2通りです。
1つ目は、自社で電子契約システムを作成し、電子契約書を作成する方法です。契約データも保守・管理も、自社サーバーで行います。システムの構築には、専門的で高度なスキルが不可欠です。無料の簡易的なやり方では、セキュリティ面のリスクが高すぎるためおすすめできません。また、電子帳簿保存法やe-文書法への対応など、法務への深い理解も要します。大規模なシステムになると、整備と管理に膨大な手間とコストがかかるでしょう。
2つ目は、書類作成から承認まですべてのプロセスが一元化する電子契約サービスを利用する方法です。電子契約サービスには、サービス提供元のプラットフォームを利用する手軽なクラウド型と、自社サーバーにシステムを構築する自由度の高いオンプレミス型の2種類があります。法的要件を満たしているシステムが自動で保たれるため、運用・管理も容易です。従来の契約フローを大きく変えることなく手軽に移行できることもあり、電子契約サービスを用いた電子契約書の作り方がスタンダードだといえます。
電子契約書の作成方法は、次の3ステップのみです。
作成のやり方と、各ステップでのポイントを説明いたします。
契約の締結後、決まった内容に基づいて契約書を作成します。この時点では、紙・電子データのどちらで作成しても構いません。
作成した契約書を、オンライン上にアップロードします。電子上で作成された契約データは、メールなどインターネットを経由して相手方へ送付されます。押印やサインも、オンラインですべて完結です。
電子契約書が送られてきた相手方が、内容を確認して承認します。戻ってきた契約データに電子署名を付与し、相手方に返送すれば契約締結は完了です。契約内容はオンライン上に保存され、いつでも確認できます。
契約書を電子データとして作成すると、以下4つのメリットが得られます。
電子契約書には、紙文書での契約に欠かせなかった印刷・押印・スキャンなど一連の業務負担がありません。社内で行わなければならない業務をカットできることで、近年増加するリモートワークなど、多様な働き方にも対応できます。また、紙文書の郵送で生じるタイムラグがないため、契約締結までがスピーディです。
契約書の電子化により、紙文書で問題となる紛失のリスクが軽減します。権限があれば、いつでもデータにアクセス可能であり、社外に持ち出す必要がないからです。電子署名やタイムスタンプなど、ハイレベルな改ざん・なりすまし防止機能が搭載されたシステムもあるため、セキュリティ面も心配ありません。
電子契約には、印紙税がかかりません。印紙代は、紙書類にのみ発生すると公的に解釈されているためです。また、契約締結後、データを紙に出力しても、収入印紙の貼付は不要です。
▶電子契約に印紙代が必要ない理由について詳しく知りたい方はこちら
電子契約では収入印紙がいらないのはなぜ?印紙税が不要な理由を法律と国税庁の見解から解説
電子契約には印紙税がかからないため、収入印紙の添付は不要です。本記事では、印紙のしくみと電子契約に印紙税がいらない根拠を国税庁や国会の見解から説明いたします。電子契約は印紙税のカット以外にもさまざまなメリットがありますので、注意点や導入時のポイントを踏まえてぜひご検討ください。
契約書を電子化すれば、契約書面の作成に必要だった用紙やインクトナーがいりません。郵送の必要もないため、封筒や切手の経費もカットできます。ファイルや書棚など、物理的な保存スペースも要しません。事務作業の負担が減り、最低限の人件費で業務を回せます。
電子契約書はペーパーレス化やコスト削減などの利点がある一方、新たな課題が発生する場合もあります。ここでは導入時に考慮すべき代表的な3つのデメリットを紹介します。デメリットを知ることで、電子契約書の導入を進める際の参考にしてください。
電子契約書の利用にはシステム導入時の初期費用や運用コストが必要になるケースがあります。 無料プランを提供するサービスもありますが、高度なセキュリティやカスタマイズ機能を求める場合は追加料金が発生することも少なくありません。
社内システムとの連携や管理者教育など、細かな作り方や運用体制の整備も含めると、結果的にある程度のコスト負担は避けられないでしょう。最初の投資負担をどう捉えるかが鍵となります。
電子契約書は紙の契約書に比べてデータ漏えいや不正アクセスのリスクを意識する必要があります。クラウド上に保管する場合、セキュリティ対策の強度やバックアップ体制を比較検討することが不可欠です。
また、契約関連の法律や電子署名法の知識も求められ、社内に十分なノウハウがないと運用面でトラブルが生じる可能性があります。定期的な監査やセキュリティアップデートなど継続的な管理が必要になる点もデメリットといえます。
電子契約書は印紙税が不要でコスト面のメリットがある一方、取引先によっては従来の紙契約を好むケースが残っています。高齢の担当者や社内規定が厳格な企業などでは、電子化の手続きに不安を感じる場合も多いでしょう。
その結果、紙と電子を使い分ける必要が生じ、書面契約との運用の違いを調整する手間が増す懸念があります。互いの認識をすり合わせるプロセスに時間を要し、スムーズな締結が難しくなる可能性もあります。
電子契約には多くのメリットがありますが、万能というわけではありません。導入の際は、以下5つのポイントを押さえたうえで運用してください。
現時点では、すべての契約書を電子化できるわけではありません。法律上、次の契約では契約書を書面で交付することが義務付けられています。
また、電子化できる書類であっても、取引先や消費者の利益を害さない配慮が求められます。
▶電子契約できない書類について詳しく知りたい方はこちら
電子契約は、基本的に相手方の同意がなければ利用できません。サービスによっては相手方に費用が発生し、負担をかける恐れもあります。電子契約を導入する際は、事前に主な取引先の意向を確認しておくほうが良いでしょう。
電子契約書を契約の相手方に送付する際、変換したPDFデータの容量が大きすぎると、電子契約書を送付できない可能性があります。電子契約を利用する際は、データ量に気を付けるほか、複数回にわけて送付するなど工夫しましょう。
電子契約を導入する場合は、システムの操作方法や法律への理解など、従業員のリテラシーを高めるための対策が必要です。社内での説明会・研修会の実施や、テキストを配布するなどして、電子契約システムの操作方法を周知徹底しましょう。
電子契約はインターネット環境につなげないと使えないため、通信障害や災害発生時に長期間アクセスできなくなる恐れがあります。データのバックアップはもちろん、緊急時や復旧までの対処法を確認しておくことが大切です。
電子契約は、自社で一から構築するより、電子契約サービスを用いるのが手軽かつリーズナブルです。以下3つのポイントをあらかじめ確認しておくことで、自社に最適な電子契約サービスを選定できるでしょう。
電子契約ツールが、自社の課題を解決できる機能を備えているかどうかを確認してください。承認機能やあらゆる契約書に対応できる豊富なテンプレートの有無など、オプションも含め厳しくチェックしましょう。
ビジネスにおける契約は、機密性を求められるものが少なくありません。情報漏えいや改ざん、サイバー攻撃に対するハイレベルなセキュリティ対策が重要です。
電子契約サービスは、長期利用が前提でランニングコストがかかり続けます。利用の安さだけにこだわらず、費用に対する効果を検討のうえ、無理のない資金繰りができるサービスを選びましょう。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面の心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
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電子契約書は、法律に基づき適正に管理しなければなりません。そのため、自社システムを構築するより、電子契約サービスのほうが作成も簡単で運用も容易です。しかし、数ある電子契約ツールの中から、機能やセキュリティ対策の充実度と費用との兼ね合いを考慮しつつ比較・検討するのは難しく感じる企業の方も多いでしょう。
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