Shachihata Cloud DXコラム 電子契約では収入印紙がいらないのはなぜ?印紙税が不要な理由を法律と国税庁の見解から解説
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電子契約では収入印紙がいらないのはなぜ?印紙税が不要な理由を法律と国税庁の見解から解説

コスト削減
効率化
法律・制度
電子契約
WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

印紙税の納付は、課税文書作成者の義務です。しかし、契約金額や件数によっては、印紙税額が膨大になります。さらに、印紙税の計算や、収入印紙を貼る作業も煩雑です。そこで近年は、印紙税が課されない「電子契約」が注目を集めています。本記事では、電子契約で印紙税が不要な理由を、法律や国税庁、国会の見解から解説いたします。電子契約のメリットや注意点も紹介いたしますので、節税したい企業の方はぜひ参考にしてください。

印紙税とは?

電子契約と収入印紙の関連性が理解しやすいよう、まずは印紙税の性質を下記2点から明らかにしておきましょう。

  • 印紙税のしくみ
  • 印紙税の正当性
  • 印刷した電子契約文書に収入印紙は必要?

印紙税のしくみ

印紙税とは、課税対象となる文書の発行に課される税金です。印紙税法第3条により、全20種類の文書に印紙税の課税が定められています。ただし、印紙税法第5条に定められる一部の文書と、5万円未満の領収書は非課税ですので、収入印紙はいりません。

印紙税は、収入印紙を用いて納められるしくみです。印紙税の税率は、文書の種類や取引金額によって異なります。

印紙税の正当

印紙税の根拠は、経済的なメリットを目的とする取引において作成されることにあるとされています。つまり、契約書など印紙税の対象となるのは経済的利益が伴うケースが大半であり、相当する税負担の補完として正当性を持つということです。また、税制調査会答申では、取引事実の明確化や、法律関係の安定化にも寄与するためという考え方も示されています。

印刷した電子契約書に収入印紙は必要?

電子契約関連の文書を印刷しても、印紙税はかからないため、収入印紙はいりません。印紙税が課せられるのは、あくまで文書の原本のみです。電子ファイルの印刷は原本のコピーと見なされることから、印紙税の対象外とされています。

電子契約に印紙税がかからない根拠

法律に明記されてはいませんが、電子契約では収入印紙が不要です。以下3つの事例から、電子契約では印紙税がかからない根拠をみていきましょう。

  • 法令解釈通達
  • 国税庁の判断事例
  • 国会答弁

法令解釈通

印紙税法基本通達第44条によると、印紙税の対象となるのは、原則として用紙等に記載された課税事項のみです。よって、原本が電子文書である電子契約には印紙税がかからないと解釈できます。

国税庁の判断事

国税庁の判断事例では、請負契約で発行・交付した電子の注文請書は、課税対象の文書ではないと説明されています。また、電子化した契約書類は、電子メールやFAXで交付した場合、課税対象外です。

国会答

第162回国会答弁では「電磁的記録により作成されたものについて課税されない」と言及されています。国会答弁記録があることからも、紙を利用しない取引は印紙税の対象外です。

電子契約とは

電子契約とは、WordやExcel、PDFなどの電子文書を、インターネット上でやりとりする契約方法です。契約に紙文書は一切使用せず、ハンコではなく電子印鑑や電子署名によって書面の効力が担保されます。ペーパーレス取引の普及が推進されている現代において、注目度が高まっている契約手段の一つです。

電子契約のしくみについて、以下2点から理解を深めましょう。

  • 電子契約で用いられる証明手段
  • 電子契約導入にあたってのポイント

電子契約で用いられる証明手段

電子契約では、次のようなツールが証明手段に用いられています。

証明ツール 概要 特徴
電子印鑑 ハンコの印影を電子化したもの Excelなどで手軽に作成できるが、無料の電子印鑑では法的効力を付与できない
電子署名 電子文書の作成者を証明するためのサイン 暗号化されており、非改ざん性を担保できる
電子証明書 電子契約における本人性の証明 第三者機関により保証されるしくみ
タイムスタンプ 電子文書の存在証明手段 作成・承認の日時を付与することで非改ざん性を保証する

電子契約導入にあたってのポイン

電子契約は、以下2点に気を付けて導入を進めてください。

  • 現行の業務フローの確認
  • 予算とコストの対比

自社の業務フローによって、電子契約サービスに求める法務基準や機能、書面の管理方法が異なります。ニーズに合致しないサービスでは、電子契約を最大限に活かしきれません。

また、電子契約システムは継続的に利用することを前提とするツールであり、運用にコストがかかります。どの程度のランニングコストがかかるかをチェックし、予算と照らし合わせて電子契約サービスを選定することが大切です。

なお、電子契約についてはこちらの記事でより分かりやすく解説していますのでぜひご覧ください。

▶電子契約について詳しく知りたい方はこちら

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電子契約のメリット

電子契約には、印紙税が非課税であること以外にも、主に次の3つのメリットがあります。

  • コスト削減につながる
  • 管理が手軽になる
  • 契約プロセスが効率化する

コスト削減につながる

電子契約を導入すれば、印紙税のほか、用紙代やインク代など紙にかかるコストを大幅にカットできます。契約件数の多い企業ほど、コストカットの効果が大きいでしょう。

管理が手軽になる

電子契約の書類の保管場所はサーバーや外部記憶装置などの電子上の領域であり、物理的なスペースが不要です。契約状況や保管したデータがリアルタイムで可視化されるため、進捗状況がすぐに分かります。

契約プロセスが効率化する

電子契約では、オンライン上で手続きが完結するため、契約締結までが非常にスピーディーです。インターネット環境さえあれば契約が進められるため、多様な働き方に対応できます。さらに、法改正に対するフィードバックも容易です。

電子契約と印紙税に関する注意点

ビジネスにおいて多くのメリットが得られる電子契約システムですが、取り扱いに注意していただきたい3つのポイントがあります。

  • 電子文書の正本を紙で交付すると印紙税の対象
  • 電子帳簿保存法への対応
  • 電子化できない書面の存在

電子文書の正本を紙で交付すると印紙税の対

電子文書を送付した後、紙文書を改めて交付した場合は印紙税の対象となります。ただし、FAXを送付するためだけに印刷した紙文書には収入印紙がいりません。

電子帳簿保存法への対

電子取引においては、電子帳簿保存法に準じた文書管理が不可欠です。つまり「真実性」と「可視性(検索性)」の2つを確保しなければなりません。なお、国税庁が定める「優良な電子帳簿」をあらかじめ届け出ていれば、過少申告加算税が軽減される制度の適用を受けられます。

電子化できない書面の存在

以前は、電子化できない書面が多くありました。しかし、2022年の宅地建物取引業法改正により、これまで多くの制限が課せられていた不動産関連書面の電子化が許可されるようになっています。2023年6月からは、訪問販売等特定商取引における交付書面の電子化も可能です。

とはいえ、紙文書での作成が義務付けられている一部の書面は、電子化が認可されていません。現時点で電子化できない書類は、以下のとおりです。

  • 事業用定期借地契約
  • 任意後見契約書

また、文書の電子化に向けた法改正が進められていますが、電子契約が締結できるかどうかは相手方の意向次第です。消費者や取引の相手方へ十分に配慮しつつ、慎重な運用が求められています。

▶電子契約できない書類について詳しく知りたい方はこちら

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過誤納還付の可

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存では、過誤納申請ができないケースがあります。そのため、収入印紙が貼ってある正本の書面の廃棄は、慎重に行いましょう。

【低コストで導入できる】非改ざん性を担保した電子契約ならShachihata Cloud!

DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面の心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。

Shachihata Cloudは、サービス時ログイン時の二要素認証、ログインできるIPアドレスの制限などセキュアな環境で利用できるツールです。立会人型電子署名の付与やタイムスタンプで文書の非改ざん性を担保します。1ユーザー110円からと低コストで運用できるため、電子契約の導入に適しています。

相手方は無料で捺印できる!ゲストユーザーの利用方法

契約締結の相手方企業は、Shachihata Cloudを契約していなくても受信専用のゲストユーザーとして利用することが可能です。役職印や角印など3種類の印鑑を無料で作成・捺印できます。ゲストユーザーお申し込みフォームから必要事項を入力して登録を行うだけで利用できるため、手間なくスムーズにご利用いただけます。

また、捺印した契約書はお互い1年間ダウンロードができます。会社印の捺印が必要な文書のやり取りが双方の費用負担ゼロで行えるので、ぜひご活用ください。

▶Shachihata Cloud受信専用プランについて詳しく知りたい方はこちら

非改ざん性を担保!電子署名の付与方法

電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。

Shachihata Cloudでは電子署名の法的有効期限を最低1年保証しています。別途タイムスタンプを利用すると、電子署名の有効期限を1年から10年まで延長可能です。

アクセス権限で柔軟に管理!フォルダの設定方法

Shachihata Cloudは、電子契約から書類保存まで1つのツールで対応できます。会計年度や部署ごとなど、任意のフォルダを作成して書類管理ができるため、どこに何を保存したかが分からなくなる心配がありません。

フォルダの移動や並び替えはドラッグアンドドロップで完結するため、操作も簡単。フォルダへのアクセス権限はユーザー単位で付与できるため、部外秘の情報もセキュアな環境で管理できます。

印紙税の負担がカットできるShachihata Cloudで業務効率化を図ろう!

法的・公的な解釈から、電子契約に用いた書類には収入印紙の貼付が不要であり、印紙税がかかりません。節税効果のほかにも、電子契約を導入すれば紙書類にかかるコストや保管場所の削減、業務効率化などさまざまなメリットが得られるでしょう。

ただし、現行法を正しく理解せずに電子契約システムを導入すると、思わぬところで損してしまう恐れがあります。また、自社の業務フローや予算に見合うサービスを選ぶことも重要です。

手軽に電子契約システムを業務に取り入れ、メリットを最大限に活かしたいなら「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」をおすすめします。導入いただいた企業の方にとっての使いやすさはもちろん、契約の相手方にかかる負担も最小限です。また、非改ざん性を担保する電子署名や書類保管機能など機能も充実しており、法律への対応も心配いりません。今ならトライアルで気軽にお試しいただけますので、ぜひお問い合わせください。

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