電子印鑑・電子決裁のことなら
電子契約サービス 電子契約 電子契約書をPDF化するメリットは?電子化する方法や流れ、注意点も解説
DX COLUMN

電子契約書をPDF化するメリットは?電子化する方法や流れ、注意点も解説

公開日: 更新日:

電子帳簿保存法の施行により、一部の書類をPDFデータ等で電子保存できるようになりました。しかし、電子契約書をPDF形式でやり取りする意義をご存知ない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、PDF化の理由となるメリットとPDF変換の方法をわかりやすく解説いたします。書類の法的有効性をさらに高める手段とPDFに変換する際の注意点も紹介いたしますので、安全に保存する方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

そもそもPDF形式の契約書は法的に有効か

そもそもPDF形式の契約書は法的に有効か

 もともと紙の契約書をPDF形式にして保存したり、PDF形式の契約書にサインを行う際、法的に問題ないかどうかが気になります。電子契約書をPDF形式で保存することは法的に問題ないのでしょうか?

電子帳簿保存法のデータ保存要件を満たせば法的に問題ない

結論から言えば、電子帳簿保存法が定めるデータ保存要件を満たしていれば法的には問題ありません。この法律では、電子データで保存する際の要件を定めており、データの「真実性」と「可視性」を満たす措置が取られており、適切な管理が行われていれば紙の契約書と同等の効力を認めています。

タイムスタンプの付与

タイムスタンプは、PDFデータが作成された日時を証明し、改ざん防止を担保する技術です。契約書の「真実性」が確保され、法的効力を持つものとされています。電子帳簿保存法では、下記いずれかの措置を取る必要があるとされています。

  • タイムスタンプが付された取引情報を授受する
  • 取引情報の授受後遅滞なくタイムスタンプを付与する
  • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用する
  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ける

関連書類の備え付け

データを保存するためのシステムの概要を記載した関連書類(設計書、利用手順書など)を備え付ける必要があります。

見読性の確保

データ保存場所に、電子計算機・ディスプレイ・プリンタなど、データの見読が可能な装置を設定する必要があります。ディスプレイやプリンタで、保存したデータを明瞭に表示できることが必要です。

検索機能の確保

契約書のPDFデータは、取引年月日、取引先、取引金額の3項目、およびこれらの組み合わせで検索可能である必要があります。

参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】Ⅱ 適用要件【基本的事項】

電子契約書をPDF化するメリット

電子契約の書類をPDF形式に変換するのは、下記2つのメリットがあることが理由です。

  • 証拠能力を高める
  • ペーパーレスになる

証拠能力を高める

電子文書は、パスワードがわかれば誰でもサインできるため、紙文書と比べ容易に改ざんできます。また、データ持ち出しによる紛失・情報漏えいなども懸念事項です。電子データをPDFに変換してパスワードをかけることで、不正な改変が困難になり、コンプライアンスが強化されます。

ペーパーレスになる

書類を電子化すれば、紙への出力業務がいらず、契約フローの効率化・迅速化が可能です。用紙やインクトナー、郵送のための封筒・切手なども不要であり、コストカットにもつながります。電子文書には収入印紙を貼らなくて良いため、印紙税の節税にも効果的です。保管・検索も容易になるうえ紛失の心配もなく、リモートワーク・テレワークなど多様な働き方に対応できるでしょう。

検索機能を活用できる

 PDF化された電子契約書は、取引先名や契約日、金額などの条件で検索できるため、必要な情報を素早く見つけ出すことが可能です。紙書類のように時間をかけて探す手間が省け、業務効率が向上します。

どこからでもアクセスできる

 PDF形式の電子契約書はクラウドストレージや電子契約システムを利用することで、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。リモートワークや出張先でもスムーズに業務を進められる柔軟な働き方が実現します。

電子契約書をPDF化するデメリット

電子契約書をPDF化するデメリット

PDF化した契約書を正式な記録として使用するには、電子帳簿保存法で定められた「真実性」と「可視性」の要件を満たす必要があります。

具体的には、上述したタイムスタンプの付与や改ざん防止機能を持つシステムの利用、操作マニュアルの備え付け、検索機能の確保が必要です。これらの条件を満たすためには、専用のシステムやソフトウェアの導入が必要となり、そのためのコストや時間も発生します。さらに、システムの操作方法を従業員に周知し、適切に運用するための教育も必要です。これらの準備や維持管理には、一定のリソースが求められる点に注意しなければなりません。

PDF化した電子契約書を作成する流れ

PDF化した電子契約書は、以下2つの方法で作成できます。

  • スキャナーで読み取る
  • 電子契約システムを利用する

スキャナーで読み取る

紙書類をスキャンしてPDFに変換すれば、データ保存ができます。ただし、スキャナ保存は、電子帳簿保存法に定められる下記規定に準じて正確に処理しなければなりません。

  1. 書類の受領後7営業日以内もしくは業務サイクル経過後2カ月7営業日以内に入力する
  2. 解像度200dpi相当以上、赤・緑・青が256階調以上のスキャナーを利用する
  3. 読取情報を保存する
  4. 入力者情報を付与する
  5. 原本・データの相互関連性を保持する

なお、2024年1月1日以降は要件3・4が撤廃されることに加え、5は重要書類に限定されます。

電子契約システムを利用する

電子契約システムが利用できるサービスを介して契約を締結することで、紙書類をより手軽に電子化できます。システムにアップデートした契約書は原本と同一であるため、法的効力に不安もありません。書類のPDF化をはじめとし、契約に必要な手続き・やり取りがすべて一元化されます。

電子契約で書類をPDF化する際の注意点

書類のPDF化や電子契約を利用する際は、下記のポイントに注意してください。

  • 電子化の可否を確認する
  • 紙書類をすぐに破棄しない
  • 正しい方法で保存する

電子化の可否を確認する

現時点では、すべての契約書を電子化できるわけではありません。例えば、任意後見契約や事業用定期借地契約における契約書などは電子化できない書類です。PDF化する前に、電子化の可否を確実にチェックするようにしてください。

▶️電子化できない契約についてさらに詳しく知りたい方はこちら

紙書類をすぐに破棄しない

法律上、PDF化後すぐに原本を破棄しても構いません。しかし、もしスキャナ保存の要件に正しく対応できていない場合、原本の提出を求められる可能性があります。万が一に備え、契約書をPDF化した際はしばらく原本を保存しておくほうが無難です。

正しい方法で保存する

PDF化した書類データは、電子帳簿保存法で定められる「真実性」と「可視性」の担保が求められます。具体的には、下記の要件を満たして保存しなければなりません。

  • タイムスタンプ付与もしくは削除・訂正の履歴保存機能が搭載された電子契約サービスを利用する
  • 日付・金額・取引先などの条件で検索できる
  • 14インチ以上のディスプレイとプリンター、概要書・操作マニュアル等を備え付ける

不備・不正が発覚した場合は申告漏れに課される重加算税が10%加重されるおそれがありますので、適正な保存を心がけましょう。

PDF変換だけではNG!電子契約の有効性を高める3つの方法

電子契約では、法的な有効性を高めるため、本人性と非改ざん性を担保する必要があります。電子書類の本人性と非改ざん性は、下記3つの手段で確保することが可能です。

  • 電子署名を施す
  • タイムスタンプを付与する
  • 長期署名を利用する

電子署名を施す

電子署名とは、電子文書が真正であることを担保する機能です。PDF化した電子契約書に電子署名を施すことで、作成者・契約者が特定できます。なお、PDF化した書類にただ署名するだけの電子サインと電子署名は、法的な有効性が大きく異なるため注意してください。

当事者型の電子契約システムでは、電子署名の際の本人証明手段として電子証明書が用いられます。一方、立会人型の電子契約システムで多く採用されている公開鍵暗号方式は、暗号化された電子文書を公開鍵の対となる秘密鍵で復号するしくみです。

タイムスタンプを付与する

タイムスタンプとは、PDF化した電子文書の作成・契約締結の日付・時刻に関する情報を付与する技術のことです。電子契約にタイムスタンプを施すことで、契約締結の日時が特定できるようになります。電子署名とタイムスタンプを組み合わせれば、非改ざん機能が強化され、電子文書の完全性がより高まるでしょう。

長期署名を利用する

長期署名とは、タイムスタンプを再付与する処理のことです。電子署名の有効期限は、最長5年程度とされています。しかし、電子化する書類のジャンルや確定申告の方法などによっては、5年以上の保存が必要です。そこで長期署名を利用すれば、10年以上の長期保存が可能になります。

【低コストで導入できる】非改ざん性を担保した電子契約ならShachihata Cloud!

DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面で心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。

Shachihata Cloudは、サービス時ログイン時の二要素認証、ログインできるIPアドレスの制限などセキュアな環境で利用できるツールです。立会人型電子署名の付与やタイムスタンプで文書の非改ざん性を担保します。1ユーザー550円からと低コストで運用できるため、電子契約の導入に適しています。

相手方は無料で捺印できる!ゲストユーザーの利用方法

契約締結の相手方企業は、Shachihata Cloudを契約していなくても受信専用のゲストユーザーとして利用することが可能です。役職印や角印など3種類の印鑑を無料で作成・捺印できます。ゲストユーザーお申し込みフォームから必要事項を入力して登録を行うだけで利用できるため、手間なくスムーズにご利用いただけます。

また、捺印した契約書はお互い1年間ダウンロードができます。会社印の捺印が必要な文書のやり取りが双方の費用負担ゼロで行えるので、ぜひご活用ください。

▶Shachihata Cloud受信専用プランについて詳しく知りたい方はこちら

非改ざん性を担保!電子署名の付与方法

電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。

Shachihata Cloudでは電子署名の法的有効期限を最低1年保証しています。別途タイムスタンプを利用すると、電子署名の有効期限を1年から10年まで延長可能です。

アクセス権限で柔軟に管理!フォルダの設定方法

Shachihata Cloudは、電子契約から書類保存まで1つのツールで対応できます。会計年度や部署ごとなど、任意のフォルダを作成して書類管理ができるため、どこに何を保存したかがわからなくなる心配がありません。

フォルダの移動や並び替えはドラッグアンドドロップで完結するため、操作も簡単。フォルダへのアクセス権限はユーザー単位で付与できるため、部外秘の情報もセキュアな環境で管理できます。

電子契約システムを活用してPDF書類の安全性を強化しよう

電子契約データのPDF化は、証拠能力の担保とペーパーレスによる業務効率化・コスト削減が目的です。法的効力を高めるため、電子署名とタイムスタンプを付与するほか、長期保存の必要性に応じて長期署名を施しましょう。また、電子化できない書類の存在や原本破棄の時期に注意しつつ、電子帳簿保存法に準じてPDFデータを保存してください。

「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、電子帳簿保存法への対応も万全な立会人型の電子契約サービスです。さまざまな様式のファイルをPDF化して保存できるほか、電子印鑑の一括捺印などオプション機能も充実しています。全機能を無料トライアルで自由にお試しいただけますので、ぜひ一度お試しください。

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
お問い合わせ 資料請求