電子帳簿保存法の施行により、一部の書類をPDFデータ等で電子保存できるようになりました。しかし、電子契約書をPDF形式でやり取りする意義をご存知ない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、PDF化の理由となるメリットとPDF変換の方法をわかりやすく解説いたします。書類の法的有効性をさらに高める手段とPDFに変換する際の注意点も紹介いたしますので、安全に保存する方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。
電子契約の書類をPDF形式に変換するのは、下記2つのメリットがあることが理由です。
電子文書は、パスワードがわかれば誰でもサインできるため、紙文書と比べ容易に改ざんできます。また、データ持ち出しによる紛失・情報漏えいなども懸念事項です。電子データをPDFに変換してパスワードをかけることで、不正な改変が困難になり、コンプライアンスが強化されます。
書類を電子化すれば、紙への出力業務がいらず、契約フローの効率化・迅速化が可能です。用紙やインクトナー、郵送のための封筒・切手なども不要であり、コストカットにもつながります。電子文書には収入印紙を貼らなくて良いため、印紙税の節税にも効果的です。保管・検索も容易になるうえ紛失の心配もなく、リモートワーク・テレワークなど多様な働き方に対応できるでしょう。
PDF化した電子契約書は、以下2つの方法で作成できます。
紙書類をスキャンしてPDFに変換すれば、データ保存ができます。ただし、スキャナ保存は、電子帳簿保存法に定められる下記規定に準じて正確に処理しなければなりません。
なお、2024年1月1日以降は要件3・4が撤廃されることに加え、5は重要書類に限定されます。
電子契約システムが利用できるサービスを介して契約を締結することで、紙書類をより手軽に電子化できます。システムにアップデートした契約書は原本と同一であるため、法的効力に不安もありません。書類のPDF化をはじめとし、契約に必要な手続き・やり取りがすべて一元化されます。
電子契約では、法的な有効性を高めるため、本人性と非改ざん性を担保する必要があります。電子書類の本人性と非改ざん性は、下記3つの手段で確保することが可能です。
電子署名とは、電子文書が真正であることを担保する機能です。PDF化した電子契約書に電子署名を施すことで、作成者・契約者が特定できます。なお、PDF化した書類にただ署名するだけの電子サインと電子署名は、法的な有効性が大きく異なるため注意してください。
当事者型の電子契約システムでは、電子署名の際の本人証明手段として電子証明書が用いられます。一方、立会人型の電子契約システムで多く採用されている公開鍵暗号方式は、暗号化された電子文書を公開鍵の対となる秘密鍵で復号するしくみです。
タイムスタンプとは、PDF化した電子文書の作成・契約締結の日付・時刻に関する情報を付与する技術のことです。電子契約にタイムスタンプを施すことで、契約締結の日時が特定できるようになります。電子署名とタイムスタンプを組み合わせれば、非改ざん機能が強化され、電子文書の完全性がより高まるでしょう。
長期署名とは、タイムスタンプを再付与する処理のことです。電子署名の有効期限は、最長5年程度とされています。しかし、電子化する書類のジャンルや確定申告の方法などによっては、5年以上の保存が必要です。そこで長期署名を利用すれば、10年以上の長期保存が可能になります。
書類のPDF化や電子契約を利用する際は、下記のポイントに注意してください。
現時点では、すべての契約書を電子化できるわけではありません。例えば、任意後見契約や事業用定期借地契約における契約書などは電子化できない書類です。PDF化する前に、電子化の可否を確実にチェックするようにしてください。
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法律上、PDF化後すぐに原本を破棄しても構いません。しかし、もしスキャナ保存の要件に正しく対応できていない場合、原本の提出を求められる可能性があります。万が一に備え、契約書をPDF化した際はしばらく原本を保存しておくほうが無難です。
PDF化した書類データは、電子帳簿保存法で定められる「真実性」と「可視性」の担保が求められます。具体的には、下記の要件を満たして保存しなければなりません。
不備・不正が発覚した場合は申告漏れに課される重加算税が10%加重されるおそれがありますので、適正な保存を心がけましょう。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面で心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
Shachihata Cloudは、サービス時ログイン時の二要素認証、ログインできるIPアドレスの制限などセキュアな環境で利用できるツールです。立会人型電子署名の付与やタイムスタンプで文書の非改ざん性を担保します。1ユーザー550円からと低コストで運用できるため、電子契約の導入に適しています。
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電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。
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電子契約データのPDF化は、証拠能力の担保とペーパーレスによる業務効率化・コスト削減が目的です。法的効力を高めるため、電子署名とタイムスタンプを付与するほか、長期保存の必要性に応じて長期署名を施しましょう。また、電子化できない書類の存在や原本破棄の時期に注意しつつ、電子帳簿保存法に準じてPDFデータを保存してください。
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