個人が会社などの法人を作るときに、必要となるのが法人登記です。設立した会社の概要を公表することによって信頼性が増すため、事業を拡大するための大きな要素となっています。法人登記は従来法務局に出向いて行うものでしたが、オンラインで手続きできるようになりました。
そこで本記事では、法人登記のオンライン申請に必要なシステムや手続きの流れ、注意点を分かりやすく解説いたします。法人登記を検討している場合は避けては通れない内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
法人登記とは、法人名(商号)や所在地、代表者の氏名などを公示するための制度です。手続きを行うことで法人としての権利や義務である法人格を示すことができ、登記を申請すると法務局の審査を経て登記簿謄本に記録されます。
本社や事務所の移転、役員の異動、社名・団体名の変更などが発生した際に、法人登記の定められた期間を過ぎてしまうと過料が科される可能性があります。そのため、登記しなければならない事象が起こった際は、なるべく早く申請するのがおすすめです。
法人登記はこれまで法務局に直接出向いたり郵送したりして、必要書類を提出しなければいけませんでした。しかし、デジタル化が進み、オンライン上でも申請手続きが行えるようになっています。
法人登記をオンラインで行う方法は、「申請総合用ソフト」「法人設立ワンストップサービス」の2つがあります。それぞれに特徴や適した場面があるため、確認していきましょう。
申請用総合ソフトは、法務省が運営している登記・供託オンライン申請システムの一つで、ソフトをインストールすることで利用できます。法人登記の申請だけでなく、登記事項証明書や印鑑証明書の交付請求、登記事項の提出など網羅的に登記関係の手続きが可能です。ファイルや処理状況、受付番号などをソフト内で一元管理できるので、法務局に問い合わせる必要なく手続きが進められるメリットがあります。
利用時間は平日8:30~21:00ですが、17:15以降に送信された情報は翌業務日に登記所で受付されるので注意しましょう。システム利用に関するお問い合わせ窓口は平日8:30~19:00の間で対応しています。
法人設立ワンストップサービスは、デジタル庁が運営しているサービスです。法人設立に関する各省庁の手続きを一度にオンライン申請できます。申請したい内容が決まっているが手続きの手順が分からない場合には、サイトに記載されている質問に「はい」「いいえ」「分からない」で答えると、提出する必要のある手続きが簡単に分かります。提出が必要となる申請書類はすべてオンラインで作成でき、提出まで完結できるので非常に便利です。
申請後の処理状況もサービス内で確認できるので、「手続きがしっかりできているか」と心配になることもありません。ただし、申請者情報を登録する際にマイナンバーカードが必要となります。持っていない方は事前に作成手続きを行わなければない点は注意しておきましょう。
利用はメンテナンス等による停止時間を除き、24時間利用可能です。お問い合わせ窓口は9:30~18:30の間で対応していますが、メールは24時間受付しています。申請用総合ソフトとは異なり、スマートフォンやタブレットでも申請できるので、パソコンを持っていない方でも手軽に利用できるサービスです。
法人登記をオンライン申請するメリットは3つあります。
順に解説いたします。
まず、法務局まで行く必要がない点が挙げられます。法務局が遠い場所に住んでいたり、法人設立したりする場合は、法務局へたどり着くまでに時間がかかってしまいます。窓口が混んでいるときは待ち時間も発生してしまうため、登記手続きだけとはいえ、多くの時間がかかってしまうこともあるでしょう。
その点、オンライン申請はインターネットさえ繋がっていればどこからでも手続きできます。混んでいる中で待つこともないので、全体的に手続きにかかる時間を削減できるのがメリットです。
自分の都合のいい時間に申請できるのもメリットの一つです。法人設立ワンストップサービスはメンテナンス等を除いて24時間、総合申請用ソフトを利用した申請は平日8:30~21:00まで受付しています。法務局の受付時間外でも申請できるので、多忙な方でも自身の都合に合わせて手続きを済ませられます。
法人登記をオンライン申請する良さには、手続きの状況をシステム上で確認できることもあります。法務局で申請した場合は処理状況を自ら問い合わせる必要がありますが、オンラインだと自分でチェックできます。どこまで手続きが進んでいるのか、不備がないかなども簡単に分かることで安心できるのはメリットです。
法人登記のオンライン申請は誰でもできますが、とくに社員や他の取締役がいない一人会社を設立する場合に向いています。一人会社を設立する場合は、公的個人認証サービス電子証明書を取得すれば、申請者情報や全ての添付書類に必要な電子署名を付与できます。管轄の法務局に添付書面を持参する必要がないため、手間が省けて便利です。
ただし、株式会社の設立登記には公証人の認証を受けた電子定款を添付する必要があるので注意しましょう。合同会社設立の場合は不要です。
それでは、申請用総合ソフトを用いた法人登記のオンライン申請の流れを解説いたします。
まず、パソコンの利用環境などの事前準備を行います。手引書を確認し、信頼済みサイトへの登録や安全な通信を行うための必要な証明書の確認をしましょう。システムを利用するためにIDやパスワードを登録したら、申請用総合ソフトを登記・供託オンライン申請システムよりダウンロードします。
申請用総合ソフトの「申請様式一覧選択」画面で、「商業登記申請書」→「登記申請書」→「登記申請書(会社用):株式会社,特例有限会社,合名会社,合資会社,合同会社,外国会社【署名用】」の順に選択します。
また、「申請書作成・編集」画面の「登記事由」欄には、以下の通り登記の事由を入力します。
次に登記申請に必要な添付書面情報を申請書情報に添付します。必要な書面は株式会社と合同会社で異なります。
続いて、添付書面情報に電子署名を付与します。公的個人認証サービス電子証明書を使用すると、申請者情報やすべての添付書類に必要な電子署名を付与できるためおすすめです。
「申請者作成・編集画面」の「添付書類」欄には添付書面情報とその通数を入力します。電子署名を付与した添付書面情報を申請書情報に添付して完了です。
先ほどは申請書情報に電子署名を付与しましたが、ここでは申請者情報にも電子署名を付与します。添付書面情報のときと同様に、公的個人認証サービス電子証明書を使用すると便利です。
電子署名を付与した申請者情報と添付書面情報をシステムに送信します。登録や受付などの状況は「処理状況表示」で確認できるので、適宜チェックしましょう。登録免許税の納付や不備時の補正などを済ませ、「手続終了」と表示されたら登記は完了です。
法人登記はオンラインで申請できますが、いくつか注意すべき点があります。申請前に確認しておき、スムーズに手続きが進められるようにしましょう。
法人登記をオンライン申請するためには、商業登記電子証明書が必要です。商業登記電子証明書がなければ電子署名を付与できないため、スムーズにオンライン申請を進められなくなってしまいます。法人登記の際に使う申請用総合ソフトで申請できるため、あらかじめ請求手続きを行いましょう。
令和2年3月17日より、オンラインによる法人登記は24時間以内の処理を開始しています。ただし対象となる申請には、以下のような条件があります。すべて満たしたもののみ、24時間以内に手続きが完了します。
また、登記完了時期は以下のように1日の時間帯を3つ(午前、午後1、午後2)に区分して処理が進められます。
例えば、11月1日10:00に申請すると、翌日11月2日の午前に完了します。ただし17:15以降に送信された情報は翌業務日に登記所で受付されるので、午前受付扱いとなる点には注意しておきましょう。
法人登記する際に必要な添付書面情報には、押印が必要な書類もあります。今はテレワークが進み、オンライン上で会議を行って完結する場合も多いことでしょう。「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は今使っている印鑑をそのまま使って電子化できるため、余計な手間をかけず、簡単に電子印鑑の作成が可能です。
Shachihata Cloudは電子印鑑だけでなく、従業員の勤怠管理やチャット、ガントチャートでの可視化などのグループウェアとしても使用できます。今なら無料トライアルを行っていますので、この機会に導入をご検討ください。