世の中の脱ハンコの流れを受け、商取引において電子契約を導入する企業が増えています。しかし、長年慣れ親しんだ紙とハンコによる契約方式をやめる抵抗感や法律面の知識不足からいまだに消極的な企業も見受けられます。
本記事では電子契約書を交わしたくても、取引先が消極的な場合の対応策について紹介します。
電子契約とは、紙を一切使用せずオンライン上で締結する契約行為を指します。従来の紙の契約書にハンコを押す方式と比べて、コスト削減と業務効率化が図れるのが特徴です。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と調査・コンサル企業のITRによる調査によると、2023年1月時点で73.9%の企業が何らかの方法で電子契約を利用しており、導入する企業は今後ますます増える見込みです。
ただ、電子契約の普及が進む一方で、導入に消極的な企業も依然として存在します。商取引において片方が電子契約を希望していても、相手が紙とハンコによる契約書を希望している場合は、どうすれば良いのでしょうか。
企業が電子契約に消極的になるのには、以下のような理由が挙げられます。
これまで紙の契約書に慣れてきた企業にとっては、事業者などが提供する電子契約サービスに関して、セキュリティ面は大丈夫なのか、本当に使いこなせるのかといった不安があるかもしれません。また、書類の保管方法をはじめ管理の仕方など、従来の慣習を変更する必要があるため、従業員が抵抗感を持つケースもあるでしょう。
電子契約書にそもそも法的効力があるのか、疑念が払しょくできないケースもあります。日本の法律では、法で定められた一部の契約を除き、意思表示と合致と口頭の取り交わしでも成立します。しかし、何らかのトラブルが発生した際は、電子データに電子署名とタイムスタンプが付与された電子契約書は、署名・押印した書面の契約書と同等の法的効力があります。そうした点を十分理解していない企業にとって、電子契約の導入はハードルが高いものとなるかもしれません。
電子契約書を導入することで得られるメリットが十分理解されていないケースもあります。しかし、紙の契約書を用いることによる紙代、インク代、郵便代、収入印紙代、ハンコを集めるのに費やす労力と時間といった様々な無駄が省けるメリットは、取引量が大きくなればなるほど無視できないものになります。それらのコストや生産性に与える影響が精査されていない場合、電子契約書導入の必要性が認識されにくくなるでしょう。
取引先が疑問に思っているセキュリティ面での不安が少ないことや、導入した場合のメリットについて丁寧に説明してあげる必要があります。法的効力に全く問題がないことなどもしっかり伝えるべきでしょう。
電子契約書の運用や管理に関しても、慣れてしまえば紙の契約書を使うよりずっと楽になることを理解してもらう必要があります。それでも不安がある場合は、運用に関して助言したり、信頼できる事業者のサービスを紹介したりすることで、安心感を持ってもらえるでしょう。
それでも取引先が電子契約導入に踏み切れない場合は、紙の契約書を取引先が保管し、電子契約書を自社で補完するという方法もあります。その場合、紙の契約書の方は取引先に署名・押印して保管してもらう一方で、取引先には書面と同じ契約書を電子契約で同意してもらって、自社で保管するようにします。
取引先が既に違う事業者の電子契約サービスを使用しているケースもあります。そうした場合は
①自社か取引先のどちらか一方の電子契約サービスを使用する
②それぞれが使用しているサービスで電子署名後、PDFを交換して保管する
③どちらか一方の電子署名済みPDFに、他方も自社で使用しているサービスを使って電子署名をする
といった対応策が考えられます。
①のケースでは自社か相手先のどちらかが普段使い慣れていないサービスを使うことになるため、担当者には心理的抵抗感が出るかもしれません。
②のケースでは両社とも使い慣れたサービスを使えるというメリットはあるものの、自社原本と取引先のPDFを保管しなければならないという手間がかかります。
③のケースでは双方が使い慣れたサービスを使用でき、自社原本と相手方PDFを保管する手間も省けますが、使用している電子契約サービスによっては、機能的に対応していないものもあるため、事前にサービス提供事業者に確認しておくと良いでしょう。
いずれの方法を取るにせよ、自社と取引先双方がきちんと納得した上で、お互いにとってベストなやり方を選ぶことが大切です。
電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面に心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
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電子契約の導入は、業務効率の向上やコスト削減に大きく貢献するものですが、会社の置かれた状況や経営者の考え方などによって、どんなサービスを利用するか、どのように運用するかはケースによって異なります。取引先と十分なコミュニケーションを取り、現状を把握した上で、双方にとってベストな方法を考える柔軟な姿勢が必要となるでしょう。