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DX COLUMN

日本初のNFT印鑑開発でシヤチハタが安心安全な電子契約実現へ

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シヤチハタが日本初のNFTを活用した電子印鑑を共同開発することになりました。そもそもNFTとはどういった技術なのでしょうか。技術の説明からいま注目されている背景、課題についてもご説明します。

シヤチハタがNFTを活用した日本初の電子印鑑を共同開発―DX支援

2021年8月、日本では初となる「NFT」を活用した電子印鑑を共同開発することを、シヤチハタが発表しました。NFTの詳しい説明は後述しますが、従来の電子印鑑が抱えていた印影の偽造リスクの問題を解消できる技術のため、より安全な電子印鑑を作ることができます。
新型コロナウイルス感染症などにより、DX推進の機運が高まっているなかで、信頼性の高いNFT技術を活用した印鑑の需要は増加していくものとみられます。
また、異なる電子契約システムでも共通して利用できるようなAPI連携サービスの提供も予定しており、今後DXが加速すると見込まれる行政や自治体への展開も目指しています。

関心が高まる「NFT」技術とは

NFTという言葉を本記事で初めて目にした方もいるかもしれません。そもそもNFT技術とは、 どんなものなのでしょうか。

NFTは日本語で「代替不可能なしるし」

NFTとは Non-Fungible Tokenの略で、直訳すると「代替不可能なしるし」となります。
従来のデジタルデータは、電子透かしなどの技術はあったものの、データの複製や改ざんを直接防ぐことは難しい状態でした。これを解決したのが、ブロックチェーンを用いたNFT技術です。ブロックチェーンは、ネットワーク内で発生した取引の記録をブロックチェーンの中に履歴として残しておく技術です。もし改ざんをしようとしても、改ざんしようとしている箇所からあとの履歴をすべて書き換えないといけないため、非常に改ざんが難しい仕組みになっています。
それぞれのデジタルデータにこういった情報を持たせることで、データの唯一性を証明するのがNFTの仕組みです。

NFTの特長

NFTには、さまざまな付加機能をデータに付与することができます。例えば、転々流通するような商品に対して、転々流通する際に1次創作者に手数料が入るようにする、などの設定をすることができるのです。これにより、例えばJASRACのような著作権管理団体がなくても、創作者のもとに手数料が入るようにする仕組みを整えることができるかもしれません。 これはあくまで一例ですが、このようにこれまでとは異なる流通の仕組みなどが生まれる可能性があるということです。

NFTが注目を集める背景

NFT技術によって、デジタルデータにも唯一性を持たせることができるようになりました。これによって、これまでは本物と偽物の区別がつけにくかったデジタルアートにも資産価値が付与され、高額で取引きされることが増えてきました。2021年4月には、Twitterの創業者の初ツイートが3億円超で落札されるというニュースもありました。
このように、NFTによってこれまで価値のつけられなかったものに、価値をつけられるようになり、新たな市場が生まれるチャンスが増えたことで、NFTに注目が集まっています。

シヤチハタが開発を進めるNFT印鑑のポイント

この章では、シヤチハタが進めるNFT印鑑のポイントをご説明します。

利用者本人の識別・証明が可能

「NFT印鑑」は、印影データをNFT(Non-Fungible Token)化し、唯一性を持たせた電子印鑑です。利用者の識別情報と電子印鑑を紐づけることで、本人の証明をすることができます。(本人確認機能については今後段階的に実装を予定しています。)
押印された電子文書に、印鑑の保有者の情報とNFT化された印影データが付与され、押印をした、という記録はブロックチェーンに履歴が残るため、従来の電子印鑑より確実に「いつ、だれが、どの書類に押印したのか」という記録を残すことができます。
これにより、信頼性と発展性を併せ持つ「電子の実印」を提供することができます。

ブロックチェーン技術で高い信頼性を実現

「NFT印鑑」は、博報堂がコンテンツ・メディア企業各社と共同で発足したJapan Contents Blockchain Initiative(JCBI)が運営管理するプラットフォームを使用しています。名だたる企業が加入している、自立分散型で高い信頼性が担保されたコンソーシアムチェーンによって、高いセキュリティが担保されています。

さまざまな電子決裁プラットフォーム間で利用可能へ

シヤチハタでは、異なる電子印鑑や電子契約のサービスでも共通して使えるNFT印鑑API連携のサービスを予定しています。また、企業向けのサービスだけではなく、今後DX化が進むであろう行政や自治体への展開も想定しており、どのような場面でもNFT印鑑を使える世界の実現を目指しています。

NFTは規制が未整備、今後に課題

この章では現状のNFTの課題をご説明します。
新しい価値を生み出すことのできるNFTの技術ですが、先進的な技術のため、知識や慣れが不足しています。また、法の整備も間に合っていないという側面もあります。

NFTではデータの唯一性は証明できますが、それを販売している人が著作権の保有者であるかどうかは証明が難しいです。また、NFTの複製はできなくても、デジタルデータ自体の複製は可能です。そのため、例えば、デジタルデータを複製し、それらしいNFTを付与して販売をされた場合に、偽物であると判別することは難しいでしょう。その上、法整備が間に合っておらず、こういった不正な取引きを規制したり、監査したりすることが法律上できない場合もあるのです。

NFTを活用した電子印鑑でより安心安全な電子契約を実現へ

NFTを活用した電子印鑑についてご理解いただけたでしょうか?電子印鑑や電子契約などは、ここ数年で一挙に浸透していきました。そのスピードに法整備など、安全な使用のための環境づくりが間に合っていない部分もあります。今回発表されたNFT印鑑の共同開発は、電子印鑑・ブロックチェーン・法律のスペシャリストが集まって開発をしていることから、安心安全な電子印鑑になることが期待できます。今後の展開をぜひ楽しみに待っていてください。

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WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 デジタル認証事業部 部長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。
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