ICT技術の発展で安全なデジタル環境が整備されたことにより、建設業にも電子化が波及しています。しかし、従来は紙ベースが基本だった建設業界において、電子契約システムの正しい運用方法をよくご存知ない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業法の改正とグレーゾーン解消制度を解説するとともに、国土交通省の電子契約ガイドラインに定められる要件をお伝えいたします。JIIMAのガイドラインの内容も説明いたしますので、業務効率化を図りたい建設業の方はぜひご一読ください。
まず、電子契約が利用できるようになるまでの建設業法改正の流れをみていきましょう。
従前の建設業法における請負契約は、当事者のほか多くの下請が関わることから、正確性の向上を目的として書面でのやり取りが義務付けられていました。建設業法改正の契機となったのは、2001年に施行されたIT書面一括法です。IT書面一括法により、複数の法律における書面の交付義務が相手方の承諾を条件として免除されることとなりました。
IT書面一括法の施行によって改正された法律の一つが建設業法です。条文に19条第3項が追加され、国土交通省により「建設業法施行規則第13条の2第2項に規定する『技術的基準』に係るガイドライン」が作成されました。なお、後の法改正で建設業法施行規則第13条の2は第13条の4へ変更となっています。本ガイドラインを満たす方法であれば、契約の書面化・押印が省略可能となりました。
2021年9月施行のデジタル改革関連法により、建設業法を含む48法律の押印・書面化の義務が見直されました。本改正では、建設業における見積書・売買契約書などさまざまな内容が電子化できるようになり、電子化できる範囲がさらに拡大しています。
電子契約は、建設業法の改正時に作られた国土交通省の電子契約ガイドラインに示される下記要件および技術的基準に沿って運用しなければなりません。
建設業における契約は、下記の電磁的措置のいずれかの方法を用いることにより電子化できます。
書面の電子化は義務ではないため、電子契約の利用には相手方の承諾が不可欠です。あらかじめ詳細な契約方法・内容を相手方へ通知し、双方の承諾の下で電子契約が運用されなければなりません。
契約内容の電子データは、すみやかに閲覧および書面化できるようにしておくことが必要です。スムーズな閲覧・出力を実現するため、ディスプレイの備付けや検索機能の整備などの措置が求められます。
電磁データの内容は、原本から改ざんされていないことを証明する手立てが必要です。具体的には、公開鍵暗号方式による電子署名や電子証明書、タイムスタンプを付与したうえ、外部システムにデータを保存する必要があります。
本人性の確保は、2020年10月1日に施行された建設業法の改正により新規追加された技術的基準の一つです。
契約の相手方が間違いなく本人であることを確認できるような措置を講じるよう定められました。
電子契約は、本人性を満たす方法が明確に示されていなかったため、IT書面一括法にともなう建設業法の改正直後は混乱が生じました。本章では、曖昧だった本人性確保の問題が解決するきっかけとなったグレーゾーン解消制度について解説いたします。
グレーゾーン解消制度とは、経済産業省が管轄する適法性の照会システムを指します。自社のサービスの運用方法が法的に問題ないか、所轄の省庁に確認できる制度です。
建設業法グレーゾーン解消制度の回答内容により、電子契約における本人性は以下の方法で確保できることが示されました。
上記は、見読性と非改ざん性の担保や、メールアドレスによる本人確認が行えることを理由に適法性が認められています。
電子契約を導入する際は、建設業法の規定に加え、JIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会)のガイドラインに定められる下記のポイントも遵守してください。
電子契約では、情報漏えいやなりすましなど、デジタル特有のトラブルに気を付けなければなりません。厳格なパスワード管理はもちろん、ハイレベルなアクセス制限やログイン時の2要素認証を設定し、セキュリティ対策を徹底しましょう。
建設業の分野で電子契約が定着すれば業務効率化につながりますが、導入直後は内外で混乱を招きかねません。はじめは簡易的な契約から電子化を導入し、書面契約と電子契約との並行しつつ、徐々に定着させていくことが推奨されます。現行のワークフローのまま導入できる電子契約システムであれば、最小限の負担で移行できるでしょう。
タイムスタンプとメール認証の条件を満たしていれば、電子印鑑もしくは電子サインの付与でも電子契約の成立が可能です。しかし、万が一トラブルが発生した場合、証拠として不十分と見なされる可能性があります。電子契約を利用する際は、導入・運用が手軽なクラウド型のシステムがおすすめです。
DX化の入り口として、紙書類での契約から電子契約への移行をおすすめします。電子契約は印紙税や事務業務の削減、契約までのスピード向上など、多くのメリットがあります。一方でセキュリティ面で心配が残り、なかなか踏み出せない企業もいることでしょう。
Shachihata Cloudは、サービス時ログイン時の二要素認証、ログインできるIPアドレスの制限などセキュアな環境で利用できるツールです。立会人型電子署名の付与やタイムスタンプで文書の非改ざん性を担保します。1ユーザー550円からと低コストで運用できるため、電子契約の導入に適しています。
契約締結の相手方企業は、Shachihata Cloudを契約していなくても受信専用のゲストユーザーとして利用することが可能です。役職印や角印など3種類の印鑑を無料で作成・捺印できます。ゲストユーザーお申し込みフォームから必要事項を入力して登録を行うだけで利用できるため、手間なくスムーズにご利用いただけます。
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電子契約は電子署名をすることで本人性を証明でき、付与後に文書が改ざんされていないことを示せます。Shachihata Cloudは、申請・承認などユーザーごとの回覧操作や回覧履歴をつけてダウンロードすると文書に付与されるため、難しい操作は必要ありません。付与した電子署名は、署名パネルから簡単に確認できます。
Shachihata Cloudでは電子署名の法的有効期限を最低1年保証しています。別途タイムスタンプを利用すると、電子署名の有効期限を1年から10年まで延長可能です。
Shachihata Cloudは、電子契約から書類保存まで1つのツールで対応できます。会計年度や部署ごとなど、任意のフォルダを作成して書類管理ができるため、どこに何を保存したかがわからなくなる心配がありません。
フォルダの移動や並び替えはドラッグアンドドロップで完結するため、操作も簡単。フォルダへのアクセス権限はユーザー単位で付与できるため、部外秘の情報もセキュアな環境で管理できます。
建設業に電子契約を用いる際は、国土交通省が定めるガイドラインに沿った運用が求められます。同時に、JIIMAのガイドラインを遵守することで、電子契約を安全に活用できるでしょう。
JIIMA認証を取得している「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、建設業界でも使いやすい電子契約システムです。電子印鑑や手書きの電子サインの付与も可能であり、従来の書面契約と変わらない手順でご利用いただけます。現在のワークフローにそのまま導入できるため、マニュアルいらずで便利です。無料トライアルで全機能を事前にお試しいただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。